偽造の結婚指輪 ドラマ

詐欺会社に勤める田上浩介(28)。老人に役に立たない商品を売り付けている。がここのところまったく売り上げが上がらない。上司から友達を騙す事を強要させられる。最初は友達を騙すことに抵抗があった。誰にも相談できない中公園で出会ったJKと仲良くなるうちに友達を騙すことを決意する。JKもJKで友達に彼氏がいると嘘をついている。嘘でしか自分を正当化できない二人。やがて二人は嘘をつくのに限界を感じ始める……
ヤブハラリョウ 16 0 0 05/08
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第一稿

登場人物

田上浩介(28) 詐欺会社勤務
佐々木良太(28) 不動産営業
北見翔(28) 主夫
吉田真理(16) 高校生
鈴木隆也(34) 浩介の上司
赤井芽衣(2 ...続きを読む
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登場人物

田上浩介(28) 詐欺会社勤務
佐々木良太(28) 不動産営業
北見翔(28) 主夫
吉田真理(16) 高校生
鈴木隆也(34) 浩介の上司
赤井芽衣(26) 良太の彼女

北見彩菜(0) 北見翔の娘
ヤクザ
借金取り
ショップ店員
杉山久美(16)
焼肉屋店員


〇 河川敷(過去)(夜)
  制服姿でタイムカプセルを埋めている田上浩介、佐々木良太、北見翔。
  タイムカプセルを埋め終わり、
浩介「10年後」
良太「どんな大人になってるかな?」
翔「結婚してるかな?」
浩介「どうなってるかわからないけどさ、これだけは言える」
良太「……」
翔「……」
浩介「俺たちがずっと友達だってこと」
  笑い出す良太と翔。
浩介「なんで笑うんだよ」
良太「いやだって」
翔「なんかかっこつけるから」
浩介「かっこつけてねえよ」
  笑いあう浩介、良太、翔。

〇 ニコニコサービス・外観(昼)
  テロップ「10年後」。

〇 同・社内
  スーツ姿の田上浩介(28)が働く。
  たくさんの社員が電話応対している。
  上司の鈴木隆也(30)が社員の様子を観察している。
高齢者向けに便利グッズを販売している会社。しかしその実態は、
浩介「(電話)おじいちゃん。また新商品入ったよ。」
  ×  ×  ×
  別の老人に、
浩介「(電話)今回は眼鏡に付けてるとGPSで無くなってもすぐ見つけられるの」
  ×  ×  ×
  また別の老人に、
浩介「(電話)前のはリモコンに付けるのだったけど、今回は眼鏡にも付けられる新商品」
  ×  ×  ×
  また別の老人に、
浩介「(電話)お値段2万円」
鈴木「どんどん高齢者に無駄で高額な商品を売っていくよ」
孤独な老人に役に立たない商品を高額で売り付けてお金をだまし取っている。
鈴木「田上!」
浩介「はい」
  浩介に近寄る鈴木。
鈴木「売れたか」
浩介「いいえ」
  机を叩く鈴木。ビクつく浩介。
鈴木「いいえじゃねえだろ」
浩介「はい」
鈴木「お前ホント使えねえな」
浩介「すみません」
鈴木「使えないやつに払う給料ないからな」
浩介「頑張ります」
鈴木「頑張るのは当たり前。みんな金稼ぐために必死に頑張ってるんだよ」
浩介「そうです」
鈴木「だったら老人たちに電話電話」
浩介「はい」
  電話をかけ始める浩介。
浩介「おじいちゃん。また新しい商品入ったよ。その名も……」

〇 公園(夜)
  ベンチに制服姿の吉田真理(16)が座っている。
  浩介が横を通り、電話している。
浩介「これもだめか。次は買ってね」
  電話を切り肩を落とす。

〇 浩介の家・リビング
  整頓されてないリビング。
  郵便物に目を通しながら北見翔(28)と電話をしている。
翔「最近子供がしゃべるようになったんだよ」
浩介「そうなんだ」
翔「声聞かせたいけど寝ちゃってる」
浩介「また会いに行くよ」
  スーツを脱ぎながら電話を続ける。
  借金の催促状とともに高校時代の写真がホコリまみれで置いてある。

〇 ニコニコサービス・社内(昼)
  電話中の浩介。
浩介「こんなに便利なんだよ。……わかった。また連絡するね」
  電話を切る浩介。ため息をつく。
  鈴木近寄ってくる。
鈴木「おまえ今月ノルマいってないだろ」
浩介「……はい」
鈴木「(鬼の形相)大丈夫なのか」
浩介「大丈夫です」
鈴木「(笑顔)ならいい」
浩介「……」

〇 大新不動産目黒支店・外観

〇 同・店内
  佐々木良太(28)の職場。
  不動産の賃貸を扱う会社。
  店内では営業成績の発表が行われており軍隊のように社員が整列をしている。
  最下位の社員が見せしめのように上司にボロカスに怒られている。

〇 翔の家・玄関(日替わり)(昼)
  「北見」の表札。

〇 同・リビング
  北見彩菜(0)をあやす翔。
  赤ちゃん用のおもちゃが転がっている。
  急に泣き出す彩菜。
翔「どうしたんですかぁ」
  彩菜、泣き止まない。
翔「おむつかな?」
  おむつを確認する
翔「うんちいっぱいでたね」
  インターホンが鳴る。
翔「はーい。今行きまーす」
  ×   ×    ×
  ベビーベッドで寝てる彩菜。
  浩介が来ている。
翔「ごめん。おまたせ」
  お茶を出す翔。
浩介「子守大変そうだな」
翔「これが俺の仕事だから」
浩介「奥さんとは何で知り合ったんだっけ」
翔「マッチングアプリ」
浩介「えっ、こわ」
翔「何が?」
浩介「騙されそう」
翔「意外と普通な子がやってるんだよ」
浩介「後で金請求されたりとかしないの?」
翔「ないない。考えすぎ。人を騙すようなやつとそう簡単に出会わないから」
浩介「……そうだよな」
  浩介の電話が鳴る。
浩介「(鈴木から)ごめん。上司からだ」
  浩介、部屋を出る。

〇 同・外
浩介「もしもし」
  キャバクラから電話をする鈴木。
  機嫌よく口ずさむ声。
  以降、適時カットバック。
鈴木「ノルマ♪ノルマ♪ノルマ♪」
浩介「がんばって……」
鈴木「みんなー♪頑張ってるー♪」
浩介「……」
鈴木「ノルマ♪達成できてないのに休み♪」
浩介「えっと」
鈴木「(声色が変わり)調子乗るのもいい加減にしろよ」
浩介「すいません」
鈴木「今何してんだよ。どうせ暇だろ」
浩介「友達の家に来てます」
鈴木「友達?」
浩介「はい」
鈴木「おまえにも友達いたんだ」
浩介「そりゃ、一応」
鈴木「ちょうどいいか」
浩介「はい?」
鈴木「友達に何か売り付けてこいよ」
浩介「それは」
鈴木「何? 友達だから売りづらいと」
浩介「そういうことではなくて」
鈴木「じゃあ売ってくるんだな」
浩介「それは」
鈴木「頑張れー」
  電話を切る鈴木。

〇 同・玄関
  家に戻る浩介。家電が鳴る

〇 浩介の実家(回想)
  制服姿の浩介。リビングにある家電が鳴っている。家にはだれもいない。
  電話を取る浩介。
浩介「もしもし」
ヤクザ「いつになったら支払いに来てくれるんですか? いつまでもおとなしく待ってると思わないでくださいよ」
浩介「あの……」
ヤクザ「いまさら払えないとか言ったらただじゃおかねえからな」
浩介「かけるところまちがえてませんか?」
ヤクザ「は? 田上さんでしょ。あんた」
浩介「……そうです」
ヤクザ「息子か。親御さんは?」
  家の荷物が無くなって殺風景になっていることに気づく浩介。
  受話器から手を離す浩介。
浩介「母さん。母さん」
  部屋を探し回る浩介。
ヤクザ「おい。無視してんじゃねえよ。聞こえてんだろ。はやく金持ってこい」
  お母さんに電話をかける浩介。
  繋がらない。ヤクザが罵倒してる声だけが部屋に聞こえてる。

〇 翔の家・玄関
  玄関に立ち尽くす浩介に気づく翔。
翔「何してるの? そんなところで」
  家電をとる翔。
  我に返る浩介。
浩介「……なんでもない」
  
〇 同・リビング
翔「高校の時の先輩で鈴木隆也さんって覚えてる?」
浩介「うん。今俺」
翔「やばい商売してるらしいよ」
浩介「えっ?」
翔「役に立たない物を便利グッズとかいって高額で売りつけてくるらしい」
浩介「……そうなんだ」
翔「俺の友達はGPS付きの眼鏡売り付けられたみたい」
浩介「……」
翔「部屋で無くした時にGPSで見つけられるって言われて」
浩介「便利だろ」
翔「GPSじゃ家にあるとこまでしかわからないよ。どこにあるかのかがわからなきゃ意味ない」
浩介「……」
翔「ひどい商売だよ。ホント」
浩介「……だな」
翔「浩介って鈴木さんと仲良かったよね?」
浩介「うん……」
翔「売りつけられてないの?」
浩介「まさか」
翔「連絡きても無視しなよ」
浩介「……もちろん」
翔「誰が騙されて買うんだろうな」
浩介「……ホントだよな」

〇 公園(夜)
  ベンチに座ってスマホを見てる浩介。
  スマホの画面にはSNSにあげた浩介と翔が仲良く映った写真。
  良太から「懐かしいな。俺もみんなと会いたくなってきた」とコメントが来る。
  隣のベンチに座って電話をしてる真理。
真理「映画見に行って今公園。飲み物買いに行ってる。向こうがまだ帰りたくないっていうの。ホントどれだけあたしの事好きなんだよ」
  なんとなく目があう浩介と真理。
真理「彼氏戻ってきたからもう切るね。たぶんこのままお泊りかな? えっ? そういうのはしないから。じゃバイバーイ」
  電話を切る真理。
  真理を見つめる浩介。
真理「おじさん。何かよう?」
浩介「……彼氏戻ってこないけど」
真理「戻ってくるわけないじゃん」
浩介「やっぱ嘘なんだ」
真理「それが何か?」
  真理立ち去ろうとする。
浩介「お泊りは?」
真理「今日はなくなった」
  浩介、真理に近づき、
浩介「これあげる」
  飲み物を手渡す浩介。
真理「何?」
浩介「見ればわかるだろ。飲み物」
真理「そういうことじゃなくて」
浩介「彼氏が飲み物買いに行ってたんだろ」
真理「そうだけど」
浩介「全部が嘘じゃなくてもいいだろ」
真理「彼氏がいるって話が?」
浩介「飲みもの待ってた話だよ」
  飲み物を受け取る真理。
真理「……ありがとう」
浩介「全部嘘で固めるのはつらいからな」
真理「???」
浩介「じゃあな」
  去っていく浩介。
真理「……」
浩介「あと、俺おじさんじゃないからお兄さんだからな」
  笑って浩介を見送る真理。

〇 ニコニコサービス・社内(日替わり)
  浩介が良太のSNSを見ている。
良太のSNSには彼女と楽しそうに映ってる写真がたくさん投稿されている。
浩介「あいつ彼女いるんだ」
後ろから鈴木が声をかける。
鈴木「おはよう。浩介ちゃん」
浩介「(あわてて)おはようございます」
鈴木「こいつか。例の友達」
浩介「例の?」
鈴木「おまえが商品売り付けてきた」
浩介「売り付けてないです」
鈴木「(態度が変わって)なにー?」
浩介「こいつは昔からの友達でして……」
鈴木「いつになったら金返してくれるの?」
浩介「それは」
鈴木「俺がお前の親の借金肩代わりしてあげてるんだろ。可愛い後輩のためを思って」
浩介「はい」
鈴木「そんなやさしい先輩の思いをおまえは踏みにじるんだ」
浩介「そんなつもりは」
鈴木「だったら死ぬ気でかせがないとな」
浩介「でも友達から金とるのは……」
鈴木「友達だますのは気が引けると」
浩介「はい」
鈴木「偽善者ぶるなよ」
浩介「そんなつもりじゃ」
鈴木「あのな、保険の営業のやつはたいていまず親とか友達に営業をかける。不動産、銀行、アパレル、みんなそう。まずは親しい人に売るんだよ」
浩介「それとはちがうんじゃ……」
鈴木「何も違わない」
浩介「そうですか……」
鈴木「まあ今すぐに金返してくれるなら俺は何も言わないけど」
浩介「……」

〇 浩介の家・前(夜)
  会社帰りの浩介。
  玄関口の借金取りに気づく。
借金取り「田上さん!いい加減出てこいよ。いつになったら借りた金返すんだよ? 一回顔出せや。コラ!!」
  逃げるように去る浩介。

〇 公園(夜)
  ベンチで良太のSNSを見ている。
  SNSには彼女と楽しそうな写真。
  翔から子供の写真が送られてくる。
浩介「みんな幸せそうだな」
  涙ぐむ浩介。
  真理が浩介を見つける。
真理「おじさん?」
  真理に気づく浩介。
真理「やっぱりおじさんだ」
浩介「おじさんじゃなくてお兄さん」
真理「あたしにとってはおじさんだよ」
浩介「どっちでもいいか」
真理「泣いてたの?」
  目元の涙をふく浩介。
浩介「泣いてない」
真理「みんな幸せそうだなって泣いてたよ」
浩介「それは」
真理「これあげる」
  飲み物を渡す真理。
浩介「なに?」
真理「この前のお返し」
浩介「いらねえよ」
真理「そのうちいいことあるよ。わかんないけど」
浩介「何だよそれ」
真理「笑顔で幸せな人もいる反面、おじさんみたいに泣いてる人もいるわけじゃん」
浩介「だから泣いてないって」
真理「誰かが今幸せなら次は自分の番だよ」
浩介「なんだよそれ」
真理「世界中の人が全員幸せになる何てありえないんだから、人の幸せ奪うくらいの気持ちでさ」
浩介「奪うって……」
真理「誰よりも幸せになりたいじゃん」
浩介「……」
真理「おじさんに幸せがきますように」
  飲み物を置いて去っていく真理。
  スマホに写ってる幸せそうな良太を見つめ飲み物を飲む浩介。
浩介「……」
  鈴木に電話をかける浩介。

〇 良太の家・リビング
  友達からの結婚式の招待状を読む赤井芽衣(26)。
  家に帰ってくる良太。
良太「ただいま」
芽衣「おかえり」
良太「郵便きてたよ」
芽衣「ありがとう」
  郵便物を受け取る芽衣。
  結婚式の招待状。
芽衣「この子もかあ」
良太「そういう時期あるよね」
芽衣「良ちゃんは考えてる?」
良太「うん?」
芽衣「結婚」
良太「ああ」
芽衣「何その返事。考えてないんでしょ」
良太「考えてるよ」
芽衣「ホント?」
良太「今は仕事忙しいから」
芽衣「いつもそう言う」
良太「ちゃんと考えてるから」
芽衣「ホントに?」
良太「今日のご飯何?」
芽衣「……ちょっと待ってて」

〇 ニコニコサービス・社内
  鈴木が資料を読んでいる。
  行儀よく立っている浩介。
鈴木「お前さあこんなんで金取れると思う」
  資料には「友達から金を奪い取る方法」と書いてある。
浩介「だめですか」
鈴木「誰がGPS付きの眼鏡買うんだよ」
浩介「うちの商品ですよね」
鈴木「あんなのボケた老人しか買わねえよ」
浩介「僕の友達の友達が鈴木さんに売り付けられそうになったって聞きましたよ」
鈴木「(睨む)……」
浩介「すいません」
鈴木「とにかくこんなのダメだよ」
浩介「どうしましょ」
鈴木「自分で考えろバーカ」
浩介「……」
鈴木「だから彼女もできねえんだよバーカ」
浩介「それは関係ないじゃないですか」
鈴木「女は良いぞ。性欲満たせるし。金すぐくれるし」
浩介「それはヒモって言うんじゃ……」
鈴木「何て言った今?」
浩介「すいません」
鈴木「それだ」
浩介「ヒモですか」
鈴木「そこじゃねえよ。こいつ女いただろ」
浩介「同棲してる彼女がいますね」
鈴木「結婚してねえよな」
浩介「多分」
鈴木「多分?」
浩介「絶対です」
鈴木「結婚指輪売り付けるっていうのは?」
浩介「はい?」
鈴木「ちょっとスマホ貸して」
浩介「はい(鈴木にスマホを渡す)」
  良太に電話をかける鈴木。
  スマホを浩介に渡す。
浩介「え?」
  笑顔の鈴木。

〇 カフェ
  お茶をしてる浩介と良太。
良太「翔はもう子供もいるのか」
浩介「同い年なのにすげえよな」
良太「あいつ子供面倒見れるの?」
浩介「良い主夫やってるよ」
良太「あいつが主夫か。想像できねえ」
浩介「良太は結婚とか考えないの?」
良太「それな」
浩介「同棲してる彼女いるんじゃないの?」
良太「最近さ、彼女の周りが結婚ラッシュで焦ってきてるんだよね」
浩介「彼女と結婚する気ないの?」
良太「同棲してるとさきっかけがないんだよ。もう一緒に住んでるわけだろ」
浩介「結婚しよって言うだけじゃないの?」
良太「いつ?どのタイミングで?」
浩介「テレビ見ながらでも」
良太「だっせー。そこはロマンチックにいきたいだろ」
浩介「急に指輪渡すとかは?」
良太「指輪か。悪くないなあ」
浩介「……俺さ、ジュエリーショップに勤めてるから相談乗るよ」
良太「ジュエリーショップに勤めてるの?」
浩介「……うん」
良太「それ早く言ってよ」
浩介「あれ言ってなかったっけ?」
良太「どこ勤めてるの?」
浩介「それは……」
良太「名刺頂戴」
浩介「……ごめん。名刺持ってない」
良太「持ってないの?」
浩介「ごめん。今日忘れてきた」
良太「名刺は社会人の基本だろ」
浩介「(苦笑い)……」
良太「今度行くよ。店どこにあるの?」
浩介「えっと……。異動することが決まってて店舗まだわかんないんだよね」
良太「そうなんだ。わかったら教えて」
浩介「……うん」

〇 外
  鈴木と電話をする浩介。
  麻雀をしてる鈴木。
鈴木「うまくいった?」
浩介「店行くって言われました」
鈴木「順調だね」
浩介「どうすればいいですか。店なんかないじゃないですか」
鈴木「自分で考えろバーカ」
  電話を切る鈴木。
浩介「……」

〇 公園(夜)
  公園の横を通る浩介。
  真理に声をかけられる。
真理「おじさーん」
浩介「お兄さん」
真理「どっちでもいいって言ったじゃん」
浩介「そうだっけ?」
真理「どう最近? 元気になった」
浩介「おかげさまで」
真理「この前の悩みは解消したんだ」
浩介「うん。でも」
真理「何?」
浩介「別の悩みが」
真理「おじさん悩み多いね」
浩介「社会人は悩みだらけなんだよ」
真理「何悩んでるの?」
浩介「別に」
真理「あたしがまた解決させてあげるよ」
浩介「この前のも君のおかげじゃないし」
真理「何何?」
浩介「人の話聞け」
真理「おじさんの話聞いてる」
浩介「そういえば君名前は?」
真理「名前か」
浩介「君って呼ぶのも変な感じするだろ」
真理「JK」
浩介「JK?そうじゃなくて」
真理「別にいいじゃん。名前なんて知らなくても」
浩介「距離感じるよ。仲良くなりたいじゃん。せっかくなら」
真理「友達の名前知ってても距離あるよ。人の距離に名前知ってるとかは関係ない」

浩介「……」
真理「……なんてね……」
浩介「……そういえば、友達に彼氏いるって嘘続いてるの?」
真理「続いてるよ」
浩介「よく信じてもらえるよね」
真理「あたし女優だから」
浩介「女優?」
真理「嘘つくなら徹底的に演じ切るのが大事なの。だから女優」
浩介「なるほど」
真理「そのためには設定もこだわるよ。どこに住んでる人で何が好きかとか何が嫌いとか。とにかくこだわって作りこむの。そしたら相手は信じてくれる」
浩介「とにかくこだわって作りこむか」
真理「そう!それが大事」
浩介「ありがとう」
  去っていく浩介。
真理「ちょっと!おじさんの話聞いてない」

〇 本屋
  本屋に入っていく浩介。

〇 ジュエリーショップ・外観(日替わり)
  スーツ姿の浩介。良太と店内に入る。

〇 同・店内
  良太に店内の指輪を説明する浩介。
  浩介の様子を不審な様子で見てる店員。
良太「おまえホントに専門家だったんだな」
浩介「当たり前だろ。何言ってんだよ」
良太「お前がジュエリーショップって」
浩介「おかしい?」
良太「こういうの興味なさそうだから」
  店員が二人に近づく。
ショップ店員「ご説明させていただきます」
良太「大丈夫です。浩介がいろいろ教えてくれるんで」
ショップ店員「???」
良太「あっちのも見ていい?」
浩介「もちろん」
  良太が離れたケースの方に向かう。
ショップ店員「あの……」
浩介「大丈夫です。実は僕の兄が宝石店を営んでいて僕も宝石には詳しいんですよ」
ショップ店員「左様でございましたか」
良太「浩介?」
浩介「今行く」
良太「これ良いね」
浩介「最新の技術使ってる指輪だね」
良太「やっぱ値段がなあ」
  値札には50万の文字。
浩介「半額にできるよ」
良太「マジ?」
浩介「うん」
良太「これにしようかな」
ショップ店員「そちらになさいますか」
良太「ちょっとケースからだしてもらっていいですか」
ショップ店員「かしこまりました」
  店員からケースからだそうとする。
良太「浩介がだしてくれないの?」
浩介「えっ?」
良太「今日は浩介が俺に指輪選んでくれるんでしょ」
ショップ店員「だすのは私どもではないと」
良太「それはわかってます」
ショップ店員「お客様に出してもらうわけには……」
良太「はい。だから浩介が」
ショップ店員「こちらの方がですか?」
良太「こちらの方って。まるで知らない人みたいな」
浩介「……」
ショップ店員「……」
良太「うん?」
  下を向く浩介。
ショップ店員「こちらの方は……」
良太「……」
  店長らしき人物(鈴木)が割り込む。
鈴木「これはこれは田上君のお友達ですね。話は伺ってます」
浩介「鈴木さん!」
鈴木「いつも浩介がお世話になってます。私こういうものです(名刺を渡す)」
  名刺には「カラージュエリー店長 鈴木雅也(偽名)」と書いてある。
良太「初めまして。浩介の知り合いの佐々木です」
鈴木「あちらにぜひおすすめしたい商品がありまして」
  良太を別のケースに案内する鈴木。
ショップ店員「あの……」
浩介「……さきほど言っていた兄です」
ショップ店員「でも鈴木さんって……」
浩介「義理の兄が宝石店を営んでいまして」
ショップ店員「はあ」
  鈴木の方にかけよる浩介。
浩介「鈴木さん」
鈴木「心配だからきてやったよ」
浩介「名刺いつ作ったんですか」
鈴木「社会人の基本だからな」
浩介「助かりました」
鈴木「早い所立ち去るぞ」
浩介「はい」

〇 同・外
  対面している鈴木と良太。
  少し離れて浩介。
鈴木「本日はご来店誠にありがとうございました」
良太「こちらこそいろいろありがとうございます」
鈴木「お気に入りの物が見つかったようで良かったです」
良太「値段についてなんですが……」
鈴木「田上君のお知り合いということなので半額でご提供させていただきます」
良太「ありがとうございます」
鈴木「手続きもありますので、追ってお日にちはご連絡いたします」
良太「ありがとうございます。じゃあ今日のところはこの辺で」
鈴木「社員一同を代表して感謝いたします」
  頭を下げる鈴木。
良太「じゃまた連絡頂戴」
浩介「うん」
  去っていく良太。

〇 ニコニコサービス・社内
  社内に戻る浩介と鈴木。
浩介「いや、ほんと助かりました。ありがとうございます」
鈴木「店長に見えただろ」
浩介「それで指輪はどう手配してくれるんですか?」
鈴木「はっ?」
浩介「安く手に入れるルートとかがあるんですよね?」
鈴木「そんなのねえよ」
浩介「えっ? じゃあどうやって用意すればいいんですか」
鈴木「いつも言ってるだろ」
浩介「もしかして……」
鈴木「自分で考えろバーカ」
浩介「やっぱり……」

〇 浩介の家(日替わり)
  宝石や指輪の本を読み漁る浩介。

〇 ニコニコサービス・社内(日替わり)
  安い指輪をネットで探す浩介。
  後ろから様子を見ている鈴木。

〇 100円ショップ(日替わり)
  指輪を加工する道具を買う浩介。

〇 浩介の家
  ピンセットで細かい作業をする浩介。
  途中でずれたり、うまくくっつけることができなくてなげく。
浩介「……」

〇 大新不動産目黒支店・店内
  今月の売上最下位の場所に良太の名前。
  上司に土下座をしてる良太。

〇 良太の家(夜)
  時計が23時を回ってる。
  口論している良太と芽衣。
芽衣「今帰ってきたばっかでしょ」
良太「着替え取りに来ただけだから」
芽衣「ちゃんと家で休んだ方が良いよ」
良太「休んだら契約取れるの?」
芽衣「それは」
良太「急いでるから」
芽衣「こっちは良太の事が心配で」
良太「大丈夫だから」
芽衣「そんな風に見えないよ」
良太「うるさいな。大丈夫って言ってんだから大丈夫なんだよ」
  家を出ていく良太。
芽衣「ちょっと。まだ話終わってない」
  テーブルに二人分のご飯が置いてある。

〇 浩介の家(早朝)
  日が差し込みだした部屋。
浩介「できたー」
  そのまま寝落ちする浩介。
  ×  ×  ×
  気が付くと朝の9時。
浩介「やべ」
  あわてて家を出る浩介。

〇 ニコニコサービス・社内
  指輪を鈴木に見せる浩介。
  真剣な表情で指輪を見つめる鈴木。
  浩介の方を見て、
鈴木「……」
浩介「……」
鈴木「……」
  浩介の頭を掴む鈴木。
鈴木「お前……」
浩介「(目をつぶる)」
鈴木「……やりゃできんじゃん。完璧だよ。もうパーペキ」
浩介「ありがとうございます」
鈴木「これいつ渡すの?」
浩介「明日渡します」
鈴木「よし。おまえもやっと一人前になったな。おれはうれしいよ」
  泣き出す鈴木。
浩介「別に泣かなくても」
鈴木「よし。なんでもおごってやる」
浩介「マジっすか」
鈴木「何が食べたい?」
浩介「じゃあ焼肉……」
鈴木「牛丼な。わかった」
浩介「いや、焼肉……」
鈴木「特盛おごってやる」
浩介「……ありがとうございます」

〇 公園(夜)
  ベンチでうつむいて座っている真理。
真理「……」
  浩介が公園を通る。
浩介「食いすぎた」
  真理に気づく浩介。
浩介「JK!」
  浩介に目を向ける真理。
真理「おじさん……」
  明らかに元気がない真理の様子に気づき横に座る浩介。
浩介「……」
真理「……」
浩介「JKらしくないな」
真理「えっ」
浩介「悩みとかなくていつも元気そうだから。俯いてるのはJKぽくない」
真理「あたしは悩んじゃいけないの?」
浩介「なんか安心した」
真理「えっ?」
浩介「中身嘘ぱちの子かと思ってたけどちゃんと女の子なんだな」
真理「私のことわかったように言わないで。おじさんのくせに」
浩介「おじさんが悩み聞いてあげよう」
真理「別にいいよ。名前も知らない他人同士なんだから」
浩介「人の距離に名前は関係ないんだろ」
真理「……」
浩介「……」
真理「……バレたんだ」
浩介「何が?」
真理「彼氏いないってこと」
浩介「女優も演技失敗するんだな」
真理「おじさん、あたしの彼氏のふりして」
浩介「俺が?」
真理「このままだと嘘ついてたことになる」
浩介「嘘ついたこと謝ろうとは思わないの?」
真理「なんで?」
浩介「これ以上嘘の上塗りしないほうがいいんじゃない?」
真理「……」
浩介「友達に嘘なんかつかないほうがいい」
真理「おじさんは友達に嘘ついたことないの?」
浩介「……」
真理「あるでしょ」
浩介「……ないよ」
真理「なんで嘘なんかついちゃったんだろ」
浩介「……」
真理「バカだなあたし」
浩介「……」
  黙り込む浩介。
  涙ぐむ真理。

〇 ニコニコサービス・社内(日替わり)
  指輪を見つめ手に取る浩介。
鈴木「ちゃんとやれよ」
浩介「はい!」

〇 外
  良太に電話をかける浩介。繋がらない。
浩介「???」

〇 良太の家・リビング
芽衣「そうですか……。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
  電話を切る芽衣。
  良太に電話をかける芽衣。繋がらない。
  インターホンが鳴る。
  玄関の方に走る芽衣。
  玄関には浩介の姿。
  芽衣、玄関のドアを勢い良く開ける。
芽衣「良太!」
浩介「えっ」
  芽衣、平然を装う。
芽衣「どちら様ですか」
浩介「私、良太の友人でして、今日はお届け物を」
芽衣「良太は……今いません」
浩介「何時ごろ帰ってきますか? 電話しても繋がらなくて」
芽衣「実は……」
浩介「えっ」

〇 外
  走り回って良太を探す浩介と真理。
  浩介の元に鈴木から電話が来る。
浩介「もしもし」
鈴木「早く売り上げ持ってこい」
浩介「それが、まだでして」
鈴木「はあ!なんで!!おまえ友達だからっておじけついたか?」
浩介「違います。良太が最近家にも帰ってきてないみたいで、みんなで必死に探して」
鈴木「言い訳はどうでもいいんだよ。早く売りつけて金をもってこい」
浩介「わかりました」
  電話を切る。
  翔が合流する。
翔「落ち込んでても良太は見つからないぞ」
浩介「良太が見つからねえと金が」
翔「金?」
浩介「いや、なんでもない」
  浩介のスマホに良太から電話が来る。
浩介「良太からだ」
翔「え」
浩介「もしもし」
良太「浩介か」
浩介「おまえ」
  浩介からスマホを奪い取る翔。
浩介「あっおい」
翔「今どこ?」
良太「その声は翔? 久しぶりだな」
翔「みんな心配してるんだよ」
良太「ちょうどよかった」
翔「うん?」
良太「今から河川敷に来い」
翔「え?」
良太「待ってるから(電話が切れる)」
翔「ちょっと」
浩介「何だって?」
翔「河川敷に来いって」
浩介「河川敷? どこの?」
翔「僕らが集まる河川敷って言ったらあそこしかないよ」
浩介「……」

〇 河川敷
  一人立っている良太。
  良太を見つけて走る浩介と翔。
良太「遅いよ」
浩介「やっと見つけた」
翔「探したんだよ」
良太「さあ始めるか」
  スコップを浩介と翔に渡す。
翔「何するの?」
良太「あれ掘り起こそうと思って」
浩介「あれ?」
翔「もしかして」
良太「この辺だと思うんだけど(掘り始める)」
翔「急だな」
浩介「ちょっと待って」
良太「(掘り続ける)」
浩介「おまえ今まで何してたんだよ」
良太「(掘り続ける)」
スコップを地面に置く浩介。
浩介「良太!」
  浩介が置いたスコップを持ち、
翔「掘ろ」
  翔も掘り始める。
  渋々掘り始める浩介。
   ×   ×   ×
  辺りが暗くなっている。
翔「久しぶりに身体動かすと疲れるな」
  座り込む浩介。
黙々と笑顔で掘り続ける良太。
翔「なんか良太楽しそうだね」
浩介「……」
  良太のスコップになにかが当たる音。
良太「あった」
浩介「えっ?」
翔「マジ?」
  タイムカプセルを手で持ち上げる良太。
良太「見つけたー」
  タイムカプセルを開ける良太。
翔「何入れたか全然覚えてない」
  タイムカプセルには当時の新聞や流行ってたカードゲームなどが入ってる。
翔「なつかしい」
浩介「これ無くしたと思ってたやつ」
  良太、紙を見つめている。
翔「何見てんの?(良太に近寄る)」
  良太が持っている紙には「金持ちになってきれいな奥さんと結婚してますか?」と書いてある。
浩介「なにこれ?」
良太「自分に一言書いただろ」
浩介「えっ?」
翔「これだよ」
  浩介に紙を渡す翔。
  紙に書いてある一言を読む浩介。
浩介「……」
  翔の紙には「子供が10人いて幸せな家庭を築いていますか?」と書いてある。
翔「10人か。10人は無理だな。でも幸せな家庭ではあるかな。浩介はなんて書いてあった?」
浩介「俺?」
翔「わかった。金持ちになれますようにだ」
浩介「……いや」
翔「じゃあ何?」
  自分の紙を見る浩介。
浩介「……」
良太「それ俺」
翔「うん?」
良太「ほら」
  紙を見せる。
翔「合ってるじゃん。ねえ」
浩介「……うん」
良太「合ってねえよ」
翔「バリバリ稼いでるだろ」
良太「最近売り上げ悪くて……」
翔「そういえば、最近仕事行ってないって」
良太「……ああ。うちの会社売り上げ悪いと見せしめのように説教するから行きづらくなって」
翔「売り上げ悪いなら頑張らないと」
良太「簡単に言うなよ。頑張ってもダメな事もあるんだよ」
翔「そうだけどさ」
良太「結婚も考えてたんだけどいまのままじゃ難しい。会社も辞めようと思ってる」
翔「……そうなんだ」
良太「ごめんな浩介」
浩介「えっ?」
良太「指輪の相談乗ってもらってたのに」
浩介「いや……」
良太「……」
  芽衣が現れる。
芽衣「相談してくれればよかったのに」
良太「芽衣……」
芽衣「会社辞めたいくらい追い詰められてたなんて知らなかった」
良太「芽衣が結婚を意識してるから、言えなかった」
芽衣「別に結婚なんていつでもいいよ。良太が不安なく結婚したいと思える時で」
良太「……」
芽衣「あたしのことはいいの」
良太「……」
芽衣「仕事も辛かったら辞めたっていい」
良太「……」
芽衣「あたしはずっと待ってるから」
良太「芽衣……」
芽衣「……」
良太「……」
翔「めっちゃいい子じゃん。なあ良太」
良太「芽衣ごめんな」
芽衣「あたしが急かしたから悪いんだよ」
良太「ううん」
芽衣「あたしはいつでも味方だよ」
良太「ありがとう」
翔「よかったな。(浩介に向かって)なあ」
  自分の紙を見ている浩介。
浩介「……」

〇 公園(夜)
  ベンチに座り紙を見ている浩介。
  後ろから声をかける真理。
真理「おじさん」
浩介「JKか…」
真理「おじさんいっつも元気ない」
浩介「JKだって元気なかったくせに」
真理「あたし決めたの。友達に嘘ついてたこと正直に謝ろうって」
浩介「えっ?」
真理「嘘ついてるのは良くないから」
浩介「なんで?」
真理「おじさんが言ってくれたから」
浩介「俺?」
真理「嘘の上塗りはしないほうがいい。友達に嘘なんかつかない方が良いって」
浩介「……」
真理「明日正直に話す」
浩介「明日?」
真理「周りの子はみんな彼氏いてあたしよりもみんな幸せそうだった」
浩介「……」
真理「あたしだって幸せな子だって思われたかった。だから嘘で自分を塗り固めて彼氏に愛されてる設定にしたの。でも」
浩介「でも?」
真理「彼氏がいるって嘘ついて相手を騙しても自分が本当に彼氏いるわけじゃない。そんなの全然幸せじゃない。だから謝ることに決めたんだ」
浩介「JKにとって幸せって何?」
真理「それは……」
浩介「でてこない?」
真理「急に言われたから」
浩介「おれもそう」
真理「えっ」
浩介「どうすれば幸せだなんかわからない。だからいまやってることを信じ続ける。それしかないんだよ」
真理「……」
浩介「嘘つき続けなきゃいけないことだってある。他人と同じくらい幸せになるためには自分騙して友達も騙す」
真理「おじさん?」
浩介「もうやるしか……後には引けない。金を……金のために……」
真理「おじさん?」
浩介「……」
真理「……」
浩介「……」
真理「……」
  浩介の持っている紙に「友達を大切にしていますか?」と書かれている。

〇 大新不動産目黒支店・店内(日替わり)
  辞表を提出して会社を出る良太。

〇 外
  浩介に電話をする良太。
良太「お願いがあるんだけど」
  何かを話す良太。
浩介「えっ」

〇 学校
  真理が友達(杉山久美)に頭を下げて謝っている。

〇 良太の家(日替わり)
  良太と芽衣が向かい合わせに座る。
良太、指輪(偽造品)を芽衣に渡す。
  泣き出す芽衣。

〇 ニコニコサービス・社内
  鈴木に金(25万円)を渡す浩介。
鈴木「おまえもやりゃできんじゃん」
浩介「……」
鈴木「これおまえの取り分」
  5万円を渡す。
鈴木「残りは俺の取り分な。いろいろ協力したからな。(形相が変わり)文句ある?」
浩介「……ないです」
鈴木「これで焼肉でも行ってこい」

〇 通学路
  楽しそうに話している真理と久美。

〇 焼肉店
  テーブルいっぱいに並んでいる肉。
  まったく手を付けてない様子の浩介。
浩介「……」
  肉を持ってくる店員
焼肉屋店員「追加のお肉です」
浩介「すいません」
焼肉屋店員「ご注文ですか」
浩介「お会計お願いします」
焼肉屋店員「……かしこまりました」

〇 公園(夜)
  ベンチで下を向いている浩介。
  真理と久美が通る。
真理「ちょっと待ってて」
  真理が浩介に近寄ってくる。
真理「おじさん」
  浩介、真理に気づき
浩介「おう」
真理「あたしちゃんと謝ったよ」
浩介「……そっか」
真理「許してくれた」
浩介「……良かったな」
真理「うん。おじさんは?」
浩介「えっ?」
真理「謝れた?」
久美「真理」
真理「今行く。おじさんじゃあまたね」
浩介「……」
久美「あの人誰?」
真理「他人」
久美「えっ?」
真理「名前も知らない他人」
久美「何それ」
  真理と久美が楽しそうに歩いていく。
  二人を目で追う浩介。

〇 良太の家・リビング(日替わり)
  引っ越し用の段ボールが所々ある。
  テーブルに料理が並べられている。
  テーブルを囲む良太、芽衣、浩介。
  芽衣の薬指には指輪がはめてある。
芽衣「これありがとうございます」
浩介「……いえ」
芽衣「大切にしますね」
浩介「……ありがとうございます」
良太「おかしくない? それって俺に言う言葉だろ」
芽衣「用意してくれたのは浩介さんでしょ」
  部屋を見渡す浩介。
浩介「引っ越すんだ?」
良太「収入ないからね。もっと家賃安いところじゃないと」
浩介「……そっか」
良太「マジで生活ギリギリ。高価なものとか全部売っちゃったし」
浩介「……そうなんだ」
良太「指輪ぐらいかな」
浩介「えっ?」
良太「高価なもので残ってるの」
浩介「……」
良太「でもきっとこの指輪が俺たちに幸せを運んでくれる気がするんだ」
浩介「……」
良太「ありがとな」
浩介「えっ?」
良太「浩介のおかげだよ」
浩介「何が?」
良太「おまえがいなかったら結婚を決意することできなかった」
芽衣「えー」
良太「指輪買う決心ついてなかったと思う」
浩介「……」
良太「やっぱ友達って大事だな」
  浩介に握手を求める良太。
良太「これからもよろしく」
浩介「……」
良太「??」
浩介「……」
  握手する浩介。
良太「何か恥ずかしいな」
浩介「……」
芽衣「ご飯食べよ。冷めちゃうよ」
良太「うん」
芽衣の薬指の指輪を見つめる浩介。
浩介「……」

〇 ニコニコサービス・外観(日替わり)
  自分に宛てた紙を見つめる浩介。
  社内に入っていく。

〇 パチンコ店・外観

〇 同・店内
  パチンコを打っている浩介。
  顔にはボコボコに殴られた跡がある。
  財布に入っている最後の千円札をパチンコ台に投入する浩介。

〇 良太の家・玄関外
  良太が郵便物を取りに来る。
  郵便物の袋を開けると手紙と指輪のケースが入っている。
良太「……」
  手紙を読む良太。
浩介(声)「この前渡した指輪、手違いでちがうやつ渡してた。これ本物だから。この本物を彼女に渡してあげて」
  ケースを開けるときれいな指輪が入っている。
良太「……」
  手紙の続きを読む良太。
浩介(声)「友達の幸せの手伝いができてよかったよ」
  後ろから芽衣。
芽衣「それ何?」
良太「……」
  あたりを見渡して浩介を探す良太。

〇 公園
  浩介が自動販売機で飲み物を買おうしてお札を出すが、それはお札ではなく自分に一言の紙。それを見てほくそ笑む。
  あきらめて歩き出す。
浩介「(傷口に手を当てながら)いってえなあの野郎。金金言いやがって。大事なのは金じゃねえだろ」
  彩菜をおんぶして歩いてる翔。
浩介「本当に大事なのは……」
  真理と久美が楽しそうに歩いている。

  終わり

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