ライナスの毛布 ドラマ

不倫相手との間で望まない妊娠をした椎名美加(28)。男娼生活でトラブルを起こした宮坂佑都(28)。偶然出会った二人は美加の家で寄り添い、傷付いた互いの心の内を交差させる。
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第一稿

「ライナスの毛布」


人 物

椎名美加(28)会社員
宮坂佑都(28)無職
桜井政信(40)美加の上司


○産婦人科クリニックさくら・外
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「ライナスの毛布」


人 物

椎名美加(28)会社員
宮坂佑都(28)無職
桜井政信(40)美加の上司


○産婦人科クリニックさくら・外

廊下に面した擦りガラスに『産婦人科クリニックさくら』の文字。

○同・診察室・中

机上のモニターを見る医師。隣で丸椅子に座る椎名美加(28)。医師が美加に顔を向ける。美加、医師を見つめる。

○公園

遊歩道沿い。等間隔に設置された木製ベンチに美加が一人で座っている。

美加の目の前をカップルが通り過ぎる。

女の鞄にはマタニティストラップ。

美加、ストラップを目で追う。

カップルが見えなくなり、視線を元に戻す美加。ダッフルコート姿で隣のベンチに座る宮坂佑都(28)に気付く。

美加「えっ、宮坂君?宮坂君だよね?」

宮坂、美加の声にぼんやり反応する。

美加「高校の時、同じクラスだった椎名美加だけど、忘れちゃった?」

宮坂「(間を空けて)あぁ、椎名か」

美加「思い出してくれた?宮坂君」

微笑む美加。硬い表情を崩さない宮坂。

美加「卒業以来だから10年振り、だよね?どうしてここに?元気にしてた?」

美加、宮坂の紫に腫れた頬に気付く。

美加「その顔どうしたの?大丈夫?」

宮坂、顔を隠すようにダッフルコートのフードを深く被る。

美加「病院行ったほうが良くない?ひどい傷」

宮坂「(小声で)大丈夫」

宮坂、その場を去ろうと立ち上がるが足元がフラつく。美加、それを見て、

美加「ちょっと待って」

○2階建アパート・外観(夕)

軽量鉄骨造りの2階建て。質素な外観。

○同・202号室・外(夕)

玄関扉の名札入れに『202』の文字。

○同・玄関・中(夕)

靴を脱ぐ美加。玄関に立つ宮坂。

美加「狭いし散らかってて恥ずかしいけど」

宮坂、玄関から室内を眺める。玄関横にはキッチンとユニットバス。正面はソファが置かれた居間。居間の隣には更に小さな洋室が見える。

美加「宮坂君。もし良かったらこれ」

美加、畳まれたスウェットを手渡す。

宮坂「これは」

美加「え?あぁ、弟がね、泊まった時に置いてったの。宮坂君さえ良ければ使って」

美加、指先でユニットバスを差す。

○同・ユニットバス・中(夕)

着替える宮坂。血の付いたセーター。血の付いた部分を隠して折り畳む。

洗面台の鏡越しに自分の顔を映す。

○同・キッチン(夜)

テーブルを挟んで座る美加と宮坂。

美加「宮坂君が私の部屋に居るなんて、高校時代の私が見たら、きっと飛び上がって喜ぶと思う」

懐かしむように話す美加。宮坂は愛想笑いで返す。

美加「でも宮坂君。卒業後、急にいなくなっちゃったけど、どこに行ってたの?」

宮坂「東京」

美加「そうなんだ。東京では何してたの?」

美加の問いかけに宮坂、顔が強張る。

○(フラッシュ)ホテル・客室・中(夜)

窓のない部屋。フットライトの薄暗い灯り。壁の大きな姿見に映る宮坂の背後に上半身裸で筋肉質の男が現れる。

男は宮坂を背後から抱きしめキスする。

 ×  ×  ×

ガラステーブルの上に数枚の1万円札。

宮坂、無造作に手に取り財布にしまう。

○(元の)キッチン(夜)

美加、心配そうに宮坂を見ている。

美加「大丈夫?傷痛む?やっぱり明日は病院行ったほうが良いんじゃない?」

宮坂「大丈夫。(間を空けて)ありがとう」

○同・居間(朝)

出勤の身支度を整えた美加。ソファで寝る宮坂に話しかける。

美加「仕事行ってくるね。宮坂君は部屋でゆっくりしてて。絶対、無理しないでね」

宮坂「ありがとう」

美加、出掛ける。

○オフィスビル・外観

大通り沿いに建つ10階建ての雑居ビル。

○同・豊金融フロア・外

ガラスの自動扉に「豊金融」の文字。

○同・フロア・中

受付に座る美加のスマホにメール着信。『今夜19時、いつもの店で。桜井』の文字。美加、思い詰めた表情。

○アパート・ユニットバス・中

宮坂、執拗に身体をゴシゴシと洗う。

○喫茶店・中(夜)

薄暗い店内。テーブルを挟み、桜井政信(40)と、美加が無言で座っている。桜井が珈琲を一口飲む。薬指には指輪。

美加の手元に珈琲カップ。表面にハート型のラテアート。口を付けていない。

桜井・美加「(同時に)あの」

美加「えっ?あっ、何?先に言って」

桜井「え?あぁ、その…二人の事だけど」

美加、桜井の目を見つめる。

桜井「俺達、一旦距離を置かないか?」

美加、視線を手元のカップに落とす。

桜井「美加も、いつまでもこんなおじさんと付き合ってる訳にもいかないだろ?」

美加、じっとカップを見つめる。

桜井「やっぱりさ、美加は同年代の」

美加「(遮るように)もういいよ」

美加、カップソーサのスプーンを取る。

美加「(力なく)もういいよ。分かったから」

美加、ハート型のラテアートをスプーンでかき回す。

○アパート・キッチン(夜)

食器を洗っている美加。手を止め、バタバタとユニットバスに駆け込む。

○同・居間(夜)

ジャージ姿の宮坂。ソファからユニットバスを見る。美加が嘔吐する音。美加、キッチンに戻って来る。

宮坂「大丈夫?調子悪そうだけど」

美加「うん、平気。何かに当たったのかも」

美加、宮坂に力なく笑顔を返す。

 ×  ×  ×

灯りの消えた部屋。

宮坂がソファで寝ている。

○(宮坂の夢)ホテル・客室・中(夜)

ベッド上に仰向けの宮坂。手錠でヘッドボードに固定された両手首。銀縁眼鏡をかけた細見の男が宮坂の目の前に顔を寄せ、頬を舐める。男が顔を離す。宮坂の頬を何度も殴る。宮坂の頬が腫れ、唇から血が流れ出す。男は嬉しそうに宮坂の頬を舐め回す。男は宮坂のTシャツを乱暴に破き、暴力を続ける。

 ×  ×  ×

ベッド上で放心状態の宮坂。傷だらけの身体。身支度を整え終えた細見の男が財布から万札を取り出し、宮坂に手渡す。男は宮坂の腫れた頬にキスする。部屋を出て行こうとする男。宮坂は我に返り、背後から男の頭に大きな灰皿を何度も叩き付ける。返り血が飛ぶ。

○(元の)居間(夜)

宮坂、目を覚ます。額に大粒の汗。

ユニットバスから嘔吐の音。

出てくる美加。居間の入口に立つ。

宮坂「インフルエンザとか?」

美加「ごめん宮坂君。起こしちゃったね」

暗い部屋。黙ったまま立っている美加。

美加「ねぇ宮坂君。そっちに行っても良い?」

美加、ソファで寝る宮坂の隣に座る。

宮坂「椎名。もしかして」

美加「そうみたい。今、7週目なんだって」

宮坂「お相手は?僕が居たらマズくない?」

立とうとする宮坂を美加が制する。

美加「相手なんていないの。私がバカなの」

宮坂、美加を見つめる。

美加、宮坂に上半身を持たれかける。

美加「ゴメンね宮坂君。今だけで良いから、お願い。私をギュってして」

戸惑う宮坂。苦しそうに言葉を発する。

宮坂「僕はさ…椎名が知らない僕は、本当は」

美加「(遮るように)知ってる。卒業後にね、綾乃から聞いたの。宮坂君がゲイってこと。じゃなきゃ、幾ら高校時代に好きだった人だからって、10年振りに再会した男性を、その日に泊めたりしないよ」

宮坂「(苦しそうに)それだけじゃないんだ。僕はさ…汚れてる」

美加、宮坂の身体を両腕で抱き締める。

美加「宮坂君は、私の知ってる宮坂君だよ」

宮坂、肩を震わせ嗚咽する。

美加「ギュってして、宮坂君」

宮坂、泣きながら美加を抱き締める。宮坂の腕の中、小さく嗚咽する美加。

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