永遠にいい塩梅 ドラマ

吉田(よした)雄二(26)は過去の後悔から、真実をズバズバ言う性格。ある日姉が結婚することになり。
橘ゆづは 55 0 0 04/01
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第一稿

人 物

吉田(よした)雄二(26)スポーツ用品販売員
野々山栄見(29)雄二の姉
樋口和嗣(23)栄見の婚約者
恒川尚子(56)吉田の勤め先のパート

〇スポーツ用 ...続きを読む
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人 物

吉田(よした)雄二(26)スポーツ用品販売員
野々山栄見(29)雄二の姉
樋口和嗣(23)栄見の婚約者
恒川尚子(56)吉田の勤め先のパート

〇スポーツ用品店『スポッチア』外観
   ショッピングモール内のスポッチア。
   入り口にはマネキンとスポーツウェアが並ぶ。

〇同・キャンプ用品売り場
   若夫婦に接客している吉田雄二(26)、ブルーシートを持っている。
吉田「でもぶっちゃけ下のイオンで買った方が安いです。そんなに質も変わらないですし」
尚子の声「よしだくーん」
   吉田、振り向くと向こうの自転車売り場にいる恒川尚子(56)。
   吉田、尚子に向かって、今接客中ですよ、という顔をし、若夫婦に向き直る。

〇同・自転車売り場
   スタスタと尚子のもとに向かう吉田。
   尚子、吉田に気付き、
尚子「よしだくん、これ堅くてさ、」
   サドルのレーバーを力ずくで押している。
吉田「よしたです」
   尚子と場所を替わる。
尚子「わかってる上であだ名として呼んでるの」
吉田「すごく本名ぽいあだ名やめてください。勘違いの元です」
   ガタっと音がしてサドルが上下するようになる。
   尚子、パチパチと雑な拍手をする。
尚子「さすがよしだくーん。頼りになるわ」
   吉田、額を腕で拭く。
吉田「よしたです」
尚子「よしだくんさ、また余計なこと言ってたでしょさっき」
   尚子、自転車にまたがりサドルの高さを確かめる。
吉田「でも僕嘘つきたくないんですよ」
尚子「黙って売っときゃいいのよ。単価の高いもの売って少しは出世しないときついんじゃないの。この業界給料安いんだし」
   言いながらサドルの高さを調節する尚子。
吉田「そうですねー」
   尚子、自転車にまたがるとちょうどいい高さ。
吉田「てかそれ」
   自転車をまじまじと見る吉田。
   ん?と尚子、吉田を見る。
吉田「恒川さんが乗るんすか」
   尚子、ニッと笑う。
尚子「社割で買うの。いいでしょ」
吉田「……そういうとこ、いいなって思います」
尚子「どういう意味かしら」
吉田「56でクロスバイク乗っちゃうかっこいいところ」
   尚子、真顔になる。
尚子「よしだくん。この世で一番敵に回したら怖い動物知ってる?」
吉田「何ですか急に」
尚子「主婦よ」
   肩をすくめる吉田。

〇ショッピングモール・女子トイレ(夜)
   鏡に映る自分をじっと見つめている野々山栄見(29)。腕時計、指輪、ピアス、ネックレスを一つ一つ確かめるように触って鏡に映す。

〇スポーツ用品店『スポッチア』・店頭
   閉店時間のアナウンスが鳴る中、入り口にポールを並べる吉田。
栄見の声「雄二」
   吉田、振り向くと栄見が立っている。
吉田「姉ちゃん?」
   栄見、はにかむように笑って、
栄見「この後いい?」
   吉田、きょろきょろと周囲を見渡す。
吉田「どしたの?急に」
   栄見、左薬指の婚約指輪を見せる。
   吉田、ああ、と納得した様子。

〇ファミリーレストラン・店内(夜)
   店員に案内される吉田と栄見。
   吉田、手で栄見に奥の席を譲る。
栄見「いっちょ前になったじゃん」
   奥の席に座る栄見。
吉田「苦労してるんでねー」
   吉田も座る。
栄見「父さんを選んだから?」
   吉田の顔が曇る。
栄見「離婚のとき、雄二もほんとはお母さんと暮らしたかったでしょ」
   吉田、いやいやと顔の前で手を振る。テーブルのメニューを抜き取り、栄見の見やすいように広げる。
吉田「今日はおめでたい話でしょ」
栄見「ごめん。マリッジブルーってやつかな」
   とメニューに目を落とす。
吉田「お相手は、どんな人?」
   栄見、ハンドバッグからスマホを取り出して、ホーム画面を雄二に見せる。
   ひょろっと背の高い樋口和嗣(23)と栄見が肩を寄せ合い絵馬を持っている写真。絵馬には「夫婦円満」と書いてある。
栄見「就職したら結婚しようって、前から言ってくれてて。今年社会人になったの」
   吉田、写真を見て頷きながら、
吉田「年下かあ。うん。誠実そう。お仕事は?」
栄見「普通のサラリーマンよ。私ミルクティーにする」
吉田「え、ご飯食べないの?」
栄見「食べてきちゃったから」
吉田「そうかあ。……式とかは?」
栄見「え?」
吉田「式。結婚式」
   栄見の声のトーンが下がる。
栄見「ああ。やんないかな」
吉田「母さんに気遣ってんだ」
栄見「ちがうよ。あの二人が顔を合わせる場になるってのがもう恐ろしくて」
吉田「父さんは喜ぶと思うけどなあ」
   栄見、黙りこむ。
吉田「俺、ハンバーグにしよ。すみませーん」

〇渋谷駅・改札(朝)
   足早に歩く人の波。
   両側から通れる改札で、樋口、立ち止まっている。
   向こう側から改札を抜けてくる人の波に割り込めずに、定期入れを持ったままいつまでも見送っている。
   樋口の後ろに並んでいた人たち、うんざりして他の改札に回る。

〇『スポッチア』・キャンプ用品売り場
   品出しをしている尚子の後ろを通る吉田。
吉田「休憩、行ってきます」
   尚子、首だけ振り向いて微笑む。
尚子「いってらっしゃーい」

〇ショッピングモール・フードコート
   家族連れや学生たちで混んでいて席はほとんど空いていない。
   3人用丸テーブル席に座り、ハンバーガーにかぶりつきながらスマホを覗いている吉田。
   テーブルにはまだ手を付けていないハンバーガー二つと、Lサイズのポテト。
   栄見と樋口、やってくる。
   栄見、吉田の向かいに座る。
栄見「休憩中お邪魔するね」
   吉田、驚いて栄見を見る。
栄見「じゃーん。連れてきちゃいました」
   隣に立つ樋口を見る吉田。
   樋口、ぺこりと頭を下げる。
吉田「どうも」
栄見「水取ってくるね」
   と呼び出しチャイムを置き席を立つ。
   樋口、腰掛け、
樋口「樋口和嗣です」
吉田「弟の雄二です」
   樋口、黙ってきょろきょろする。
樋口「……ハンバーガーお好きなんですか」
吉田「こういうのばっか食べて育ったから落ち着くんだよね」
樋口「そうなんですか。意外でした」
吉田「意外?」
樋口「あ、いえ。栄見さんはいつもブランド品をたくさん身につけているので、裕福な家庭で育ったんだとばっかり。その、ご両親のこともついこないだ知って」
吉田「ふうーん」
   両手に水を持って帰ってくる栄見。
栄見「はい」
   とテーブルに置くと呼び出しチャイムが鳴る。
栄見「タイミング悪う」
   チャイムを持って去る栄見。
吉田「樋口くん、姉さんの写真、あるでしょ」
樋口「あ、はい」
吉田「ちょっと見して」
   樋口、スマホを取り出し、栄見とのツーショットを吉田に見せる。
   吉田、栄見を拡大し、スライドして一つ一つアイテムを追っていく。
吉田「この時計、幼なじみの健くんから。小指の指輪は確か、元カレで看護師の慎也くん。ハンドバッグは何かのベンチャーのCEO増田くんからで、このネックレスは……」
   吉田、樋口の表情が凍り付いているのに気付いて声を小さくする。
吉田「知らせておいた方がいいかなと……」

<終>

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