道徳の授業 ミステリー

父親と久々に再会した娘が……という話。 中学生の頃に書きました。
藤田 36 0 0 02/27
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第一稿

人物
杉田由梨(17)(28)小学校教師
杉田和雄(50)(61)由梨の父
杉田文江(48)由梨の母
小澤俊之(30)由梨の同僚

男子1
男子2
女子1
女子 ...続きを読む
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人物
杉田由梨(17)(28)小学校教師
杉田和雄(50)(61)由梨の父
杉田文江(48)由梨の母
小澤俊之(30)由梨の同僚

男子1
男子2
女子1
女子2
女子3


◯(夢)杉田家・外観(夜)
   近くの電灯がちかちかしている。ボロアパートの一室。「杉田」の表札。

◯(夢)同・玄関内(夜)
   扉を開けて入ってくる杉田文江(48)。
文江「ただいま」
   奥から赤ら顔の杉田和雄(50)が出てくる。
杉田「遅い」
文江「ごめんなさい。なかなか仕事が」
   壁を思いきり叩く杉田。
杉田「どうせろくに稼げねえんだから会社なんてやめちまえ」
文江「そんな……私だって」
杉田「口答えすんな。能無しが!」
   と文江の頬を殴る。
文江「……」
杉田「何だその目は……!」
   と文江の首を絞める。杉田由梨(17)が奥から出てくる。
   由梨、杉田より背が低い。
由梨「お母さん!」
   と杉田を文江から離そうとする。
杉田「お前は黙ってろ!」
   と由梨を玄関の扉に突き飛ばす。
   杉田、文江を押しやり、玄関に転んでいる由梨の顔を踏みにじる。
文江「やめてください!」
   文江を突き放す杉田。由梨、抵抗しているが勝てない。
杉田「俺のことをバカにしやがって、いつもいつも……!」
   と由梨の手首を掴み引き寄せ、殴る。由梨、手探りで扉を開ける。開く扉。
由梨「!」
   扉の向こうは真っ暗闇。暗闇へ這い出る由梨。強く目を瞑る。

◯(夢)高校・屋上
   目を開ける由梨。目の前には顔がぼんやりとした男。
由梨「……?」
   男、由梨を抱きしめようとする。
由梨「痛っ……!」
   と男を軽く突き放す。
男「……どういうこと?」
由梨「わ、私……い、家で、暴力とかで、体に痣とかあって……でも、あなたのことは」
男「え、虐待?」
由梨「……」
   小さく頷く由梨。
男「うわマジかよー。それはないわ」
由梨「!」
   男の顔、杉田になっている。にやりとして由梨を殴ろうとする。 

◯杉田家・寝室(朝)
   ベッド上で目を覚ます由梨(28)。汗だく。のどかな雀の鳴き声が聞こえる。

◯第一小学校・4ー2教室内
   授業。児童たちは「私たちの道徳」とある教科書と、プリントを持っている。
   黒板の前に立つ由梨。黒板には色画用紙でできた狐と鼠と兎が貼ってある。
由梨「そして、狐ちゃんは鼠ちゃんとばかり遊ぶようになりました」
   と狐と鼠をまとめ、兎を離す。
由梨「狐ちゃんと鼠ちゃんは、兎ちゃんを無視し続けました。兎ちゃんは一人ぼっちになってし
 まいました」
男子1「兎は自分が悪いよ。狐にひどいこと言ったんだから」
   何人かの生徒が同調する。
由梨「確かに狐ちゃんは兎ちゃんにひどいことを言われたけど、でも兎ちゃんを仲間はずれにす
 る必要はあったのかな?」
女子1「狐はそこまでしなくていいと思う」
男子1「別にいいじゃん。やられたからやり返したんでしょ」
女子2「仲間はずれはかわいそうだよ」
女子3「でも何もしなかったら、また兎に悪口言われそう」
男子2「それは嫌だ」
   各動物の口元に吹き出しを書く由梨。
由梨「ここで考えてほしいのは、この三匹はお互い、何を相手に言うべきなのか」
男子2「兎死ね!」
   ちらほら笑いが起こる。
男子1「先生が狐だったら、兎のこと仲間はずれにする?」
   動きを止める由梨。
男子2「先生やりそうだなー」
   笑いが起こる。
由梨「……静かに! プリント書きなさい」
   書き始める児童たち。
   由梨、黒板に文字を書こうとして、チョークが折れる。

◯同・職員室(夕)
   外は大雨。由梨と小澤俊之(30)がそれぞれの机で作業している。
   PCを前に、児童の道徳のプリントを見ている由梨。
小澤「道徳の授業って大変ですよねえ。最近ひねくれた子供多いですし」
   曖昧に笑う由梨。
   プリント、感想欄に「兎は悪口を言ったから無視されて当然だと思う」「狐はやられたか
   らやり返した。全然いい」といった記述。
由梨「……(ため息)」
小澤「由梨さんって、仕事ない休みの日とか何してるんですか」
由梨「あ、私ですか。基本は……趣味です」
小澤「どんな趣味ですか?」
由梨「……ジムに行ったりとか」
小澤「ジム! おお、意外と由梨さんにしっくりくる」
由梨「(笑い)どうしても運動不足になってしまうので」
   由梨、PCを操作するが動かない。
由梨「あれ……小澤さん、ちょっとパソコンみてもらっていいですか。動かなくて」
小澤「いいですよ」
   と由梨の背後に来る。
由梨「!」
小澤「どれどれ……」
   とマウス上の由梨の手の上から手を置こうとする。
   小澤の手を弾く由梨。
由梨「あ……す、すみません、これは違って」
   小澤、苦笑。
由梨「私……怖くて」
小澤「俺が?」
由梨「いや、そうじゃなくて……」
   小澤、ため息。
小澤「ま、ほっとけばそのうち直りますよ」
   と離れていく。
由梨「あ、あの……」
   由梨、俯く。
小澤「……全然、俺は気にしませんから」
   雷が鳴る音。

◯杉田家・居間(夜)
   外は大雨。
   居間の壁は傷ついたり剥がれたりしている。隅に、文江の写真がある仏壇。
   由梨、仏壇の鈴を鳴らして合掌。
   ため息。
   扉を強く叩く音がする。
由梨「……こんな雨なのに」

◯同・玄関(夜)
   叩かれる扉。来る由梨。
由梨「はい!」
   と扉を開ける。ボロい服でびしょ濡れの杉田(61)が立っている。
由梨「どちらさまで……!」
   由梨、あとずさる。入ってくる杉田。
   杉田、白髪がはっきりしている。由梨より背が低い。
杉田「やっぱりまだこの家にいたか」
由梨「……」
杉田「貯金なくなっちまったんだよ」
由梨「……」
杉田「とりあえず今晩泊めてくれ。金の話はそれから」
   由梨、杉田を蹴り飛ばす。
   扉に叩きつけられる杉田。
   由梨、杉田の顔を足で踏みにじる。
杉田「由梨……!」
   杉田、抵抗するが勝てない。
   由梨、杉田の髪を掴み、頭を扉にぶつける。
由梨「何年ぶり? 十年くらいかな」
   杉田、手探りで扉を開けようとするが、できない。
   由梨、何度も杉田を蹴りながら、
由梨「どういう気持ちでここに帰ってきたの? ねえ」
   ぐったりした杉田。由梨、杉田から離れる。
杉田「……由梨」
   由梨、もう一度蹴ろうとする。
   杉田、力なく笑って、
杉田「お前はやっぱり、俺の娘だな」
由梨「!」
   由梨、蹴るのをためらう。
   インターホンの音が鳴る。
由梨「!」
小澤の声「由梨さーん。小澤ですー」
   杉田、扉の鍵を開けようとする。
   その手を払いのける由梨。
小澤の声「学校に忘れ物したでしょ?」
   杉田、自ら頭を扉にぶつける。大きな
   音がする。
小澤の声「由梨さん? どうした、大丈夫?」
   にやりとする杉田。
由梨「……!」
   雷が鳴る音がする。

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