揺れるダイヤ 恋愛

一緒に司法試験がんばってた元カノに会う話。 中学生のとき描きました。
藤田 6 0 0 02/24
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第一稿

人物表
矢田隼人(29)弁護士志望
戸塚玲美(29)詐欺師
黒崎(40)詐欺師

◯駅前(夜)
   賑やか。客引きが数人。コンパクト六法を見て歩く矢田隼人(29)。
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人物表
矢田隼人(29)弁護士志望
戸塚玲美(29)詐欺師
黒崎(40)詐欺師

◯駅前(夜)
   賑やか。客引きが数人。コンパクト六法を見て歩く矢田隼人(29)。
玲美の声「お兄さんお兄さん」
   矢田の肩を叩く手。矢田、無視。
玲美の声「ちょっと。お話しない?」
   戸塚玲美(29)、矢田の隣に並ぶ。玲美、茶髪、露出度の高い服装。
玲美「ねえねえ、もうぅー」
矢田「(玲美を見て)!」
玲美「! ……あ、すみません。失礼しま」
   矢田、玲美の腕を掴む。
矢田「何してんだよこんなところで」
玲美「どちら様? 人違いじゃないですか」
矢田「玲美!」
玲美「……」
   玲美、ふっと笑う。
玲美「隼人は変わってないみたいねえ」
   と六法を取り上げる。
玲美「まさかあれからずっと受験し続けて落ち続けてるわけじゃないよね?」
矢田「……」
玲美「(笑)まあいいや。ねえ、家近い? 私泊まってっていいかなあ。まだ一人暮らしでし
 ょ?」
   と矢田の腕に腕を絡ませる。
矢田「……勝手にしろ」
   矢田、六法を取り上げ、腕を振り払う。
玲美「あ、ひどーい。昔は手繋ぐだけですぐ興奮してたくせに」
   矢田、歩き出す。玲美、笑って続く。

◯矢田のアパート・玄関内(夜)
   矢田、入ってくる。段ボールがある。靴箱上には矢田と玲美が寄り添う写真。
   写真中の玲美、黒髪で清楚な感じ。
矢田「……」
   矢田、写真立てを伏せる。玲美、来る。
玲美「お邪魔しまーす」
   矢田、部屋へ。玲美、ダンボールを覗く。多くの野菜。
   写真立てを立てる。
玲美「……(小声)未練たらたらじゃねーか」

◯同・部屋(夜)
   家具等は最低限のもののみ。勉強机は法律の参考書などで散らかっている。
   ケースに入った弁護士バッジと矢田の父の写真が置いてある。
   机に座る矢田。来る玲美。
玲美「うわー、つまんない部屋」
矢田「……邪魔だけはするなよ」
   と勉強し始める。
玲美「はは、元カノが部屋に来ていつも通り勉強できる男がどこにいんのよ」
   矢田のシャー芯が折れる。
玲美「ほーら動揺してる動揺してる」
   とベッドに大の字に寝転ぶ。
玲美「ねー隼人クン、まだ親の脛齧ってるの?」
隼人「……合格すれば借りは返す」
玲美「それ受験一年目から言ってたんじゃないのー?」
   矢田、シャーペンを放る。
矢田「……お前、司法試験は」
玲美「三回落ちてやめましたー」
矢田「……諦めたのかよ」
玲美「あのさー隼人。あの写真の中のまま、私の時が止まってるわけじゃないんだよ」
   矢田、拳を握りしめる。
玲美「ね、もういいじゃん。楽に生きよう。勉強してわざわざ自分を追い詰めないでさ」
矢田「余計なお世話だ」
玲美「素直になりなよー。感動の再会して、その女が自分のベッドにいて股広げてるって、もう
 男としてやること決まってんでしょ。試験勉強じゃないでしょ絶対」
矢田「……バカにすんな」
玲美「……」
   玲美、起き上がる。
玲美「……私、今宝石作ってるの。さっきの客引きもそれ。私が作ったの、見てみない?」
矢田「……」
玲美「いや、見てみない? ってか見てほしい。……見てほしくなった今。隼人に」
   とスマホを出す。
玲美「連絡先」
矢田「変わってない」
玲美「私のこと迷惑メールにしてない?」
矢田「……してない」
玲美「未練がましいねえ」
矢田「(舌打ち)」
玲美「……まあ私も残してるけど」
矢田「!」
玲美「じゃあまた今度連絡するね」
矢田「……なあ。その宝石って本当にお前が作ったんだよな」
玲美「!」
矢田「で適切な値段で売ってるんだよな」
玲美「……当たり前じゃん」
矢田「宝石売るのにそんな格好すんのか」
   玲美、立ち上がる。
玲美「……やっぱり泊まるのやーめた。適当に男見つけて寝よーっと」
矢田「……好きにしろ」
玲美「そういや隼人、下手くそだったし」
   と出ていく。矢田、勉強机に向き直る。書き始め、シャー芯がまた折れる。

◯同・玄関内(夜)
   ヒールを履く玲美、写真立てを見る。
玲美「……何なんだろうね、私」
   写真の中の玲美を指で弾く。

◯スマホの画面
   玲美から矢田へのメール。
   「山手線神田駅北口ファミマの隣の隣の喫茶店で一度落ち合う」

◯喫茶店「セニョール」・外
   スマホをしまい、扉の前に立つ矢田。

◯同・中
   他客はみな男性。二人席に座る玲美。コーヒーが二人分置いてある。
   矢田、入ってきて玲美の前に座る。
玲美「!」
矢田「文面素っ気ないのは相変わらずだな」
   玲美、やや落ち着かずコーヒーを飲む。
玲美「……来ると思わなかった」
矢田「俺も行くとは思わなかった」
   黒崎(40)が寄ってくる。
黒崎「どうもー、黒崎と申します。今日は宝石お買い上げの件でお越しいただき、誠にありがと
 うございます」
矢田「……お買い上げ」
黒崎「(にや)さーて、買うまで帰らせねえぞ」
   とケースを出す。中は綺麗な宝石。
黒崎「可愛い可愛い戸塚さんが丹精込めて作った傑作ですよー。値段は十万円からローン組みが
 可能な二百万円まで」
玲美「……」
   矢田、玲美を睨んでいる。
黒崎「戸塚さん、オススメはどれでしたっけ」
玲美「……」
   玲美、ダイヤモンドの指輪を指す。
黒崎「ああ、そうそうこの綺麗なダイヤ」
   矢田、弁護士バッジを出してつける。
黒崎「!」
矢田「さて。どれにしようかな」
黒崎「……(舌打ち)何やってんだよお前」
   と玲美の髪を掴む。
黒崎「ったく使えねえなあ。五人目で弁護士引くとかクズだろ」
玲美「……ごめんなさい」
矢田「じゃあそのクズ、こっちに渡してよ」
   とポケットからスマホを出し、録音ボタンを止める。
玲美「!」
矢田「買うまで帰らせないはアウトでしょ」
   黒崎、玲美を乱暴に床に倒す。
玲美「ごめんなさいごめんなさい」
矢田「この証拠と、交換」
黒崎「……」
   矢田、玲美と目が合う。
玲美「……」
矢田「いい提案だと思」
玲美「(遮る)昨日この人に、無理やり連れていかれました」
矢田「!」
   玲美、矢田を指す。黒崎、にやり。
玲美「家に連れてかれて、暴力されて服脱がされて、無理やりやらされました」
矢田「何で……!」
黒崎「だってよー? 正義の味方気取りさん」
   玲美、男性客らに目配せ。
矢田「おい! せっかく助けてやろうと」
   客の男たちが矢田を掴む。
矢田「離せ! お前ら……!」
黒崎「へえ、用意いいじゃん」
矢田「玲美何でだよ! 昔のお前は」
玲美「(遮る)宝石買いましょうね」
矢田「!」
   玲美、椅子に座り直す。
玲美「……こっちはこうでもしないとやってけないんだよ。いつまでも親に甘えてるあんたとは
 違う」
   男、矢田からスマホを奪って踏み割る。
矢田「お前もどこかで頑張ってるって……俺はずっとそう思って」
   男、矢田を殴り倒す。
玲美「理想高すぎなんだよ、隼人は。……昔から」
   男たちに蹴られ殴られ続ける矢田。
玲美「……」
矢田「玲、美…!」
玲美「……(小声)それくらいでいいよ」
   男たち、やめない。
玲美「……ねえ、もうやめ」
黒崎「(遮る)いいねえ、もっとやれ!」
玲美「!」
   黒崎、笑って玲美の肩を抱く。

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