たまには共感 日常

嫁姑が一致できるのはうちの子が一番よねってとこくらいかも。
橘ゆづは 3 0 0 12/07
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第一稿

人 物

塩(えん)和歌子(42)主婦
中村啓子(65)和歌子の姑
塩奏太(10)和歌子の息子
塩健介(40)和歌子の夫
西田夕貴(27)健介の同僚
河野直樹(10) ...続きを読む
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人 物

塩(えん)和歌子(42)主婦
中村啓子(65)和歌子の姑
塩奏太(10)和歌子の息子
塩健介(40)和歌子の夫
西田夕貴(27)健介の同僚
河野直樹(10)奏太のクラスメート

〇塩家・ダイニング(夜)
   色とりどりの料理が並んだ食卓を囲んでいる塩和歌子(42)、塩健介(40)、和歌子の向かいに塩奏太(10)、健介の向かいに中村啓子(65)。
   黙々と食べている和歌子。
   啓子、焼き魚の骨を綺麗に箸で除いている。
啓子「だいたい珍しいからって変えちゃうなんてねー。私は良いけど、お父さんが生きてたらなんて言ったか」
   奏太、手を横向きに茶碗を持つ。
和歌子「奏太。お茶碗の持ち方」
健介「かっこいいじゃないか、塩って書いてエンだぞ。な、奏太?」
奏太「え?あ、うん、いいと思う」
和歌子「親指が上」
   奏太、茶碗を持ち直す。
啓子「中村だって立派な苗字じゃない」
和歌子「すみません私が女家系だったもんで健介さんに頼んだんです」
健介「もう10年も経つのによしなよ」
   健介、グビッと缶ビールを飲む。
啓子「そうね、でもあんまり珍しいとほら、奏太も学校でいじめにあったりするかもしれないじゃない?最近はあたしたちの時代と違ってネットで何とかとか」
   和歌子、箸を宙でカチカチと鳴らす。
和歌子「それを言ったら……。奏太は元気に学校に行ってますし」
健介「大丈夫だよ、そのために空手やらせてるんだからな、奏太。空手休むんじゃないぞ」
奏太「はぁい」
   口の中いっぱいで返事する奏太。
和歌子「そういえば、来月学芸会があるのよね」
健介「そうだ、母さんも行ったらどうだ」
啓子「あら、そうなの?」
健介「何やるんだっけ?」
奏太「別に見に来なくてもいいよ。無理して」
健介「何だよつれないなあ。仕事休めるかもしれないじゃん」
啓子「おばあちゃんは必ず観に行くわよ。和歌子さんも」
和歌子「3人で行けると良いですね。ごんぎつねやるそうよ」
啓子「ごんぎつね!」
   健介、前のめりで、
健介「何役?キツネ?」
奏太「違うよ撃たれるの嫌じゃん」
啓子「じゃあ撃つ方かしら?あの男の兵……何だったかな」
   奏太、にやりと笑う。
奏太「誰もやりたがらないから僕がやったんだ」
啓子「優しい子ねえ。おばあちゃんによく似て」
   啓子、ふふっと笑う。
   和歌子と健介、首を傾げる。
〇緑台小学校・体育館
   舞台上に、黄色い服を着たキツネ役の生徒と、兵十役の生徒、動き回っている。
   各々の衣装姿で舞台の下に並んで腰かけ、練習を見ている生徒たちの中に全身真っ黒の奏太、こじんまりと座っている。

〇塩家・ガレージ
   真っ赤な5人乗りの自家用車が停まっている。
   慌てた様子で車に乗り込む和歌子。
   後部座席に荷物を突っ込む。
   遅れて啓子、杖をつき歩いてきて、自動で開いたスライドドアから車に乗る。
   運転席の和歌子、エンジンをかけ準備をしながら、
和歌子「遅れちゃう。シートベルトお願いしますね」
   後部座席の啓子、めんどくさそうに、
啓子「いいのよすぐそこだから。後ろだし」
和歌子「……良くないです」
啓子「そんなことよりはやくしないと、ね?」
   和歌子、レーバーを下げようとしない。
啓子「わかったわよ、もう」
   啓子、シートベルトを着ける。
   和歌子、車を発進させる。
啓子「きついのよねえこれ」
   と不満そう。
   和歌子、バックミラー越しに啓子を見て苦い顔。

〇緑台小学校・体育館・客席
   カメラを首にかけた保護者たちで賑わっている。
   舞台は赤い幕が下りている。
   和歌子と啓子、列をかき分け、後ろの方のパイプ椅子に並んで座る。
和歌子「しまった……」
啓子「すごい人ねえ。去年こんなにいたかしら?」
   和歌子の目の前に、背の高い男性が座っていて前が見えない。
   和歌子、カバンからカメラを出し、右に傾いたり、左に傾いたりを繰り返している。
啓子「何揺れてんのよ。あ」
   察したように前の男性を見る。
   和歌子、苦笑い。

〇同・舞台袖
   狭い舞台裏に密集している生徒たち。
   真っ黒な衣装を着て、黒い丸のお面をおでこにあげ、屈伸をしている奏太。
   ブザーが鳴る。
   奏太、床に座り込み、ソワソワする。
   手に指で人と書いて飲み込む。

〇同・客席
   拍手する観客たち。
   啓子、人一倍大きく拍手している。
   和歌子、啓子の拍手に驚きながらも、ニコニコしている。

〇菊池建設・事務所
   スーツを着た健介、パソコンに向かっている。
健介「よし」
   とパソコンを閉じる。
   隣の西田夕貴(27)、健介を見て、
西田「あ、塩さん今日早上がりでしたよね?時間大丈夫です?」
   健介、荷物をまとめながら、
健介「大丈夫じゃないよー全然上がれなくてさ。この時間だともう最後のほう見れるかどうかってとこ。結構いい役やるみたいなのに」
西田「お疲れ様です。お子さんの学芸会でしたっけ?ダッシュして観に行ってあげてくださいね。僕の父は観に来たことなかったんで」
健介「ありがとう。じゃ、お先に」
   イスをしまいカバンを持つ健介。
   電話が鳴り、西田がとる。
   健介、ドアに向かう。
西田「お電話ありがとうございます。菊池建設株式会社でございます。あ、お疲れ様です。塩ですか?少々お待ちください」
   西田、保留ボタンを押して立ち上がる。
西田「塩さん!」
   健介、振り返る。
   西田、申し訳なさそうな顔して、
西田「社長からです。どうします?」
   健介、困った顔。

〇緑台小学校・体育館・客席
   和歌子、座ったまま左右に揺れている。
   啓子、不満げに、
啓子「ぜんぜん出てこないわねえ。あの男の人の役じゃなかったかしら」
和歌子「ぜんぜん見えないですけど、出てこないなんておかしいですねえ」
啓子「健介も来ないし」
和歌子「もうすぐ終わっちゃいそう」

〇同・舞台裏
   奏太、こじんまりと座り、手に指で人と書いて飲み込む。
   河野直樹(10),奏太に近づき、
河野「(小声で)おい!奏太!」
   奏太、ビクッとして河野を見る。
河野「何そんな緊張してんだよ。お前セリフないじゃんかよ」
   奏太、さらに縮こまる。
奏太「だって……」

〇同・客席
   啓子、ハッとして
啓子「あ!あれ!奏太じゃない?」
   和歌子、背伸びして覗き込む。
   銃声の音。

〇同・舞台上
   真っ黒な奏太、キツネ役にぶつかって一緒に倒れる。

〇同・出口
   和歌子と啓子、ケタケタと笑いながら出てくる。
和歌子「確かに、撃つ方だけども!まさか」
啓子「銃の玉の役だなんて!」
   走ってくる健介に気が付く和歌子。
和歌子「遅いよ!」
健介「あー、間に合わなかったか」
啓子「健介、いいもの見逃したわね」
   啓子と和歌子、しきりに頷く。
   健介、ん?と2人を見ている。
和歌子「世界で一番かわいい銃弾」

<終>

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