ペットボトルジェラシー ドラマ

透明で綺麗で便利で、でも使い捨てのペットボトルみたいに女は扱われているのだとしたら、若い娘に母親は嫉妬する。
橘ゆづは 28 0 0 12/01
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第一稿

人 物

平野みどり(13)中学2年生
平野眞実(42)みどりの母
平野浩司(48)みどりの父
宮本順一(17)高校2年生
男子高校生A(17)
女子中学生A(14) ...続きを読む
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人 物

平野みどり(13)中学2年生
平野眞実(42)みどりの母
平野浩司(48)みどりの父
宮本順一(17)高校2年生
男子高校生A(17)
女子中学生A(14)

〇平野家・浴室(夜)
湯船につかっている平野みどり(13)。
蓋の閉じた空のペットボトルを湯船に沈める。
手を離すと浮いてきて、それをまたすぐに沈めるのを繰り返している。

〇レンタルビデオ店『レンタビ』・店内(夜)
   学ランにマフラーを巻いた宮本順一(17)、海外刑事ドラマのコーナーに立ち、かごの中に次々とDVDを入れていく。
   鼻歌を歌っている宮本。
   成人コーナーの暖簾から顔を出す男子高校生A(17)、手招きする。
男子高校生A「(小声で)宮本!」
   宮本、振り返り、にやりと笑う。
宮本「(小声で)制服着て入んなよばか」

〇平野家・リビング(夜)
   風呂上がりで髪が湿っているみどり、テーブルに絵の具を広げ、スケッチに色を塗っている。
   お風呂から上がった眞実、バスタオルを肩に入ってくる。
眞実「みどり、何してるの散らかして」
みどり「美術の時間に終わらなくて。先生が家で完成させてきてって」
眞実「ぐちゃぐちゃじゃない。後でお母さんが塗りなおしてあげるから」
みどり「でも……」
眞実「いいからいつまでなの?」
みどり「……来週の火曜日」
眞実「あんたはもう寝なさい。片付けといてね」
   みどり、しばらく絵を見つめるが、絵の具を片付け始める。

〇平野家・キッチン(夜)
   ドアを開ける音。
   眞実、冷蔵庫からおかずを出し、電子レンジにかける。
浩司の声「ただいまー」
   平野浩司(48)、キッチンの方に来る。
眞実「おかえり、ご飯いまあっため」
浩司「ごめん、眞実。食べてきちゃった。明日に回してもらえる?」
眞実「……そう」
浩司「今日水筒持ってくの忘れちゃってさ」
眞実「あ、ごめん入れ忘れ」
浩司「いや、ペットボトル買ったから大丈夫」
   浩司、カバンから空のペットボトルと弁当箱を出し、眞実に渡す。
浩司「風呂、入ってくるね」
眞実「……うん、お疲れ様」
   浩司、キッチンから出ていく。
   眞実、弁当箱をばらし、流しに置く。
   ペットボトルのふたを開け、蛇口に手をかけると、飲み口に赤い口紅がついている。
   電子レンジが鳴る。
   眞実、持っているペットボトルを握りつぶす。
   電子レンジが鳴り続けている。

〇平野家・リビング
   浩司、テレビで刑事ドラマを見ている。
   眞実、隣のキッチンで料理をしている。
   カバンを背負って階段を下りてくるみどり。
   浩司、みどりに気付く。
浩司「なんだ、どっか行くのか」
みどり「塾、行ってきます」
浩司「休みの日も勉強してるのか、偉いなあみどりは」
   浩司、リモコンでドラマを一時停止する。
眞実「みどりは人一倍勉強しないと良い大学行けないから当然よ」
浩司「それにしてもすごいよ。今度なんか買ってあげよう。何がいい?」
   みどり、目を輝かせて、
みどり「かわいいコートが欲しい!」
   眞実、顔をしかめる。
   みどり、眞実を見てハッとする。
   浩司、ニコニコしている。
みどり「やっぱいらない。行ってきます」
   みどり、足早に出ていく。

〇デパート・婦人服売り場
   マネキンが並ぶ店内を歩く浩司。
   ふと、淡いピンクのAラインのコートを着たマネキンの前で足を止める。
   店員が気付き、浩司に寄ってくる。

〇相模中学校・女子トイレ
   少し薄暗い個室の並ぶトイレに短い列ができていて、みどりと女子中学生A(14)がその中に並んでいる。
みどり「アプリで?」
女子中学生A「同世代よりぜんぜんいいよ。おごってもらえるし、どこでも連れてってくれるし、包容力あるし」
みどり「でもそれって危なくない?」
女子中学生A「ないない。みんなやってるよ。おじさん相手じゃなくても、マッチングアプリとかもさ、リアルで合コンするより効率的じゃん?」
みどり「そうかなあ。知らない男の人に会うなんてちょっと怖いかも」
女子中学生A「もったいない。女は若さが命なのに」
   2人とも、寒くて震えている。
   みどり、腑に落ちない表情。

〇平野家・外(朝)
   空になった駐車場の前に燃えるゴミが並んでいる。
   リュックを背負ったみどり、小走りでその前を通り過ぎ、すぐに立ち止まって振り返る。
   まじまじとゴミ袋を見ると、まだきれいな、淡いピンクのコートが丸められて入っている。
   みどり、慌ててその袋を持ち、玄関へ走る。

〇平野家・キッチン(朝)
   ゴム手袋をし、食器を洗っている眞実。
みどりの声「おかあさん!これ!」
   みどり、息を切らしてキッチンに入ってきて、ゴミ袋を掲げる。
   眞実、手を動かしたままみどりを一瞥して、
眞実「ああ」
   みどり、少しうろたえる。
みどり「間違えて入っちゃってるよ……?」
眞実「あんたにはそういうの似合わないから、着れないようにしてあげたの」
   淡々と食器を積んでいく眞実。
みどり「え……?」
眞実「だから、あなたのために捨ててあげたの。服なら私が選んで買ったのがあるでしょ」
   放心するみどり。
みどり「わたしのため?なにそれ?お父さんがご褒美にくれたんだよ?お父さんの気持ちはどうなるの?」
眞実「ちょっとプレゼントされたからって調子乗んじゃないわよ。あんたなんてかわいい服着たってモテやしないわ。どうせ彼氏もいないんでしょ」
みどり「……わたしだってそれなりに。そのくらいいるよ!」
   みどり、袋を持ったまま走って出ていく。

〇平野家・外(朝)
   出てきたみどり、バタンと扉を閉め、一息つくと袋を破る。
   コートを取り出し、抱きしめる。
   袋を乱雑に地面に落とすと、リュックに手を入れ、スマホを取り出す。

〇横浜美容外科クリニック・外観
   新築ビルの5階に、『横浜美容外科クリニック』と看板が貼ってある。
   眞実、ビルに入っていく。

〇レンタルビデオ店『レンタビ』・入り口(夜)
   自販機とガチャガチャが並んでいる。
   人が出入りする中、制服姿のみどりが自販機の横でスマホを見て立っている。画面に眞実からの着信。
   宮本、首に巻いたマフラーを乱しながら走ってきて、みどりの前で立ち止まる。
宮本「みどりちゃん?」
   みどり、スマホを隠し、顔を上げる。
   宮本、スマホの画面をみどりに見せる。
   みどり、あ、と頷き、
みどり「宮本さんですか」
宮本「ごめん、授業が長引いて。外で待っててくれたの?寒いでしょ」
みどり「今来たばかりなので、大丈夫です」
   宮本、横の自販機を指し、
宮本「あったかいもの、おごるよ。何がいい?」
   みどり、首を振る。
みどり「そんな……」
宮本「いやいや、女の子待たせるなんて男として失格だから」
   宮本、ポケットから財布を取り出し、みどりに微笑みかける。
宮本「ココア?あったかレモン?」
   みどり、自販機を覗き込む。
みどり「じゃあ……、あったかレモン」
   宮本、小銭を入れ300ミリリットルのあったかレモンを2本買う。
   落ちてきた片方をみどりに渡して、
宮本「下の名前で呼んでよ」

<終>

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