ヘイ、ブラザー! 日常

夏休み。兄弟の若井大志(だいし)(11)と若井栄志(14)は、近所の商店街で開かれた夏祭りにそれぞれ友達を連れて出かける。
masao 33 0 0 11/17
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第一稿

人物
若井大志(11) 小学生
若井栄志(14) 大志の兄
リク(11) 大志の同級生
マル(11) 大志の同級生
若井美恵子(45)大志と栄志の母
若井雄三(48)大 ...続きを読む
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人物
若井大志(11) 小学生
若井栄志(14) 大志の兄
リク(11) 大志の同級生
マル(11) 大志の同級生
若井美恵子(45)大志と栄志の母
若井雄三(48)大志と栄志の父
栄志の男子同級生A
栄志の男子同級生B
栄志の女子同級生A


〇商店街(夕)
   多くの露店、屋台が立ち並び、浴衣姿 
   の人たちで賑わっている。

〇若井家・外観(夕)
   2階建ての一軒家。
   太鼓や笛の音が鳴っている。

〇同・居間(夕)
   若井大志(11)の手のひらに5百円玉。
   大志と若井美恵子(45)が話している。
大志「おいおい、今どき5百円じゃなんも買えねーよ」
美恵子「帰りにお父さんとお母さんのりんご飴も買ってきて」
大志「無理に決まってんじゃん!」
美恵子「お兄ちゃんは?」

〇同・洗面所(夕)
   若井栄志(14)が鏡の前で髪を整えている。
   大志、入ってきて5百円を見せる。
大志「見てよこれ、俺のライフポイント」
栄志「……んー」
   鏡越しに話す大志と栄志。
大志「……兄ちゃん、誰と行くの?」
栄志「クラスの奴ら……お前は?」
大志「リクとマル」
栄志「あ、そう……よし!じゃあ俺先行くわ」
   洗面所を出る栄志。
大志「……」
   玄関が開く音。
リクとマルの声「ダイ君いますかー⁉」
美恵子の声「ダーイ!リク君とマル君―!」
大志「……はーい!」

〇商店街(夜)
   行き交う人々。

〇商店街・道・一(夜)
   大志、リク(11)、マル(11)が道の脇で座っている。
   焼きそばを必死で食べるマル。
リク「おい、知ってるか?浴衣を着た女はパンツ穿いてねぇんだぜ?」
マル「マジで⁉」
   リクとマル、顔を地面にこすりつけて覗こうとする。
大志「……あ」
   栄志と栄志の同級生男女5人が大志の前を通る。
   が、栄志だけ会話に入れていない。
大志「……」

〇商店街・チョコバナナの屋台・前(夜)
   『1個5百円』の看板。
   大志、リク、マルがチョコバナナを見つめている。
マル「……チョコバナナ」
リク「焼きそば食ったから金ねぇだろ」
大志「おじさん、1個くだ……」
   栄志の同級生5人が走ってくる。
男子同級生A「作戦成功!」
男子同級生B「金だけ払わせるってやつね!」
女子同級生A「あいつ、マジでウチらと遊べると思ったのかな」
   笑い合う栄志の同級生5人。
大志「……」
   走り出す大志。
リク「おい、ダイ!」

〇商店街・道・二(夜)
   人々をかき分けて走る大志。
   大志、何かを見つけて立ち止まる。
   遠くの方で、両手にりんご飴6本持った栄志が辺りを見渡している。
大志「……」
   大志、携帯を出し、操作する。
   振り返り、また走り出す大志。

〇商店街・チョコバナナの屋台・前(夜)
   リクとマルが立っている。
   走ってくる大志。
リク「ダイお前どこ……」
大志「後で公園集合!」
   そのまま走り去る大志。
リク「ちょおい!」

〇月(夜)

〇公園(夜)
   微かに聞こえる太鼓や笛の音。
   カップルがまばらに座っている。
   入口の階段を栄志が上ってくる。
   手にはりんご飴の紙袋。
栄志「……お前何やってんだよ」
   大志が地面を携帯のライトで照らしながら何かを探している。
大志「……おお、兄ちゃん」
   栄志、携帯のライトを点けて一緒に探す。
栄志「……この辺?」
大志「多分」
栄志「何だよ5百円落としたって、母ちゃんにバレたらキレられるぞ」
大志「ごめん」
   5百円を探す大志と栄志。
栄志「……俺、まだ友達と遊んでたんだぞ」
大志「……ごめん」
栄志「……」
大志「……兄ちゃん、宿題全部終わった?」
栄志「うん」
大志「俺のも手伝ってよ」
栄志「やだよ」
大志「えーいいじゃん、俺まだ3分の1.5しか終わってねんだよ」
栄志「2分の1でいいだろバカ」
大志「読書感想文ってジャンプでもいいのかな?」
栄志「ダメに決まってんだろ、ていうかお前遊びすぎなんだよ」
大志「えーっとー海行ってー秘密基地作ってー虫取ってー秘密基地壊されてー……」
   大志、栄志を見る。
   地面を見つめる栄志。
栄志「……楽しかったか?」
大志「……普通」
栄志「何だそれ」
大志「……兄ちゃんは?夏休み楽しかった?」
栄志「……普通」
大志「ハハッ」
   笑う大志と栄志。
栄志「ていうかもう、黙って探せよ、見つかんねーぞ」
大志「あ、うん」
   大志、ポケットから5百円を取り出し投げ捨てる。
   投げ捨てた方を指さして。
大志「兄ちゃん、まだあっちの方探してない」
   移動する栄志。
   5百円を探す大志と栄志。
栄志「……あ!あった!あったぞ5百円!」
   栄志、大志に5百円を見せる。
大志「やったぁー!」
   リクとマルが階段を上ってくる。
リク「あ、いた」
マル「ダイの兄ちゃんもいる!」
   大志と栄志がふざけて踊っている。
リク・マル「……」

〇打ち上げ花火(夜)

〇公園(夜)
   大志、栄志、リク、マル、ジャングルジムに登ってりんご飴を食べている。
   花火を見つめる4人。
大志「お前ら、兄ちゃんに感謝しろよ!」
リク「お前が威張んな!」
   マル、打ち上げ花火に向かって叫ぶ。
マル「毎日ファミチキ食べたーい!」
栄志「いや、願いが叶うとかそんな効果ないから」
リク「女の裸が見たーい!」
栄志「やめろ!」
大志「スマブラやりたーい!」
マル「ダイの兄ちゃんもなんか!」
栄志「……早く高校生に……(叫ぶのやめて)俺スマブラ買ったよ?」

〇若井家・居間―玄関(夜)
   居間から玄関が見える。
   美恵子と若井雄三(48)が映画を観ている。
美恵子「これ観たことある」
雄三「言うなよ」
美恵子「こいつ犯人なの、このゴルフクラブで……」
雄三「言うなって」
玄関の扉が開く。
   大志、リク、マル、栄志が入ってくる。
大志「ただいまー!」
   急いで2階に上がる大志。
   居間から返事する美恵子。
美恵子「お帰んなさーい、あらリク君とマル君も」
リク・マル「お邪魔しまーす!おばさん今日泊まっていいですか⁉」
   2階に上がるリクとマル。
美恵子「あ、ちょっと、連絡はしたー?」
リク・マルの声「しましたー!」
   栄志、美恵子に紙袋を渡す。
栄志「はい、お土産!」
   中には2本のりんご飴。
美恵子「あ、りんご飴だー」
   2階に上がろうとする栄志。
美恵子「あ、ちょっとエイちゃん!」
栄志「ん?」
美恵子「……楽しかった?」
栄志「……うん」
   笑って2階に上がる栄志。

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