人間模様 地元のタクシー運転手 日常

ヒロシは仕事の移動中に所要で自宅に寄る。急ぐ必要あって駅からタクシーに乗った。タクシーを降りた後にタクシーの中に忘れ物をしたことにきずく。連絡をしてなんとか戻ってきてもらう。仕事に間に合わないためそのままタクシーに乗りオフィスに向かうことにした。タクシー内の会話で運転手が特別な人であることを知る。
山田浩 3 0 0 11/11
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第一稿

<登場人物>
ヒロシ(50) 大手IT企業のサラリーマン
運転手(84) タクシードライバー
アキ(20台後半) ヒロシの知り合い (セリフなし)
リョウ(30台前半) ア ...続きを読む
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<登場人物>
ヒロシ(50) 大手IT企業のサラリーマン
運転手(84) タクシードライバー
アキ(20台後半) ヒロシの知り合い (セリフなし)
リョウ(30台前半) アキの同棲相手 (セリフなし)
=========

ヒロシN『その日は会社に出勤後に外出、その後、
どうしても私用で家に一度寄る必要があったので
す。会社へはお昼過ぎに戻らないとと焦っていま
した。』

◯東急東横線の田園調布駅の改札口 11時頃

   ヒロシ、改札口を急いで出来てタクシー乗
    り場に駆ける。
   ヒロシ、待っていた個人タクシーに急ぎ乗
    る。

◯タクシーの中

ヒロシ「松の湯まで。」
運転手「大通りの松の湯ですね、わかりました。」

   タクシーが走り出す。

◯大通り ヒロシの家の近く 数分後

   タクシーが止まる。ドアが開く。

ヒロシ「すぐ戻リますんで、ちょっと待っててく
 ださい。」

   ヒロシ、タクシーから飛び出てくる。
   ヒロシ、大通りから20mほど走り自宅に
    来る。玄関の鍵を大急ぎで開けて中に消
    える。

   20秒と立たないうちに玄関のドアが開い
    て飛び出て来る、ヒロシ。

   ヒロシ、タクシーまで駆けてもどっ来る。
   タクシーのドアが開く。
   ヒロシ、タクシーに急ぎ乗る。

◯タクシーの中
ヒロシ「すいません、また、駅まで戻ってくださ
 い。」
運転手「ハイよー!」

   タクシーが走り出す。

ヒロシ「ふぅ〜、なんとか間に合いそうだ。」
運転手「お仕事中ですか、これから戻るんですか?」
ヒロシ「あれ、仕事中ってわかります?」
運転手「こういう仕事していればわかりますよ。
 お客さん、キチッとしたスーツ姿だし、こんな
 時間に家に帰って戻るっくるということは、ま
 た、これから仕事だね。しかも大した距離じゃ
 ないのにタクシー乗るということは急いで仕事
 に戻らないというのが見え見えだよ。お疲れさ
 ん。」
ヒロシ「ははは、その通りなんだよ。なんとか昼
 飯の時間に気付かれずにオフィスに戻れそうだ。」
運転手「お客さんみたないな会社勤めのの人、良
 く乗ってもらうからね。直ぐわかる。」
ヒロシ「ははは、俺みたいな人、結構いるんだね。
 こういう時にタクシー乗るのね、急いでいるだ
 けじゃないんだよ。駅から歩いて家まで行くと
 ね、地元の知合に会っちゃうかもしれないでしょ。
 平日の昼間にスーツ姿で家の近く歩いていると
 ころ見られると、あの人、仕事のはずなのなの
 にどうしたのかなぁ?、なんて勘繰られるでしょ。
 だから誰にも見られないようにタクシーに乗る
 んだよ。」
運転手「なるほどね、たしかに旦那が仕事に行っ
 ているはずなのにウロウロしているところ見ら
 れたら恥ずかしいなやな。」

   駅に続く商店街を走るタクシー。

   ヒロシ、窓の外を見る。
   ヒロシ、突然叫ぶ。

ヒロシ「あっ、まずい!」

   運転手、思わずブレーキーを踏む。
   タクシーは減速してゆっくり走りに変わる。

運転手「どうしたんだい、家にもう一度戻る?」
   ヒロシ、少し後ろを見ながら話す。
ヒロシ「いや、違うんだ。ほら、あそこを歩くカッ
 プル、女の方は知り合いで・・。地元の飲み屋
 で良く合うんだ。ちょっとうるさい奴でね、こ
 のままでは駅であってしまう。」

   アキとリョウが談笑しながら歩いている。

   運転手、バックミラーをみながら。

運転手「二人で楽しそうに歩いているね。二人は
 今日は休みかな。学生?」
ヒロシ「いや、女は看護師、ナースだから平日休
 みが多い。男はたしか演劇めざしてアルバイト、
 だから二人とも平日の休みは結構あるんだろう。」

   ノロノロ運転のタクシーにカップル二人が
    追い付き並ぼうとする。

ヒロシ「あっ、運転手さん、並んでこっちみられ
 るとまずい。先に進んで。」

   運転手、アクセルを少し強めに踏む。

   タクシー、アキとリョウを追い越して商店
    街を進む。

運転手「もう、駅がすぐそこだから結局、会っちゃ
 かもね。」
ヒロシ「同棲相手が夜もアルバイトしているから、
 寂しいのか、女の方はここらへんであちこち飲
 みあるいている。結構、かわいい女なんだけど
 ね。酔うと絡んできてややこしんだよ。こんな
 ところで平日の昼に会ったら、仕事抜け出して
 浮気でもしてんのー、とあちこちで話のネタに
 されるだろうからね。それに、こっちは仕事中
 なのに楽しそうにイチャイチャしているところ
 に入り込みたくもない。」
運転手「ははは、そりゃそうだね。」

ヒロシN『女はアキという。器量が良くて実のと
 ころ僕も気になる良い女だが・・リョウと同棲
 しているから人の女だ。おれも妻帯者で何がで
 きるわけでもない。そもそも年がかなり離れて
 いる。とは言っても男は年齢を重ねると常に
 20台後半から30台前半の女を気にする
 ものだが。とにかく平日の昼間に二人でいる
 ところに会うのは、こっちが気恥ずかしい。』

運転手「お客さん、駅前についたよ。少し離れて
 止めるね。」

   と、気遣う運転手。

ヒロシN「ヒロシ、ありがとう。午後の仕事に間
 に合いそうだ。助かったよ。」

   ヒロシ、お金を支払ってタクシーを降りる。

〇駅前広場

   ヒロシ、遠目から改札口の方を見る。
   アキとリョウ、改札口を入って、電車が丁
    度来たのか、ヒロシと反対方向のホーム
    に小走りに降りて行く。

   ヒロシ、つぶやく。

ヒロシ「ふぅ~、羨ましいね。もう行っただろう。」

   ヒロシ、ゆっくりと歩き出す。

〇駅改札口

 ヒロシ、改札を入る。

〇駅の地下ホーム

 ヒロシ、階段を下りてきてホームに入る。
 ヒロシ、スーツのポケット、カバンの中を探る。
 ヒロシ、つぶやく。

ヒロシ「私用のスマホがない・・。家出る時は手
 に持っていたから・・、あっ、タクシーに忘れ
 たか。」

ヒロシN『会社のスマホと私用のスマホの二台持
 ちで、私用のスマホは買ったばかり。失くすと
 痛い。友達や友人とのメールもそちらでやりと
 りしているし・・。』

 ヒロシ、財布からタクシーの領収書を取り出す。
 ヒロシ、領収書のタクシーの連絡先の番号を見
  ながら、もうひとつの会社用スマホを取り出
  して電話をする。

ヒロシ「あの・・、タクシーの中にスマホを忘れ
 たようなんですが・・。」

〇駅前広場

   ヒロシ、先程、タクシーをおりた付近で左
    右を見ながら落ち着かない挙動をしてい
    る。かなり焦っている様子。

ヒロシN『電話は、個人タクシー組合みたいなと
 ころに繋がって、運転手に連絡してくれるとの
 ことだった。数分で折り返しがあり、乗ったタ
 クシーは近くを走っているから駅まで15分ほ
 どでスマホを届けに来てくれる、とのことだっ
 た。ホッとした。』

ヒロシN『それにしても、アキのカップルに気を
 取られてたな。何も悪いことしていないけど、
 平日の昼間に「何故こんな時間にこんなところ
 を歩いているの?」と勘ぐられたくもなく、目
 立たないようにすることに注意がいって忘れ物
 ・・、トホホ。もうちょっと図太く行動できる
 性格になりたいもんだ・・。』

   ヒロシ、つぶやく。

ヒロシ「時間かかっちゃったな・・、昼までオフィ
 スに戻りたかったが間に合わないな・・。」

   少しして先程のタクシーが来る。
   タクシーの前ドアの窓が開く。

運転手「いやー、ごめんごめん、いつもお客さん
 おりた後、確認するんだが、さっきは気づかな
 かった。シートの下に落ちてたよ。」

   運転手、スマホを窓越しにヒロシに渡す。

ヒロシ「いやー、助かりました。僕も良く忘れる
 んで気を付けます。わざわざありがとう。」

   運転手、窓を閉めて、ハンドルを握る。
   ヒロシ、ちょっと考える様子。
   ヒロシ、慌ててタクシーの窓を叩く。
   運転手、気が付いて振り向き、今度は後ろ
    ドアを開ける。
   ヒロシ、空いたドアから運転手を覗きこむ。

運転手「どうされました? まだ、忘れ物がある
 とか?」
ヒロシ「あの、実は仕事に間に合わなくなってし
 まって。今から横浜まで飛ばすと12時半まで
 に着けますか?」
運転手「高速で行けば十分間に合いますよ。」

   ヒロシ、少し考える様子。

ヒロシ「それではお願いします。」

   ヒロシ、タクシーに乗り込む。

〇タクシーの中

ヒロシ「いやー、実は仕事の時間に十分戻れると
 思っていたら、スマホ失くして時間を使っちゃっ
 た。」
運転手「そういう時もあるよ。お客さん、さっき
 のカップルに気を取られていたでしょう?」
ヒロシ「ははは、図星だ。」

   ヒロシ、やっと心に余裕が出てきた様子。

ヒロシ「運転手さん、個人タクシーだよね。毎日
 仕事してるの?」
運転手「月曜~金曜だよ。お客さんもさっきの話
 からそうだろね。だから、私も先ほどの平日昼
 間に遊びに行けるカップルは羨ましいよ。」

   ヒロシ、同じことを思う人がいて興味が沸
    いた表情。

ヒロシ「そうだよね!働いている時間は?夜中も
 働いているの? そのほうが稼ぎがいいって聞
 くけど。」
運転手「9時から16時半だよ。もう年だし、家
 内の面倒もみなきゃいけないし、気楽にやって
 いるよ。」
ヒロシ「奥さん? どうかしたの?」
運転手「10年前にね、脳梗塞になって地保障気
 味なんだ。だから毎朝ね、デイサービスに家内
 を預けてね、営業終了後に引き取りに行くのが
 日課なんだよ。ひどい症状じゃないけど、介護
 の毎日だよ。」

   ヒロシ、奥さんを思いやる表情をする。

ヒロシ「それは大変だ・・、奥さんはおいくつ?」
運転手「家内は、78才だよ。さて、私は何才に
 見えるかな?」

   ヒロシ、質問をされて、タクシーの天井を
    考える。

ヒロシ「うーん、もちろん僕よりは随分上だと思
 うけど・・、奥さんは78才だから80才ぐら
 いかな? でも、運転手さん若くみえるから、
 年上女房かな?」
運転手「ははは、そう見えかい?」

   少しの間。

運転手「私はね、84才だよ。」

   ヒロシ、驚きの表情。

ヒロシ「えっ84才って、お年は失礼だが老人に
 は見えたがそんなにお歳をとっているとはびっ
 くりだよ。昨年亡くなった僕の父が生きていた
 ら同い年だね。」

運転手「ほぉー、そうかい。おとっさんと同じか、
 かそりゃぁ、親近感が湧くねえ。」

ヒロシ「ほんとうだね。それにしてもそんなお歳
でタクシーの営業してるって凄いね。お仲間もた
たくさんいるんですか?」

   運転手、ワンテンポおいて話し出す。

運転手「あのエリアでね、個人タクシーやってい
る最長老なんだよ。回りがみんな辞めてしまって
 ・・。」

   ヒロシ、さらに驚きの表情。

ヒロシ「えー!、最長老!、それは凄い! いやー、
 お元気ゝ々々。そんな貴重な運転手さんの車に
乗れたとは。なんかおみくじで特別な大吉を引い
たようで嬉しいなぁ。しかも今日は二回も乗った。」
運転手「ははは、そうだね、偶然だねぇー。」

〇ヒロシの会社が入っている横浜のビル前

   タクシーが停車する。
   ヒロシ、お金を払って良いことあったよう
    な表情でタクシーを降りる。

ヒロシ「間に合ったよ、安全運転でありがとう。」
運転手「ありがとうございます。また乗って頂戴
 ね。」

   タクシーのドアが閉まり、走り去る。

   ヒロシ、歩き出す。

ヒロシN『なんとか予定の時間前についた。あの
 運転手さんに感謝だ。タクシー代が余計けどね。
 たまには忘れ物もしてみるもんだ。まぁ、最初
 に家に帰ったのも玄関の棚に仕事の書類を忘れ
 たからだが・・。忘れ物しょっちゅうの僕だが
 ・・反省するが、良い出会いもあったしね。』

   ピロッと個人用スマホの音がする。

   ヒロシ、個人用スマホを覗きこむ。
   ヒロシ、つぶやく。

ヒロシ「あれ? アキからだ。」

   ヒロシ、スマホを操作する。

〇スマホの画面

   画面にアキからのメッセージが来ている。
   アキからのメッセージ『リョウと喧嘩して
   別れた。話聞いてよ。酷いんだから。今夜
   飲もうよ。』

   ヒロシ、つぶやく。

ヒロシ「なんだよ、あれからすぐに喧嘩したのか
 よ。波乱万丈なバカップルだな。

   ヒロシ、スマホで、『りょ!』と打つ。

   すぐにピロッとスマホがなる。
   アキからのメッセージ『さっきさぁ、タク
   シー乗ってて駅前通りで追い越したでしょ。
   なんであんな時間にいるの? 興味津々!』

   ヒロシ、つぶやく。

ヒロシ「なんだ、バレていたか。それにしても、
 俺を飲みに誘うって、おやじの懐目当てだろう
 なぁ。まぁ、いいか。楽しいお酒にしようっと。」

   ヒロシ、ビルの中に消えていく。

ヒロシN『その日のアキとの地元での飲み会は、
 アキの喧嘩の話はどこへやら、最長老タクシー
 運転手の話題と僕の忘れ物体質への攻撃で盛り
 上がった。色々とあった一日、でも面白い一日
 だった。』

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