フリマに本気 ドラマ

申し込んだ母親不在でフリマを乗り切ろうとする三姉妹。
橘ゆづは 3 0 0 11/08
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第一稿

人 物

野木夢(10)小学4年生
野木愛(12)小学6年生
野木光(7)小学2年生
野木幸枝(36)夢の母

〇野木家・リビング
   子ども服やおもちゃが散らか ...続きを読む
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人 物

野木夢(10)小学4年生
野木愛(12)小学6年生
野木光(7)小学2年生
野木幸枝(36)夢の母

〇野木家・リビング
   子ども服やおもちゃが散らかっている。
   床に座り、小さなテーブルで画用紙に絵を描いている野木夢(10)。
   野木光(7)、その横で服を畳んでいる。
   扉が開き、野木愛(12)が百円ショップの袋を持って帰ってくる。
愛「なんであたしがこんなことしなきゃいけないの」
光「おかえりお姉ちゃん」
   ドスンと座る愛、光の畳んだ服の山を見て、
愛「光、もっときれいにやってよ」
   光、顔を上げ、
光「え、だめ?」
   愛、脇に落ちてる服を取って、
愛「こうして」
   と畳んで見せる。
   光、愛の真似をする。
   夢、色鉛筆を何色も塗り重ねている。
   愛、夢の絵を見て、
愛「夢も、そんなに凝ったって売れないんだからね!」
   夢、しゅんとして、
夢「でも私、他にできることないし……」
   愛、百円ショップの袋から厚紙やシールを取り出す。
愛「あたしと値札つくんの。はやくやんないと間に合わないよ」
   夢、手を止めて愛を手伝い始める。
夢「ママ、ほんとに来ないのかなあ明日」
光「きっと来てくれるよ夢ちゃん!」
   光、畳んでいる服がまたくしゃくしゃになっている。
愛「あんたたち、あの人に期待なんかしちゃだめよ。がっかりするだけなんだから。来ないって言ったら来ないって思っとくの」
夢「……そんなあ」
光「光はママのこと信じるよ!いわゆる反抗期のお姉ちゃんとは違って!」
   夢、光を制止して、
夢「ごめんお姉ちゃん。最近覚えたいわゆるを使いたいだけだから光」
愛「もう好きにすれば?」
   とそっぽを向く。
   夢、光と愛を交互に見てあたふたする。
   扉が開き、派手な化粧をした野木幸枝(36)が帰ってくる。
光「ママ!」
   光の顔がぱあっと明るくなる。
夢「ママ、明日……」
幸枝「ちゃんと準備してる?明日はよろしくね、愛」
   幸枝、バタバタと引き出しを開け、封筒から札束を抜く。
幸枝「夜ごはん適当に食べといて。ママ忙しいから」
   幸枝、札束をハンドバックにしまう。
幸枝「あとはよろしくね、じゃ」
光「え、もう?」
   幸枝、出ていく。
   愛、ため息をつく。
   扉が開き、幸枝が顔だけ出して、
幸枝「売れなかったらどうなるかわかってるわね?」
夢「……はい」
幸枝「ママのためにも稼いでくるのよ」
   幸枝、扉をバタンと閉める。
   幸枝の足音が遠ざかる。
   しょんぼりする夢と光。
愛「だから言ったでしょ」
光「だってえ」
   夢、立ち上がり窓に張り付く。
   愛、テーブルの上に夢の書いた値札を見つける。
愛「夢―。全部10円じゃ儲かんないでしょー?」
   夢、窓の外をじっと見たまま。
   光、段ボールの中におもちゃのどきゅんちゃんスティックを見つける。
   光、勢いよく拾い上げて、
光「え、どきゅんちゃんスティックも売っちゃうの?聞いてない!」
愛「いいじゃんもう使わないでしょ。むしろそれ目玉なんだから」
光「やだ!絶対ヤダ!」
   光、どきゅんちゃんスティックを抱きしめる。
   夢、振り返って、
夢「どきゅんちゃんは残しといてあげなよぉお姉ちゃん」
愛「夢まで何言ってんの!見てよこの売り物たち。一番高く売れそうなのはどきゅんちゃんスティックでしょ?」
夢「でも……光どきゅんちゃん大好きなのにかわいそうだよ」
   光、どきゅんちゃんスティックを抱きしめたまま涙ぐんでいる。
愛「なに、あたしが悪いの?」
   と、光に近寄る。
   光、精一杯愛を睨みつける。
   夢、2人の間に入ろうとする。
愛「いい?大事なことだから覚えておくのよ。この先光を守ってくれるのは、そのどきゅんちゃんスティックじゃなくて、どきゅんちゃんスティックを売って得たお金なの」
夢「お姉ちゃんまだ光8歳……」
愛「夢が甘やかすからこうなるんでしょ?」
夢「甘やかしてなんか……」
光「わかった!」
   愛と夢、黙る。
光「わかったから、いわゆるケンカはやめて」
   愛、肩をすくめる。
   夢、くすっと笑う。

〇公園横・歩道(朝)
   シートを広げる愛と夢。
愛「2m×2・5mだからね!はみ出しちゃだめだからね!」
   光、チューペットを吸いながら、
光「はーい」
   両隣のブースでは、夫婦や家族そろって準備をしている。
   夢、その様子をボーっと見ている。
愛「夢、ボーっとしてないで早く並べるよ」と、地面に置かれた旅行鞄を指す。
夢「……うん」
   夢、カバンを開け、中身をシートの上に並べていく。
夢「あ」
   夢、カバンの中を勢いよくあさる。
夢「……(小声で)やばい……」
   光、チューペットを食べ終わり、
光「ちょっと遊んでくる!」
   と、公園の方に走っていく。
   夢、顔面蒼白で、
夢「どうしよう……お姉ちゃん……」
愛「なにどうしたの」
夢「金庫忘れた……かも……」
愛「え!」
愛、カバンをあさる。
愛「ない……」
夢「今から走って取りに……」
   夢、立ち上がる。
愛「待ってそれじゃ間に合わないよ」
夢「どうしよ、今何時?」
   愛、ポケットからスマホを取り出す。
   画面に9時55分と表示されている。
愛「あと5分で始まっちゃう」
夢「どうしよどうしよ」
愛「うるさい今からグーグル先生に聞くから黙ってて!」
夢「ごめんなさい……」
愛「えっと……金庫……ない……」
   愛、スマホに『金庫 ない どうする』と打ち、検索する。
   夢、横から愛のスマホを覗き込む。
夢「金庫がないときはドゥンキホーテに売ってます」
愛「ドゥンキホーテ……」
夢「私今からドゥンキホーテ行ってくる!」
愛「待って!」
   愛、画面をスクロールする。
愛「ドゥンキホーテは10時からよ!」
   夢、うなだれて泣き出しそう。
夢「ああーもうどうしよ」
   愛、スマホから顔を上げ夢を見る。
愛「いいこと思いついた!お姉ちゃん天才かも」
   愛、座ってカバンからスケッチブックを取り出し、落ちていたペンを持つ。
   スケッチブックに『おつりは出ません。クレームは受け付けません』と走り書きをする。
   愛、満足そうに、
愛「これで行くしかないわ」
夢「……それ大丈夫なの?怒られないかな?」
愛「そもそも夢が忘れたのが悪いんじゃん」
夢「……ごめんなさい……」
   光、手を振って走ってくる。
   隣に法被を着たおじさんがいる。
   光、嬉しそうに、
光「自治会長さんと仲良くなったの!なんでも助けてくれるんだって!」
   愛と夢、顔を見合わせる。
 
〇公園横・歩道(夕)
   シートの上で片づけをしている愛、夢。
   光、その横で金庫を覗き込んで、
光「お金……いっぱい……」
愛「光、それ返してこないと」
光「そうだった!」
   光、金庫をもって立ち上がる。
夢「危ないから私行くよ」
愛「そうだね、お願い」

〇公園(夕)
   金庫をもって歩く夢、遠くにどきゅんちゃんスティックを持った子供を見つける。

<終>

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