【エピソード4】
人間模様 ヘルプマーク
<登場人物>
ヒロシ(50) 大手IT企業のサラリーマン
男性(40前後) 障害者
〇都営三田線車内
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ヒロシ、帰宅時、都営三田線・大手町
駅から電車に乗る。
電車、やや混んでいる。
ヒロシ、車両の端の優先席三人掛けシ
ートの前に立つ。
ヒロシ、カバンから iPADを取り
出してメールをチェックしようとする。
目の前の優先席に座っている男性。
男性、何かを懇願するようにヒロシを
見上げる。
ヒロシ、男性の抱えているカバンをみ
る。
ヒロシ、そこに赤い札が付いているこ
とに気づく。
男性のカバンには名刺より一回り小さ
い赤い札に白い十字とハートのマーク
がプリントされている。
ヒロシN『これ、最近聞いて知っている、た
しかヘルプマークだ。”私は少し困っていま
す、必要な時には助けてください。”、確か
そういうものだったな。
男性の首から大きなプラカードが下が
っている。
ヒロシ、プラカードに気づく。
プラカードには次のように書いてある。
”私はICD(埋め込み型除細動器)
を付けています。誤動作をしてしまう
かもしれないので携帯をお使いの際は
離れてお願いします。申し訳ありませ
ん。ICDとは小さなAEDみたいな
もので、発作の時に・・」
ヒロシ、プラカードを読んで慌てて
iPADiPadを閉じる。
駅に停車して人が社内に入ってくる。
優先席前に乗客が来る。スマホを出し
て操作を始めようとする。
ヒロシ、乗客の肩を叩き目で男性のプ
ラカードを読むように促す。
(その後、何度か同じことを他の乗客
に繰り返す。)
電車、次の駅に到着する。
男性、降りる仕草をする。下げていた
プラカードを鞄に丁寧にしまう。
男性、左右に座っていた人に、頭を下
げる。
男性「有難う御座いました、申し訳ありませ
んでした。」
男性、ヒロシに何度も何度も頭を下げ
る。
ヒロシ、男性の丁寧さにたじろぐ。
ヒロシ「気をつけて帰って下さいね。」
男性、深ーい、お辞儀して電車を降り
る。
ヒロシN『実のところ僕は・・、気が動転し
ていた。優先席近くで・・、携帯・スマホ使
うことを気にしていなかった。反省しきり。
でも、皆、状況わかって控えてくれた。
日本人、捨てたもんじゃない。』
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