ハット!ハット!!ハット!!! コメディ

田中よう子(41)の帽子にまつわる話。
東京花子 4 0 0 11/04
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第一稿

人 物
田中よう子(41)芸能事務所代表、兼マネージャー
大村フミオ(25)モデル兼俳優

イケメンA(21)
イケメンB(22)
イケメンC(23)

女子高生A ...続きを読む
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人 物
田中よう子(41)芸能事務所代表、兼マネージャー
大村フミオ(25)モデル兼俳優

イケメンA(21)
イケメンB(22)
イケメンC(23)

女子高生A(17)
女子高生B(17)
司会者(40)


◯表参道
   ストリートファッションに身を包み、キャ
   ップ帽を被ったイケメンA  
   (21)が歩いている。高身長でワイルド
   な顔立ちをしている。
   信号待ちになる。ショッピングウインドウ
   越しに、身形を整え直すイケメ
   ンA。
   キャップ帽を被り直すが、頭皮が見える
   程、禿げている。

◯カフェ・店内 
   窓際でアイスコーヒーを飲みながら、イケメンAを見ている、田中よう子
   (41)。
よう子「若ハゲじゃん」
   ため息を吐く。
   スマホの通知音が鳴る。
   よう子、画面を見る。
   『中村将暉、ハリウッドデビュー』とニュース速報の文字。
   大きなため息を吐く、よう子。
   スマホの画面を伏せ、表参道wp行き交う人々を眺める。
   大村フミオ(25)、アイスコーヒーを持ち、よう子の前に座る。
フミオ「お疲れ様です」
フミオの声で気付く、よう子。
よう子「お疲れ様。どうだった?」
フミオ「緊張で台詞が思いっきしとんじゃって……。ごめんなさい、自身ないです」
よう子「そっかぁ。受かったらビッグチャンスだったんだけどな……」
   ため息を吐く、よう子。
フミオ「田中さん、最近ため息ばっかりですね」
よう子「それは、誰かがチャンス逃したからね」
   フミオ、苦笑いになる。
フミオ「……すみません」
よう子「にしても、最近ため息がつきたくなる様な事ばかり続いてさ」
   コーヒーを飲む、よう子。

◯(回想)原宿・キャットストリート・店内
   カフェの看板に書かれたランチメニューを見ている、イケメンB(2
   2)。
   古着を着こなし、ハンチング帽を被っている。
   キリッとした顔がイケメンである。

◯(回想)カフェ・店内
   よう子、窓際からイケメンBを見ている。イケメンB。店に入らず去って
   行くの。
よう子「よし!」
   急いで名刺入れを持ち、カフェを出る。

◯(回想)原宿・キャットストリート・外
   よう子、イケメンBを追いかける。
よう子「すみません!」
   振り返る、イケメンB。
よう子「芸能界に興味あったりしますか?」
   名刺を差し出す。『レイ・プロモーション・代表取締役・田中よう子』の文字。
   イケメンB、名刺を手に取り見ている。
   顔がイケメンである。
よう子の心の声「うん、間違いない」
イケメンB「……僕、実は俳優に興味があって。以前、養成所に通っていてーー」
   帽子を手に取り、意気揚々と話し始めるイケメンB。
   よう子、イケメンBの顔を見ている。
   顔がイケメンである。
   黒い髪がおしゃれにセットされている。
よう子の心の声「……ん?」
   よう子、食い入る様に頭を見る。
   黒い髪が不自然に密集している。
よう子「……嘘」
イケメンB「はい?」
   よう子、とっさに苦笑いをする。

◯元のカフェ・店内
   フミオ、興味深々で聞いている。
フミオ「で、どうしたんですか?」
よう子「上手く断ったわよ。うちはモデル路線に変更してるからとか言って」
   よう子、コーヒーを飲み、ひと息つく。
よう子「若ハゲって多いものなの?」
フミオ「そんな事ないと思いますけどね。あ、でも、つい最近若ハゲが急増して来てるって記事見ましたよ」
よう子「にしてもさー」
   ため息を吐く、よう子。

◯(回想)電車・中(夕)
   よう子、満員電車に乗って来る。
   押し潰されていく、よう子。
   驚く程、頭の長い麦わら帽子を被っているイケメンC(23)が車内に乗
   っている。
   よう子、長い帽子に気付く。
よう子の心の声「長っ!」
   驚く、よう子。まじまじと帽子を見る。
よう子の心の声「こんな帽子、どこに売ってんのよ」
   肩と肩の隙間からイケメンCの顔が見える。色白で鼻筋の通った端正な顔
   立ちをしている。
   顔に釘付けになる、よう子。
   電車が大きく揺られ、帽子が目の前に倒れて来る。 
   乗客、パニックになる。

◯元のカフェ・店内
   よう子、コーヒーを手に取り飲む。
   フミオ、話の続きを待っている。
フミオ「……で?帽子外した頭はどうだったんですか」
よう子「え、見てないよ」
フミオ「え、そこ肝心なのに!?」
   驚く、フミオ。
よう子「あんな長い帽子被ってる時点でないわ!倒れて来て、頭にぶつかりそう
だったんだから」
フミオ「そこ気になるじゃないですか」
よう子「どうせハゲ散らかした、頭の長い人だったんじゃないの?まぁ、確かに顔だけは良かったんだけどね」
   女子高生A(17)、女子高生B(17)が隣の席に座る。
女子高生A「ってか中村将暉、ハリウッドデビューだって」
女子高生B「スカイ・ウォーズでしょ!凄いよね」  
   フミオ、盛り上がる女子高生A・Bを見る。
フミオ「ってか、そもそも帽子に執着し過ぎじゃないですか?まぁ、僕が言うのもあれですけど」
よう子「うんー……。験担ぎだったんだよね。たまたま、帽子被った子スカウトしたら、売れてくれた子が結構いたからさ」
   渋い顔になる、よう子。
フミオ「中村将暉さん?」
よう子「うん、そうだね。将暉は独立して初めての子だったけど」
   考え込む、フミオ。
フミオ「でも、中村さんは移籍なさいましたよね。その験担ぎは、終わりって事なんじゃないですか?……きっと若きハゲ達がそう教えてくれてるんですよ」
よう子「だからって、若ハゲ急増する?」
   考え込む、フミオ。
よう子「私も落ちたもんだなぁ、と思ったよ。見る目が。だから、まさきに移籍されちゃうのかもね」
   ため息を吐く、よう子。
フミオ「そんな事ないですよ。ってか僕がまだ験担ぎの希望残ってますから!」
よう子「さっき終わりって言ったじゃん」
   苦笑いする、フミオ。
フミオ「すいません……」
よう子「ま、稼ぎ頭が居なくなっちゃったんだから、フミオ、頑張ってよね」
   ウインクする、フミオ。
   よう子、呆れながらコーヒーを飲む。

◯よう子のマンション・リビング(夜)
   電気がつき、明るくなる。
   よう子、バッグをソファに置き、勢いよく座る。
よう子「はぁー、疲れた」
   側にあるリモコンでテレビをつける。
   中村将暉、ハリウッドデビューについての街頭インタビューが流れる。
   よう子、ため息が漏れる。
   チャンネルを変える。ハゲた頭が画面いっぱいに映る。
   びっくりする、よう子。
よう子「げっ!」
   司会者(40)、真剣な顔で『若者の薄毛、急増の原因』をボードで説明
   している。
司会者「帽子で頭皮っが蒸れる事により、薄毛につながると。では、何故急増しているのか?」
   ボードの隠された紙を剥がす。
司会者「帽子が今、ファッショントレンドになっている事により、急増しているとーー」
   よう子、思わず笑いが漏れる。
よう子「くだらな」
   時計を外し、リビングを出て行く。
   番組、進行し続ける。シャワーの音が聞こえてくる。
   テレビ画面に緊急速報が入る。『中村将暉容疑者、大麻取締法違反の疑い
   で逮捕』の文字。
   シャワーの音が響き続ける。

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