真理を巡るもの SF

公営墓地の最奥、大きな変化観音像の下に作られた小さな部屋。無縁仏の遺骨を1年間保管する場所。そこに一人の男が入っていく。それから千年後、人類はAIと戦っていた
上田 貴史 12 0 0 10/25
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第一稿

公営墓地の最奥、大きな変化観音像の下に作られた小さな部屋。無縁仏の遺骨を1年間保管する場所。そこに一人の男が入っていく

ナレーション 物語の進行をする
職員A 無縁仏を産廃 ...続きを読む
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公営墓地の最奥、大きな変化観音像の下に作られた小さな部屋。無縁仏の遺骨を1年間保管する場所。そこに一人の男が入っていく

ナレーション 物語の進行をする
職員A 無縁仏を産廃処理する人
ケビン 千年後の世界で、AIと戦うレジスタンスの一員
構成員A 千年後の世界で、AIと戦うレジスタンスの一員
長老 千年後の世界で、とある噂を言い伝えとして知っている


第一部
(職員Aを舞台中央へ移動)
職員A
「何度入ってもここは好きに離れないな。えっと、今日産廃処理する仏様は…」
(職員A 何かを探す動作をする)
「この仏様ですね」
(職員A 合掌し、丁寧に何かを取る動作する)
「やるせないな。こんなことするなんて。でも、ルールはルールか、無縁仏様は1年間は保管し、受け取り手が現れなければ、産業廃棄物として処理する。いくら合葬とはいえ、名目上はゴミと同じ産業廃棄物。やるせないな」
(職員A 舞台袖へ移動)
暗転

ナレーション
「それから千年後、人類はAIと戦争し、開戦から1年も経たずに人類軍は壊滅し、残された人類は地下に逃げレジスタンスとして活動していた。しかし、状況は悪化する一方だった」

第二部

(構成員Aとケビンを舞台中央へ)
構成員A
(イライラした声で)
「この3日で残されたレジスタンスの5割が壊滅させられた。クソー!どうなってるんだ!」 

ケビン
(なんとか落ち着けようとして)
「落ち着け、今は状況を分析すべきだ」

構成員A
(更にイライラした口調で)
「落ち着いていられるか!!あの戦争が始まって数ヶ月で人類の七割の拠点が壊滅させはれられたんだぞ!!なんとか生き残った奴らも、この3日で半数は殺された!!なんでた!!」

ケビン
(何かを考えるように)
「たしかに、なぜだ?なぜ俺達はこんな短期間にここまで追い込まれた?」

構成員A
(ケビンに食って掛かる)
「それは、AI野郎が血も涙もないない戦争を仕掛けてきたからだろうが!!」

ケビン
(更に考え込む)
「それでも、我々は最先端の兵器と通信記述で対抗してきたはずだ。それなのにこの短期間はあまりにも異常だ。AIが血も涙もないだけでは説明がつかないだろう?」

構成員A
(ケビンを睨みつける)
「じゃなんだ、俺達は手抜きしてたとでも言いたいのか!?俺達は最新の量子暗号を使い通信し、最新の技術で兵器を作ってきた。それを愚弄する気か、貴様は!!」

ケビン
(何かに気づいたように)
「量子、暗号。もし、量子暗号が解読されていたら?」

構成員A
(ケビンをバカにするように)
「量子暗号は量子力学によって安全性が証明されている。いくらAIでも破らるわけないだろう!!それともなんだ、実は破られていて、俺達はエニグマを破られた後のドイツ軍と同じだったって言いたいのか!!お前は狂ってる。科学を勉強し直せ!!この無能が」

(構成員A イライラしながら舞台袖へ)

ケビン
(首を振り)
「そうだ、そんなわけない。量子暗号は物理法則に守られてる。でも、なんだこの違和感は!?開戦から、人類軍は劣勢だった。それは単に演算速度差によるものだったか?何なんだこの違和感は」

長老
(舞台袖からケビンに杖をつきながら近寄る)
長老
(優しい声で)
「何があったんだケビン。さっき彼がやけにイライラして通り過ぎたけど」

ケビン
(少しうつむき)
「この3日で、残ったレジスタンス既知の半数が壊滅しました。まるで、AIにとって我々を殺すのは大人が赤子の手を捻るように、いや、人間が虫を踏み潰すように容易いように感じてしまう。なにかとても嫌な予感がする」

長老
(ため息をつき)
「我々は滅びる運命なのかもしれない。かつて人が未来を豊かにしょうとした。その夢の果が今なのかもしれない。さっきの話聞いていたよ。ケビン、お前は何か大切なものを見つけようとしてるのかもしれない」

ケビン
(長老を食い入るように見つめて)
「大切なこと!?」

長老
(首を縦に振る)
「我ら人間が、滅びるかもしれない、その根源的原因を。たしかに量子暗号は物理法則に守られている。でも、お前の疑問通り量子暗号が最初から破られていたら、この短期間の大敗も説明がつく。これはあくまでも噂だが、AIの中にマスターAIという大本がいると噂されている。もしそこにたどり着き、そのAIと対話できれば、お前のなぜ、に答えが出るかもしれない。ただ、それが人類を救うとは限らない」

ケビン
(うつむいたあと、決意したように)
「マスターAIを見つけて、真実を知りたい。このまま滅びるより、なにかの答が見つかるかもしれない。長老マスターAIって」

長老
(ケビンを静止する)
「ただの噂だ、噂だ」
(ケビンを見つめる)
「止めても行くというだろう。ケビン、お前なら。かつて人類でもっともAI軍の中心に近づい男の記録だ。これしかコンパスの代わりになるものはない。それでも行くのか」

ケビン
(強く頷く)

長老
(ため息をつき、ケビンの肩を叩く)
「ご武運を、ケビン」

暗転
(ケビン、長老舞台袖へ)

ナレーション
「そしてケビンはマスターAIを求めて旅立つのでした。この続きはまたいつか」

幕

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