○メイクスタジオ Megu外観
テナントビルの2階。
窓ガラスに「styling Megu」の文字
× × ×
入口のドアに張り紙
「本日は成人式のため、完全予約制となっております」
○メイクスタジオ Megu
部屋の中心線上に鏡が横並びに3つ並んでいる。
鏡は裏表両方についてている。
その鏡を向くように、椅子が3つずつ並んでいる。
レジカウンターに近藤めぐみ(40)。
その周りに、宮本弘子(29)、木田恵一(39)、水城花梨(20)がいる。
3時59分が、4時になる。
めぐみ「気合いれてくよ!」
めぐみ、入口のドアを開ける。
ジャージ姿の女性が入ってくる。
めぐみ「いらっしゃいませ」
× × ×
(ここからモンタージュで)
満席になる客席。
店員全員で、てきぱきとヘアメイク、メイクをこなしている。
時計の針が5時を指す。
出ていく客、入ってくる客。
忘れ物をする客、眠そうな客。
その全員にメイクを施していく。
時計の針が6時を指し、7時を指す。
窓の外が白んでくる。
(モンタージュ終わり)
× × ×
客の髪をスプレーで固めているめぐみ。
隣席では、花梨が客にメイクしている
客A「あ、あの、わたし、ここ青系でってお願いしたんですけど」
花梨「え、あ、すみません」
客A「こんなんじゃ…」
客A泣きそうになっている。
めぐみ「花梨、こっち代って」
めぐみ、花梨にスプレー缶を渡す。
花梨「すみません」
× × ×
恵一が、客Cの髪に飾りをつけている。
客C「なんか、ださくない?」
恵一「そうですか? 結構いいと思いますけど」
客C「他のとかって」
恵一「ごめん花梨ちゃーん、予備の花もってきてー」
花梨「あ、はいっ」
恵一「ちょっと他のもあるか、見てきますからねー」
花梨、バックヤードに引っ込んでいく。
弘子、窓際の席で客Bの髪をブローしている。
窓の外を見て、手を止める。
弘子「あれって雪?」
客B「えー嘘ぉ」
花梨、ちょうどバックヤードから出てくる。
弘子「花梨ちゃん、店の外見てきて、あと傘立てお願い」
花梨「はいっ」
花梨、振り向きざま、花飾りのケースを床に落としてしまう。
花梨「あっ、すみません」
そばにいた恵がかがんで、てきぱきと拾い始める。
めぐみ「花梨、外見てきて」
花梨「はいっ」
○店の外の路上
雪が降っている。
カメラを首から提げた男がいる。
○店の外の階段
階段には順番待ちの客が途切れない。
花梨「すみませーん」
といいながら、階段を下りていく。
○店の外の路上
花梨が階段駆け下りてくる音。
花梨「すみませーん」
その声に、男が顔を上げてカメラを向ける。
花梨がビルから出てくる。
男、花梨にカメラを向ける。
花梨「え、なに、てか誰ですか」
○店の外の階段
店のドアが開くめぐみ「ありがとうございました」
声に見送られて、階段を下りてくる湊川朱音(20)
○店の外の路上
カメラを構えた男と、花梨が向き合っている。
花梨「ああ、あの、盗撮は、犯罪ですよ」
花梨の後ろから、足音。
朱音が出てくる。
男、カメラを連写し始める。
花梨「警察、警察呼ばなきゃ」
花梨が勢いよく振り返り、降りてきた朱音とぶつかる。
朱音「ったー」
花梨「あ、すみません」
花梨、バランスを崩してしりもちをつく。
ばっちりメイクをした朱音が、一瞬顔をしかめるが、すぐに笑顔になって
朱音「あ、大丈夫ですよー」
男「大丈夫か」
花梨「ちょっと、近づいてこないでください」
朱音、驚きつつ二人を見て
朱音「なにしたの」
男「いや、誤解」
花梨「警察を、呼んでください。この人盗撮魔」
花梨、何とか立ち上がる。
朱音「ちょ、マジで兄貴」
男「違う違う、お前がカメラで撮れっていうから待ってたんだって」
花梨「兄貴・・・?」
男「そう、そうそう。俺こいつの兄貴」
花梨「そ、それは申し訳ありませんでし、たっ」
花梨、たっ、と言いながら再び足元の雪に滑って転ぶ。
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