盗撮魔 ドラマ

成人式の日の、メイクスタジオMeguの朝は早い。午前4時から客をさばいていく。水城花梨(20)はそこで働く新人のスタイリスト。失敗を重ねながらも、何とか頑張って仕事をしていると、店の外には雪。様子見のために外に出ると、カメラを構えた男がいる。「盗撮!」と早とちりする花梨だったが、それは店のお客であった、湊川朱音(20)の晴れ姿を撮ろうと待ち構えていた彼女の兄だった。
高川理晴 6 0 0 09/23
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第一稿

○メイクスタジオ Megu外観
   テナントビルの2階。
   窓ガラスに「styling Megu」の文字
   ×  ×  ×
   入口のドアに張り紙
   「本 ...続きを読む
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○メイクスタジオ Megu外観
   テナントビルの2階。
   窓ガラスに「styling Megu」の文字
   ×  ×  ×
   入口のドアに張り紙
   「本日は成人式のため、完全予約制となっております」

○メイクスタジオ Megu
   部屋の中心線上に鏡が横並びに3つ並んでいる。
   鏡は裏表両方についてている。
   その鏡を向くように、椅子が3つずつ並んでいる。
   レジカウンターに近藤めぐみ(40)。
   その周りに、宮本弘子(29)、木田恵一(39)、水城花梨(20)がいる。
   3時59分が、4時になる。
めぐみ「気合いれてくよ!」
   めぐみ、入口のドアを開ける。
   ジャージ姿の女性が入ってくる。
めぐみ「いらっしゃいませ」
   ×  ×  ×
   (ここからモンタージュで)
   満席になる客席。
   店員全員で、てきぱきとヘアメイク、メイクをこなしている。
   時計の針が5時を指す。
   出ていく客、入ってくる客。
   忘れ物をする客、眠そうな客。
   その全員にメイクを施していく。
   時計の針が6時を指し、7時を指す。
   窓の外が白んでくる。
   (モンタージュ終わり)
   ×  ×  ×
   客の髪をスプレーで固めているめぐみ。
   隣席では、花梨が客にメイクしている
客A「あ、あの、わたし、ここ青系でってお願いしたんですけど」
花梨「え、あ、すみません」
客A「こんなんじゃ…」
   客A泣きそうになっている。
めぐみ「花梨、こっち代って」
   めぐみ、花梨にスプレー缶を渡す。
花梨「すみません」
   ×  ×  ×
   恵一が、客Cの髪に飾りをつけている。
客C「なんか、ださくない?」
恵一「そうですか? 結構いいと思いますけど」
客C「他のとかって」
恵一「ごめん花梨ちゃーん、予備の花もってきてー」
花梨「あ、はいっ」
恵一「ちょっと他のもあるか、見てきますからねー」
   花梨、バックヤードに引っ込んでいく。
   弘子、窓際の席で客Bの髪をブローしている。
   窓の外を見て、手を止める。
弘子「あれって雪?」
客B「えー嘘ぉ」
   花梨、ちょうどバックヤードから出てくる。  
弘子「花梨ちゃん、店の外見てきて、あと傘立てお願い」
花梨「はいっ」
花梨、振り向きざま、花飾りのケースを床に落としてしまう。
花梨「あっ、すみません」
   そばにいた恵がかがんで、てきぱきと拾い始める。
めぐみ「花梨、外見てきて」
花梨「はいっ」

○店の外の路上
   雪が降っている。
   カメラを首から提げた男がいる。

○店の外の階段
   階段には順番待ちの客が途切れない。
花梨「すみませーん」
   といいながら、階段を下りていく。
○店の外の路上
   花梨が階段駆け下りてくる音。
花梨「すみませーん」
   その声に、男が顔を上げてカメラを向ける。
   花梨がビルから出てくる。
   男、花梨にカメラを向ける。
花梨「え、なに、てか誰ですか」

○店の外の階段
   店のドアが開くめぐみ「ありがとうございました」
   声に見送られて、階段を下りてくる湊川朱音(20)
○店の外の路上
   カメラを構えた男と、花梨が向き合っている。
花梨「ああ、あの、盗撮は、犯罪ですよ」
   花梨の後ろから、足音。
   朱音が出てくる。
   男、カメラを連写し始める。
花梨「警察、警察呼ばなきゃ」
   花梨が勢いよく振り返り、降りてきた朱音とぶつかる。
朱音「ったー」
花梨「あ、すみません」
   花梨、バランスを崩してしりもちをつく。
   ばっちりメイクをした朱音が、一瞬顔をしかめるが、すぐに笑顔になって
朱音「あ、大丈夫ですよー」
男「大丈夫か」
花梨「ちょっと、近づいてこないでください」
   朱音、驚きつつ二人を見て
朱音「なにしたの」
男「いや、誤解」
花梨「警察を、呼んでください。この人盗撮魔」
   花梨、何とか立ち上がる。
朱音「ちょ、マジで兄貴」
男「違う違う、お前がカメラで撮れっていうから待ってたんだって」
花梨「兄貴・・・?」
男「そう、そうそう。俺こいつの兄貴」
花梨「そ、それは申し訳ありませんでし、たっ」
   花梨、たっ、と言いながら再び足元の雪に滑って転ぶ。

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