400年後の恋人 恋愛

現代の日本でバンパイアによる吸血殺人が退魔士教会に報告された。 退魔士の一人、リヴェイロ=アルギニアがその調査と解決に臨む。 だがそれは、400年を苦しみぬいた、とある女性との邂逅記録になる
神埼隼人 45 0 0 10/10
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第一稿

日本某所
とある町の外れ。
バンパイアの屋敷のドア前

リヴェイロ「ここが、バンパイアの住む屋敷か。行ってみよう」

ドアを開く。

リヴェイロ「あー、ドア開いち ...続きを読む
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日本某所
とある町の外れ。
バンパイアの屋敷のドア前

リヴェイロ「ここが、バンパイアの住む屋敷か。行ってみよう」

ドアを開く。

リヴェイロ「あー、ドア開いちゃった。いや、人が住んでる雰囲気は無いんだけど
      ・・・こんにちはー。誰かいます・・・か?」
正気を失くした
エリエス 「うう、があああああああ!!」

正気を失くしたエリエス(バンパイア)に正面から首を噛まれるリヴェイロ

リヴェイロ 「は?ぐあ!!な、なにが!?・・・う!?なんだ?力が抜けて・・・」
正気を失くした
エリエス  「ゴクゴク」
リヴェイロ 「・・・一体・・・なに・・・が?・・・女?・・・だめだ・・・意識が・・・」

  エリエスに血を吸われ、意識がなくなるリヴェイロ
  1週間後

リヴェイロ 「・・・ん、ここは・・・」
住民    「あ、気が付かれましたか」
リヴェイロ 「え?」
住民    「ここは私の家です。あなた、バンパイアの屋敷の前で倒れていたんですよ」
リヴェイロ 「これは、申し訳ない。知らぬ間にお世話になってしまったようですね。
       どのくらい寝ていたんですか?」
住民    「1週間です。あなた、この町の人間では無いですよね?」
リヴェイロ 「はい。私はリヴェイロ。リヴェイロ=アルギニアと申します。
       退魔士教会ヨーロッパ本部から派遣されてまいりました。」
住民    「退魔士?日本では聞いたことないですね」
リヴェイロ 「そのはずです。日本に支部はありませんから」
住民    「その退魔士様がなぜ?」
リヴェイロ 「この町のまさにバンパイアの屋敷について調査に来たのです。」
住民    「退魔という語感の響きとは違う気がしますが?」
リヴェイロ 「それの確認も含めてというところです。」
住民    「はあ、そうなんですか。まあ調査するなら止めはしませんが、
       気を付けてくださいよ?バンパイアの屋敷に行って帰ってきたものは
       いませんから」
リヴェイロ 「なるほど、心得ておきます」

  町の外れ。再度バンパイアの屋敷のドア前

リヴェイロ 「さて今度は、ちゃんと警戒して屋敷に入ろう。」

  ドアを開け放ち、剣を構える。

リヴェイロ 「さあこい!」
エリエス  「きゃ!?」
リヴェイロ 「・・・・・・。あれ?」
エリエス  「!? ・・・あ、あなたなぜ生きているの?・・・」
リヴェイロ 「・・・・・・う・・・」
エリエス  「え?」
リヴェイロ 「美しいいいいいいい!」
エリエス  「は?」
リヴェイロ 「お、お名前を聞いてもよろしいですか!」
エリエス  「えっと・・・」
リヴェイロ 「ご趣味は何ですか!」
エリエス  「あの・・・」
リヴェイロ 「今何をされていたんですか!」
エリエス  「ちょ・・・」
リヴェイロ 「この後お時間ありますか!」
エリエス  「ちょっと待って!!」
リヴェイロ 「はっ。これは、すみません。あなたがあまりにも美しいので
       理性を飛ばしました。」
エリエス  「うつ・・・」
リヴェイロ 「いや、そんなことを言っている場合ではありませんね。
       ここは危険なバンパイアの住まう屋敷のようです。
       さ、一緒に屋敷を出ましょう。そして安全なところに避難してください。」
エリエス  「だから、ちょっと待ちなさい!」
リヴェイロ 「・・・はい?」
エリエス  「なんで、・・・あなた生きてるのよ・・・」
リヴェイロ 「・・・はて?なぜ?とは?」
エリエス  「私が、噛み殺したはずなのに!」

リヴェイロ 「・・・なんと。では、この前は一瞬で状況把握が出来ませんでしたが
       私を襲ったあの化け物が?」
エリエス  「・・・ええ。私よ。この前は極度の飢餓状態でね。今の私とは別人みたいでしょ」
リヴェイロ 「みたいというか・・・、別人にしか思えませんね」
エリエス  「あの状態だともう何もかもが分からなくなって、
       見境なく人を襲うようになるの。そして嚙みついた相手が死ぬまで血を飲む。」
リヴェイロ 「なるほど。それで・・・」
エリエス  「だから意味が分からないのよ。何で、あなた、生きてるの?」
リヴェイロ 「む~~~。そう言われるとなぜでしょうね。
       昔っから体力には自信がありましたが。」
エリエス  「いや、体力って・・・そんな力押しみたいな理由?・・・」
リヴェイロ 「ははは。まあ、良く分かりません。」
エリエス  「・・・クス、何よそれ」
リヴェイロ 「ともあれ、私が調査に来たバンパイアは、あなただったという事なんですね。
       ・・・ええと、お名前、聞いていませんでしたね」
エリエス  「エリエスよ。私を、調査?」
リヴェイロ 「エリエスさん、ですか。私はリヴェイロと言うものです。
       私は、退魔士協会ヨーロッパ本部から来た退魔士です。」
エリエス  「・・・そう。殺すの?私を・・・」
リヴェイロ 「分かりません。でもまずは話を聞かせて頂けますか?今のあなたなら、
       なぜ今の状況になっているのか、お分かりなのでしょう?」
エリエス  「・・・まあ、全てではないけど、分かったわ」


ネット通話 通信先は退魔士協会本部資料調査室

カルアス  「・・・はーん、バンパイアねえ・・・」
リヴェイロ 「そんな興味ない態度で聞かないでくださいよ、カルアス調査室長。」
カルアス  「まあ、構わねえけど。どんなだ?」
リヴェイロ 「本人が言うには、400年くらいは生きているそうです。元は普通の人間だったと。」
カルアス  「つまり何か?400年前に何かがあってバンパイアにさせられたってのか?」
リヴェイロ 「そんなニュアンスですね。ここ数十年くらいで
       ようやく自分が人間の血を吸って生き永らえていることに気づいた。
       あるいはその可能性を考えたとか」
カルアス  「?可能性?どういうことだ?」
リヴェイロ 「飢餓状態にある時に吸血しているらしいんですが、
       その時は意識が無くなっているようです。」
カルアス  「その飢餓状態ってのは?」
リヴェイロ 「何日、何週間、何年と血を吸っていたない時に発生する状態と言っています。」
カルアス  「なるほどな。その400年前に何があったのかが分かれば、
       その女がどういう状態にあるのか、分かるかもしれねえってことか。
       分かった、調べてやる。」
リヴェイロ 「お願いします。」
カルアス  「だが、期待はすんなよ。そもそもが世界で知られてる吸血鬼伝説と
       根本的に違う現象だ。そんな記録があるかどうかもわからねえからな」
リヴェイロ 「そこは調査室の能力を信じてます。」
カルアス  「期待はすんなって言ったからな。取り敢えず1週間くらいだ。時間よこせ」
リヴェイロ  「分かりました。また連絡します。」

通話を着る

エリエス  「リヴェイロさん?」
リヴェイロ 「エリエスさん。今仲間に調査を依頼したところです。1週間後にまた連絡します。」
エリエス  「じゃあ、1週間はここにいるの?」
リヴェイロ 「はい。あなたを一人にはしません。」
エリエス  「(ドキッ)そ、そう、まあ好きにすればいいわ。」
リヴェイロ 「はい、そうします。」

1週間経過直前の夜 エリエスの屋敷の一部屋

カルアス  「うい、退魔調査室だ。」
リヴェイロ 「室長、リヴェイロです。結果はどうでしたか?」
カルアス  「おま、・・・・・・せめて明日まで待てねえのか、
       こんな夜遅くに電話して来やがって」
リヴェイロ 「いやー明日か明日かと思ったら、待てなくて」
カルアス  「・・・はー、まあ良い。そこそこ調査結果はまとまってたしな。」
リヴェイロ 「はい」

  次の日の朝 エリエスの屋敷 食堂

エリエス  「・・・・・・はぁ、・・・・・・まずいわね、この感じ。
       やっぱり、リヴェイロさんと一緒にいるからかしら・・・」
リヴェイロ 「エリエスさん、おっはようございます!」
エリエス  「!?お、おはようございます。なんか、元気ですね。」
リヴェイロ 「はい、わたしは元気だけが取り柄のような男ですから」
エリエス  「・・・それにしては何か、頑張ってるような?」

  フラッシュバックする昨夜の電話

カルアス  『正直なところ、お前が言ってたその女が
       バンパイアたる明確な根拠は見付からなかった。
       だが、ある推論を挟んだら、これじゃねえかと思える記録は見つかった。』

  エリエスの屋敷 食堂

リヴェイロ 「今日の朝食は何ですか?エリエスさんのごはんは美味しいので楽しみで。」
エリエス  「・・・エッグハムトーストよ」
リヴェイロ 「おほう、楽しみだ。」
エリエス  「はいはい。さ、座ってください」
リヴェイロ 「はい!」
エリエス  「私はちょっと、手を洗って来ますね」
リヴェイロ 「?分かりました」

カルアス  『中途半端な儀式だ。元はおそらく賢者の石を作るための術式だったんだろうと
       推測されている。だが、記録されている内容はとんでもない。
       ドシロートが見よう見まねで作った、へんてこな儀式だ』
リヴェイロ 『へんてこ?』
カルアス  『血液が消費されるだけの、
       術をかけた相手を呪い殺す儀式に成り下がってんのさ。』

リヴェイロ 「エリエスさん?失礼かと思いますが、覗きますよ」
エリエス  「り、リヴェイロさん。どうしたんですか?」
リヴェイロ 「いえ、食べ終わっても戻ってこないので、どうしたのかと」

カルアス  『ひっかかるのは、
       この記録が作られた後何十年にも渡って
       ヨーロッパの町や村がバンパイアの仕業と思しき状態、
       人間が血を吸われて全滅してることだ」』

エリエス  「ごめんなさい。今日はちょっと調子が悪いかもしれないわ」

カルアス  『前に言ってたお前の聞き取りの証言と合わせると、
       その女はこの400年の間に数知れねえ町や村を
       住人の血を吸って全滅させてる可能性があるってことだ。』

リヴェイロ 「おれの血を吸いますか?」
エリエス  「え?」

カルアス  『それと、これは全くの別角度からの調査なんだがな。』

リヴェイロ 「あなたの今の状態、調子が悪いのではなく、
       血が欲しいのを押さえているのかな?と思って」
エリエス  「ど、どうして?」
リヴェイロ 「あなたはこの1週間、自分から外へ出ることはしませんでした。
       そして俺があなたに襲われた後会ったこの町の住人からは、
       この屋敷に行って帰ってきた人はいないと伝えられました。
       恐らく定期的に住人の血を吸っていたからではないかと推測しています。
       でも、恐らく本来のあなたは血なんて吸いたくないんでしょう。
       それはこの1週間、俺が襲われていないことでも証明されていると思っています。
       だけど、あなたにとって、この1週間は拷問か、
       それに近い状態だったんじゃないでしょうか。
       俺という血を吸える相手がいながら、それをしなかった。
       辛いんじゃないですか?」
エリエス  「・・・・・・嫌よ。」
リヴェイロ 「ですが・・・」
エリエス  「イヤ。私は、私はバンパイアなんかじゃない。」
リヴェイロ 「ですが、今はそうしないと生きられないのでは?」
エリエス  「それでもイヤーー!!」

カルアス  『お前の遺伝上の祖先がその女と恋仲だったかもしれねえってことだ』

エリエス  「んむうううう(リヴェイロさん!?・・・キス!?ダメ、リヴェイロさんの唇、
       傷つけちゃう・・・ゴク)」

エリエス  「ううう・・・」
リヴェイロ 「え、エリエスさん?」
エリエス  「ああああああああああああ!!」
イオラの怨霊「やめてええええええええええ!!」
リヴェイロ 「な!?」
エリエス  「あああ・・・」
リヴェイロ 「エリエスさん!!っとと。・・・これが、呪いの正体・・・姉さん!」
エリエス  「・・・え?」
リヴェイロ 「・・・ねえさん?どういうことだ?なぜ、俺は・・・」
イオラの怨霊「なぜなの?・・・なぜこの女なの?」
エリエス  「リヴェイロさん・・・。お姉さんて・・・」
リヴェイロ 「分かりません。なぜか、口をついて出ました。」
イオラの怨霊「・・・やっぱりそうなの?・・・その女がいなければいいの?」
エリエス  「あれはあれで、何を言ってるの?」
イオラの怨霊「エリエス・・・エリエスー!」
エリエス  「!? なんで、私の・・・」
リヴェイロ 「危ない!!」
エリエス  「あ、ありがとう?」

イオラ   『ほらスタンレー、また食べカス口につけて・・・よし、取れた』
スタンレー 『へへ、ありがと、お姉ちゃん』

リヴェイロ 「!? 今のは・・・」
イオラの怨霊「うううう、ああああああ!!」

スタンレー 『お姉ちゃん、エリエスお姉ちゃんて、やさしいね』
イオラ   『・・・そう。さ、お夕飯にしましょう。今日はシチューよ』
スタンレー 『やったー、お手伝いするー』

リヴェイロ 「・・・また、ぐっ!?」
エリエス  「リヴェイロさん!」
リヴェイロ 「大丈夫です、エリエスさんは下がってて!」
イオラの怨霊「エリエス、この女がいなければー!!」

スタンレー 『今日エリエスお姉ちゃんがね』
スタンレー 『エリエスさんが・・・』
スタンレー 『エリエスさんてさ。』

イオラの怨霊「あああああああ!!」
リヴェイロ 「・・・・・・イオラ・・・姉さん?」
エリエス  「!? なぜ、リヴェイロさんが、その名前を・・・」
イオラの怨霊「!?」
リヴェイロ 「・・・分かりません。この霊の攻撃を受け止めるたびに、
       何かフラッシュバックの様なものが、映像が浮かんできて。
       そしたら、口をついて出ていました。」
エリエス  「・・・イオラは、400年前の私の友人です。」
リヴェイロ 「!? そうでしたか。」
エリエス  「でもそれと、この悪霊と何の関係が・・・」
イオラの怨霊「誰が悪だ!スタンレーをたぶらかしたお前の方が、よっぽど悪女だ!」
リヴェイロ 「!?・・・・・・まさか、それが理由?」
エリエス  「は?一体なにを・・・」
イオラの怨霊「せっかく醜く死ぬように祈ったのに、なんで未だに生きてんだよ!」
エリエス  「は?・・・・・・つまり何?私が死ねないのは、
       400年も血を吸わされてきたのは、イオラのせいだったってこと?」
リヴェイロ 「そして、その理由はスタンレーなる人物をエリエスさんが奪ったから?」
エリエス  「あー、リヴェイロさん。スタンレーはイオラの実の弟よ。」
リヴェイロ 「・・・・・・はい?」
イオラの怨霊「そうよ!あの子にはあたしがいれば良かったのよ!
       あたしだけがいれば良かったのよ!!」
リヴェイロ 「・・・えっと、昔って、姉弟で?」
エリエス  「良いわけないわ」
イオラの怨霊「そうよ、だから奪ったのよ。奪われる前に奪ったのよ、あの子の初めてを!!」
リヴェイロ 「な!? まさか無理やり!?」
イオラの怨霊「そんなわけないでしょ!!あの子が寝てる間にやったわよ!」
エリエス  「そんな声高に言う事でもないでしょ。」
リヴェイロ 「だが、それでなぜエリエスさんを・・・」
イオラの怨霊「あの子はあたしの弟だもの!ブスに心奪われるわけないわ!
       あたしの様な美人がふさわしいの!!」
エリエス  「・・・ああ、そう。」
リヴェイロ 「・・・まさか・・・」
エリエス  「・・・?リヴェイロさん?」
リヴェイロ 「俺は、そのスタンレーの生まれ変わり?」
エリエス  「へ?」
イオラの怨霊「は?」
リヴェイロ 「さっきからイオラ姉さんの攻撃を受け止めるたびに見えていたのは、
       イオラ姉さんとスタンレーの記憶でした。」
エリエス  「そ、そうなの?」
リヴェイロ 「最初こそ、なぜそんな光景がと思っていましたが、
       俺がスタンレーの生まれ変わりとすれば、それなりに納得出来そうなんですが。」
イオラの怨霊「そんなわけあるかああああ!」
リヴェイロ 「あ、やっぱりそうですよね」
イオラの怨霊「お前みたいなブ男があの子なわけないだろおおお!!」
リヴェイロ 「あ!そっちですか!」
エリエス  「リヴェイロさんは・・・スタンレーみたいな中性的じゃなくて、
       ・・・男前の方よ」

  通信機のディスプレイにはカルアス調査室内の映像が表示されている

カルアス  「いや、可能性はあるかもだぞ?」
エリエス  「え?」
イオラの怨霊「は?」
リヴェイロ 「マジですか?カルアス室長」
カルアス  「ああ。昨日の夜言ったろリヴェイロ?
       お前の遺伝上の祖先が恋仲だったかもしれねえって」
リヴェイロ 「はい・・・。」
カルアス  「正直信じられねえが、今そこにある状況を踏まえると、
       信じざるをえねぇというか。そのイオラって女?で良いんだよな?
       ディスプレイ越しだといまいち映りが悪いみたいだが。」
エリエス  「まあ、悪霊だしね」
イオラの怨霊「だから誰が!!」
カルアス  「あー、悪い、進めていいか?」
リヴェイロ 「イオラ姉さん、今はカルアスの話をね」
イオラの怨霊「お前も姉と呼ぶな!」
カルアス  「おい、収集つかねえみたいだけど、どうすんだ?」
リヴェイロ 「イオラ・さ・ん。今は抑えてください」
イオラの怨霊「ふん」
カルアス  「該当しそうな町や村の住民記録とか探してたらな、
       家系図的なものが分かってきたんだが、そこから推察するに
       そのイオラって女とスタンレーって男の子孫が、
       リヴェイロ、お前である可能性が見えてきたんだ。」
エリエス  「ホントなんですか?それ。」
カルアス  「おっと、そちらはエリエスさんだったか。
       あんたもとんでもねぇ状態にあるんだな、400年も生きてるとか。」
エリエス  「どうも。それで、・・・」
カルアス  「ああ、わるいな。記録が断片的で、調査のプロとして断言出来る状態にはねえが、
       リヴェイロがイオラとスタンレーの子孫である可能性は高い。」
エリエス  「噓でしょ?2人、姉弟よ?」
カルアス  「それについてはさっきあったらしき戦いの中でイオラさん自身が
       説明してたみたいだけどな。恐らくそれで事実としては間違いない。」
エリエス  「弟の寝込み襲うなんて、サイテー」
イオラの怨霊「あんたがたぶらかさなきゃ、そんなことしなかったわよ!!」
カルアス 「すまんが、先に俺から説明させてもらうぜ。
      ケンカするなら終わってからにしてくれ。その証って言っていいのか分からんが、
      リヴェイロ、お前以前から異常な体質だったよな?」
リヴェイロ 「ん?異常?何が?」
カルアス  「何がって、体力の回復が凄まじく早かったり、怪我の治りが早かったりとよ」
リヴェイロ 「・・・ああ、言われてみれば」
エリエス  「それで言ったら、私と初めて会ったときにもそうよね。
       ものすごい血を吸ったのに、1週間でケロッと回復してきて」
リヴェイロ 「そう言えば、驚いてましたね」
カルアス  「なるほど。そこまで影響したのか」
リヴェイロ 「どういうことですか?」
カルアス  「仮にお前がイオラさんとスタンレーさん姉弟の直接的な子孫なら、
       姉弟交配による遺伝子異常で、お前の体がさっき言ってた
       異常体質になった可能性があるってことだ」
リヴェイロ 「は!?で、でも、イオラさんとスタンレーさんは400年も昔の人ですよ?」
カルアス  「正直、科学的な立証が何一つ出来ねえからな。その2人の行為のあと、
       子孫がどのタイミングで異常が起こるかなんて、
       予想もできなけりゃ推測も出来ねえよ。どこまでも可能性だ。
      ・・・ところで、リヴェイロ、その口どうした?なんか赤くなってねえか?」
リヴェイロ 「え?ああ、これですか。」
カルアス  「なんだ?誰かに噛みつかれたか?」
エリエス  「はっ・・・」
リヴェイロ 「これは・・・」
カルアス  「あん?なんか言いにくいことだったか?」
リヴェイロ 「エリエスさんとキスした時のやつです・・・」
カルアス  「・・・そんなタイミング、というかお前にそんな甲斐性あったのか?」
リヴェイロ 「キッチンで辛そうにしているエリエスさんを見たら、放っておけなくて・・・。
      でもその時でしたね。イオラさんの霊が現れたのは」
エリエス  「そ、そうね」
カルアス  「は~ん。そういうことか。ならますます、
       お前が2人の子孫でかつ遺伝子的にスタンレーに近い存在だってことが
       濃厚になるな」
イオラの怨霊「どういうことよ」
カルアス  「恐らくだが、根本的なところから言うと、イオラさん。
       あんた、エリエスさんを呪ったんじゃないか?」
イオラの怨霊「そうだけど?」
エリエス  「既に悪びれもしないわけね」
カルアス  「ならその呪いは、ある意味成功したのか。本来の術式とは全く違う意味で。
       イオラさんは、当時の教会に入信してた人だったのか?」
イオラの怨霊「いいえ、興味なんてなかったわ」
カルアス   「なら呪いに使った術式が、本来は賢者の石を作るためのものだったことは
        知ってるか?」
イオラの怨霊「知らないわ、何も。私が見たのは【醜いミイラになる】の一文よ」
カルアス  「ならその術式がやたら中途半端なものになって、
       なおかつイオラさんの寿命を食ったことは?」
イオラの怨霊「は?寿命?」
カルアス  「なるほどな。多分、今霊の姿でエリエスさんに取り憑いているのも
       術の副作用だな。」
リヴェイロ 「なんとか、出来るんですか?」
カルアス  「ここまでの話がほぼ全て憶測の積み重ねだからな。正直、現時点では分からん。
       なおかつ、エリエスさんがどうなるかわからねえ」
リヴェイロ 「え?」
カルアス  「恐らくエリエスさんが400年生き永らえたのはイオラさんの呪いのせいだ。
       同時に400年生きた体はその呪いから解き放たれた場合、最悪崩壊する。
       生きていられないだろう。人間の体は、そんな長い時間形を保てない
       はずだからな」
リヴェイロ 「そんな・・・。」
エリエス  「・・・じゃあ私が、リヴェイロさんと一緒にいたい場合、
       呪いなんてかけてくる性悪女と共存しないといけないわけね」
イオラの怨霊「ふん。せいぜい呪ってやるわ」
リヴェイロ 「そういえば、話を差し込んじゃいましたけど、
       なぜイオラさんの霊が現れたんですか?」
カルアス  「簡単だ。お前がエリエスさんとキスして多分だが、血を飲ませたからだよ。
      根本がスタンレーさんとエリエスさんに対する嫉妬だからな。
      本能的に反応したんだ。」
リヴェイロ 「なら、イオラさんの攻撃を受け止めている時に、
       イオラさんとスタンレーさんの記憶がフラッシュバックしたのは・・・」
カルアス  「いくら退魔の剣で攻撃を防いでも完全じゃあない。
       霊的余波をお前が全身でか、あるいは怪我した唇で受け止めたせいだろうな」
イオラの怨霊「じゃあ何?本当にこの男がスタンレーだっていうの?」
カルアス  「とまあ、俺が解説できるのはここまでだ。あとはそっちでけりつけてくれ」

 カルアスが通信を切る

エリエス  「・・・どうするの?リヴェイロさん。退魔士として、私を殺す?」
リヴェイロ 「・・・出来ません。」
エリエス  「でもそれじゃ、また私は血を欲しがることになるわ。」
リヴェイロ 「方法は探します。それに、イオラさんをちゃんと成仏させてあげたい。
       祓うんじゃなくて。」
イオラの怨霊「あんた、そんなこと考えてたの?」
リヴェイロ 「カルアス室長の話ではエリエスさんのある意味命を握ってるのがイオラさん
       だということ。俺は・・・無理やり祓って2人を同時に無くすなんて、
       できません。2人とも、既に俺の大事な人なんです。
       円満エンドを考えたいです。」
エリエス  「でも、それなら私は・・・」
リヴェイロ 「俺の血を吸ってください。俺なら死ぬことはありません。」
エリエス  「・・・ありがとう・・・」
イオラ   「・・・はぁ、そうなると、あたしもしばらくはあんた達に
       付き合う事になるわけね。」
リヴェイロ 「うん。今すぐ何とかしてあげられなくてごめんね姉さん。」
イオラ   「だから・・・、もういいわ。」
リヴェイロ 「ありがとう。・・・よし、それじゃ、これからどうします?」
エリエス  「私は、この町にはいられないわ。何人も人の血を吸ってる」
リヴェイロ 「なら、退魔士協会に行きますか。みんな超常現象に慣れてる人たちですから、
       受け入れてもらえると思います。」
エリエス  「それもいいかもね。じゃあ、これからよろしくね。リヴェイロさん。」
リヴェイロ 「はい。イオラ姉さんも。」
イオラ   「ふん、さりげなく呼んでくれるわね。良いわよ、この年増好き」
リヴェイロ 「はい!?」
エリエス  「は!?」
イオラ   「だってそうでしょ?この女既に425歳超えてるのよ。年増も年増じゃない」
エリエス  「この、それを言ったらあんただって・・・」
リヴェイロ 「失敬な。年上好きと言ってください!!」

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