すすきじゃなくて ドラマ

小学生の拓磨は、友達の望と亮太と野球をする日々。ほんとは幼なじみの沙也香とおままごとしたいのに。
橘ゆづは 59 0 0 09/04
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第一稿

人 物
小泉拓磨(4)(6)小学一年生
中村沙也香(4)(6)小学一年生
小泉純子(26)拓磨の母
高井望(5)小学一年生
小久保亮太(6)小学一年生
浅野友里(40) ...続きを読む
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人 物
小泉拓磨(4)(6)小学一年生
中村沙也香(4)(6)小学一年生
小泉純子(26)拓磨の母
高井望(5)小学一年生
小久保亮太(6)小学一年生
浅野友里(40)保育士

〇すすき保育園・遊戯室(夕)
   部屋の一角に固まって座り、おままごとをしている小泉拓磨(4)、中村沙也香(4)、と女の子たち数人。
友里の声「拓磨くーん、お母さん来たよー」
   部屋のドアのところに、浅井友里(40)と、その後ろから顔を出している小泉純子(26)。
拓磨「ちょっとまってー」
拓磨、プラスチックの包丁でニンジンを切ったりしながら、
拓磨「ニンジンも入れるね」
   と、沙也香の持っている鍋に入れる。
沙也香「うん!」
   と、鍋に入っている具をまぜている。
   純子と友里、その様子を見ていて、
純子「女の子とばっか遊んでるみたいだけど、大丈夫かしら?」
友里「心配しなくても大丈夫ですよ。小学校に入ればまた交友関係も変わりますし。女の子たちと仲良くできるっていうのは、いいことですよ」

〇堤防
   ランドセルを背負った拓磨(6)、高井望(5)、小久保亮太(6)、石を蹴飛ばしながら横に広がって歩いている。
   足元には青々としたすすきがたくさん生えている。
亮太「今日もここで集合な」
拓磨「うん」
亮太「帰ったらすぐグローブ持って来いよ」
望「拓磨、また貸して?」
拓磨「いいよー」
   と、蹴った石がコロコロと転がり、背の低いすすきの生えた土手から川に落ちる。
   拓磨、立ち止まり石が落ちたところを見つめている。
   望と亮太、気付かずにどんどん先に歩いていく。
   拓磨、ハッとして二人を追いかける。

〇小泉家・外
   家に向かって道路を歩いている拓磨。
   後ろから沙也香(6)、走って追ってきて、
沙也香「拓磨くん!」
   と、拓磨の横に並ぶ。
拓磨「わ」
沙也香「今日、遊ばない?あいちゃんも来るんだけど、あいちゃんね、いっぱいいろいろ持ってて」
拓磨「……ごめん、今日も亮太たちと野球するんだ」
沙也香「……そっか、残念。じゃああいちゃんと二人で遊ぶね」
   拓磨、家の門を開ける。
   沙也香、小泉家を通り過ぎて、隣の家に入っていく。
   拓磨、門の取っ手を持ったまま、沙也香の後ろ姿を見ている。

〇堤防(夕)
   バットを構える亮太に向かってボールを投げる望。
   拓磨、亮太の後ろにしゃがみ、ボールをキャッチしようとしてグローブがボールをはじき、落とす。
   拓磨、転がったボールを走って取りに行き、大きく振りかぶって望に投げる。
   望、キャッチして、
望「拓磨、変わる?」
拓磨「いや、いいよ」
   亮太、バットを下ろして、
亮太「そろそろ変わりなよ」
   望、拓磨に近づき、ボールを差し出して、
望「ほら」
   拓磨、ボールをもらい、望と位置を替わる。
   拓磨、ゆっくりとボールを投げる。
   亮太、バットの真ん中にボールを当て、ボールは拓磨の頭上を越えていく。
亮太「よっしゃ」
   とガッツポーズ。

    × × ×

   夕日でキャッチャーをしている拓磨の顔が赤く染まっている。
   亮太、ボールを投げようとして夕日に気付き、
亮太「やべ、もう帰らなきゃ怒られるっ」
望「ええ、もうちょっとやってこうよ」
亮太「まじで怖いんだようちの母ちゃん」
   と、すすきの上にあるタオルとバットケースを拾う。
   望からバットを奪い急いでケースにいれると、
亮太「じゃ、今日は解散!」
   と走っていく。
拓磨「じゃあ僕もそろそろ」
   と立ち上がる。
   望、拓磨に振り返って、
望「あのさ、お願いがあるんだけど」

〇小泉家・拓磨の部屋
   学習机に座っている拓磨。紙を切って何かを作っている様子。
   机の上には『夏の生活』が埋もれている。
   ノックの音がして、扉が開き、純子が顔を出す。
純子「宿題、やってる?」
   拓磨、ビクッとして、純子を見る。
拓磨「う、うん」
   純子、机を覗き、
純子「早めに終わらせるのよ。明日はお父さんが休みだから、キャッチボールしてくれるって」
拓磨「え……グローブ、貸しちゃった」
純子「貸した?」
拓磨「望が夏休みの間貸してって。二個あるしいいよって貸したの」
純子「……拓磨、一緒に遊ぶときに貸すのは良いけど、なくされたりしたら大変でしょ?グローブも高いんだから、今から返してもらいに行きなさい」
拓磨「え、今から?」
純子「そう」
拓磨「まだ夏休み始まったばっかなのに」
純子「でもそれじゃあ明日お父さんとキャッチボールできないでしょ?」
   黙り込む拓磨。

〇高井家・玄関先
   古びたアパートの一階。
   拓磨、呼び鈴を押す。
   シーンとしていて、返答がない。
   どこからか、ボールの弾む音がする。

〇アパート・脇道
   望、コンクリートブロックの塀にボールをぶつけて、ゴロを取る練習をしている。
   拓磨、望を見つける。
   望、集中していて拓磨には気付かない。
   拓磨、少し離れたところから望の様子を見ている。

〇堤防
   白くなったすすきの穂が揺れている。

〇小学校・教室
   机をくっつけた島を作って粘土をいじっている子どもたち。
   沙也香、廊下側の席で、お弁当に似せた消しゴムを見ながら、再現しようとしている。
   拓磨、粘土まみれになった手を掲げて教室のドアに向かう。
   拓磨、沙也香の消しゴムに気を引かれて止まり、まじまじと見つめる。
   沙也香、拓磨に気付き、
沙也香「消しゴムなんだよ、ばらばらにできるの」
   と、粘土まみれの手で触ろうとし、拓磨、沙也香の手を止める。
   沙也香、拓磨を見て、
沙也香「拓磨くん、いつまたおままごとするの?」

〇堤防(夕)
   望、ゆっくりと下投げでボールを投げる。
   亮太、拓磨の後ろにしゃがんでいて、ニヤリと笑う。
   拓磨、ふわっとしたボールをバットに当てる。
   ボールが飛んでいく。
望「やったじゃん!」
亮太「ナイス!」
   と、走ってボールを追いかける。
   拓磨、ぼそっと、
拓磨「ごめん、帰る」
   と、バットを捨てて、走り出す。
   すすきを踏みつける。
亮太「拓磨?」
   拓磨、振り返らずに走り続ける。
   望、唖然として、
望「……行っちゃった……」

〇中村家・外(夕)
   拓磨、紅潮した顔で、呼び鈴を鳴らす。
   ピンポーンという音がすると、二階の窓のカーテンが開き、沙也香が背伸びして玄関先を見る。
   沙也香、拓磨と目が合い、にっこり笑うと姿が見えなくなる。

<終>

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