危険な火遊び ホラー

不倫する人間ばかりが怪死する事件が起きた。 愛に飢えた刑事は、不貞に走り、怪異に巻き込まれる。
山岸遼 8 0 0 04/05
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第一稿

   人物
荒木兼高(36)  刑事
荒木英恵(33)  荒木の妻
奈良美紀(27)  被害者
佐野瑞貴(29)  荒木の後輩
麻生叶(25)   荒木の不倫相手

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   人物
荒木兼高(36)  刑事
荒木英恵(33)  荒木の妻
奈良美紀(27)  被害者
佐野瑞貴(29)  荒木の後輩
麻生叶(25)   荒木の不倫相手


〇荒木家・浴室(夜)
   激しく流れるシャワー。
   排水溝に流れるお湯。
   くゆり立つ湯気。
   荒木兼高(36)の背中、無数のタバコの痕。
   荒木、壁に手をつき、頭からシャワーを浴びる。顔を上げると、鏡に自身の姿が浮かぶ。
荒木「……」
   荒木、自身の姿をぐっと睨む。

〇同・リビング(夜)
   ガスコンロから、ドッと火がつく。
   荒木英恵(33)、コンロにフライパンを置く。野菜などを炒める。
   荒木、髪を拭きながら、入る。
英恵「おかえり」
荒木「お先」
   と、椅子に掛ける。
英恵「ごめん、まだできてなくて」
荒木「ん?」
英恵「夕飯、ちょっとバタバタしてて」
荒木「急に帰れることになって、悪いな」
英恵「ううん、捜査は大丈夫なの?」
荒木「まあな」
英恵「ありがとう、帰ってきてくれて」
   荒木、英恵の背中を見つめる。微笑む。

〇ホテル・外観
   錆びれたラブホテル。

〇同・廊下
   慌ただしく駆け回る警官たち。
   奈良美紀(27)、ソファに座っている。虚ろな目。震える手。拳をぎゅっと握る。

〇同・客室
   ベッドの上、加賀谷実(42)の遺体。四肢があらぬ方向に折れ曲がっている。顔は原型をとどめていない。左手薬指に指輪。
荒木と佐野瑞貴(29)、遺体を見下ろしている。
佐野「また……」
荒木「7人目だ」
佐野「むごい有様ですね」
荒木「愛を得ようとした罰か」
佐野「え?」
荒木「愛があるから事件が起きる。愛の数だけ人が死ぬ」
佐野「荒木さん、奥さんいますよね」
   荒木、薄ら笑う。
   外から、女性の悲鳴。
   佐野、ハッとして振り返る。荒木と顔を見合わせる。
   荒木、ぐっと睨む。

〇同・廊下
   美紀、顔を強張らせて、後ずさる。錯乱状態。
美紀「やめて! こないで!」
   怪訝に見つめる警官たち。
   美紀、花瓶を手に取り、投げつける。
   パリンと割れる花瓶。飛び散るバラと水しぶき。
   荒木と佐野、客室から出る。
荒木「どうした?」
警官1「そ、それが……」
美紀「こないで!」
   荒木、美紀に近づく。
荒木「奈良さん」
美紀「不倫しただけでしょ! ほっといてよ!」
   美紀の視線は、荒木の先に注がれている。
   荒木、振り返る。
   何もない。
荒木「奈良さん?」
   美紀、呼吸が荒くなる。
美紀「……」
   美紀、咄嗟に花瓶の破片を手に取る。
荒木「!」
美紀「消えて!」
   と、先端を向ける。
荒木「落ち着いて、奈良さん」
美紀「いいから、こないで!」
荒木「何に怯えているんです」
美紀「いいの、殺すよ。あんたを殺す!」
荒木「奈良さん!」
   美紀、突如悶え始める。
美紀「う……ぐ……」
   美紀、先端を自身に向ける。
荒木「おい、よせ……!」
   美紀、自身の首を掻っ切る。
   飛沫をあげる血。
   美紀、その場に崩れ落ちる。
荒木「……なんなんだ、これ」
   呆然とする警官たち。
   荒木、頬をピクつかせる。

〇ホテル近くの道/停車中の車内
   窓の外、タンカーが救急車に運ばれる。
   荒木、助手席。漠然と眺めている。
   佐野、運転席に入って、
佐野「荒木さん、彼女と面識ありました?」
荒木「俺を殺そうって?」
佐野「『あんたを殺す』って言われてましたよね」
荒木「そう見えただけだ」
佐野「はい?」
荒木「位置関係的にな」
佐野「誰に言ったんです?」
荒木「見えてたんじゃないのか、彼女には」
佐野「またまた、あの話信じているんですか」
荒木「信じてないのか」
佐野「不倫した人間だけが呪われるなんて、そんな……」
   と、呆れ笑う。
荒木「いい加減、認めるべきだ。この事件、人智を超えた何かが作用している」
佐野「……」
   荒木、窓の外に目を移す。
   遠くに女が立っている。荒木を睨んでいる。

〇アパート・叶の部屋(夜)
   ベッドの上。荒木、麻生叶(25)にキスをする。
叶「会いたかった」
   荒木、叶の頬にそっと手を触れる。左手薬指に指輪。
叶「荒木さん、会いたか――」
   荒木、叶の口を塞ぐようにキス。徐々に激しくなる。
   ×   ×   ×
   ベッドに横になる荒木。背中、タバコの痕。
   叶は荒木の背中にそっと手を触れて、
叶「奥さんにはなんて?」
荒木「捜査」
叶「嘘つき」
   荒木、ニヤリと笑う。
叶「罪悪感とかないの?」
荒木「罪悪感?」
叶「……この関係」
荒木「何も感じない人間に育ってしまったらしい」
   叶、タバコの痕に触れる。
叶「原因はこれ?」
荒木「遠い昔の話だ」
叶「……そっか」
荒木「何故そんなことを訊く?」
叶「荒木さんのこと、もっと知りたくて」
荒木「知ったら愛せ――」
叶「奥さんのこと、愛してないの?」
荒木「……愛してくれている」
叶「荒木さんは?」
荒木「……」
荒木、叶に向き直る。
荒木「ここにいることが全てだ」
   荒木、叶に口づけしようとする。
   視線の先に、女が立っている。
荒木「!」
   荒木、咄嗟に起き上がる。
荒木「誰だ!」
   叶、ビクッとして、身体を起こして、
叶「どうしたの?」
   荒木、ベッドから出て、
荒木「お前、さっきもいたな」
叶「……荒木さん?」
   女は動かない。
荒木、恐る恐る近づく。
叶「どうしたの?」
   女は消える。
荒木「!?」
   荒木、周囲を見渡す。
叶「ね、何があったの?」
   荒木、叶と顔を見合わせる。
荒木「……俺の番か」
叶「え……?」
   荒木、顔を強張らせる。
荒木「叶、お前は大丈夫か」
叶「何のこと?」
荒木「視えなかったか?」
叶「え?」
荒木「何かあったらすぐに俺を呼べ」
叶「荒木さん?」
荒木「俺は……」
   荒木、大きく息を吐き出す。
   荒木の背中、無数のタバコの痕。

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