SK ~公安部外事二課特別捜査班~ アクション

 歌舞伎町署の刑事、渡辺千夏(29)は、警視庁公安部外事二課に異動させられる。班の名前は『SK』。千夏以外には二人の班長しかいない。チャラくてふざけた調子の千代田丈一(32)と、寡黙な金城一騎(38)。二人に同行する千夏だが、違法捜査ばかりな上、突然、容疑者を殺害する千代田。二人の口から、SK班の真の目的が語られる。
永田勝栄=ガチ脚本家志望 12 1 0 06/24
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第一稿

 登場人物

渡辺千夏(15/29)歌舞伎町署の刑事
千代田丈一(32)警視庁外事二課特捜班班長
金城一騎(キンジョウイッキ)(38)同上
山田剛一(26)新人刑事、千夏 ...続きを読む
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 登場人物

渡辺千夏(15/29)歌舞伎町署の刑事
千代田丈一(32)警視庁外事二課特捜班班長
金城一騎(キンジョウイッキ)(38)同上
山田剛一(26)新人刑事、千夏の相棒
安明学(アンミョンハク)(36)フリーター
渡辺晴夏(17)千夏の姉
武田聖人(タケダマサト)(23/38)教師
小田智弘(58)防衛省情報本部長
村井竹虎(60)内閣情報官
近藤光也(54)警視庁公安部長
中田一茂(61)防衛大臣
田辺健次郎(24)陸上自衛隊員
キャッチ
課長
ギャルA、B
男、田中、警官

○住宅街(夕方)
   制服姿の渡辺千夏(当時15)が歩いている。ふと前を見て、立ち止まる。渡辺晴夏     (17)と武田聖人(23)が話している。40m程先である。千夏から見て、二人は横   向きに対面している。武田はフードを被っていて、顔が見えない。
   怪訝に目を凝らしながら、また歩き始める千夏。5、6歩歩き、名前を呼ぶ。
千夏「晴夏!」
   こちらに振り向く晴夏。
   その瞬間、腰からナイフを取り出す武田。すぐに晴夏の腹部を思い切り刺す。
   呆然と、立ち止まる千夏。
千夏「え?」
   武田はナイフを抜き、逃走していく。千夏、涙目で、慄いた表情。
   晴夏の元に駆けていく。
   晴夏の横に付く千夏。涙を流しながら、
千夏「晴夏、晴夏!」
   と、晴夏の肩を揺さぶる。
   辛うじて目が開いている晴夏。
   千夏の腕を掴む。何か言おうとするが、口から血が溢れ出てくる。
千夏「何で、何で」
   千夏は携帯を取り出し、震える指で119を押していく。
   千夏の腕を掴む晴夏の手が、段々と下がっていく。息絶える晴夏。
   千夏は強く目を瞑るが、涙が溢れ出てくる。悲痛に泣き叫ぶ。

○タイトル『SK~公安部外事二課特別捜査班~』

○歌舞伎町・一番街・外観(夜)
   ネオンが煌めき、大勢の人通り。
   
○同・中央通り(夜)
   居酒屋が多く並ぶ繁華街。
   千夏(29)と山田剛一(26)が、居酒屋のキャッチと話している。
キャッチ「皆やってるじゃないっすか!」
千夏「ダーメ、こないだも注意したでしょ?」
キャッチ「うちは裏路地で立地悪いんすよ、キャッチ出来ないと食ってけないっすよ」
山田「営業停止にもなり得ますよ?」
キャッチ「そりゃないっすよ~」
千夏「せめてビラ作りなさいビラ。そしたらギリギリセーフだから」
キャッチ「はいはい。てか俺らなんかより、源龍会どうにかしてくださいよ」
山田「源龍会? あの、チャイニーズ系の」
キャッチ「はい。魚市酒場のケツモチっすよ」
千夏「(溜息を吐き)またあそこか~」
キャッチ「チャイ系のキャッチ会社はマジでダリいっすよ。ちょっとエリア超えただけでマジで ケツモチ出して来ますからね。客の横取りなんてしょっちゅうだし」
千夏「あそこもかなりグレーね」
キャッチ「完全にクロって噂っすけどね」
千夏「黒?」
キャッチ「あそこの源龍会のオーナー、オレオレやってるらしいっすよ」

○歌舞伎町警察署・外観(夜)
   署の表札が見える。

○同・生活安全課・廊下(夜)
   制服警官や刑事達が歩いている。
   上に「生活安全課第四係」と書かれたプレートが見える。

○同・第四係(夜)
   刑事達が働いている。
   デスクに座り、報告書を作成している千夏。向かいのデスクで、山田も報告書を作成して   いる。
山田「今日の詐欺のネタ、どうするんです?二課か四課に伝えますか?」
千夏「いや、まだ早い。ガセかもしんないし。確実な証拠を掴んだら伝える」
山田「それ、僕らがやって大丈夫なんですか?」
千夏「うるさいな、あんたも点数稼ぎたいでしょ? 刑事は上司に気に入られないと上に上がれ ないの。分かったらさっさと報告書書いて、あと倍あるから」
山田「倍ですか!? 帰れないじゃん」
千夏「あ、あと言い忘れた。刑事の仕事の約半分は、報告書の作成だから。よろしく」
山田「え~」
   と言って、背もたれに寄り掛かる。

○タワーマンション・外観
   高級な雰囲気が漂っている。

○同・前の道路
   覆面パトカーが停まっている。

○覆面パトカー・車内
   運転席に山田、助手席に千夏が座っている。マンションを監視している山田。
山田「本当に、箱まで辿り着けますかね?」
千夏「行確は大事よ」
山田「ちょ! 千夏さん!」
千夏「騒ぐな」
山田「出て来ましたよ。源龍会の、金」
   マンションの入り口から、金が電話しながら出てくる。
   金を凝視している千夏。
   金が立ち止まる。驚愕した様子で、眉をひそめている。焦り始める金。
山田「何か、あったんですかね?」
   電話を切り、走り出す金。

○雑居ビル・前
   ビルの前に、タクシーが停まる。
   金が中から駆け出てくる。
   走ってビルの中に入っていく。
   緩い速度で、覆面パトカーが後ろから来ている。
   
○覆面パトカー・車内
   窓を開け、ビルの入り口を凝視している山田。中のエレベーターが見える。
   千夏も助手席から見ている。
千夏「六階建てか。どう、見える?」
山田「五階で止まりましたね」
千夏「了解。少し離れよう」
   乾いた発砲音が、微かに聞こえてくる。
山田「あれ、今なんか」
   怪訝に眉をひそめる千夏。
千夏「行こう、早く!」

○雑居ビル・階段
   千夏と山田が1階から駆け上がっていく。利用客とすれ違う二人。
   3階まで上がると、上から千代田丈一(32)が降りてくる。
   ポケットに手を入れ、気怠そうな雰囲気。ラフな私服姿である。
   千代田とすれ違う千夏と山田。
   少し上がった所で、千夏が立ち止まる。
   眉をひそめ、振り返る。
山田「どうしたんですか?」
千夏「先行って」
山田「え? 何でですか!?」
千夏「いいから!」

○同・前の道路
   千夏が走って出てくる。
   右を見ると、千代田が歩いている。
   追いかけながら、
千夏「すいません!」
   立ち止まり、振り返る千代田。
千代田「え、何? 俺?」
千夏「はい、あのビルの入居者ですか?」
千代田「まあ」
千夏「あなたにお聞きしたいことが、私、歌舞伎町警察署の」
   突然、雑居ビルの五階が爆発する。
   千夏は爆音に驚き、肩をすくめる。
   千代田も軽く驚いたフリをして、
千代田「うわー、ビックリした~」
   千夏は慄いた表情で、ビルに振り返る。
千夏「山田」
   千代田の方に振り返る千夏。
   千代田は消えている。
千夏「クソ!」
   ビルに走っていく千夏。

○雑居ビル・階段
   千夏が口を押えながら、階段を駆け上がっている。煙が立ち込めている。
   入居者や利用者数名が、必死に駆け降りてくる。すれ違っていく千夏。
   煙と熱気が、段々と濃くなっていく。
   千夏の足が重くなっていく。
   上から叫び声が聞こえてくる。
   火だるまの男が転げ落ちてくる。
   驚きながら避ける千夏。
   慄いた顔で、その男を見つめる。
   男は炎に包まれ、悲痛な叫び声を上げている。上の階を見つめる千夏。
   膝から崩れ落ちる。
   千夏は強く目を瞑り、涙を流す。

○雑居ビル・外観
   5階から出る煙と炎が、上空に上がっていく。

○歌舞伎町警察署・外観(朝)
   入口に制服警官二人が立っている。

○同・生活安全課・第四係(朝)
   刑事達が、睨みながら耳打ちをしている。睨んでいる先は、千夏。
   千夏は自分のデスクを片付けている。
   前の山田のデスクを見つめる。
   悲しげな表情になる千夏。

○同・課長室(朝)
   デスクに座る課長。
   前に千夏が立っている。
課長「謹慎明けに、異動が決まった」
千夏「でしょうね。どこの地域課ですか?」
課長「どういう風の吹き回しだか、本庁だ」
千夏「え? どうして」
課長「知らんよ。それに異動先はハムだ」
千夏「公安ですか?」
課長「警視庁公安部外事二課、ソトニだ」
千夏「何で、私が」

○警視庁・外観(朝)
   そびえ立つ警視庁。

○同・公安部・廊下(朝)
   千夏が周りを見渡しながら歩いている。

○同・外事二課・第二会議室(朝)
   ドアがノックされ、千夏が入って来る。
千夏「失礼します。今日から」
   呆然と固まる千夏。
   ラフな格好の、千代田が座っている。
   足をテーブルの上に乗せ、組んでいる。
千代田「よろしく! お嬢ちゃん」
   隣には、スーツ姿の金城一騎(38)が、しかめっ面で腕を組んでいる。
   驚きながら、千代田を睨む千夏。
千夏「あんた、何で」
千代田「何でって、俺ここで班長やってっから。ほらあん時はさ、俺も捜査中だったし」
千夏「何の捜査ですか?」
千代田「(半笑いで)そりゃあね、まだ教えられないよ。ねえ、金城さん」
   黙ったまま、千夏を見つめている金城。
千代田「まあいいや。とりあえず座って」
   足を下ろし、資料を捲っていく千代田。
   戸惑いながら、千代田の前に座る千夏。
千代田「渡辺千夏、29歳。すごいよねー、その年で警部補でしょ? けど、悪い子だよね~、 強引な横取り捜査、署では好かれてなかったみたいだ」
千夏「あの爆発、まさかあなたが」
千代田「(半笑いで)んなわけねえだろ。マジ運良かったわ、もう少し長居してたらヤバかった ね。君の相棒は、あの爆発で亡くなったんでしょ? 残念だよ、ご愁傷様」
   鼻で笑う金城。
千代田「んで~、15歳の時に、姉貴を亡くしてる。あの~、14年前の、連続通り魔殺人事件 でしょ? あれって、未解決だったよね? そうっすよね?」
   と、金城に向かって。
   黙って頷く金城。
   千代田を睨んでいる千夏。
千夏「何故あの時、私達を止めなかったんですか? 分かってましたよね、あなたなら」
千代田「何であの時俺を追いかけてきた?」
千夏「質問してるのは私です」
千代田「さすが強気だね~。良いから答えろ、何であん時、俺を追いかけてきた」
   黙って睨む千夏。金城は無表情で千夏を見つめている。口を開く千夏。
千夏「最初はあそこの入居者か利用客かと思った。けど、あなたはあの時、三階よりも上から降 りてきた。あのビルは六階建て、エレベーターは五階で止まってた。早く降りられるはずなの に、エレベーターを利用しないのは不自然だと感じました」
   千夏を睨み、黙る千代田。
   急に吹き出し、大きく笑い始める。
千代田「合格だよ、合格! ようこそ、俺らはソトニの特別捜査班、SK班だ」
千夏「SK?」
   嘲るように微笑む金城。
千代田「逃げ出すんじゃねえぞ、お嬢ちゃん。特別な任務だからな」
千夏「どういう任務ですか?」
千代田「あ、俺が千代田で、この方が俺のパイセン、金城さん。じゃ、早速行きますか」
   と言って、立ち上がる千代田と金城。
千夏「え?」

○皇居・外周路(朝)
   ランニングしている者が数名いる。

○覆面車・車内(朝)
   千代田が運転、金城が助手席、千夏が後部座席に座っている。
千夏「この班は二人しかいないんですか? それとも他に協力者がいるとか」
千代田「お前は質問ばっかだな~、本当。あ、もうそろかな?」
   車内から皇居が見える。
千夏「皇居?」
   車は皇居外周路に差し掛かる。
千代田「あ、いたいた、ランニングしてる奴いるだろ? 顔覚えとけ」
千夏「はい」
   安明学(36)が、外周路をランニングしている。安の横を車で通り過ぎる。千夏は安の   顔を、窓からさりげなく目視する。
千代田「安明学、在日朝鮮人だ。6年前、北朝鮮貿易商社への不正輸出事件があった。知ってる か?」
千夏「いえ」
千代田「ダミー会社を通して、真空凍結乾燥機を朝鮮人民軍に送ってたんだ」
千夏「真空凍結、乾燥機?」
金城「サリンだ」
   眉をひそめる千夏。
千夏「サリン?」
千代田「そうそう、サリンを作ることが出来る機械のことよ。あいつはその機械を輸出してい  た、日本側の貿易会社の元社員だ」
千夏「今は何で追ってるんですか?」
千代田「それが分かったら苦労しないよ~、ねえ、金城さん」
   無言で頷く金城。
千代田「けどさー、あいつ、ヤバい奴と会ってたんだよね~」

○皇居外苑・北の丸公園(朝)
   安がランニングしながら公園に入って来る。ベンチが並んでいる。

○覆面車・車内(朝)
   車を路肩に停める千代田。
千代田「ここからはもう無理そうだな」
   突然、車から出る千代田。後部座席のドアを開き、千夏の隣に座る。
千夏「何ですか?」
   突然、服を脱ぎ始める千代田。
   不愉快そうに眉をひそめる千夏。
千代田「生着替えタ~イム」
   金城は無表情で窓の外を眺めている。

○皇居外苑・北の丸公園(朝)
   スポーツウェアを着た千代田が、ランニングしながら入って来る。
   耳に無線のイヤホンをつけている。
千代田「見っけ、ベンチに座ってます」
   前の方に、ベンチに座る安がいる。

○覆面車・車内(朝)
   金城が運転席に移動している。
   車のオーディオから、千代田の声が聞こえてくる。
千代田の声「とりま、斜め前位に座りますね」
金城「了解」
   後部座席の千夏、金城を怪訝に見つめている。
千夏「あの」
   金城は答えず、ルームミラーで千夏を一瞥する。
千夏「あの、お二人は、警察の人間じゃないですよね?」
   ルームミラーで、千夏を見つめる金城。
金城「さあ」

○皇居外苑・北の丸公園(朝)
   千代田がベンチに座っている。
   斜め前のベンチに、安が座っている。
   千代田は携帯をいじるフリをし、安を監視する。
   ポケットに手を入れる安。何かを取出し、ベンチの木の隙間に手を入れる。
   スーツ姿の守山洋行が歩いてくる。安は守山を横目で一瞥する。
   立ち上がり、走り去って行く安。
千代田「(小声で)やっぱり来ましたねー」
   守山は、安が座っていたベンチに座る。
   スーツケースを開いたり、携帯を開いたりする。そして、ベンチの座席の隙間に手を入    れ、何かを手に取る。
   胸ポケットにそれを入れ、去って行く。
   守山が去ったのを確認する千代田。

○覆面車・車内(朝)
   千代田の声がオーディオから聞こえてくる。
千代田の声「ビンゴ~、やっぱりデッドドロップだ」
  後部座席に座る千夏。
千夏「デッドドロップ?」
千代田の声「おもろいもん見してやるよ、ちなっちゃん来てみ?」

○皇居外苑・北の丸公園(朝)
   千夏が、安の座っていたベンチに近付いて来る。怪訝に眉をひそめ、
千夏「何やってるんですか?」
   千代田がベンチの下に潜っている。
   ベンチの下から顔を出し、
千代田「はい、ひょっこり」
   千夏は怪訝な顔で、千代田を見ている。
   ベンチ下から出て、立ち上がる千代田。
千代田「いいからこれ見てみ?」
   渋々、ベンチの下を覗く千夏。
   ベンチの裏側を見ると、両面テープが貼ってある。
千夏「これは」
千代田「両面テープだ。安はそこに座り、情報アイテムをくっつけた。入れ替わる様にこのベン チに座ったのが、守山洋行だ」
   千夏、立ち上がり、
千夏「どういう人物です?」
千代田「防衛省、防衛計画課課長だ」
   驚いて眉間にしわを寄せる千夏。
千夏「防衛省?」
千代田「防衛省の人間と工作員が、国防情報の受け渡しをしていたのかもしれません。信じるか 信じないかは、あなた次第です。もうパンドラの箱、開けちゃったよね? ゾルタクスゼイア ン的な?」
千夏「・・・ふざけてるんですか?」

○覆面車・車内
   走行中の車内。千代田が運転、金城が助手席、千夏が後部座席にいる。
千夏「どこに向かってるんです?」
千代田「え~っとね、原宿のパンケーキ屋」
   目を細め、呆れて首を傾げる千夏。

○千歳ハイツ・外観
   6階建ての一般的なマンション。
   
○同・入口前・外
   千夏、千代田、金城が歩いてくる。
   入口前で止まる三人。
千代田「到着」
千夏「誰の自宅ですか?」
千代田「意識高い系ランニングマン」
千夏「安の自宅ですか? 令状は取ってるんですか?」
  先に入口に向かっていく金城。
千代田「(半笑いで)令状とかウケる。俺らにそんなもん存在しねぇから」
   と、千代田も行こうとする。
   千代田の腕を掴んで止める千夏。
千夏「ちょっと待って下さい、それって違法捜査ですよね?」
   金城、立ち止まり、
金城「おい、後でにしろ」

○同・5階・安の部屋・玄関前・外
   千代田が手袋をはめて、ピッキングしている。
   両隣で金城と千夏が見ている。
   千代田を睨んでいる千夏。
千夏「不法侵入ですけど?」
千代田「国家の危機が迫ってんだー、こんぐらい大目に見ろ」
   溜息交じりで、首を横に振る千夏。
   ガチャ、という音がする。
千代田「ビンゴ~」
   腕時計を見る金城。
金城「3分半」
千代田「大目に見て下さいよ~」

○同・玄関前・中
   千代田、金城、千夏が入って来る。
千代田「お邪魔しま~す」

○同・居間
   千代田、金城、千夏が入って来る。
   ワンルーム。家具もほとんどなく、殺風景である。ベランダがある。
千代田「じゃあ、ガサガサしますか」
   と言って、荒らすように探り始める。
   その様子を、睨みながら見ている千夏。
金城「俺は前で張ってる」
千代田「お願いします」
   出て行こうとする金城。
千夏「ちょっと、いい加減にして!」
   と、怒声を上げる。
   千代田と金城の動きが止まる。
千代田「どしたどした~、急に、怖い怖い」
千夏「これは警察のやる事じゃありません、犯罪者がやることです。捜査内容も目的も、ほとん ど教えてくれないし。あなた達は一体、何者なんですか!?」
   黙り込む千代田と金城。
金城「・・・任せた」
   と言って、出て行く。
千夏「ちょっと!」
千代田「今日中に分かるよ、全部。てか、もうすぐ?」
   千代田を睨んでいる千夏。
   ベランダから前のマンションが見える。

○同・外・建物前
   前に同じ高さ位のマンション、船橋ヒルズがある。5階の部屋のベランダは、カーテンが   少し開いている。

○船橋ヒルズ・5階・501号室・居間
   窓際に金城が座っている。
   カーテンを少し開き、双眼鏡を覗いている。

○千歳ハイツ・安の部屋・居間
   千代田と千夏が部屋を漁っている。
   部屋はグチャグチャに荒らされている。
   クローゼットの中を見ている千夏。
千夏「何も無さそうですけど」
   一旦中断する千代田。
千代田「だね~」
   机を見る千代田。机の上も荒れている。
   千代田は目を凝らし、首を傾げる。
   壁についている机を動かす。
   机の後ろを覗く千代田。
千代田「ビンゴ~、でもないか」
千夏「何かあったんですか?」
   千代田はガムテープを剥がし、拳銃を取り出す。千夏、拳銃を見て、
千夏「それ」
千代田「物騒だね~。こんだけか~、パソコンとかUSBは持ち歩いてんのか?」
千夏「さあ」
   千代田の携帯バイブが鳴る。
   電話に出る千代田。
千代田「はい、はい」
   ベランダの外を見る千代田。
千代田「了解」
千夏「どうしたんですか?」
千代田「来るぞ」
千夏「え?」

○同・入口前・外
   安が中に入っていく。

○同・安の部屋・玄関前・外
   安が玄関まで歩いてくる。
   閉まっている鍵を開ける。

○同・中
   安が玄関を開け、中に入って来る。
   すぐに異変を感じ、表情が変わる。
   逃げようと、急いで玄関を開ける。
   玄関前に立っていた金城が、安の目に催涙スプレーをかける。声を上げる安。
   中に居た千代田が、即座にやって来る。安の背中にスタンガンを当てる。
   電撃音が走り、倒れる安。
千代田「無駄なアクションは避けたぜあんちゃん」
  千夏が居間からやって来る。
  少し引きつった顔。
千夏「何よ、これ」

○同・居間
   千代田が安の手足を結束バンドで縛っている。まだ手袋をはめている。
   安は気を失っている。
   千夏と金城がその様子を見ている。
千夏「こんなこと、もしバレたら」
千代田「大丈夫大丈夫~、バレなきゃOK」
   縛り終え、安を起し上げる千代田。
   安を正座させ、頬を叩く。
千代田「ほれ、起きろ」
   目を覚ます安。もがくが、すぐに縛られていることに気付く。舌打ちする安。
安「お前ら、警察じゃないな?」
千代田「ほ~う、鋭いね」
   千代田を怪訝に睨む千夏。
千代田「半分正解だな」
安「どういう事だ」
千代田「それより」
千代田は腰に入れていた、安の銃を取り出す。銃を眺めながら、
千代田「こんな物騒なもん、何に使うのよ」
   黙って、千代田を睨む安。
   安の目の前にしゃがむ千代田。
   銃を握りながら会話する。
千代田「まいいや。お前の事は良く分かってる。防衛省の守山とはどういう関係だ。ベンチで何 か渡してたよな? 何の情報だ」
安「誰だ、何の事だ」
千代田「出たよ、とボケちゃって」
安「お前ら、公安か?」
千代田「質問に答えろ! ア~イ?」
安「・・・」
千代田「まあいいや、面倒くせぇし」
   と言って、ポケットから写真を取出す。
千代田「これでどうだ!」
   写真を安に見せつける千代田。
千代田「召喚! ブルーアイズドラゴン!」
   鼻で笑う金城。
   安は驚いた様子で写真を睨んでいる。
安「お前」
千代田「これで終わりだよ、城之内君」
   写真には、公園で遊ぶ女性と小さい娘が写っている。隠し撮りされた様子。
   千代田を睨んでいる安。
千代田「君の嫁と娘だったりして。我慢出来なかったんだろうね~、たまに会いに行っ
 ちゃてるもんね? ダメだよ我慢しなきゃ」
安「どうするつもりだ」
千代田「いいから早く言え、全部言え」
   諦めたように、溜息を吐く安。
安「俺の本名は、山田慶次、元公安のSだ」
千代田「(半笑いで)おいおいガチか、そういうことね」
千夏「Sって、スパイ?」
安「俺は5年間もあの貿易会社に潜っていた。だから警視庁に俺のデータは残っていない。もち ろん、安明学という男も存在しない。もう死んだ男で、俺が逆背乗りしたんだ」
千代田「警察が戸籍ロンダリングかよ」
安「俺は、組織に捨てられた」
千代田「どういう事だ」
安「俺だって分からない! 俺が潜っていたことを知る人間は警察組織に二人しかいない。その 二人は、事件解決後、全くの音信不通、警視庁も取り合ってくれなかった」
千夏「酷い」
安「5年間も奉仕した結果が、懲役5年と前科だ」
千代田「それは悲しいな。けど、だからって寝返るのはどうかと思うよ。情報は何だ」
安「・・・渡したのは、朝鮮人民軍、偵察局の編制表だ」
千代田「公安が喉から手が出るほど欲しいやつじゃん。代わりに何を受け取った?」
安「まだ、何も受け取ってない」
千代田「それは良かった。何を受け取る予定だったんだ?」
安「・・・陸、海、空自の編制表だ」
千代田「う~わ、それはゲロマズいよ。あっぶねえ~、良かった良かった」
   と言って、立ち上がる。
   千代田は安の銃をまだ握っている。
千代田「それが聞きたかったんだよ」
   微笑を浮かべる千代田。
   さりげなく、安の横に立つ千代田。
   ゆっくりと、目を瞑る安。
千夏「任意同行させますか?」
千代田「いや、もう分かったことだし、そろそろ良いっすよね?」
   と言って、金城の顔を見る。頷く金城。
千夏「そろそろって」
   突然、安のこめかみを撃ち抜く千代田。
   千夏は怯えるように、驚愕する。
   命果て、倒れる安。
   千代田は安の手に銃を握らせる。
千代田「よし、発狂して、暴れて、自殺と」
千夏「ねえ、何よ、これ」
千代田「ごめんなビックリさせて、これが俺らの任務だ」
   千夏、千代田を見て、慄きながら、
千夏「どういう、ことよ」
金城「銃声を聞かれたかもしれない、説明は車でする」
千夏「今答えなさいよ!」
   と言った瞬間、金城がスタンガンを千夏に当てる。

○覆面車・車内(夕方)
   後部座席にいる千夏。
   辛そうな顔で、目を覚ます。
   手足を結束バンドで縛られている。
   窓の外を見る千夏。
   森が見える、峠道を走っている。
   運転席にいる千代田。
   ルームミラーで千夏を一瞥する。
千代田「起きたか」
   千代田を睨む千夏。
   助手席には金城がいる。
   携帯のバイブが鳴り、画面を開く金城。
金城「A班から連絡が来た」
千代田「お、何すか?」
金城「安の借りていたトランクルームが見つかった。PCと現金一億円余りがあったそうだ」
千代田「来たー! 特別手当。1億だから二人で割ったら、5千万! うひょー! こりゃシャ ンパン空けるしかねぇべ」
金城「違う、3千万と少しだ」
千代田「え?」
   ルームミラーで、千夏を見る金城。
   追って千代田も見る。舌打ちする。
千代田「そっか忘れてたわ、お前も居んのか」
金城「PCからは何も検出されなかったそうだ。情報を受け取った形跡もなかったと」
千代田「安の野郎、嘘はついてなかったか」

○森の中(夕方)
   千夏が、千代田と金城に連れられ歩いている。
   足の結束バンドだけ解かれている。
千代田「ここら辺でいいか」
   立ち止まる三人。
千代田「正座しろ」
   二人を睨みながら、ゆっくりと地面に正座する千夏。
千代田「聞きたいことが沢山あるんだろ? 答えてやるよ」
千夏「何で、殺したのよ」
千代田「簡単に言ったら、俺らは政府の直轄部隊だ。さすがに命令を出してる奴の名前は言えね えけど。かなりのお偉いさんだ。任務は、日本の恥を消すこと」
千夏「え?」
金城「表に出せない事件の処理の事。今回の事件も然りだ」
千夏「だからって」
金城「真っ当に事件を解決していたら、それがメディアに流れ、日本の恥が海外に晒される。そ れが続いたら、日本はどうなると思う?」
   悔しげに、目をそらす千夏。
千代田「日本、終わっちゃうよね?」
千夏「だからって、殺していい理由にはならない」
   金城、千夏の目の前にしゃがみ、
金城「甘いこと言ってんじゃねえぞ」
   金城を睨む千夏。
金城「恥の上乗せは、日本がパワーバランスを失う原因となる。そしたら戦争だ、これは大袈裟 じゃない」
千夏「でもこれじゃ、戦争と変わらないじゃない」
金城「ああ、戦争だ。表で戦争を起こさないために、裏で戦争をしているだけだ」
千夏「そんなの」
千代田「ちなみに、ちなっちゃんの言う通り、俺らは警察じゃない。とりあえず公安の外事課に 籍を置かせてもらってるだけだ」
千夏「どういうこと?」
千代田「お前と同じで、俺らもスカウトされたんだよ。俺は陸自の特殊作戦群から。金城パイセ ンは、内閣情報調査室から。ちなみに金城さんも、元陸自ね」
金城「どうする、俺らの班に入るなら、普通に生活出来る」
   涙を浮かべ、二人を睨みつける千夏。
金城「1週間だ。それまでに答えろ」

○防衛省・正門・外観(夜)
   正門右に、『防衛省』と大きい表札。

○同・A棟・第一会議室・中(夜)
   千代田、金城が立っている。
   前に座るのは、小田智弘(58)、村井竹虎(60)、近藤光也(54)。
小田「よりによって、私の省庁とはね、お恥ずかしい限りだ。だが、少々手荒過ぎやし
 ないか?」
近藤「この間の爆発と言い、派手なのは禁止だと言ったはずだ。もっと綺麗にやれ。裏で手を回 すのは色々と面倒なんだぞ」
千代田「じゃあ他の人に頼んでくださいよ。俺ら気が滅入る思いでやってるんすよ~?」
近藤「よく言うよ、この悪魔が」
村井「まあまあ、その代わり自由にやらせてるじゃないか。対象者の裏資金もたんまり貰ってる ようだしな」
近藤「そうだよ全く。それより、あいつはどうなんだ、あの新入り」
千代田「まあ、いつも通り、ダメそうっすね」
小田「ダメだったかー」
村井「良い線あると思ったんですがね」
小田「ですよねー」
近藤「では、次からは、丁寧にやるように」
   と、強めに言う。
金城「かしこまりました」
   と、頭を下げる。
千代田「ウィ~す」

○同・正門前・外(夜)
   千代田と金城が外に出てくる。
千代田「金城さん、今日飲みに行きません?」
金城「いや、やめとく。千代田酒癖悪いから」
千代田「ちょっと金城さん。それ言わんで下さいよ~」
   鼻で笑い、微笑む金城。
金城「じゃ」
   と、千代田に背を向け曲がっていく。
千代田「お疲れ様で~す」

○深沢ライズ・金城の部屋・リビング(夜)
   帰宅した金城が、リビングに入って来る。誰もいないリビング。
   一人暮らしにしては広い部屋である。

○同・書斎(夜)
   金城がデスクに座り、パソコンを打っている。『第6回・CIP捜査報告書』と題された   報告書を作成している。

○同・リビング(夜)
   金城が台所で皿洗いをしている。
   台所カウンターには、写真立てが置いてある。写真には、金城、金城の妻、娘の三人が    写っている。
   仲睦まじそうに、三人共笑顔。

○同・書斎(夜)
   パソコンで報告書を作成している金城。
   パソコンを打つ手を止め、背伸びする。
   インターネットを開く金城。
   ホーム画面が出てくる。
   ネットニュースが並んでいる。
   一番大きい見出しで、『ミサイル無しの北行事、米側への配慮か』とある。
   クリックして開く金城。
   記事と共に、『防衛相記者会見』という動画が出てくる。クリックする金城。
   記者に応答する、中田一茂(61)の動画が流れる。
中田「・・・今回のパレードは軍事色が薄れ、市民を前面に打ち出す内容となりました。ミサイ ルも登場しなかったことを考えると、非核化に向けて協議している米国との対話を、続ける意 思が見受けられます・・・」
   続く記者会見。
   中田を睨んでいる金城。
   パソコンを閉じる。

○クラブ・ダンスフロア(深夜)
   DJブースから、爆音で流れるEDM。
   大勢の若者達で盛り上がっている。
   フロアから、ソファのテーブル席が見える。同じフロア内のVIP席である。

○同・VIP(深夜)
   ギャルA、Bを両脇に、千代田が座っている。
   ギャルBがシャンパンのコルクを飛ばそうとしている。
ギャルA「イケイケ~!」
千代田「イエ~イ! ポーポーポー!」
   ポン、と音が鳴り、コルクが勢いよく飛んでいく。中身が少し零れる。
ギャルB「(半笑い)ヤバ~い! 超飛んだ~」
ギャルA「(半笑いで)ウケる~」
   ギャルBがグラスにシャンパンを注いでいく。
ギャルA「ねえジョー君って、何の仕事してんの? いつもVIP座ってない?」
千代田「俺? 政府公認の殺し屋」
   と、ふざけた感じで。
ギャルA「(半笑いで)何言ってんの?」

○六本木・外苑東通り(深夜)
   千代田がギャルA、Bの真ん中で肩を組み、歩いている。
   千代田は結構酔っ払っている様子。
千代田「あ~、飲んだ~」
ギャルA「もう飲めないよ~」
ギャルB「私も~」
千代田「良いじゃんホテル行こ! 3P3P」
ギャルA「え~、どうする~?」
   千代田は前を見て、驚いて立ち止まる。田辺健次郎(24)が立っている。
   陸上自衛隊の迷彩服を着ている。
   迷彩服はボロボロである。
   顔は少し黒ずみ、血もついている。
   微かに震え、涙目の田辺。
   驚いた表情の千代田。
千代田「健次郎」
   腰から拳銃を取る田辺。
田辺「俺のせいだ、全部」
千代田「やめろ」
   田辺は銃口を、ゆっくりと自分のこめかみに持っていく。
   涙を流す千代田。
千代田「やめろ、お前のせいじゃない」
   銃口をこめかみに付ける田辺。
千代田「おい、健次郎!」
   銃声が響き、すぐに顔を背ける千代田。
ギャルA「ねえ、ねえ大丈夫!?」
   と、千代田の腕を揺さぶっている。
千代田「え?」
   涙を零しながら、ギャルAの方を見る千代田。
ハッとして前を見る。田辺はいない。
ギャルB「やばいよ、酔い過ぎじゃない?」
ギャルA「水買いに行こう?」
   涙を手で拭う千代田。
千代田「良いよ、ホテルで飲めば」

○渡辺家・外観(深夜)
   一般的な一戸建て。

○同・晴夏の部屋・中(深夜)
   部屋の中は、晴夏が亡くなった高校生の時から止まっている。
   ベッドに千夏が座っている。
   晴夏の高校卒業アルバムを見ている。
   17歳時の晴夏の写真が出てくる。
   教室で友達と写っている。
   仲良さげな、笑顔である。
   千夏が写真を見て、微笑んでいる。
   次のページをめくる千夏。
   晴夏はどこにも写っていない。
   次のページも、めくってもめくっても、晴夏はどこにも写っていない。
   アルバムを閉じる千夏。

○霊園
   晴夏の墓石の前に、千夏がいる。
   線香に火を点け、香炉に立てる。
   合掌し、目を瞑る。
   数秒経ち、目を開ける千夏。
   晴夏の墓石から、去って行く。

○コンテナ埠頭・外観(夜)
   大量のコンテナ、停泊する貿易船が見える。

○同・倉庫・中(夜)
   千代田と金城がいる。
   真ん中には、パイプ椅子に縛られた男がいる。
   男は黒い布頭巾を被せられ、顔が見えない。
千代田「やっぱこういう時は港の倉庫だよな」
   扉が開き、千夏が入って来る。
千代田「やっと来たか」
   千代田と金城の元に来る千夏。
千夏「それ、誰ですか?」
   と、黒い布頭巾の男を見て。
千代田「あとで教える」
   千夏を見つめている金城。
千代田「で、どうすんだ? 俺らに加わるか?」
   千代田を見つめている千夏。
千夏「入らないと言ったら、どうなの?」
金城「俺らに監視される毎日だ。定期的に挨拶もしに行く」
千代田「もちろん告発なんかしたら、分かってるよね?」
千夏「・・・最後に聞かせて、ビルの爆破事件、何であの時現場に居たのか教えて」
千代田「源龍会の金が入ったあのビル、あれは詐欺グループのアジトじゃない。中国共産党の、 工作員のアジトだ」
千夏「金は、工作員だったの?」
千代田「いや違う、あいつは詐欺の金をそのスパイ達に流してた。あのビルで殺した奴の中に、 金の同級生がいた。そいつは日本人、中国大使館で働いていた外交官だ」
千夏「そんな事実、ニュースでは」
千代田「日本の恥だからな」
千夏「・・・爆発は、何で」

○(回想)雑居ビル・五階・空きフロア
   何もないフロア。
   工作員6人と田中が、簡易テーブルを囲み、何か話し合っている。
千代田の声「それは、俺も分からない」
   ドアが三回、強く叩かれる。
   すぐに身構える工作員6人と田中。
   千代田、ドアを開いてすぐ、
千代田「失礼します!」
   強張った顔を作り、千代田が中に入って来る。
田中「誰だ」
   厳戒態勢になる工作員6人。
   ゆっくりと千代田に近付いていく。
   千代田は気を付けの姿勢を取っている。
千代田「よろしくお願いします!」
   と言って、深々と頭を下げる。
   頭を上げる千代田。
千代田「本日面接に参りました、千代田丈一です! ってあれ? おかしいな~、俺寿司屋の面 接に来たんだけどな」
   襲い掛かって来る工作員6人。
   近接格闘術で、次々に倒していく千代田。
   相手の首の骨を折り、相手の武器のナイフを奪い、殺していく。
   焦った表情の田中。
   すぐに携帯を取り出し、電話を掛ける。
田中「金、マズいことになった、あれを頼む」
   と言って、すぐに電話を切る。

○(回想明け)コンテナ埠頭・倉庫・中(夜)
   千夏と千代田の会話に戻る。
千代田「爆弾の存在は、俺も知らなかった」
千夏「信じて、良いの?」
千代田「まあ、本当の事だからね。で、どっち!? 入る? 入らない?」
千夏「あなた達の班には」
   千代田と金城を見る千夏。
千夏「絶対に入らない」
   と、強めに言う。
千代田「は~あ、やっぱそうか。じゃあ最終手段。気になってたでしょ? この男」
   と言って、パイプ椅子の男を見る。
千夏「誰なの?」
千代田「驚くなよ~? 超サプライズゲストだ。ジャジャ~ん!」
   男の黒い布頭巾を取る千代田。
   30代後半の男の顔が出てくる。
   眠っている男。
   口はガムテープで塞がれている。
   怪訝な顔で、男を見つめる千夏。
千夏「誰?」
千代田「え? 分かんないの!?」
金城「分かんないのも当然だろう。渡辺は犯人の顔を見てないからな」
   段々と、怯えた表情になっていく千夏。
千夏「え?」
   千代田が男の頬を叩く。
千代田「おい、起きろ」
   目を覚ます男。千代田を睨んでいる。
   口のガムテープを剥がす千代田。
男「誰だ、お前ら」
千代田「もう何となく分かったべ? こいつの名前は武田聖人。14年間も未解決だった、連続 通り魔殺人事件の犯人だ」
男「ふざけんな、何の話だよ!」
千夏「嘘よ」
金城「本当だ、裏も取れてる」
   千夏は、憤怒の表情に変わっていく。
千夏「適当なこと言わないで!」
千代田「本当だ! 未解決事件を扱う特命捜査係に資料を借りた。俺らのつながりマジ半端ねえ から、ア~イ?」
   千夏、悔しげな表情で、
千夏「嘘だ」
千代田「本当は特命係に行きたかったんだろ? 私情を挟み過ぎて弾かれたか」
金城「14年前の捜査記録を見て、一番匂ったのが、当時教育実習生だった武田聖人だ」
男「何なんだよお前ら、いい加減にしろ」
   と、金城を睨み。
金城「だが武田にはアリバイがあった。それから武田に対する捜査はすぐに終了」
千代田「おかしいよな? 怪しいのに、アリバイだけですぐ終了なんて。答えは簡単だったよ、 こいつの親父は当時、警察庁の刑事局長だった」
男「そんなこと、関係ないだろ」
   千夏、悔しそうに俯き、
千夏「そんな」
千代田「今も昔も変わんないよね~、日本は」
   腰から拳銃、グロックを取り出す金城。
金城「おい」
   金城の方を見る千夏。
   金城がグロックを千夏に投げる。
   受け取る千夏。
金城「引き金を引いたら、俺らの班に入ってもらう」
   拳銃を睨む千夏。
   ゆっくりと、銃を構えていく。
   照準が男に合わさる。
   男、もがきながら、
男「おいやめろ、人違いだって! 俺は殺してない!」
   千夏は憤怒の表情で、男を睨む。
   すると、突然吹き出して、俯く千夏。
   千夏を怪訝に睨む金城。
   クスクスと、千夏の笑い声が聞こえてくる。銃を下ろす千夏。
千代田「は?」
   顔を上げ、笑い始める千夏。
千夏「は~あ、馬鹿馬鹿しい。こいつは犯人じゃない」
千代田「何?」
千夏「とんだ茶番ね。当時の私の証言は嘘よ。私は、犯人の顔を見た」
千代田「どういう事だ、何でそんな事」
   金城、鼻で笑い、微笑む。
千夏「私がこの手で、犯人を殺す為。顔の特徴を言ったら、犯人は捕まるでしょ?」

○(回想)住宅街(夕方)
   制服姿の千夏(15)が、怪訝に目を凝らしながら歩いている。
   40m程先で、晴夏と武田(23)が話している。
   千夏から見て、二人は横向きに対面している。
   武田はフードを被っていて、顔が見えない。
千夏「晴夏!」
   こちらに振り向く晴夏。
   その瞬間、腰からナイフを取り出す武田。
   すぐに晴夏の腹部を思い切り刺す。
   呆然と、立ち止まる千夏。
千夏「え?」
   武田はナイフを抜いた後、こちらに振り向く。
   フードで目は隠れているが、武田の鼻から下が見える。
千夏の声「高い鼻に、口の下にある、二つのホクロ。今でも覚えてる」
   逃走していく武田。

○(回想明け)コンテナ埠頭・倉庫・中(夜)
   呆れるように微笑している金城。
千代田「とんだアホだな。お前が素直に言ってりゃ、捜査は違う方向に行ってたかもしれねぇの に」
千夏「変わらないわよ、結局」
千代田「お前のやろうとしてた事は、俺らとほぼ変わんねえぞ。矛盾してんじゃねえか」
千夏「そうね。けど、あんたらが実際に殺したのを見て、考えが変わった」
千代田「反面教師になったつもりはねえよ」
千夏「どうしても私を班に入れたいんですね。罪を分散させたいからですか?」
   真顔になる金城。千夏を睨む千代田。
千夏「もう二人っきりじゃ、背負いきれない所まで来てる。けど簡単には辞められない。だから 道連れにする仲間が欲しい。私みたいな、暗い過去を持つ人間」
   グロック銃のマカジンを取り出す千夏。
   弾が入っている。
   マカジンを入れ直し、千代田に銃を向ける。発砲する千夏。
   発砲音だけが響き、実弾は出ない。
   千夏を睨んでいる千代田。
千夏「やっぱり空砲ね」
   と言って、銃を捨てる。
千夏「告発なんかしないから安心して、監視するなら勝手にどうぞ」
   去って行く千夏。
   舌打ちする千代田。
男「おい、これで帰してくれんだよな?」
   千代田はグロックを拾う。
   ポケットから、実弾を取り出す。
千代田「これは実弾だ」
男「あ? どういうことだよ?」
   マカジンを取出し、実弾を入れる千代田。マカジンを入れ直す。
男「おいふざけんなよ! 武田とかいう奴のフリすれば、生かして帰してくれるって」
   男に向かって、引き金を引く千代田。

○吉祥寺・商店街
   字幕タイトル『一年後』。
   大きい商店街。
   沢山の人が歩いている。
   そんな中、地域警察の制服を着た千夏が、自転車で警らしている。
   軽く微笑んでいる千夏。
   すると、無線の受令機が鳴る。
   自転車に乗ったまま止まる千夏。
   無線から警官の声が聞こえてくる。
警官の声「本部から各局、吉祥寺管内で不審者発見の110番入電あり。東山4丁目の吉祥寺高 校校内。通報者は当校の教員。マル対は既に逃亡。付近のPMは応答を願う」
   応答する千夏。
千夏「こちら吉祥寺PSの渡辺、Pナンバーは6669。付近警ら中なので向かいます」
   と言って、自転車を漕ぎ出す。

○同・住宅街
   千夏が急いで自転車を漕いでいる。
   曲がり角から、武田聖人(38)が自転車でゆっくりと出てくる。
   急ブレーキを掛ける千夏。
武田「おーっと」
   武田はそのまま曲がり、千夏の横を通る。
千夏「すいません」
   と、武田に向かって会釈する。
   武田は千夏を見て微笑み、会釈し返す。
   武田の鼻は高く、口の下に二つのホクロがある。
   千夏はまた、急いで自転車を漕ぎ始める。
   少し進んで、急ブレーキを掛ける千夏。
   驚きながら、眉をひそめている。
   振り返る千夏。誰もいない。
   千夏の息が、荒くなっていく。

○警視庁・外事二課・第二会議室(朝)
   千夏が睨みながら、座っている。
   前にはラフな格好の千代田と、スーツ姿の金城が座っている。
   千夏を睨んでいる千代田。
   急に吹き出し、大きく笑い始める。
千代田「合格だよ、合格! ようこそ、俺らはソトニの特別捜査班、SK班だ」
千夏「SK?」
   嘲るように微笑む金城。
千代田「逃げ出すんじゃねえぞ、お嬢ちゃん。特別な任務だからな」
千夏「どういう任務ですか?」
千代田「あ、俺が千代田で、この方が俺のパイセン、金城さん。じゃ、早速行きますか」
   と言って、立ち上がる千代田と金城。
千夏「え?」

○同・前の廊下(朝)
   第二会議室から、千代田と金城が出てくる。
   そのまま廊下を歩いていく二人。
   千夏も会議室から出てくる。
   怪訝に首を傾げ、ついていく千夏。
   千夏は二人の少し後ろを歩く。
金城「この班に名前なんて存在しないだろ」
千代田「気になります? SK」
金城「別に」
千代田「スパイキラー、何つって」
   嘲るように、大きく笑う千代田。

               〈終〉

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