Xの説法 ドラマ

 高校生の佐藤優(17)が自殺し、その葬儀が開かれていた。重い空気の中、X(28)と名乗る男が乱入してくる。Xはロン毛で全身タトゥーだらけ。更には拳銃を取出し、「俺の話を聞け」と言い始める。  20~30分の短編映画で考えています。
永田勝栄=ガチ脚本家志望 25 0 0 06/22
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

 登場人物

X(28)
佐藤理月(44)優の母親
佐藤慎一(45)優の父親
佐藤彰(20)優の兄貴
佐藤優(17)自殺した高校生
男A、B
受付の女性
僧侶
...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

 登場人物

X(28)
佐藤理月(44)優の母親
佐藤慎一(45)優の父親
佐藤彰(20)優の兄貴
佐藤優(17)自殺した高校生
男A、B
受付の女性
僧侶
係員
隣の住人


○葬儀場・斎場・中
   弔問客20人弱が参列している。
   僧侶がお経を読んでいる。
   弔問客の一人が、焼香を上げている。
   棺の中に、佐藤優(17)がいる。
   安らかに眠っている。
   遺影に写る優が、笑っている。
   佐藤慎一(45)が、その遺影を見つめている。悲しげな表情の慎一。
   隣には佐藤理月(44)が座っている。
   俯き加減で、虚ろな表情の理月。
   その隣には、佐藤彰(20)がいる。
   悔しげに、眉間を寄せている彰。

○同・外の喫煙所
   男A、Bが煙草を吸っている。
男A「まだ若いのに、悲惨だな」
男B「そうですね」
男A「けど佐藤さん、息子さんの話、ほとんどした事無かったよな?」
男B「言いにくかったんじゃないですか?」
男A「どうして?」
男B「息子さんの優君、引きこもりだったみたいですから」
男A「え? そうだったの?」
男B「みたいですよ。学校にもほとんど行ってなかったって」
男A「じゃあ、自殺したのって」
男B「イジメられてたのかもしれませんね、学校で」
   苦しそうに溜息を吐く男A。
男A「俺が親だったら、耐えられないな」

○同・斎場・中
   慎一が焼香を上げている。
男Bの声「明日も普通に出勤するんですかね? 佐藤さん」
男Aの声「だろうな。あの人、仕事人間だからな」

○同・外の喫煙所
   煙草を消す男B。
男B「そろそろ帰りますか」
男A「そうだな」
   と言って、煙草を消そうとする。
   男Aは二度見して、動きが止まる。
   X(28)が斎場に向かって歩いている。怪訝な表情でXを見ている男A。
   Xは肩まで伸びるロン毛に、ひげ面。
   白いヨレヨレのタンクトップを着て、タトゥーだらけである。
   Xは後ろポケットから、ウィスキーの小ボトルを取り出す。一口含む。

○同・斎場・中
   後ろのドアは関門開きされている。
   Xが入って来る。少しフラついている。
   受付の女性が近寄って来る。
受付の女性「すいません、こちらの受付を済ませてから」
   セリフを遮って、Xは受付の女性に向かって大きくゲップする。
受付の女性は、引きつった顔で口と鼻を押さえる。
   Xはそれを見て、ヘラヘラ笑う。
   周りの弔問客がXに気付き、ざわつき始める。
   慎一が異変に気付き、後ろのXを見る。怪訝に眉をひそめる慎一。
   Xは弔問客の間をドカドカ歩いていく。
受付の女性「ちょっと!」
   彰がお焼香を上げている。
   その彰を、Xが横から突き飛ばす。
   後ろの弔問客が驚いて声を上げる。
   地面に倒れ込む彰。
   僧侶がお経を読みながら、後ろを向く。
   驚きながらも、お経を読み続ける僧侶。
彰「な、何するんだ!」
X「俺が先だ!」
彰「は~?」
   後ろの弔問客らは眉をひそめ、呆気に取られている。慎一も同様である。
   理月は口を開き、目を丸くしている。
   Xはお焼香の前で、大きく掌を二回叩き、合掌礼拝する。そして、火が焚かれた香炉に、   思いっ切り手を突っ込む。
X「(大声で)あっつ!」
   火傷した自分の手に、息を吹きかける。
   佐藤家を含めた弔問客らが、ドン引きしている。
X「あっち~、間違えたわ」
   Xはお香を掌いっぱいに鷲掴む。
   優の遺影を睨む。
X「畜生が、勝手に死にやがって!」
   と言って、お香を前にぶちまける。
   お香は棺の中の優に掛かり、遺影に掛かり、僧侶にも掛かる。
   その瞬間、読経を止める僧侶。
慎一「お前!」
   と言って、立ち上がる。
   彰も立ち上がる。
彰「お前さっきから、何考えてんだよ!」
   Xの腕を掴み、追い出そうとする彰。
彰「出ていけ!」
   Xは彰を振り払う。
   腰から拳銃を取り出し、彰に向ける。
   彰は腰を抜かし、尻餅をつく。
   驚愕する弔問客達、悲鳴も聞こえる。
X「てめぇら俺の話を聞け。勝手に帰ろうとしたり、変な真似したら、撃ち殺す」
   立っていた慎一が、腰を抜かしたように深く座る。
   隣の理月は、呆然とXを見つめている。
X「おい! 受付の女!」
受付の女性「は、はい!」
   と、おどおどした様子で。
X「扉を閉めて、お前も中に入れ」
   受付の女性は戸惑いながらも、扉を閉める。
X「俺の名前はX、XジャパンのXだ。あ、本名じゃないぜ? ネットの中で使ってた、ハンド ルネームだ」
   Xは銃を構えながら、片手でポケットのウィスキーを取り出す。
   片手で蓋を開けるX。蓋はそのまま地面に捨て、ウィスキーを胃に流し込む。
X「優とは、自殺志願者を募るサイトで知り合った。俺も死のうと思っててな。まあ俺の事は良 い。優とは一回だけしか会った事ねぇけど、ネットとか、ゲームの中で沢山話した。お互いバ イオハザードが好きでさ」
   呆然とXを見つめている理月。
   慎一と彰はXに怯えている。
X「バイオ6の全クリには、めちゃくちゃ時間掛かったぜ。優と一緒にボイチャしながら頑張っ たよ。あいつのゲームスキルは半端ねえ、何回も助けられた」
   呆然とXを見つめている理月。
   段々と、悲しそうに涙ぐんでいく。

○(回想)佐藤家・優の部屋・前(夜)
   理月が部屋の前にやって来る。
   食事を乗せたお盆を持っている。
   ドアの前に置こうとする理月。
   部屋の中から優の声が聞こえ、止まる。
優の声「馬鹿! X、そこは入れないよ!」
   耳を傾ける理月。
優の声「違うよX! ダメだってば、見つかっちゃうよ~」
   怪訝な表情で、首を傾げる理月。

○(回想明け)葬儀場・斎場・中
   理月が涙ぐんで、Xを見つめている。
X「けどあいつは、抜け駆けしやがった。死なないって、お互い約束したのに」
   と言って、棺の上に腰掛けるX。
   棺で眠る優の顔を見つめる。
   X、また前を向き、
X「お前らが優の何を知ってる! 何も知らねえくせに。イジメられてたことも、どうせ知らな かったんだろ?」
   慎一は顔を反らす。
   彰は唇を噛み締め、Xを睨む。
X「あいつは童貞だったんだぞ? なあ、その悲しみが分かるか? あの穴に入れる快感を、あ いつは知らないまま死んだんだ」
   ウィスキーを飲み、ボトルを眺めるX。
X「酒の楽しみも分からなかった。二日酔いの頭痛も知らない。初めての二日酔いは、気持ち良 いもんだぜ? 頭いてぇーつって。それも分からないまま死んじまった」
   またウィスキーを一口飲むX。
X「人生はセーブ出来ねえ、ゲームオーバーになったら、もうコンティニュー出来ない」
   優の棺から降りるX。
X「そういえば、ディズニーランドに行った事が無いって前言ってたから、連れてってやったん だよ、無理矢理。たまには外の空気吸えっつって」
彰「え?」
慎一「いや、小さい時、一回だけ行った事がある。それ以来、行きたがらなかったから」
   理月、慎一を見て、涙を零しながら、
理月「行きたくなかった訳じゃない、気使ったのよ。分かるでしょ? あなたの仕事が忙しいか ら、優ちゃんは我慢してたのよ」
彰「優、昔言ってたよ。お父さんと一緒に行きたいから、まだ、我慢するって」
   と、泣きながら言う彰。
   遺影の中で笑う優。
X「どうでもいいけどさ、恥ずかしかったぜ?おっさんと高校生の男二人だぜ? 絶対ゲイの  カップルに間違われたよ。周りは皆カップルかJKだぜ? 耳なんか付けちゃってさ~。あそ うだ」
   Xはポケットから、10枚程写真を取り出す。理月の前に差し出すX。
X「これ、夢の国で撮った写真、あんたらにやるよ。セクシーな俺ちゃんが写ってるぜ」
   写真を受け取る理月。
   慎一がその写真を覗く。
   彰も立ち上がり、写真を見に行く。
   写真を見ていく理月、慎一、彰。
   理月は泣きながら、笑みを浮かべる。
   慎一も涙を零しながら、微笑む。
   彰も涙を流しながら、
彰「耳、付けてんじゃん」
   三人が見つめているのは、優とXがレストランで食事をしている時の写真。
   優とXは、ミッキーの耳を頭に付けている。ナイフとフォークを持ちながら、満面の笑み   を浮かべている。
理月「こんなに笑ってるの、初めて見たかも」
慎一「こんな顔、するんだな、優」
   僧侶が佐藤家を見ながら、優しい笑みを浮かべている。
   頭にはまだお香が乗っている。
   すると、扉が強く叩かれる。
   外から警備員の声が聞こえてくる。
警備員「大丈夫ですか!?」
X「そろそろ時間だな」
   と言って、銃を腰にしまう。
X「おい受付! 扉を開けろ」
受付の女性「は、はい!」
   と言って、扉を開ける。
   警備員が入って来る。
   警備員、怪訝な目でXを見ながら、
警備員「大丈夫ですか? 扉が閉まっていましたが」
理月「大丈夫です」
警備員「そうですか」
X「じゃあな、その写真でオナニーでもしな」
   と言って、出て行こうとする。
理月「あの!」
   振り返るX。
X「なんだ」
理月「あなたも一緒に、見届けてくれませんか? お願いします」
   頭を下げる、理月、慎一、彰。
   微笑むX。
X「俺は良い。ちゃんと燃やせよ!」
   と言って、斎場を出て行く。

○(回想)Xのアパート・居間(夜)
   酒缶が転がる汚い部屋。
   Xが煙草を咥えながら、バイオハザードをプレイしている。
   ボイスチャット用のヘッドセットを装着している。
   Xがコントローラーをぶん投げる。
   ヘッドセットを通して優の声が聞こえてくる。
優の声「だから言ったじゃんX。そこにはゾンビがいるって」
X「(叫ぶ)ファックファックファ~ック!」
優の声「(半笑いで)ちょっとうるさいってば」
   隣の住人に壁を強く叩かれる。
隣の住人の声「うるせぇぞ!」
X「うるせえ! 精子ぶっかけんぞ!」
優の声「(半笑いで)ぶっかけちゃダメでしょ」
   笑みを浮かべるX。
X「うるせえ、コンティニューだ」
   ゲームを続行するX。
X「ユニバーサルにバイオのアトラクション出来たの知ってる?」
優の声「あー、知ってるよ」
X「今度行く?」
優の声「行くわけないじゃん」
X「俺ユニバ行った事ねぇんだよな~、ある?」
優の声「・・・そういう所、行った事ないんだよね」
X「マジ? ディズニーは?」
優の声「・・・ない」
X「マジ!? さすがの俺でもあるぜ」
   優、少し悲しそうな声で、
優の声「普通、そうだよね」
X「よし決めた! 明日行こう、ディズニー」
優の声「は? 何言ってんの? 嫌だよ」
X「じゃあ全クリは諦めるしかねえな~」
優の声「え~? 何でよ、ここまで来たのに」
   コントローラーの操作を止めるX。
X「なあ・・・」
優の声「何?」
X「やっぱ、コンティニューしようぜ」
優の声「(半笑いで)いやもうしてるけど」
X「ちげえよ」
優の声「え? どういうこと?」
X「死ぬの、やっぱ止めね?」

○(回想明け)葬儀場・火葬場
   佐藤家と弔問客らが、優の棺を囲んでいる。棺が火葬炉に入っていく。
   火葬炉が閉まり、棺が燃えていく。
   理月、慎一、彰が、燃える棺を見つめている。

○霊園・中(夕方)
   Xが優の墓石に寄り掛かり、地面に座っている。
   無表情で、涙を零しているX。
   Xは煙草を取り出し、口に咥える。
   腰から拳銃を取り出す。
   自分のこめかみに突きつける。
   目を瞑り、撃鉄を引く。
   数秒間、その状態で深呼吸する。
   目を開けて、銃を下ろす。
   銃口を煙草の先端に近付ける。
   引き金を引く。
   カチッという音が鳴り、火がつく。
   煙草に火が付く。

〈終〉

閉じる
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントをするには会員登録・ログインが必要です。