Ms.サイコパス ミステリー

何でも屋として働いていた梅原由香里(25)のもとにある日脅迫されているとの依頼が入ってきた。依頼者を脅迫していたのは変態サイコパス瑞原智花(31)。しかし事件を追っていくと依頼者は自分が昔仕事でかかわったことのある人物だったことが発覚。ひょんなことから智花から命を狙われてしまう由香里。そしてかかわりがあったとのことだけで事件の犯人扱いされる。事件の真相を由香里は突き止めることができるのか。
奈々瀬りん@脚本家志望 34 0 0 06/16
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第一稿

人物
梅原由香里(25)
米本大輔(21)
瑞原智花(31)
佐島香織(30)
横溝祐樹(28)
信二(25)
アナウンサー
コメンテーター

〇新宿・アルタ前 ...続きを読む
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人物
梅原由香里(25)
米本大輔(21)
瑞原智花(31)
佐島香織(30)
横溝祐樹(28)
信二(25)
アナウンサー
コメンテーター

〇新宿・アルタ前・交差点
  交差点を渡る佐島香織(30)。
  目の前から香織にそっくりな梅原由香里(25)が歩いてくる。
  すれ違う二人。
香織「!」
  振り向く香織。
  振り返った先にはもう由香里はいない。

○カフェ・中
香織と向かいあって座っている瑞原智花(31)。
智花「ドッペルゲンガー?」
香織「そう!自分そっくりの人がこないだ新宿に行ったらいたのよ!世界には三人自分に似ている人がいるっていうじゃない?びっくりしちゃって」
智花「…そうなんだ」
  パスタを頬張る智花。
香織「びっくりしないの?」
智花「(首を振って)びっくりしてるよ!何となく実感がないだけで(笑)」
香織「ほんとに?」
  疑うように智花を見る香織。
  
○バー・中(夜)
由香里「また報酬なし…」
店に入ってくる由香里。
由香里、茶封筒をするがお札が出てこない。
グラスを磨いている米本大輔(21)。
米本「よぉ、またタダ働きしてるのか」
由香里「報酬出るっていうからやったのに依頼人に逃げられたわ。だから個人事業主は…」
席に着く由香里。
米本「俺も個人事業主だが」
由香里「それで何。私、忙しいの」
米本「聞いて損になる話じゃないと思うぜ」
由香里「前払いで話聞く」
米本「相談料は」
由香里「込み」
米本「友達じゃないのかよ」
由香里「友達だからこそよ」
  ため息をつく米本。
米本「実はな…」
  話を聞くうちに顔色が変わっていく由香里。
由香里「(ひきつった表情で)…いや冗談でしょ…」

○華道教室・中
  花を生けている智花。
智花「花は生けるだけ見るだけでいい。そう思っている人もいるかもしれません」
目の前には5名ほどの生徒。
その中に由香里がいる。
彼岸花を剣山に刺す智花。
智花「でもそれは違います。花にはそれぞれ意味がある。それを考えながら活けるのもまた趣深いものですよ」
智花をじっと見る由香里。
米本の声「仲のいい警官から相談があってな。
殺されるかもしれないっていう依頼なんだそうだ。何でも相手は瑞原智花」
  花を生ける由香里。
智花の声「きれいですね」
  顔を上げる由香里。
  目の前には智花がたっている。
  ぎこちなく笑いあう二人。

○由香里の部屋・中(夜)
  デスクに座るなり頭を抱える由香里。
由香里「(小声で)…何で彼女が脅迫なんか…」
横溝「早かったじゃん」
  部屋の奥から出てくる横溝祐樹(28)。
横溝「何。また何か依頼されたの」
由香里「昔の悪友からちょっと…」
横溝「今度はどんな依頼?」
由香里「犯罪者予備軍の女性を監視しろってさ」
横溝「それなら全人類監視しないとじゃん」
由香里「そうじゃないの。何でも警察に依頼してきた人からの相談っぽくてね…」
横溝「相談の相談ってわけ。めんどくさ」
  冷蔵庫からお茶を二つ取り出し、由香里に差し出す横溝。
横溝「その人ってどんな人?」
由香里「この人」
  雑誌のページを開いて見せる由香里。
横溝「瑞原智花?」
由香里「そう彼女」
横溝「何で華の魔術師が…」
由香里「もしかしてタイプだったりして」
横溝「(笑って)まさか」
由香里「だよねー。じゃ」
  部屋を出ていく由香里。
  一人になる横溝。
横溝「(小声で)智花…」
  
〇同・部屋の外
  壁に寄りかかる由香里。
  ゆっくりと座り込む。

〇佐島家・廊下
香織「急に家に来たいなんてどうしたの」
  廊下を歩く智花と香織。
智花「だいぶ家にも来てなかったじゃない?ほら…」
  廊下から茶の間に入る智花と香織。
智花「久々にお母さんにあいさつでもしようかと思ってね」
  茶の間の奥には香織の母親の遺影が飾ってある。
  ×  ×  ×
  遺影に向かって手を合わせる智花。
香織「…そんなことのために来たの」
智花「迷惑だった?」
香織「別に。でもそんなにお母さんと会ってないじゃん智花は」
智花「そうね」
  カンパニュラを一輪供える智花。
智花「ねえ、こないだドッペルゲンガーにあったって言ってたじゃない?」
香織「え?うん」
智花「何か変わったことない?」
香織「変わったこと?」
智花「だってほら、ドッペルゲンガーにあった人って何かしら不幸に会うっていうじゃない?」
香織「都市伝説でしょ。今のところそういうのはないかな」
智花「そうなんだ」
香織「でもなんで?」  
智花「こないだね、信二から連絡あったの」
香織「あいつから?なんで」
智花「あいつ?ずいぶん仲いいんだね」

〇(フラッシュ)街中
  雨が降っている街中。
  仲良く腕を組んで歩く香織と信二(25)。
  遠くから眺めている智花。

〇佐島家・茶の間・中
  包丁を構えて香織をにらんでいる智花。
香織「ちょっと何で?冗談でしょ」
智花「冗談でこんなことすると思う?」
香織「理由は何なの?」
智花「…それ聞く?」
  首をかしげる智花。
そのまま一気に包丁を香織に突き刺す。
  崩れ落ちる香織。
智花「何でか自分の胸に聞いてみたら?」
  そのまま部屋を出ていく智花。
  床に転がり動けない香織。

〇バー・中(夕)
T「開店前」
  カウンターに座っている由香里。
由香里「殺された?誰が」
米本「依頼者が」
  水を由香里の前に置く米本。
由香里「じゃあお金は」
米本「それは俺が払うよ。それより気にならないか。本当に彼女がやったのか」
由香里「彼女って瑞原智花?」
米本「それが事実ならとんでもないスクープだぞ」
由香里「スクープって…別に記者じゃないし」
米本「いいじゃんかよ。ここまで来たらお節介も何も一緒だよ。調べようぜ」
  身を乗り出す米本。
  不服そうな由香里。

〇由香里の部屋・中
  ホワイトボードとにらみ合っている由香 
  里。
  ホワイトボードには香織と智花の関係図が書かれている。
由香里「彼女は殺されるかもしれないと依頼してきた。で、実際に殺された。殺したのは本当に瑞原智花なのか」
横溝「何一人でぶつぶつ言ってんだよ」
由香里「おかしいと思わない?だって普通警察はこういうの民間のよくわからない何でも屋なんかに委託しないでしょ」
横溝「…それはそうかもだけど」
由香里「大体瑞原って女もおかしい。普通稼働教室で彼岸花で花生ける?もっと別の普通の選ぶでしょ」
横溝「そこは知らないけど…」
由香里「やっぱ私彼女に会いに行ってくる」
  ジャケットを羽織る由香里。
横溝「ちょ…」
  部屋を出ていく由香里。
横溝「…どこにいるか知ってんのかよ」
  何とも言えない顔の横溝。

〇花屋・中
  毒々しい花が並んでいる店内。
  その中で一人花を物色している智花。
由香里の声「こんにちは」
智花「?」
  振り返る智花。
由香里「お久しぶりです」
智花「誰?」
  首をかしげる智花。
  微笑む由香里。

〇道
  並んで歩く智花と由香里。
  智花の手には花束が抱えられている。
智花「稼働教室にいた方!なるほどね」
由香里「その節はお世話になりました」
智花「いいのよ。あなたも花生けるの好きなの?」
由香里「ええまあ。あの、あれどういう意味ですか」
智花「あれ?」
由香里「花には花言葉があるって。ただ眺めるだけじゃつまらないみたいなこと言ってたじゃないですか」
  一瞬考えて、笑う智花。
智花「言ったわね」
由香里「で、私の講義の時の花、彼岸花だったんです。あの言葉がほんとなら何かあったんじゃないかと」
智花「何?いい年して刑事みたいな真似事してるの?恥ずかしいわよ」
由香里「これが仕事なんです私の」
  立ち止まって智花をまっすぐ見つめる由香里。
由香里「智花さん、誰かを殺しちゃったりしてないですよね」
  瞬きを二回して目をそらす智花。
智花「してないわよ。変なこと言わないで」
  そういうと早足で来た方向を戻っていく智花。
由香里「…」
米本「逃げられたな」
  振り向く由香里。
  にやにやしながら立っている米本。
由香里「何でいるの」

〇バー・中
  バーの鍵を開け、入ってくる米本と由香里。
米本「何ではないだろ。食材調達とターゲットの素行調査だよ」
  買い物袋をカウンターに置く米本。
由香里「私やるって言ったじゃん」
米本「お前は引け」
由香里「は?」
米本「いいから。な」
  ゆかりの肩をたたいて店の奥に入っていく米本。
由香里「…意味わかんない」

〇オーガニックカフェ・中
  花に囲まれ、お茶を飲んでいる智花。
智花「…由香里さんねえ」
  由香里スマホで稼働教室の申し込み者リストを見ている。
智花「あの子はどんな花が似合うんでしょう」
  満面の笑みを浮かべながらお茶を飲む智花。
  気味悪げに智花を見る店員たち。

〇智花の部屋・中
  マネキンに囲まれ、花だらけの室内。
  入ってくる智花。
  智花、テレビをつける。
アナウンサーの声「続いてのニュースです」
  カンパニュラの花びらが移るテレビ。
アナウンサー「カンパニュラだらけで見つかった死体とのことです。被害者は佐島香織さん」
  智花、据わった視線で報道を見る。
アナウンサー「犯人がどんな意図でこの花を置いていったのか現在捜査中とのことです」
  テレビを消す智花。
  目の前の割れた鏡に自分の顔が映る。
智花「急がなくちゃ…」
  
〇由香里の部屋・中
横溝「引け?どういうこと」
  テーブルに座って―ル由香里。
  由香里にコーヒーを出す横溝。
由香里「知らないわよ。また依頼料もらえないじゃない」
横溝「そんな…何か事情があるんじゃないか」
由香里「…わからないけど」
コメンテーターの声「被害者は数日前ドッペルゲンガーに悩まされると警察に相談していたようですね」
  テレビから流れるコメンテーターの声。
  振り返る由香里と横溝。
由香里「…」
横溝「ドッペルゲンガーってこないだなんか依頼されてなかった?」
由香里「なんか都市伝説のプロモーションビデオ作りたいからって…」
横溝「あの香織って女が通報したのはもしかして由香里さんなんじゃ…」
由香里「まさか…」
横溝「やっぱりこの件から手を引いたほうがいいよ」
由香里「やっとお金につながるかと思ったのに…」
横溝「捕まったら、元も子もないじゃん!」
  部屋を出ていく横溝。
由香里「別に私たちが殺されるわけじゃないんだし」
  キョトンとする由香里。

〇 バー・裏路地
  ゴミ捨て場でタバコを吸っている米本。
智花の声「どういうこと」
  振り向く米本。
智花「私のことほっといてって言ったじゃない」
米本「そのつもりだったんだけど。今回はアウトだろ」
智花「何が」
  智花、タバコを取り出し一緒に吸う。
米本「完全に黒だ」
智花「グレーならよかったの」
米本「いいわけじゃないけどな。でもばれる確率は少なかったかもしれない」
智花「何言ってんのよ中途半端な行動で完璧な芸術はできないわ」
横溝の声「何してんすか」
  裏路地に入ってくる横溝。
横溝「米本さんと瑞原さん、グルだったんですか」
  気まずそうな米本。
智花「…誰」
横溝「俺、横溝って言います。梅原由香里の事務所で助手してます」
智花「横溝君」
横溝「事務所が今ピンチなんです。それ以上に由香里さんがピンチなんです」
米本「彼女が?なんで」
横溝「(米本を見て)あの依頼って、警察官の人に頼まれたんですよね」
米本「…そうだが」
横溝「由香里さん、この仕事の前に都市伝説がらみの仕事引き受けてたんです。それが被害者と関係あるみたいで」
米本「そんな…」
横溝「そういうことで由香里さんに手出したら許さねえからな二人とも」
智花「何の話?」
横溝「…」
  智花をにらみつけると、無言のまま去っていく横溝。
智花「何あいつ…」
米本「気をつけろよ」
  智花を見る米本。
  智花、深くうなずく。
〇由香里のアパート・前
  アパートの前で心配げに待っている由香里。
  遠くから歩いてくる横溝。
由香里「どこ行ってたのよ!」
  横溝に駆け寄ろうとする由香里。
横溝「危ない!」
  通りすがりの男(信二)が包丁で由香里を切りつけさっさと逃げていく。
  わき腹を刺され倒れる由香里。
横溝「由香里さん!由香里!死ぬな!」
  薄目を開ける由香里。
由香里「ちょっと痛いな…救急車」
横溝「今呼ぶから。待ってろ」
智花の声「無駄よ」
  振り返る横溝。
  背後に立つ智花。
智花「その包丁毒が仕込んであるから確実に死ぬわ」
横溝「お前の仕業か…」
智花「だって時間ないんだもの。貴方ほっといたら警察行っちゃうでしょう」
  微笑む智花。
  顔をそらす横溝。
智花「邪魔ものにはさっさと退場してもらわないと」
由香里「…邪魔ものね」
  起き上がる由香里。
  唖然とする横溝と智花。
由香里「退場するのは貴方よ。智花さん」
  ボイスレコーダーを見せる由香里。
由香里「全部入ってる。こんなこと、職業柄予想してないと思ったの?詰めが甘いわね」
  遠くから聞こえるサイレンの音。
  膝からへたり込む智花。
由香里「さあ、全部聞かせてもらいましょうか二人とも」
  建物の陰から出てくる米本。
  米本をにらみつける由香里。

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