オーサム・クラブ 学園

高校生の山本統・西城勇紀・向井一哉は、3人だけの部活「オーサム・クラブ」を立ち上げる。 クラブのルールはただ一つ。「隠し事をしない」こと。 だけどここ最近、3人はそれぞれに誰にも言えない秘密を抱えているようで……。
紺未来(こんみ) 41 0 0 06/14
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第一稿

ー人 物ー
山本統(15・18)高校生
西城勇紀(15・18)高校生
向井一哉(15・17)高校生
村瀬奈々葉(15・18)高校生
杉原美津子(40) 理科教師
定岡洋 ...続きを読む
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ー人 物ー
山本統(15・18)高校生
西城勇紀(15・18)高校生
向井一哉(15・17)高校生
村瀬奈々葉(15・18)高校生
杉原美津子(40) 理科教師
定岡洋一(23) 向井の家庭教師
 

○学校・教室(夕)
  T「とある夏」
  がらんとした教室には三人の少年がいる。
  教卓の上にはバケツ。中には氷で冷やされたラムネ瓶が3本入っている。
  向井一哉(15)、黒板いっぱいに【Awesome Club】とローマ字で書く。
  窓際の席で校庭を眺めていた山本統(15)、黒板を見る。
  校庭では、村瀬奈々葉(15)が陸上部のユニフォームを着てトラックを走っている。
山本「アウェ…ソメ……?」
  山本とは離れた席で参考書を読んでいた西城勇紀(15)、顔をあげる。
西城「オーサム・クラブ。オーサムは若者のスラング言葉で、最高とか、やばいとか、そういう
 意味」
  向井、「Awesome」の部分にざかざかと線を引く。
向井「俺たちのクラブ名にぴったりでしょ」
  ぽかんとしている山本。
山本「俺たち帰宅部だぜ」
向井「今日からオーサム・クラブ」
西城「めんどくさそうだからパス」
  西城、再び参考書に目を落とす。向井、西城は気にせず、山本を見てくすくす笑っている。
向井「それに……」
山本「なんだよ」
向井「(山本を指さし)統と、オーサムって、似てるじゃん」
 大げさにずっこける山本。
山本「俺かよ」
  西城、くすりと笑う。
西城「なるほど。おさむクラブか……」
  山本、ずかずかと黒板の前へ出ていく。
山本「まてまて、じゃあ、リーダーは俺でいいんだな?」
向井「いいよ。ね、西城」
西城「ああ」
  山本、誇らしげに仁王立ちする。
山本「ははは。今日から俺がリーダー」
向井「(口笛を吹き)さっそくですがリーダー」
山本「なんだい、向井君」
向井「クラブのルールを決めましょう。そういうの、大事です」
山本「ルール? ルールか。うーん……そうだなあ。じゃあ、こうしよう。“隠し事はなし”。簡
 単だろ」
 三人、笑って目を合わせ、頷く。
向井「そいじゃ、オーサム・クラブ設立を祝し、かんぱーい」
 ラムネ瓶を合わせる3人。かちんとガラスの合わさる音。吹き出すソーダの泡。

〇学校・教室(夕)
  T「2年後の夏」
  少し傾いたじょうろの口からぽた、ぽた、と水が床に垂れている。
向井の声「悪魔はいつも、すぐ隣にいて、あなたに優しく微笑んでいるのです……」
  にたりとほくそ笑む向井一哉(17)。
  向井の後ろの席で、じょうろを持ったままだらんと手をさげている山本統(18)。
  じょうろが傾き、水が床にだらだらとこぼれる。
  水が山本のサンダルまで侵食し、やっと気が付く山本。慌ててじょうろを机に置く。
山本「悪魔ぁ?」
  黒板には【進路希望表、出してね(ハート)。みつこ先生】と書かれている。
  二人と離れた席で『東京大学』の赤本を読んでいる西城勇紀(18)。
向井「統、知らないの? この学校には最近、悪魔が出るってもっぱらの噂」
山本「よく分かんねえ」
向井「よしっ。じゃあ、今日のクラブの議題は、『悪魔』にしよう」
山本「ま、いいけど。じゃあ、書記。前に出よ」
  西城、ため息をつき、のろのろと黒板に立つ。
  しばらく黒板の文字(みつこ先生)をじっと見て、消す。
  新たに【議題「悪魔」】とチョークで書く。
向井「悪魔は、大変美しい姿をしている」
  西城、【・美しい】と書く。
向井「そして、いつもアイスをなめている」
西城「アイスって? ガリガリ君とジャイアントカプリコじゃ趣が変わってくる」
向井「えーそこ、こだわる?」
西城「ディティールは大切だ」
山本「なんでもいいだろ」
向井「んー。じゃあ、ホームランバーで」
  西城【・ホームランバー】と書く。
向井「そしてこうつぶやく」
  固唾をのんで向井の言葉を待つ山本。
向井「『いいことをしよう』」
  西城、手をとめる。山本、はっとする。
  間。
  チョークを置く西城。
西城「くだらないな。俺、やっぱり帰る」
  スクールバックを背負う西城。
向井「おーい。西城。どこいくの」
西城「俺らって受験生だったよな?」
  西城、出ていく。残された向井と山本。
向井「……ね、統。もし、悪魔が現れたらさ、俺にも教えてよ」
  山本、黙っている。
向井「俺たち、隠し事はなしでしょ」
  山本、向井をじっと見て、ふっと笑う。向井、弾みをつけて席を立つ。
向井「俺も行かなきゃ。今日、家庭教師が来る日だった。宿題が多くて、やな奴なの」
  山本、ぼんやりとじょうろを見ている。

〇同・理科室(夕)
  白衣の乱れた杉原美津子(40)を机に押し倒す西城。美津子、西城の右手を触る。
  チョークの粉がついている。
美津子「これは……?」
西城「……なんでもないですよ」
  西城、美津子に荒々しくキスをする。
  ×        ×        ×
  白衣をなおす美津子。シャツのボタンを一つ一つ丁寧に締めていく西城。
西城「みつこ先生」
美津子「なあに」
西城「こんなこと、いつまで続けるんです」
美津子「いつまでも、よ」
  西城、後ろから美津子を抱きしめ、首筋に顔をうずめる。
西城「ねえ、先生。知ってますか。永遠なんて、この世には存在しないんですよ」

〇マンション・向井の部屋(夕)
  勉強机に座り、数式を書いている向井。
  悩ましい表情で、後ろのベッドを振り向く。ベッドに体を預け、愉快げに笑う定岡洋一(2
  3)。
定岡「トレミーの定理」
向井「マクローリン展開……」
定岡「行列の対角比」
向井「……っ。王政復古の大号令!」
  頬を染め俯く向井。定岡、不適な笑み。
定岡「それは日本史だ」

〇学校・裏庭(夕)
  人気のない裏庭。
  山本、大きな花壇の前にしゃがむ。
  じょうろを置き、スコップで穴を掘っている。
  足音がする。徐々に近づいてくる。足音は山本の隣で止まる。
  陸上部のユニフォームを着た村瀬奈々葉(18)が、ホームランバーをくわえ立っている。
  山本、奈々葉のほうを見ず、熱心に穴を掘っている。
奈々葉「なに植えるの」
山本「なんだとおもう」
  奈々葉、いたらずらっぽく笑う。
  山本、奈々葉を無視し、穴を掘り続ける穴はどんどん大きくなる。
  間。
  奈々葉、山本の隣にしゃがむ。思わず奈々葉を見る山本。奈々葉、山本を見つめ微笑む。
奈々葉「(アイスをなめて)ね。いいことしよっか」
  山本、じっと奈々葉を見る。
  ×        ×        ×
  フラッシュバック。笑顔の向井。
向井「もし、悪魔が現れたらさ、俺にも教えてよ。俺たち、隠し事はなしでしょ」
  ×        ×        ×
 花壇に、ホームランバーが落ちる。
  ×       ×         ×
  花壇に、人が入るくらいの大きな穴。
  スコップを置き、汗を拭う山本。
  奈々葉、穴の中に入り、横たわる。
  山本、じっと奈々葉を見下ろしている。
奈々葉「ね。おさむちゃん。私ってほんとはね……」
山本「いいから。……何も言わなくて」
  山本、奈々葉の上に土をかぶせていく。どんどん土に埋もれていく奈々葉。

〇学校・裏庭(夕)
  花壇一面、紫。鮮やかなトリカブトの花が咲いている。
向井の声「トリカブトって、知ってる?」

〇学校・教室(夕)
  教室に離れて座る山本、西城、向井。
西城「食すと嘔吐、呼吸困難、臓器不全。数秒で人を死に至らしめる日本最強の有毒植
 物。だ、な」
向井「裏庭の花壇にその花が咲くようになってから、悪魔が現れなくなったらしいんだ。ね
 え……何か知らない?」
  向井、西城、じっと山本を見る。間。
  山本、ふっと力なく笑い、遠くを見る。

            

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