そのメールが届いたなら ホラー

ひょんなことから学校で話題になっていた「幸せのメール」というチェーンメールが届くようになった奈々。しかしそのメールは幸せのメールなどではなく、届いたものを不幸にするメールだった。「このメッセージを受け取ったあなたは24時間以内に回さないと死が訪れます」その言葉の真偽はいかに…!?
奈々瀬りん@脚本家志望 33 0 0 06/02
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第一稿

人物
並木刹那(16)
本橋奈々(16)
鈴木美羽(16)
並木いずみ(40)
ヒロ(21)
佐久間隆(17)
母親

〇高校・屋上
フェンス越しに立っている並 ...続きを読む
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人物
並木刹那(16)
本橋奈々(16)
鈴木美羽(16)
並木いずみ(40)
ヒロ(21)
佐久間隆(17)
母親

〇高校・屋上
フェンス越しに立っている並木刹那(16)。
× × ×
校舎の下には人が集まっている。
飛び降りる刹那。
奈々「やめて!」
思わず駆け出す本橋奈々(16)。
奈々・N「彼女に幸せはやってこなかった」

○高校・教室(朝)
奈々「幸せのメール?」
スマホから顔をあげる奈々。
美羽「なんかね、あるらしいよ。幸せのメール。届いたら好きな人から連絡来ることこと間違いなし!面白くない?」
奈々「面白いけど、噂でしょ?」
美羽「でも幸せになりたいじゃん?」
教室に刹那が入ってくる。
奈々「おはよう」
刹那に声をかける奈々。
顔をしかめる鈴木美羽(16)。
美羽「ちょっと!」
奈々「…え」
美羽「なんであの子に声かけるの」
奈々「え、だって…」
誰とも視線を合わせず席に着く刹那。
刹那の周りでこそこそ話をするクラスメート達。
教室に担任が入ってくる。
担任「静かにしろ!」
席につくクラスメートたち。
美羽「やめときなって。不幸になる」
美羽も席に戻っていく。
奈々「ただの噂じゃん…」

○帰り道(夕)
1人で歩いている刹那。
奈々の声「並木さん!」
振り向く刹那。
刹那「…何ですか」
奈々「いや、一緒に帰らないかなぁって」
刹那「不幸になりますよ。私といると」
奈々「いやいや。仲良くしただけでそんな」
刹那「ほんとなんです。私のせいで両親は離婚したし、離れ離れだし、弟は施設に行っちゃったし。全部私のせいなんです」
奈々「いや、だからそれは…」
口ごもる奈々。
刹那「運命って体質みたいなものなんです。体質ってそんな簡単に変わらないんですよ」
奈々「そんなことないと思うけど…」
刹那「…何も知らないくせに」
早足で去っていく刹那。
立ち尽くす奈々。

〇並木家・リビング・中(夜)
刹那「ただいま」
  暗い室内。
  電気をつける刹那。
いずみ「…帰ってきたの」
  部屋の奥から出てくる並木いずみ(40)。
刹那「…お母さん」
いずみ「和彦はいい子だったのにね…」
刹那「施設にいれたのはお母さんだよ」
いずみ「あんたが学校なんか行かず就職しとけば引き取れたのよ。全部あんたのせいよ」
刹那「…」
  部屋を出ていく刹那。

〇同・刹那の部屋(夜)
  部屋に入ってくるなりドアの前で涼みこむ刹那。
刹那「…これは体質。体質だから…」

○喫茶店・中
美羽「不幸が体質?馬鹿じゃないの」
ケーキを頬張る美羽。
奈々、スマホを見ている。
奈々「いやでもさ、美羽も幸せのメール信じてるじゃん」
美羽「それはそれ。これはこれ。私の幸せは学校行ってあんたとあえて、なおかつ彼氏がいれば更に最高」
奈々「最高だね」
美羽「でしょ。世の中はそれなりか幸せかで成り立ってるんだよ。てか、最期には皆死ぬのにそれ以上の不幸ってあるの」
メールの着信がなる美羽のスマホ。
美羽「やばい!幸せのメール来たよ!好きな人から告白されるって!」
奈々「(怪訝そうな顔で)…え」
幸せそうな美羽。
顔を曇らせる奈々。

○駅前(夜)
並んで歩いているヒロ(21)と刹那。
ヒロ「(時計を見て)あ、ごめん。もう時間」
刹那「そっか…ありがと」
財布からお金を出し、渡す刹那。
ヒロ「いやもう、ほんと死ぬとか言っちゃダメだよ。ね」
刹那「時間なんでしょ。ヒロさんに関係ないじゃんもう」
ヒロ「いやでも…」
刹那「幸せの形って色々あるんですよ」
ニコッと微笑む刹那。
刹那「大丈夫なんで。行ってください」
ヒロを見送る刹那。
  自分の手のひらを見つめる。
刹那「(小声で)やっぱりなんかむなしいな」

〇高校・情報室・中
  パソコンをいじっている佐久間隆(17)。
  佐久間のスマホにメールが入る。
  ライメはヒロから。
ヒロ「『ちょっと気にかけておいてほしいやつがいるんだけど』」
  キーボードから指を離してスマホを見る佐久間。
  考えて返信を返す。

○高校・教室
  昼休み。
  向かい合って弁当を食べている美羽と奈々。
美羽「聞いて聞いて!佐久間先輩から告白された!」
  浮かれた様子で机をたたく美羽。
奈々「いや…好きな人って佐久間先輩だったの」
美羽「そう。早く奈々にも連絡来るといいね」
奈々「それっていいのか悪いのか」
  奈々のメールの着信音が鳴る。
奈々「なんか来た…」
美羽「あれじゃない。幸せのメール」
奈々「いや…私チェーンメール送られるような人にメアド教えてない」
美羽「今どきこういうのライメだから」
奈々「まじ」
  スマホを確認する奈々。
  ライメに届いている「不幸せなあなたへ」から始まるメッセージ。
美羽「幸せメールじゃん!なんてなんて?」
奈々「『あなたの苦手な人がいなくなります』…何これ」
美羽「苦手な人っているの」
奈々「心当たりはない」
美羽「まあほっとこう」
奈々「さっきまであんなに薦めてたのに(笑)」
美羽「なんか気持ち悪いんだもん」
奈々「なにそれ」
  サンドイッチを頬張る奈々。
  スマホを裏返しておく。

〇同・昇降口(夕)
  靴箱から靴を取り出す奈々。
刹那「…本橋さん」
  奈々の隣にぬっと現れる刹那。
奈々「わ!びっくりした!何?」
刹那「チェーンメールって信じますか」
奈々「…え」
刹那「信じますか」
奈々「わからないけど…内容がいいものだったらちょっと期待してもいいかなとは思う」
刹那「いいもの」
奈々「まあね」
刹那「じゃあ叶いますかね。今日の」
  そういって校舎の中に戻っていく刹那。
奈々「…どういうこと?」 
  首を傾げる奈々。
  ×  ×  ×
  帰り道。
  校舎を出てくる奈々。
  スマホの着信音。
奈々「何…これ」
  ライメのメッセージには「苦手な人がいなくなるね」の文字とともに刹那の写真。
奈々「並木さん…?」
  刹那の顔が奈々の脳裏に浮かぶ。
刹那の声「じゃあ叶いますかね。今日の」
  スマホを下す奈々の手。

〇同・階段(夕)
  屋上への階段を上る刹那。
  その手にはスマホが握られている。

〇同・校庭(夕)
  校庭へ出て息が上がっている奈々。
  校庭には部活が行われている。
美羽「奈々?」
  振り向く奈々。
奈々「あ…いた。例のなんかおかしいんだけど」
  ×  ×  ×
  屋上。
  フェンスの外に立つ刹那。
いずみの声「全部あんたのせいよ」
  唇をかみしめる刹那。
  飛び降りる。
  ×  ×  ×
美羽「例の?(スマホを見て)あ、幸せメール…?」
奈々「幸せメールなのほんとに?」
美羽「私のはそうだったけど…なんか怖いねこれ」
  顔をしかめる美羽。
人の声「おい!人が落ちたぞ!」
  振り向く美羽と奈々。
奈々「まさか…」
  駆けだす奈々と美羽。
  ×  ×  ×
  裏庭。
  倒れている刹那。
奈々「…うそでしょ」
  口元を押さえる奈々。
  刹那の手元にはスマホが壊れた状態で置かれている。

〇本橋家・奈々の部屋(夜)
  丸テーブルを囲んでお菓子を食べている奈々と美羽。
美羽「何でこんなことに…」
奈々「これは…幸せのメールなんかじゃなかったんだよ」
美羽「でも私は先輩と…」
奈々「それはたまたま」
美羽「何で並木さんはこれ知ってたんだろう」
奈々「わからないけど…でも彼女にも届いていたんじゃないのメール」
  メールの着信音が鳴る奈々のスマホ。
  スマホを確認する奈々。
奈々「違う…あの子知ってたんだ」
美羽「え…?」
奈々「いや、何でもない」
  そういって苦笑いする奈々。
  スマホを裏返してテーブルに置く。
  怪訝そうな顔をする美羽。
  ×  ×  ×
  スマホを見る奈々。
  ライメには黒いアイコン、名無しの宛先から「あなたがチェーンメールの差出人に。送らなければ24時間後に死を」というメッセージが送られてきている。
  メッセージの添付画像を開く奈々。
奈々「…っ!」
  口元を押さえる奈々。
  そこには血を流して倒れた刹那の遺体。
奈々「もしかして並木さんも…」

〇喫茶店・中
佐久間「幸せのメール?何それ」
  コーヒーを飲んでいる佐久間隆(17)。
美羽「私はそんなの信じてなかったんですけど。そういうチェーンメール届いてたんだよね。奇跡じゃないですか」
  パフェを頬張る美羽。
佐久間「なんかよくわかんないけど…そうなんだ」
美羽「そう!もうめっちゃうれしくて!」
  パフェを頬張る美羽。
佐久間「そっか…」
  笑顔が消える佐久間。

〇高校・教室(朝)
  登校してくる美羽。
美羽「おはよう!…あれ」
  教室にいない奈々。

〇本橋家・奈々の部屋・中
  薄暗い部屋の中。
  布団をかぶって動かない奈々。
母親の声「病院は本当にいかなくていいの!?」
  母親の声に耳をふさぐ奈々。
奈々「…うるさいなあ」
佐久間の声「おーい」
  ソロから聞こえる佐久間の声に起き上がる奈々。

〇本橋家・玄関・前
佐久間「ちょっといいから顔出せよ!」
  玄関で大きな声で呼びかけている佐久間。
奈々「…え、なんで」
  自分の部屋の窓から顔をのぞかせる奈々。
  大きく手を振る佐久間。
  ×  ×  ×
  玄関から出てくる奈々。
  佐久間が壁に寄りかかって立っている。
佐久間「よお」
  奈々を見て姿勢を正す佐久間。
奈々「何でここに」
  佐久間を見て固まる奈々。

〇帰り道
佐久間「それがほんとなら俺、うれしくないな」
  苦笑いする佐久間。
奈々「え」
佐久間「でも、多分運命とか奇跡とか女の子がそういうもの好きなんだってわかってるけど俺はそういうのちょっと信じらんないっていうか」
奈々「嫌われるよ、彼女に」
  赤信号で立ち止まる二人。
佐久間「逆にチェーンメールとか信じるの」
奈々「信じたくないけど…」
佐久間「けど?」
奈々「ネットは怖いなって思ってる」
佐久間「…俺今お前と別れてからこういうのやってんだ」
  名刺を渡す佐久間。
  そこにはサイバーセキュリティーグループの文字。
奈々「え、すごいじゃん」
佐久間「趣味みたいなもんだし、そんなことないんだけどさ。もし困ったこととかあったら遠慮なく」
奈々「うん」
  メールの着信音を知らせる奈々のスマホ。
奈々「…また」
佐久間「え、何」
  奈々の手元をのぞき込もうとする佐久間。
美羽の声「二人とも何やってんの」
  振り向く奈々と佐久間。
  小首をかしげて立っている美羽。

〇駅・改札口
  立ち話している美羽、奈々、佐久間。
美羽「そっかー部活一緒だったんだ!へえ」
奈々「そうなんだよね」
佐久間「ね」
奈々「そういえばなんか用事?家まで来て、どうしたの」
佐久間「別に。近くまで来たからついでに渡そうと思って」
  プリントを奈々に渡す佐久間。
佐久間「こないだのミーティングの」
奈々「ごめんありがとう」
美羽「仲いいんだね…」
佐久間「まあ、暇だったからね」
奈々「今日はごめんね、学校」
美羽「ううん。全然」
佐久間「俺全然知らないんだけどさ、うちの学校で一人死んだんだろ。行きたくなくなるのも無理ないよな」
  固まる美羽と奈々。
  美羽と奈々、顔を見合わせる。
  ×  ×  ×
電車が美羽と奈々の目の前を通り過ぎていく。
奈々「また来たんだけど」
  スマホの画面を見て思わずスマホを放り投げる奈々。
美羽「…え、きも」
  口元を押さえ小刻みに震える奈々。
  スマホの画面には猫のバラバラ死体。
美羽「もう警察に相談しようよ」
  奈々の袖を引っ張る美羽。
奈々「ちょっと待って」
  奈々、佐久間からもらった名刺を見る。
  そこにはサイバーセキュリティーグループの文字。
奈々「…」

〇喫茶店
  ヒロと向かい合っている奈々。
奈々「ごめんなさい。急に呼び立てて」
ヒロ「いいんですよ。多分この類のはほっといたらどうにかなります。害はないのでご安心を」
奈々「着拒とかってしたほうが…?」
ヒロ「いいかもですね。自分から手を打ったほうが安心にもつながります」
奈々「じゃあ着拒しよ」
ヒロ「僕はこれで」
奈々「ありがとうございました」
  深々とお辞儀する奈々。
奈々の声「私はこれでもう事由になれたはずだった。」

〇佐久間家・リビング・中
  部屋に入ってくるヒロ。
  暗い部屋の中で作業している佐久間。
佐久間「おかえり」
ヒロ「いいんですか」
佐久間「いいんだよこれで」
  コーラを一気飲みする佐久間。
佐久間「支配するって楽しいじゃん」
  佐久間の端末には奈々のスマホ情報。
  メッセージを送る佐久間。

〇本橋家・奈々の部屋・中(深夜)
  時計は2時半を指している。
  ぐっすり寝ている奈々。
  非通知の着信がかかってくる。
  十数秒なって切れる電話。
  するとライメにメッセージが入る。
  「ナナ」「起きてる」「今家行くよ」「あと5メートル」「今着いた」
  メールの音で起き上がる奈々。
奈々の声「私への恐怖はまだこれからだった」

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