早春ブックマーカー 恋愛

時は二月。高野若葉(16)は同じ高校に通う島崎智博(16)、通称「本の王子様」に、秘かな思いを寄せていた。……小さな恋の物語。(約30分想定の映画脚本です)
佐々木達央 102 0 0 05/31
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第一稿

「早春ブックマーカー」

《登場人物》
高野 若葉(16)高校1年生
島崎 智博(16)高校1年生
清水 彩音(16)高校1年生
駅員

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「早春ブックマーカー」

《登場人物》
高野 若葉(16)高校1年生
島崎 智博(16)高校1年生
清水 彩音(16)高校1年生
駅員

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《本編》
○高野家・若葉の部屋(早朝)
   壁にかかったカレンダーは2月。
   姿鏡の前。
   冬の制服に身を包んだ、高野若葉(16)。
   胸のリボンの位置 を合わせて、笑顔を作る。

○駅・ホーム(早朝)
   線路が朝日に照らされ輝いている。
   若葉の吐く息は白い。
   若葉の視線の先に島崎智博(16)
   カバーのかかっていない本を片 手に立っている。
   
○高校・外観(早朝)

○同・教室・内(早朝)
   教室に入ってくる若葉。
   教室には窓際の一番前の席に智博が座っている。
   他に人は誰もいない。 
   智博が読んでいる本の表紙が見え、夏目漱石の『坊ちゃん』だ。
若葉「……」

○本屋・外観(夜)

○本屋・店内(夜)
   文庫コーナーを行ったり来たりする若葉、パッと立ち止まり、
   夏目漱石の欄に手を差しのべる。
 
○高野家・外観(夜)

○同・家・若葉の部屋(夜)
   勉強机に向かう若葉、本のカバーを外す。
   『坊ちゃん』(智博と同じ本)である。
   ほほ笑む若葉。

○駅・外観(日替わり・早朝)
   寒さで頬を赤らめつつやってくる若葉。

○駅・ホーム(早朝)
   若葉の視線の先には智博が本を読んでいる姿がある。
   若葉は鞄から本を取り出して開く。
   距離をあけて本を読んでいる姿の智博と若葉。

○高校・教室・内(早朝)
   教室のドアを開ける若葉。
   誰もいない教室。
   ドアを閉め、智博の席を見る若葉。
   と、背後のドアが開く。
   驚いた若葉、思わず手に持っていた本を床に落とす。
   床に落ちる本。
   ドアを開けたのは智博。目が合う二人。
若葉「……!(視線を逸らす)」
智博「おはよう……」
   智博が若葉の落とした本を拾おうとする。
   慌てる若葉も本を拾うとする。
   手が触れ合う二人。
智博「あっ、ごめん」
若葉「(焦って)あ、ありがとう!」
   本を拾った若葉は、自分の席へ。
   智博、窓辺の自分の席へ行く。
   席に着いた若葉は両手で顔を押さえる。
   その間から、智博の方を見る。
    × × ×
   時計が八時を回る。
   ノートを開き、隅っこに相合傘を書いている若葉。
   清水彩音(16)が教室に入ってきて若葉の前へやってくる。
彩音「おっはよー。若葉」
   席に荷物を置いて座る彩音。
若葉「彩音、おはよー」
彩音「朝から勉強?」
   若葉のノートを覗き込もうようする彩音。
若葉「ち、違うよ!」
   慌ててノートを閉じる若葉。
 
○駅・ホーム(日替わり・早朝)
   若葉、鞄から本を取り出す。
   ホームにやってくる智博、若葉に気づいてやってくる。
智博「(勇気を振り絞り)おはよう!」
若葉「(動揺して)お、おはようございます」
   若葉は手にした本を鞄にそっとしまう。
智博「(少し照れくさそうに)高野さん、ここの駅だったんだね。今まで気付かなかった」
若葉「(照れて)そ、そうだね。私も、今まで全然気付かなかったです……」

○走っている電車・車内(早朝)
   若葉と智博、隣り合って吊革につかまって立っている。
若葉「あの……」
智博「ん……?」
若葉「(緊張しつつ)いつも、島崎君、本、読んでるなーと思って」
智博「そうかな? まあ、確かに本読むのは好きだけど。高野さんも本、よく読むの?」
若葉「わ、私ですか? 私も、その、漱石とか、よく読みます」
智博「そうなんだ。奇遇だね。今はこれ」
   智博位は『坊ちゃん』を若葉に見せる。
智博「漱石ではどんな作品が好きとかある?」
若葉「えっと、それは……沢山あるから……」
   戸惑い、うつむく若葉。
智博「……?」

○本屋・外観(夜)

○本屋・店内(夜)
   文庫コーナーで立ち止まる若葉。
   漱石の欄にある本たちを全部取る。

○高野家・若葉の部屋(夜)
   机に山積みになった漱石の本たち。
   その本たちを見つめて微笑む若葉。

○駅・ホーム(早朝)
   ホームに立つ若葉、その視線の先で智博が本を読んでいる。
   智博の方をじっと見つめる若葉、徐々に体が前に乗り出して
   白線の外側に出そうになる。
    
   駅員が慌てて若葉に駆け寄る。
駅員「ちょっと! 危ないですよ! 気をつけて」
若葉「あっ、すみません……」
   若葉、赤面。
   その様子を智博が見ている。
   余計に恥ずかしい若葉。

○同・教室・内(早朝)
    自分の席で本を読んでいる若葉。
   智博の方を見る。
   本を読んでいる智博の後ろ姿。
   そこへ彩音がやってくる。
彩音「若葉。おはよー」
若葉「(慌てて視線を彩音に)おはよ……」
   彩音が若葉の見ていた方を振り返る。
彩音「……?」

○カフェ・店内
   彩音はパフェを退屈そうにつまんでいる。
   紅茶を飲む若葉。
彩音「若葉。最近、難しそうな本読んでるよね?」
若葉「そうかな? 結構面白いと思うよ。勉強にもなって一石二鳥だよ」
   と本を取り出す若葉。
彩音「どれどれ?(と本をパラパラとめくる)私には絶対無理だわ。パスパス。こういうの。夏目……? ああダメ!」
   彩音はパフェをつまみながら若葉を見る。
彩音「もうすぐバレンタインだけど、若葉はどうするの?」
若葉「私は、別に……」
   紅茶を飲む若葉。
彩音「若葉は、本に恋しちゃったのかな?」

○ショッピングセンター・売り場(夕)
   バレンタインコーナーを見る彩音と若葉。
   若葉は星形の型を手に取る。
   買い物かごを下げた彩音がやってくる。
彩音「なんかいいのあった?」
若葉「これは?」
   若葉、星形の型を彩音に見せる。
彩音「部活の男子に配るなら、いいかもしれないけど……パスかな」
   若葉はしぶしぶ型を元の場所に戻す。
   
○駅・外観(夜)
   若葉と綾音が駅から出てくる。
彩音「今日はありがとねー」
   綾音が手を振り去っていく。
   若葉、綾音を見送ると、再び駅に入っていく。

○ショッピングセンター・売り場(夜)
   バレンタインコーナーに戻ってくる若葉、星の型を手に取る。

○高野家・若葉の部屋(夜)
   青い小箱には星型のクッキーが入っている。
   箱を閉じて、リボンで結ぶ若葉。
   カレンダーを指でなぞる若葉。
   その指先が、2月12日で止まる。
若葉「明後日……」

○駅・ホーム(早朝)
   ホームで、目をこする若葉、あくびをする。
   やってくる智博。
智博「高野さん、おはよう!」
若葉「し、島崎君、お、おはようございます」
   とっさに智博から顔をそむける若葉。
智博「すごいあくびだったね」
若葉「……(とても恥ずかしい)」
智博「ご、ごめん。失礼だったね……」
若葉「ううん。その、昨日よく眠れなくて」
   ほほ笑む智博、鞄から本を取り出す。
智博「じゃあ、今日は、電車は眠って行ったらいいよ。俺が起こすから」
若葉「だ、大丈夫です!」
   鞄から本を取り出す若葉。
智博「高野さんは今何読んでるの?」
若葉「えっ、わ、私は、夏目漱石の『虞美人草』です……」
智博「あっ! それ、俺読んだことないんだけど、面白い?」
若葉「あっ、う、うん。結構面白いと思うよ」
智博「じゃあさ、読み終わったら今度貸してくれない? 俺もなんか面白いやつ貸すからさ!」
若葉「えっ……」
智博「ダメかな?」
若葉「ううん……いいけど」
智博「じゃあ、約束」

○同・教室・内(早朝)
   教室でそれぞれの席で読書にふける智博と若葉。

○高野家・若葉の部屋(夜)
   回転椅子でクルクル回る若葉。
   机の隅に置かれた青い小箱。
若葉「(ため息)……」

○駅・外観(早朝)
   息を切らし、走ってやってくる若葉。

○駅・ホーム(早朝)
   若葉、走って駅のホームへやってくる。
   電車が来たところ。
   息が上がって白い息が沢山の若葉。
   ホームを見回すと、智博が電車に乗るところだった。
   若葉もその電車に飛び乗る。
   ギリギリセーフでドアが閉まる。

○走っている電車・車内(早朝)
   智博の隣の車両で吊革につかまっている若葉、鞄を握る手に力が入る。

○同・教室(早朝)
   席に座っている若葉、手にした本越しに、窓側の一番前の席に座っている智博の様子を伺う。
   本を読んでいる様子の智博の後ろ姿。
   若葉は、鞄から青い小箱を取り出すと
   智博の方に向って歩き出す。
   その時、ドアを開け、クラスメイトの男子生徒が教室に入ってくる。
   若葉、クルッと身を回って小箱を見られないように持ちながら、
   教室の後ろのドアから外へ出る。

○同・教室・廊下(早朝)
   壁にもたれかかって呼吸を整える若葉。

○同・外観(夕)
   チャイムの音が校庭に鳴り響く。
   下校していく生徒たち。

○同・校舎脇(夕)
   壁にもたれかかっている若葉。
   遠く校舎から智博が歩いてくる。
   壁に隠れる若葉、呼吸を整える。
   鞄から青い小箱を取り出す若葉。
   一歩踏み出そうとしたが、足が止まる。
若葉「あっ……」
   若葉の瞳に映るのは、遠く、智博に駆け寄る彩音の姿。
   その手に本命チョコ。

○同・高校・女子トイレ(夕)
   洗面所の水道から流れる水。
   鏡の前で目に涙をためている若葉。

○高野家・若葉の部屋(夜)
   机にうなだれる若葉。
   机の上に並べられた漱石の本の列。

○駅・ホーム(早朝)
   やってくる若葉、智博の姿を見つけると、距離をあけてホームに立つ。
   智博、若葉の姿に気づく。
智博「高野さん! おはよう」
若葉「……お、おはようございます」
   若葉の真横に並ぶ智博。
   一歩距離をあける若葉。
   一歩近づく智博。
智博「どうかした? また寝不足?」
若葉「ううん、大丈夫です」
智博「あっ、そうだ。これ、この前貸すって言ってた本」
   本(『それから』)を差し出す智博。
若葉「……」
智博「あっ、ごめん。読んだことあった?」
若葉「ううん。あっ、ありがとう」
   智博から本を受け取る若葉。
若葉「あっ! それじゃあ、わ、私も」
若葉、慌てて鞄から夏目漱石の『虞美人草』を智博に差し出す。
智博「おっ、サンキュー。でもまだ読み途中じゃないの?」
若葉「大丈夫です。私、島崎君に借りた本読むので」
智博「そっか、じゃあ、ありがたく」
   本を受け取る智博、本をめくる。
   智博の横顔を切なげに見つめる若葉。

○同・教室・内(朝)
   席で本を読んでいる智博。
   席で本を読んでいる若葉。
   若葉をじっと見る前の席の彩音。
若葉「(気がつき)彩音? どうかした?」
彩音「ううん、別にー。ただ、見てるだけー」
   智博の方を見る彩音、若葉に視線を戻す。

○カフェ・店内(夕)
   彩音と若葉が向かい合わせに座っている。
   若葉は紅茶。彩音はパフェ。
彩音「ねえ、若葉、私に隠してることあるよね?」
若葉「えっ、なんにもないよー。彩音こそ、私に隠していること、あるんじゃないの?」
彩音「若葉さ、好きな人、いるでしょ?」
若葉「いないよ……」
彩音「隠したってわかるんだから」
若葉「本当にいないって。彩音、どうしたの?」
彩音「私さ、実は、フラれました!」
若葉「えっ……!?」
彩音「昨日、バレンタインだったじゃん。私、本命チョコあげようとしたんだけど……」
   彩音はパフェをかき混ぜる。
彩音「受け取ってもらえなかったんだよね。その人はね、他に好きな人がいるんだって」
若葉「……」
彩音「誰かは教えてくれなかったんだけどね」

○本屋・店内(夕)
   文庫本コーナーで本を片手に一人突っ立っている若葉。
若葉「……」

○駅・ホーム(日替わり・早朝)
   やってくる若葉。
智博の声「高野さん、おはよう!」
   ふりかえる若葉。
   走って智博がやってきた。
智博「危なく遅れるところだった!」
   息を整える智博。
若葉「別に電車に遅れても、遅刻するわけじゃないのに……」
智博「遅れると高野さんに会えないから」
   鞄から本を取り出す智博。
智博「この前の本、ありがとう」
   智博から本を受け取る若葉。
若葉「も、もう読んじゃったの?」
智博「まあね」
若葉「私なんてまだまだかかりそうだよ」
智博「いいよ、ゆっくりで。図書館と違って返却期限とかないし」
若葉「あ、ありがとう」
      
○高校・外観(早朝)

○同・教室・内(早朝)
   真剣な眼差しで本を読んでいる智博の横顔を見る若葉、
   本に視線を戻す。

○駅・ホーム(日替わり・早朝)
   智博が本を読んでいる。
   やってくる若葉、智博と距離を取って、ホームに立つ。
   智博が若葉に気付く。
智博「高野さん! おはよう」
若葉「……お、おはようございます」
   と本を鞄から取り出し、差し出す若葉。
若葉「あっ、こ、この前借りた本読み終わったから」
智博「そっか、ゆっくりでよかったのに」
若葉「ありがとうございました」
智博「どうだった?」
若葉「お、おもしろかった」
智博「高野さんならわかってくれると思った」
若葉「そ、そうかな……。そうだ、島崎君がおすすめの作家さんとかいる?」
智博「おすすめ?」
若葉「島崎君、詳しいから」
智博「そんなことないけど。そうだな。嫌いじゃなければ、芥川とか太宰とか、俺は結構おもしろいと思うけど」
若葉「あっ、人間失格、とか?」
智博「そうそう」
若葉「難しそう……」
智博「そんなことないよ。意外とユーモラスだったりするし。今度貸そうか?」
若葉「ううん、大丈夫。自分で探してみるから……」
   本を取り出し読み始める若葉。
   その横顔を見つめる智博。

○本屋・店内(夜)
   文庫コーナーでにらめっこしている若葉、お財布を見て、太宰と芥川の本たちを棚から抜き出す。
   空になった芥川と太宰の書棚。

○高野家・若葉の部屋(日替わり・早朝)
   鏡の前でリボンをなおしている若葉。
   机の上には漱石、芥川、太宰などの本がずらっと並んでいる。

○水色の空に流れる薄い白い雲(早朝)

○高校・教室・内(早朝)
   智博が本を読んでいる。
   若葉も本を読んでいる。
   教室には二人きり。   
   若葉がちらっと智博を見ると、智博も若葉の方をちらっと見ていた。
   あわてて視線を逸らす二人。   

○同・外観(夕)
   校門に寄りかかっている智博。
   やってくる若葉。
   智博、若葉を見つける。
智博「た、高野さん!」
若葉「し、島崎君、どうしたの?」
智博「いや、その、一緒に帰ろうかな。なんて思って。同じ方向だし、イヤじゃなければだけど」
   頷く若葉。
   並んで歩き出す若葉と智博。

○同・外観(夕)
   立ち止まる智博。
   ふりかえる若葉。
智博「あの、高野さん! 俺……」
   頭をかく智博、視線が揺らぎながら
智博「俺、高野さんと今度も同じクラスになれたらいいなって、思ってる」
若葉「……」
智博「俺……! 高野さんの事が……好きです!」
   若葉、顔を赤らめて、
若葉「で、でも、あの、その、なんか、その急だから、えっと、その、ごめんなさい!」
智博「……いや、俺の方こそ、急にごめん。今の忘れて。これからも友達ってことで!」
   走り去っていく智博。
   立ち尽くす若葉。

○高校・教室・内(朝)
   生徒たちでにぎわう教室。予鈴が鳴る。
   智博が若葉の席の方を振り返る。
   若葉の席は空席。
   と、若葉の前の席の彩音と目が合う智博。
   お互い視線を逸らす智博と彩音。
   とそこへ若葉がやってくる。
彩音「若葉! 今日は珍しく遅くない? ギリギリじゃん!」
若葉「う、うん、ちょっと……」
彩音「……?」

○ゲームセンター・内
   UFOキャッチャーをする彩音。
   隣でその様子を見つめる若葉。
   UFOキャッチャーのクレーンが景品をつかむ。
彩音「よっしゃ!」
若葉「綾音、すごい!」
彩音「若葉、私ね」
若葉「ん?」
彩音「次の恋探すことにした!」
若葉「……」
   景品をゲットする彩音。

○カフェ・店内(夕)
   パフェをつまんで食べている彩音。
   紅茶を飲んでいる若葉。
若葉「綾音。私、実は……相談したいことあって」
彩音「なになに?」
若葉「その……実はね、私……本の王子様に、告白されたの!」
彩音「えっ! マジ!? 実在したのかよ、王子様」
若葉「ちゃんといるよ」
彩音「冗談! それで?」
若葉「……どうしたらいいか、わかんなくて……」
彩音「返事してないの?」
若葉「なんか、うまく言葉が出てこなくて、ごめんなさい、って、言っちゃった」
彩音「えーっ! で、島崎はなんて?」
若葉「友達で、って。えっ……!?」
彩音「そっかー、まあそうなるよなあ。うん」
若葉「彩音……」
彩音「それくらいわかるよ。私たち親友じゃん! 私に遠慮とかしてるなら、それ間違いだから!」
若葉「でも……」
彩音「恋したんだったら。本当の気持ち、ちゃんと伝えないと駄目だよ!」
若葉「彩音……」
彩音「私はそうするのが一番だと思うな」

〇道(夜)
   歩いている若葉、空を見上げる。

〇夜空には三日月が出ている(夜)

○高野家・若葉の部屋(日替わり・早朝)
   『坊ちゃん』を手に取る若葉。

○道(早朝)
   走っていく若葉。

○駅・ホーム(早朝)
若葉、『坊ちゃん』を手にして辺りを見回す。白い息。呼吸を整えて。
   やってくる智博、若葉に気が付く。
若葉「し、島崎君、お、おはよう!」
智博「高野さん……おはよう」
   若葉、まっすぐ智博を見る。
   持っていた『坊ちゃん』を智博に差し出す若葉。
智博「……?」
智博、『坊ちゃん』を受け取り、パラパラとめくる。
   と、栞が挟んである。
栞には「私も好きです」と書いてある。
   ハッとして若葉を見る智博。
   はにかむ若葉。
   優しい風が二人を包むように吹く。
   もうすぐ春が訪れる。
        
      (おしまい)

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