茅渟の海 ドラマ

大阪の西淀川区で工場を経営する島村幸太郎(50)は昔、父の遺産を巡って兄弟と仲違いしていた。しかし父から継いだ工場を倒産させてしまい海に飛び込むが不思議な体験をする。
緒方充林 16 0 0 05/30
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第一稿

人物
島村幸太郎(50)島村製作所社長
  〃  (40)
島村裕二郎(48)幸太郎の弟 金融マン
  〃  (38)
島村圭三郎(45)幸太郎の弟 商社マン
  〃  ...続きを読む
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人物
島村幸太郎(50)島村製作所社長
  〃  (40)
島村裕二郎(48)幸太郎の弟 金融マン
  〃  (38)
島村圭三郎(45)幸太郎の弟 商社マン
  〃  (35)
山本(旧姓島村)孝子(43)幸太郎の妹
島村孝子(33)
島村幸之助(60)幸太郎の父 島村製作所先代社長
医師
船長

幸彦(30)幸太郎の先祖
くめ(28)幸彦の妻
裕彦(28)幸彦の弟
圭彦(25)幸彦の弟


○大阪湾・海岸線・遠景
  海岸線に並ぶ工場群。︎

○島村製作所工場・正門前
  「島村製作所」のプレート。

○島村製作所工場・中
  誰もいない工場の中に、島村幸太郎(50)が立っている。
幸太郎「この会社もこれで終わりか」

(回想)
○島村家・外観
  タイトル「十年前」
  家の近くに神社が見える。「住吉神社」
  の碑石。向こうに箕面の山が見える。

○同・居間・中
  島村幸之助(60)が寝床に横たわる。
  幸太郎(40)島村孝子(33)、医師が、
幸之助を囲んでいる。幸之助が苦しそうに
呼吸する。
孝子「お父さん」
幸太郎「お父さん、しっかりしてや」
   幸之助の吐く息が小刻みになり止まる。
   医者が幸之助の目を開き、脈を診る。
医師「ご臨終です」
孝子「お父さん」
   泣き崩れる孝子。

○同・座敷
  幸之助の葬儀が行われている。

○同・居間(夜)
  食卓を囲む、島村裕二郎(38)
  島村圭三郎(35)、幸太郎、孝子
裕二郎「あの、こんなときになんやけど、
 親父の遺産、どうする?」
圭三郎「そうやな。こういうことは早めに決
 めといた方がええ」
孝子「そんなん、あとでええやん」
裕二郎「そうはいかん。この家のこともある
 し、御幣島の土地はどうするんや?」
圭三郎「売った方がええんとちがうか?」
幸太郎「先祖代々の土地やぞ。あかん!」
裕二郎「そんなん関係ないやろ」
幸太郎「それはできん」
圭三郎「兄貴、ほんまは御幣島の土地、独り占め
 したいんと違うか?」
幸太郎「あほなことぬかすな」
裕二郎「いや、絶対そうや!この家も自分のもんに
 する気やろ」
幸太郎「そこまで言うんやったらええわ。
 土地は売ってお前らで分けろ!でもこの家は俺が守る
 からな」
裕二郎「ほな、そうさせてもおか」
幸太郎「おお、それでええな」 
   居間から出て行く裕二郎、圭三郎。
   うつむいている、幸太郎と孝子。
(回想終わり)

○工場群が並ぶ防波堤
  防波堤の上に立つ幸太郎。
  泣き出す幸太郎。
幸太郎「親父ごめんな。親父の会社潰してしもた」
   海に飛び込む幸太郎。もがく幸太郎。

○海の上
   あたり一面の海。遠くに近くに、島が見える。
   船で幸彦(30)が漁をしている。
   海の中に縄が投げ込まれ、幸太郎が、
   縄に捕まる。縄が引き上げられ、船の
   上に引き上げられる。
   幸彦が幸太郎に、
幸彦「おい、大丈夫か?」
   目を開け、呆然とする幸太郎。
   周囲を見渡して驚く幸太郎。
幸太郎「ここは?!」
幸彦「ここは茅渟の海に決まっとる」
幸太郎「茅渟の海?」
幸彦「そう、難波の茅渟の海じゃ。大丈夫か?」
   幸太郎が周囲を見渡す。遠くに難波宮
   が見える」
幸太郎「あなたは?」
幸彦「ここに住む漁師じゃ」
幸太郎「いま平成ですよね?」
幸彦「平成?なんじゃそれは。いまは延暦十年じゃ」
幸太郎の声「延暦?・・平安時代?・・・」
   呆然とする幸太郎。海原に浮かぶ船。

○葦の野原
   野原を歩く幸彦と幸太郎。
   向こうに小さな家が見えてくる。
   家のすぐ横に、小さな祠が見える。
幸彦「ここがわしの家だ」

○幸彦の家・軒先
幸彦「いま帰ったぞ。客人じゃ」
   出迎える、くめ(28)
くめ「おかえり」
   びしょ濡れの幸太郎。
くめ「どうなさったん?はよ上がって」

○幸彦の家・居間
  囲炉裏を囲む、幸彦、くめ、幸太郎。
くめ「なにもありませんが食べてください」
   くめが粥を幸太郎に差し出す。粥を食
   べる幸太郎。
幸太郎「ここは、どこですか?」
幸彦「どこって、御幣の島や」
幸太郎「御幣島?」
   慌てて立ち上がり外に飛び出す幸太郎。
  
○家の近くの祠の前
  幸太郎が祠までやってくる。
  祠には「住吉神社」と書いてある。
  (フラッシュ)
  現在の「住吉神社」の碑石。
  遥かかなたに六甲の山並みが見える。
  (フラッシュ)
  現在の家の外観。
  遥かかなたに同じ位置に六甲の山並みが見える。
幸太郎(声)「家と同じ場所・・・」

○幸彦の家・居間
  呆然と入って来て座る幸太郎が幸彦に、
幸太郎「ずっとここで住んでるんですか?」
幸彦「そうじゃ」
幸太郎(心の声)「ご先祖様?・・・」
  裕彦(28)と圭彦(25)が入ってくる。
山彦「おお兄者、今日はええ野菜持ってきたぞ」
圭彦「わしは、猪の肉じゃ」
幸彦「おお、おまえたちありがとう」
くみ「今日は宴じゃね」
  × × ×
  幸彦、裕彦、圭彦、くみ、幸太郎が料理を前に
  酒を酌み交わす。
幸彦「お前はどこから来たのじゃ?」
幸太郎「信じてもらえないと思いますが、ずっと先の
 未来からやってきました」
裕彦「おもしろいことをいうやつじゃな」
圭彦「その着物はなんだ?見かけぬな」
幸太郎「未来の服装です」
幸彦「まあ、いい。今日はなんだか愉快じゃ。お前とは他人のような気がせん」
幸太郎「私もです」
   酒を次々と飲む幸太郎。幸太郎の意識が遠のく。

○海
   海の中でもがく幸太郎。
   海の中に縄が投げ込まれ、幸太郎が縄
   に捕まる。縄が引き上げられ、船の上
   に引き上げられる。
   顔を上げ、呆然とする幸太郎。
   船の船長が幸太郎に声をかける。
船長「大丈夫か?」
幸太郎「ここはどこですか?」
船長「どこって、大阪湾やで」
幸太郎「いまは、いつですか?」
船長「いつって、平成28年やけど」  
  
○島村家・座敷・中
  幸之助の10回忌が営まれている。

○同・居間・中
  幸太郎、裕二郎(48)、圭三郎(45)、孝子(43)が
  食卓を囲んでいる。
幸太郎「ほんで、ご先祖様のお告げやなと思ったんや」
裕二郎「ただの夢やろ」
幸太郎「親父の工場、立て直したいんや。おまえら手伝ってくれんか」
圭三郎「ええんか?」
幸太郎、うなづく。
幸太郎「兄弟やん。俺ら」
圭三郎「裕兄ちゃんはどうすんねん」
裕二郎「それもええかな」
幸太郎、裕二郎、圭三郎がお互いを
見つめ合う。
  孝子がその様子を見て微笑んでいる。
  

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