「満月にキスを」
○満月(夜)
○駅へ続く道(夜)
持田君(17)と美月ちゃん(17)が並んで歩いている。
持田君の右手と美月ちゃんの左手が微かに触れる。
持田君は、いったん右手を引っ込める。
美月ちゃんは空を見上げる。
持田君は美月ちゃんの横顔を見て、空を見上げる。
○夜空に満月(夜)
○駅へ続く道(夜)
持田君と美月ちゃんが空を見上げながら歩いている
美月ちゃん「ねえ。何考えてる?」
持田君「んー。なんだろう。ぼーっとしてた」
美月ちゃん「私も」
美月ちゃんが急に立ち止まる。
持田君も立ち止まり、美月ちゃんの方を振り返る。
美月ちゃん「ねえ! どうしてキスしてくれないの?」
持田君「えっ……!? だって、理由が……」
美月ちゃん「そんなの。月が綺麗だからってことで十分じゃん? ほら、満 月!」
美月ちゃんが満月を指差す。
それにつられて、持田君は空を見上げる。
そんな持田君に美月ちゃんが駆け寄り、彼の頬にキスする。
ハッとする持田君。
美月ちゃん「バカ! おやすみ!」
美月ちゃんは駅へと駆け去る。
立ち尽くす、持田君、
そっとキスされた頬に手を当てる。
(おわり)
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