BLACK HOLE ~彷徨うわたし~ SF

宇宙飛行士の唖々須野九《ああすのきゅう》は、ブラックホールに吸い込まれ、様々な惑星の宇宙人と出会い戦い・・・ 果たして地球に帰還出来るのであろうか
非露亞貴(令和2年8月5日開業届。脚本執筆、シナリオ代行) 18 0 0 04/24
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第一稿

1の巻「龍闘士」

【登場人物】

唖々須野九《ああすのきゅう》 この物語の主人公。年齢非公表。
唖々須野空美《そらみ》(27)         妻。
唖々須野陸《りく ...続きを読む
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1の巻「龍闘士」

【登場人物】

唖々須野九《ああすのきゅう》 この物語の主人公。年齢非公表。
唖々須野空美《そらみ》(27)         妻。
唖々須野陸《りく》   (5)         息子。
火竜              火星のドラゴン。宙始神の化身。
ジツヤン王               ジツヤン星の王。
種子島宇宙センター職員、機兵隊

○ 広大な宇宙空間 (輝く恒星)
 仰向けに浮遊、右手にスコップを持っている。
 唖々須野九N「私は、もうどれだけ彷徨っているのだろうか。
        私の名は、唖々須野九。年齢は秘密にしておこう。若くはない。
        見ての通り、宇宙飛行士だ。えっ? 何で彷徨ってるかってそれはだなーー」

○(回想)火星
 T『数時間前』
 地表にスペースシャトルが着陸。
 ○外観(白と黒。側面に星の形の中に『stardom』とロゴマーク)
 ○内側(コックピット。座席、前と天井に数々のスイッチ。真中にモニター)
 種子島宇宙センター男性職員「こちら種子島宇宙センター聞こえるか?」
 インカムの交信にノイズが出る。
 九「ああ。聞こえてるよ今着いた」
 モニターが点く。
 唖々須野空美「貴方〜見えてる?」
 空美が息子を抱える。
 唖々須野陸「(手を振り大きな声で)パパ〜パパ〜、ウルトラマンいた?」
 九「こちら、唖々須野。(手を振り)見えてるよ空美、陸。まだ見てないな。78星雲に居るんじゃないかな」
 座席から立ち上がる九。扉が下開きすると内側から階段になる。
 九「今スターダム号から火星に降りた。ミッションを実行する」
 岩肌に立つ。スコップを持っている。
 職員「了解。直ちに実行せよ」
スキップしながら地表を進み、クレーターの所で立ち止まる。
スコップで穴を掘る九。削れた岩が飛び散る。(回想終了)

○戻って同宇宙空間
 仰向けから後ろに一回転、二回転、再び仰向け。頭側に太陽が見える。
 九「そもそも、無理だったんだ。火星で温泉が湧くかなんてな」
        xxx
 クレーターを深く掘る九。スコップが岩に当たる音がする。地鳴りがする。マグマが噴き出す。
 九「なんだ。うわわわわーー」
 職員「如何した応答しろ。唖々須野、聞こえてるか唖々須野」
 空美「貴方、貴方」
 陸「パパ〜ウルトラマンねぇウルトラマンがいたの」
 頭上から大きく口を開ける火の竜。九の全身に火竜が回る。

 ○火竜姿(メラメラと全身燃える。首長竜の様、鱗の体、一角。
      口に牙、細い髭、猫目、背びれ、両手に長い爪、足はヒレ。細い尾)
 火竜「人間よお主に力を与えよう」
 体内に吸い込まれていき憑依する。
        xxx
 照り出す太陽。宇宙空間が明るくなり、眩しさを感じる。
 突如太陽フレアが起きる。空間に裂け目が出来る。
 黒く渦を巻く中には赤々と燃えるものがあり
 無重力から引力により反時計回りに回転しながら飲み込まれる九。

○ジツヤン星(朝、白い雲)
 管制菅「こちら管制塔。未確認生物を確認直ちに発進せよ」
  九 「(ハッとして)ここは何処だ? さっきの穴は、うわわわわーー」
 雲を突き抜ける九。船から戦闘機がスクランプル発進して来る。

○戦闘機外観(ダイヤ型の母船が分列、数機の戦闘機。茶色の煉瓦の様な機体
      後ろに二本の排気筒から炎、フロント中央にミサイル搭載、母船は縮小。形は残る)
○戦闘機内側(コックピット。座席の前のみに数々のスイッチ、真中にモニター。九が映る)
 機兵隊1「(インカムで)こちら機兵隊。ターゲット確認」
 管制菅 「了解。発射を許可する。直ちに発射せよ」
 機兵隊1「了解(ロックオンする)」
  九  「(狙われている事に気付き)待て! 待ってくれ」
 機兵隊2「違う。違うぞ此奴、ローゴ星人じゃない」
 機兵隊3 「人間だ! 何処から来たんだ中止中止!!」
その他機兵隊「(口々に)中止、中止!! 」
 地面へと叩きつけられそうになる九。
 火竜「使え! そのスコップという名のものを。与えられた力を。呼ぶかいい」
 九「(右腕を伸ばし)出でよ! 火竜。火星のドラゴン」
 身体とスコップがメラメラと燃え、
 先端から一角から出て来て火竜召喚。
 火竜の背中に乗り助かる。九の身体へと消える。

○同・地上
 T『ジツヤン星』
 九「(息を切らし)なんとか助かったようだな。ここは一体、そして火竜と私の力は・・・」
 うつ伏せになった九は、肘を立て、振り返り空を見る。
 数機の分裂した戦闘機が蜘蛛の様な8本の脚が出て来て着陸。逆光が照らす。
 戦闘機の上が開く。ジツヤン星人が飛んで降りてくる。
 ○ジツヤン星人(長い頭に薄らとした立ちあがる毛。頭、額、顔に皺。大きく横に広がる楕円形の目、
        丸口、細い体、緑の丈の長い軍服姿。革製の黒色のブーツ、全身は茶色)
 ○ジツヤン王 (白い仙人の様な杖を持つ)
 機兵隊「(口々に)ジツジツ、ジツジツ。お前、龍闘士なのか」
  九 「りゅうとうし?」
 音ともに、母船が戦闘機同様に着陸。跪き頭を下げる機兵隊等。
 母船の車体の下が開く。階段を降りて来るジツヤン王
 機兵隊  「王殿。ハッハ〜」
 ジツヤン王「龍闘士、それは選ばれし勇ましい戦士」
   九 「・・・・・・」
 ジツヤン王「其方、火星で出会っであろう火竜に」
   九 「ああ。何故、私はこんな力を? 現実なのかこれは」
 ジツヤン王「それは、''じきにわかる,,故郷に戻りたいか」
   九  「(起き上がって胡座を掻き、顎を引いて一呼吸)ああ。地球にな。最もだ」
 ジツヤン王「ならば、助けてくれ。我々異星人を。終わらせてくれ『戦宙時代』を」
 開いた口が塞がらない九。

○(回想)広大な宇宙空間(惑星が次々と破壊されフレア現象が起き真っ赤に染まる)
 T『時は100億万光年前』『戦宙(せんちゅう)時代』
 ジツヤン王N「数多の星々が破壊された・・・(戦闘機が飛び交っている宇宙空間)
        故郷を喪い(爆発消滅)、妻や、子を喪い、(緑の血が染まる)我々ジツヤン星率いる、
        正(せい)星(せい)人(じん)一派。ローゴ星人率いる、
        反乱の悪(あく)星(せい)人(じん)一派。
        宇宙侵略と阻止で勃発した戦争を終わらせなければいけない。
        でも、我々一派はローゴ星人による『トシオイノノロイ』に侵され
        体力が低下していたのだ(若い身体が衰える)」(回想終了)
 ○戻って同ジツヤン星
   九   「火竜とは、なんだ?」
 ジツヤン王 「火竜は、宇宙を星々人間や宇宙人を造った『宙(そら)始(し)神(しん)』の化身。
        火星は元々、宙始神様の住む惑星だったが、ローゴ星人によって破壊、
        クレーターに封印された」
 ジツヤン王 「ローゴ星人を倒すのはただ一つ。ーー(音声がミュートになる)、人間の力が必要なのだ」
   九 「今、なんと?」
 ジツヤン王 「気にするな。''じきにわかる,,勇ましい戦士、九よ。貸してくれ、龍闘士のチカラを」
 真黒な戦闘機が飛び交って来る。雲行きが怪しくなり雷鳴と稲妻が出る。
 ○戦闘機外観内側同様(色が違うのみ)

(1の巻完)

 2の巻「ローゴ」

【登場人物】
ローゴ   ローゴ星人皇帝。元ジツヤン星の王。宙魔神の化身。
唖々須野九、火竜、ジツヤン王、機兵隊、悪機兵隊。

○ジツヤン星(朝、分厚く黒い雲)
 ローゴ星人等の戦闘機が着陸する。上が開き、悪機兵隊が降りてくる。
 立ち上がっている九はそれをジツヤン王と共に見る。
   九 「そっくりだな戦闘機も奴等の姿も。ただ若い・・・仲間か?」
 ○ローゴ星人(長い頭にフサフサとした立ち上がる毛。皺のない頭、額、顔。
       横に大きく広がる楕円形の目丸口、筋肉質な太い体、
       黒の革ジャン、パンツとブーツ。全身グレイ色。一部異なる)
 ○ローゴ  (茶色い岩鍵を肩に担いでいる)
 ジツヤン王「人間と一緒だ。我々宇宙人も姿は似ている。だが、仲間ではない。ローゴ星人だ」
 悪機兵隊 1 「ローゴ皇帝が下りてこられるぞ」
 他悪機兵隊「エキスエキス」
   九 「(ジツヤン王を見ながら)エキス、エキス? なんだ?」
 歯を食い縛り、拳を握るジツヤン王。あんぐり、口を開ける九。
 雷鳴と稲妻に続き、母船の音で地鳴りもする。嵐になる。
  九 「凄い風だな。立っているのがやっとだ」
 雲の隙間から真黒な母船が下りてくる。跪く悪機兵隊の面々。
 悪機兵隊1 「ローゴ皇帝・・・」
 ローゴが、母船から出て来る。
  ローゴ 「どうだ?13代目ジツヤン王。 与えてやった考えは決まったか? 帰化せぬか?」
 ジツヤン王 「ふざけるな。悪に種族を売るなど言語道断だ。我々一派は善良な宇宙人
        正義に帰化した正星人一派であるぞ」
   九   「帰化?」
  ジツヤン王 「戦の為だ。悲しい思いをしても正義に尽くすか、怯えて悪に尽くすか。
        代表の星に籍を入れ替えて表明しなければならない、だから帰化。掟だ」
  ローゴ 「(溜息を吐き)交渉決裂だな! (笑いながら)破壊だ・・・さっきからそこのお前は」
 ジツヤン王 「被っているものを外せ。酸素はある」
  ローゴ 「ほう、やはり人間か」
   九 「(ヘルメットを外し脇に挟む)貴様、見るからにロクでもなさそうな感じだな」
 ○唖々須野九姿(白髪混じりの坊主、目尻に皺、口髭と顎髭は黒)
 ジツヤン王 「正しくその通りだ。此奴は元ジツヤン星の12代目の王だったのだが、
        頭脳はあっても王としての正当な実力は発揮出来なかった。
        ずる賢さがあり、利用して宙始神様を倒し、岩の鍵を奪い・・・」
 ○火星(回想)うつ伏せになり宙始神が倒れている。ゴツゴツとした岩肌にお腹から
       大量の緑の血が流れている。右手に大きな岩の鍵を持ち肩にかけている
       ローゴが映し出される。口に血が流れている。(回想終了)
 ○戻って同ジツヤン星
  ローゴ   「(ニヤッと笑い)そう、封印されていたブラックホールを開けたのだよ」
 ○(回想)宇宙空間(鍵穴の形の銀河と太陽がある)
 岩の鍵を差し込み左へ回すローゴ。すると、太陽フレアが起きてブラックホールが出現。
 黒い悪魔の様な影が現れ、両手を広げ自ら身体に取り込むローゴ(回想終了)
 ○戻って同ジツヤン星
   九 「全くもってクズだな」
  ローゴ    「(両手を広げ)私は最強の力を手に入れたのだ。己の身体に自ら憑依させ、
          この宇宙を支配する時が来た。最高の地位と権力なのだ」
 甲高い声で笑うローゴ。ジツヤン星中響き渡る。雷鳴が小さく聞こえる。
 へへっと笑みを浮かべる悪機兵隊。
 ジツヤン王  「九よ。帰りたければ倒してくれ。龍闘士として。宙始神様の力を借りて・・・」
 急に咳込むジツヤン王。苦しそうな表情を見せる。跪く。息切れを起こす。冷や汗を掻く。
   九    「大丈夫か。王よ」
  ローゴ 「(驚き)貴様、龍闘士か」
   九    「そうなっている様だ」
  機兵隊1  「おおそうだぁ! このお方はな宙始神様と一体化なんだよーー。ローゴ
         お前なんかなあ、やられちまうんだよーー」 
  他機兵隊  「(口々に)そうだ、そうだーー」
    九    「(慌てふためき)いや、なんと、その」
  ローゴ 「ほう、だから此処に人間が居るわけか。面白いお手並み拝見と行こうではないか。
         やれおまえらぁ」

 悪機兵隊達 「エキスエキス」
 涎を垂らしローゴの前に立つ。やる気に満ち溢れる。
 ジツヤン王を見る九。頷くジツヤン王。息切れも汗も続く。
    九 「仕方がないか。帰還する為だ」とスコップを力強く握り直す。
 「エキスエキスキありーー」と、悪機兵隊の一人が飛び掛る。口を丸くし、抱きつく。
  九の首を吸い付く。唇から無数の小針が出ている。九の首に刺す。出血する。
    九        「(首を押さえ)ぐおっ」
 『トシオイノノロイ』に掛からない九。何度も刺すが
 吸い付いた悪機兵隊「(パニックになり)エキス、エキスーー!!なぜ呪いにかからない?」
 驚くローゴ、悪機兵隊、そして機兵隊の面々。
 ジツヤン王M   「やはりなこの男」
   ローゴ     「なるほど貴様どうりで手に入れたわけだ!例え元々年を取っていても、
呪いにはかかり衰え・・・るけどな」
    九 「・・・出でよ火竜」
 スコップをローゴの方向に向けると、メラメラと身体も燃え、火竜現る。
首元を刺していた悪機兵隊は弾き飛ばされる。
   火竜 「ローゴ。よくも我の体を。九よ闘うぞ。一緒に龍闘士よ」
    九 「ああ。でも・・・闘い・・・」
   火竜 「心配するな。''自然と出て来る,,一心同体、それに」
    九      「さっぱりわからんが・・・来い!」
 吸い付いていた悪機兵隊と他4人の悪機兵隊が襲い掛かって来る。
 九の脳裏から自然と反応を示し、
    九      「一角火電波だ! 火竜!!」
 ギザギザとした光線が出る。
  T『一角火電波』
   一角から火の電磁波攻撃が出る。
  体内に含まれる電流と体を覆う火を使う。
   悪機兵隊達  「ひいやあああ」
 襲った悪機兵隊達は、焼き尽くされ、ガラスが割れるように消え失せる。
 九は、罪悪感を感じ「・・・(息切れしながら)無念だ」
 ジツヤン王が突如吐血し倒れ込む。
    九     「大丈夫か王」
 ニタッと笑うローゴ。
  ジツヤン王    「限界だ。頼む九よ。この戦争を終わらせて・・・」
    九 「おう、王ーー」
  機兵隊達    「ジツヤン王、ジツヤン王ーー」
 ガラスが割れるように消え失せる。死を遂げたジツヤン王。
   ローゴ 「ふふ、やっとくたばったか」
    九 「貴様・・・!!火竜、や・・・」
 火竜が指示通り、やろうとする。上へ首を伸ばし、口を開け、メラメラと燃える。
   ローゴ     「まあ待て、そうがっつくな。九だったか?お楽しみは最後に取っておけ」
    九 「なに?」
   ローゴ 「まだまだ色んな惑星に私の仲間は居る。龍闘士として守れるなら守ってみろ。
           そして、己自身の事、真実を知りたくないか」
   火竜 「・・・」
  九は火竜を見るがなにも答えず、違和感を感じる。
   ローゴ 「這い上がって来い! 此処にもう用はない。行くぞ悪機兵隊」
  残党数人の悪機兵隊達と母船、戦闘機へ向かい立ち去ろうとする。
    九 「待て、ローゴ 」
   ローゴ    「じきにここは滅亡するぞ! 私はブラックホールの遥か彼方の
           ローゴ星、帝国で待っている。くたばらなければ私が教えてやる」
  突如、地が揺れる。地割れが起き、マグマが出る。建物が飲み込まれ溶けていく。
   機兵隊 「九さん、ここは一先ず退避いたしましょう!早く」
  機兵隊達は皆、戦闘機に乗り込もうとする。
  ローゴ、悪機兵隊達は母船と戦闘機で先に行ってしまう。大気圏を超え宇宙空間へ。
  赤く染まるジツヤン星が見える。
   機兵隊 「九さん、母船を使ってください。乗ればセンサーが反応。飛びます」
    九 「くそっ!地球に帰るのはいつだ。火竜何か知ってるのか」
    火竜 「・・・戦おう。奴を目指して。それからだ」
 機兵隊ともに、走り、母船、戦闘機へ乗り込む。火竜は九の中に戻る。
 母船、戦闘機が閉まり、蜘蛛の脚の様なものは各機体に格納し離陸。宇宙空間へと飛び立つ。

(2の巻完)

3の巻「ティブン」

【登場人物】
ティブン 宇宙に遺棄されていた捨て子だった宇宙人。悪に帰化した。
スイガラヘビ 緑に発光する水玉模様のヘビ。
オーサ 管制官兼機兵隊長
ギョギョ ギョギョ星の魚人。長。
唖々須野九、空見、陸、機兵隊、ギョギョ隊、火竜、ローゴ、人物A。

○都内某所・建物の中(朝)

天井が動いて見える。
   空見      「なぜ、なぜ貴方、ねえ? なぜ、なぜなのよーー」
泣きじゃくる空見と陸。建物に響き渡る。    
陸 「ママ、ママーー、ママーー」
  人物A(声のみ) 「落ち着いてください。大丈夫ですから」

○広大な宇宙空間(ジツヤン星が爆発。真っ赤に反射して染まる)
 戦闘機は母船に格納され、縮小していた母船は太くなっている。

○同・母船コックピット(広い船内、大きなモニター、四角い窓越しに機兵隊達が合掌する)
 床の上に九のマスクが置かれている。
  九 「(床に胡座を掻いて座り拳を叩きつけながら)くそっ! くそっ」
  オーサ 「落ち着いて、九さん」
   九 「その、右目はタトゥーか?」
 オーサの右目は手裏剣の様な形をした彫物が施してある。
  オーサ 「申し遅れました。機兵隊長オーサです。た、とぅ、う?
目は隊長の証のものでして」
    九 「そうか。すまん。そ、そして・・・うう、王と管制官を」
 ジツヤン王と、ジツヤン星を守れず涙を流す九。
  オーサ 「あ、管制官も私。王と星は無くなりましたが
             九さん、我々がついてます。正義の鉄槌を下しましょう一緒に」
  機兵隊達 「そうですよ。九さん。俺たちがいるんです! 悪星人一派と
             ローゴをぶっ放してやりましょう」
機兵隊達 「(口々に)そうだそうだ!うおーー燃えてきたぜ! 俺も、俺もだ」
  オーサ 「黙れ! お前らっ!!」
九 「なにも怒ることないだろう」
オーサ 「馬鹿か、燃えちまったら身も蓋もないだろう! ''燃えるのは奴ら,,だけだ」
   九 「ハハ。そう意味じゃ無いんだけどな」
  機兵隊 「隊長。ブラックホールです」
 窓越しに見ている。宇宙空間に、ブラックホールが出現する。揺れる母船。
   九 「ぐおおおおおーー目が回る〜」
 九のマスクが船内を転がる。ブラックホールに吸い寄せられる母船。ホールが閉じる。
 
○ギョギョ星・川の中州 (朝)
 T『ギョギョ星』
 上空にブラックホールが出現。直角に母船が降下する。戦闘機が分裂。平行に着陸する。
 母船も態勢を直し、着陸。戦闘機から、隊長を含む機兵隊等が降りてくる。
 下が開き、うつ伏せで九が落ちてくる。目が回る九。
  オーサ 「大丈夫ですか」
 機兵隊達も心配そうに見詰める。ふらつきながらも立ち上がる九。
   九 「綺麗だな」
 辺り一面透き通る綺麗な川。正面に滝が流れ虹が出ている。
  オーサ 「ここは、ギョギョ星人が住む場所。水は重要です」
   九 「ギョギョ?」
 滝の上から、ヒレが二枚ある魚達が泳いで来る。
   九 「イルカか?」
  オーサ 「イルカ? ギョギョ様とギョギョ隊です」
  オーサ 「お久しぶりです。ギョギョ様」
 機兵隊達と共に敬礼をする。
 ○ギョギョ隊(星人) (イルカの様な姿の魚人。全身青色。口ばし、
頭と背中にヒレ、尾びれ。手と足がある。赤の手袋と長靴)
 ○ギョギョ (全身白色だけ異なる)

  ギョギョ 「老けたな。ローゴの呪いが」
  オーサ 「はい・・・」
  ギョギョ 「真逆、ジツヤン王は」
 オーサや機兵隊達が俯く。
  ギョギョ隊 「(口々に)そ、そんな・・・」
    九 「私の負のいたす所だ」
` ギョギョ 「お主、人間か」
九 「ああ。私の名は・・・九。龍闘士だ」
   ギョギョ 「な、なんと! お前等、頭が高い!」
 跪く、ギョギョと隊員。
   オーサ 「此処はその昔氷河期に見舞われ、水を一時失いました。
                 それを悟った宙始神様が炎で溶かし難を免れたのです」
   ギョギョ 「つまり貴方は、龍闘士。火竜、宙始神様が宿られておる。
                  助けて下され。九様」
    九 「やはり此処も、悪星人によって支配されているのか」
   ギョギョ 「左様でございます。何人ものギョギョ隊が、
                  長であるこの私の身を守って。呪いに。死を遂げました」
   ギョギョ隊員 「私達は、絶滅寸前です。そうなったら・・・うう」
    オーサ 「九さん!」
     九 「戦うぞ! 龍闘士だ。火竜と一緒・・・」
 慌てて、母船の中へスコップを取りに行く九。
    オーサ 「何やってんですかもう!」
     九 「(母船の中から)すまん! 酔っていたもので」
    機兵隊員 「オーサさん、ギョギョさんと隊員さん、あれ」
 滝の方向を振り返る。上空にブラックホールが出現する。ギョギョは、睨み付ける。
 一気に暗くなる、雷鳴、稲妻、嵐。九は母船からスコップを持ち、降りて来て・・・
      九 「何者だ? 来る!」
 戦闘機で向かって来る、悪機兵に続いて、ブラックホールから出て来るものがある。
      九 「揺籠だ! 相手は子供か」
 揺籠型の円盤がやって来る。
    ギョギョ 「大人だ。伏せろ、皆の者!」
 悪機兵達が戦闘機で威嚇して来る。旋回。うち一人が、指を指す。不適な笑み。
    
    ギョギョ隊     「やばいですよ! あそこは我々の居住エリアですよ」
                      「そんな妻が!」「子供が!」「母が!」「父が!」
                      「兄弟が!」
 焦る、ギョギョ隊達。
    ギョギョ 「行くぞ。お前等」
 川と滝を泳いで遡上する。

 ○同・居住エリア(河川敷)
 緑が溢れ、水槽に屋根と玄関と窓のある家の側で数多くの魚人達が倒れている。
 奥に戦闘機、揺籠の円盤が止まっている。石の上に座る人影。
 悪機兵隊等とギョギョが睨み合う。降りしきる雨の中、涙を流すギョギョ隊。
     九 「ハァハァ、すまぬ。遅れて」
 滝壺を自力で上がって来た、九、オーサ達。
     九 「くそっ」
    ギョギョ 「貴様、よくもーーうちの者の家族をーー」
     悪機兵 「エキス、エキス」
  ''口針,,で噛み付く。
  九、オーサ、機兵隊 「ああ!」
 ギョギョが呪いにかかり、老いていく。体力が著しく減り、息を切らす。
 九は、スコップを振り被らせ、悪機兵隊を弾き飛ばす。石に座る者の足の方へ。
    悪機兵 「うう・・・」
  立ち上がる人影 「スコップだけにやられやがって」
 お腹のポケットから丸い武器を取り出す。ガラガラと音が鳴る。
   悪機兵 「や、やめて下さい。うわわわわーー」
 耳から耳へと音がレーザーの様に刺さり。命を落とす。
 よく見ると、女性の魚人は耳から緑の血を流し息絶えていた。
    ティブン 「俺の名はティブン。おっさんが龍闘士か」
     九 「おっ・・・その服ベビー服か?」
 ○ティブン(長い首、牙に細い紫の舌。全身にドット柄がある)
    ティブン 「ベビ? これは糞な母親に着せられた恨み辛み、
                         のある嫌な服だ」

    オーサ 「こいつ漂流児だ! もと・・・」
    ティブン 「俺は、昔、棄てられた。暗闇の宇宙を彷徨って
                          そこを、ローゴ様が拾ってくれ、悪に帰化し
今でも女を恨んでいるのだ」
   ギョギョ隊員 「だからって、俺らの家族をよーー」
ティブン 「言っとくが。女以外をやったのは悪機兵達だ」
 笑みを浮かべる悪機兵隊。
     九 「まったくもってクズだな。恨みを他人にぶつける                           とは」
     ティブン 「なんだあ? 俺とやるのか? 人間!」
   オーサ 「隊員よ、我々もやるぞ」
悪機兵隊員 「久々の対戦か。おもしれえ」
 モニターに『戦闘意思確認』と表示。オーサを含む機兵隊、悪機兵隊に焦点があてられている。
 各々の戦闘機が自動操縦で飛んで来る。
     オーサ                  「早く、乗り込め。変形だ」
 戦闘機に浮遊して乗り込む機兵隊、そして悪機兵隊も。
       九 「出でよ! 火竜」

 手に持っていた、武器を逆さまにするティブン。
       九       「その武器ラトルか」
     ティブン 「ガラガラって言うの、ラトルって言うのか?
安心しろ! 音は出さねえよ」
 ラトルの持ち手部分を引っ張り出すティブン。
     ティブン                 「出でよ! スイガラヘビ」
 ラトルから緑の煙が出る。
      九M 「スイガラ? 煙草ではなさうだな。一体何が」
 スイガラヘビが現れる。
○スイガラベビ(緑に発光する独特な身体。コブラの様なコブ。水玉模様。尻尾は細く、紫の細い舌、白い牙)
九 「敵ながら、綺麗だな・・・」
 戦闘機に乗っているオーサ。多くの(コンピュータ)スイッチを操作する。
 インカムで隊員に指示を出す。
      オーサ              「何言ってるんですかもう九さん。
                             隊員よ!ロボ戦モードだ」
      機兵隊                   「(口々に)了解!」
 機兵隊達も、スイッチを操作する。戦闘機が巨大ロボットに変形する。
 腕が生え、手が現れ、足が現れる。機体は胴体となり、
 中央に格納ミサイルが配置され、両肩に排気筒がある、
 顔はなく、コックピット。オーサ率いる機兵隊の姿。
       九 「メカニックだな。特撮みたいだ」
      ティブン                   「とくさつ? 俺の持ってるのは、ど・・・」
      悪機兵隊                  「目には目を。ロボットにはロボットだ」
 悪機兵隊達の戦闘機も同様に巨大ロボットに変形する。色が違うのみ。
       九N                    「この後、私は微かな記憶が蘇ったのか
                              不思議な光景を見たのだった」
      スイガラヘビ                  「ガラガラ、シャーー」
       ティブン                   「おっ始めようぜ!」
(3の巻完、つづく)

4の巻「毒と記憶」
○ギョギョ星・嵐(朝)
 稲妻が走る。音を立て、手と手を摑み合い、押し合い、殴る蹴るの巨大ロボット。
        ギョギョ                    「援護するのだ」
       ギョギョ隊                    「でも・・・」
 目で大丈夫だからと意思表示する、ギョギョ。
       ギョギョ隊 「わかりました。やるぞ皆んなぁ」
 川の水を口に含み、放水。悪機兵隊のロボットに浴びせる。水の力で、何体かがひっくり返る。
 そこを、オーサ率いる機兵隊が、悪機兵のロボットをパンチで破壊。爆発する。
          九                    「火竜、一角火電波だ」
 スイガラヘビが、燃え盛る・・・
          九 「なっ、なんだと!!」
        ティブン 「どうかしたかあ」
 驚く、九、オーサ、機兵隊、ギョギョにギョギョ隊。
         オーサ   「そんな効いてない。なんだ、あの
                                 膨らみは。水か? でもまさか」
         ギョギョ 「貴様。ここの水を飲みおったな」
 スイガラヘビの、水玉模様の柄は、水膨れが出来て、透き通る水が見えている。
         ティブン 「あったりーー。その通りだ。
                                 お前らが、追いかけてくる前、
                                 飲ませたのだ」
          九 「でも、感電はするはず・・・」
         ティブン 「よーく見て見やがれ。此奴の
                                  身体はゴムで出来てるのだ。火と
電気は通さんぞーー」
追い討ちを掛ける、スイガラヘビ。口をゴモゴモさせる。オーサ達の方向を見る。
         スイガラヘビ                   「シャーー」
          オーサ                     「何だ、この水は? ロボットが
                                   腐食して行く」
 各機兵隊達のも含む、コクピットのモニターに、『DANGER』と出る。
           九                      「ギョギョ、川の水、錆びてた                                     のか」
          ギョギョ                      「そんな筈はない。清よらか                                     な水・・・」
          ティブン` 「錆びさせたのだ。此奴はな
                                     体内で吸収した物を酸化
させる事が出来るのだ」
           九 「くっ・・・万事休すか」
          ティブン 「さらに、とっておきだ!                                      やれ! スイガラヘビ」
 再び口を動かすスイガラヘビ。
           九N                         「そうこの後だったのだ。                                       記憶が蘇ったのか?
                                      妙な記憶だ」
         スイガラヘビ 「シャーー」
 粘液状の唾液を吐く。
         九、ギョギョ、ギョギョ隊 「うおおおお、か、体が
                                      あつっ、溶けそうだ」
 火竜も苦しむ。
           ティブン 「毒に侵されたのだ」
            九                「どっ・・・」
           ティブン              「ザマァねえな!
                                      くたばりやがれーー」
           スイガラヘビ               「シャーーシャーー」
 九の脳内に何かが浮かび見える。砂嵐からのビジョン。
             九                        「何だ今のは」
 一旦途切れ再度見える。
             九                       「ここは、東京か?」
 東京タワーや都庁、スカイツリー、辺り一面が焼けている。
            空見                       「貴方、貴方・・・」
                     
          陸                  「ママ、パパが、なんで
                                      僕らをーー」
           火竜(声のみ)                    「きゅう、九!!」
           オーサ (声のみ) 「九さん、九さん!!」
             九                       「空見、陸、何があった                                       空見、陸!!」
            火竜                       「九!!」
 脳内ビジョンが終わり、現実に戻る。
              九                      「ハァハァ。今のは?」
 拳を握る。
              九                       「貴様ぁ俺の家族に
                                      何をしたーー」
            ティブン 「しっ、知るか。こいつ
                                       毒を跳ね除けやがった」
              火竜                     「九、諦めるな。その限り
                                      火は絶えないのだ」
 メラメラと燃え、髭がなびく火竜。
              九                       「火竜! 二刀竜斬りだ」
 T『二刀竜斬り』
 二本の髭が、刃に変わり
 どんな物でも斬る。

 刃が前を向く。
             ティブン 「吐け!スイガラヘビ」
 毒を斬り裂く火竜。
              九 「今度は良い奴に生まれ             変わって、良い母親に                                        恵まれろよ」
 刃を振りかざす火竜。
             ティブン 「待ってくれ、頼む、
                          ひいやあああーー」
            スイガラヘビ                     「シャァシャーー」
 切り裂かれた、二人は真っ二つになり、ガラスが割れたように消える。嵐が収まり日が差す。
              火竜                        「九、やったな」
              九                        「ああ。ゴムは、
刃に弱いのだ」
              火竜                       「また、呼ぶが良い」
 九の身体に戻る火竜。
             ギョギョ 「ゲホゲホゲホ・・・
                                        呪いが・・・」
              オーサ 「錆も治ったぞーー」
              悪機兵隊 「ちくしょう。退避
                                        退避!!」
 ロボットから戦闘機に戻り去っていく。
              ギョギョ                  「有難う。ホントに
                                        有難う!!」
                九 「ああ」
 握手を交わす。
             オーサ、機兵隊、ギョギョ隊         「万歳! 万歳!!」
(4の巻完)

 5の巻「昴」(第1章完結)
【登場人物】
  星野昴(26) 九と同じ人間。悪に帰化した
ハエトリケラトプス 怪鳥
 ショウカエル 胃の中の主
  相棒 ローゴの相棒。腹に傷がある。
ギョットビ ギョギョ隊ルーキー。仲間になる。

○ローゴ星(朝)
 T『ローゴ星』
 ローゴ帝国。西洋の様な城。椅子に座るローゴ。
                  相棒                   「ローゴ皇帝。九が
                                         ティブンを倒し、
                                     呪いと消滅も」
                  ローゴ 「それで良い。着実
                                        に力を上げている」
  ツナギの上から腹を摩る相棒。
                  ローゴ 「大丈夫か? 腹」
                   相棒 「ええ」
                  ローゴ 「相棒、お前の名は?」
 笑みを浮かべる。
 ○広大な宇宙空間・母船(輝く恒星)
 
                  ギョットビ 「お仲間に入れて貰えて
                                      光栄です」
 ○(回想)ギョギョ星(朝)
                   ギョギョ 「オーサ。我々は正星人                                        一派に帰化するぞ!」
                   オーサ 「折角呪いが解けたのに
                                    よろ・・・」
                   ギョギョ 「構わん」
 額に親指を充てる、呪文を唱える。
                    オーサ 「スタスタタッタッタ」
機兵隊 「やっぱり無理なんだ」   ○戻って同・母船
                    機兵隊 「オーサさんって、声は
良いけど、腕が無く、                                        だから管制官」
                    オーサ               「笑うなお前ら!!」
 ○同・ギョギョ星
                    ギョギョ           「仕方ない。うちの者                                        にも苦手はある」
                    ギョットビ 「あの、僕お役に立て
                                        ませんか」
                     ギョギョ 「そうだ。未熟者
                                       ですが、宜しければ
                                       お仲間にして・・・
                                       水を吐けませんがね」
                                      
(回想終了)
 ○戻って同・母船
九 「だから、タンクを
                                       背負い、ストローで
                                       飲んでは管から
                                       排出か・・・」
 ギョットビの管の通る腹に傷。タンクは間仕切りがある。
                      九
                                       「なあ、私以外人間
                      て居るのか」
                     オーサ 「さあ・・・?」
                     機兵隊 「ブラックホール出現」
 ○バエライ星(朝)
 T『バエライ星』
 火を起こし肉を食べている。
                      昴 「不味いな・・・ん?」
 ブラックホールから出て来る。
                      九 「彼奴は・・・」
                    ギョットビ 「おかしい一匹も居ない」
 母船着陸。降りて来る九達。
                     オーサ          「に、人間だ!!」
                     機兵隊 「居たんだ。九さん以外にも」
                      九 「お前、昴だな。生きていたのか」
T『時は二年前』
 宇宙ステーション外で修理をしている。
                    種子島宇宙センター 「こちら種子島宇宙センター」
                      昴 「こちら星野昴。任務完了・・・」
                   種子島宇宙センター  「如何した?」
 隕石がぶつかる。
                       昴N     「俺は、爆風で宇宙空間に投げ出され
                        彷徨ってる所、ある星に
                                 辿り着いた」
 悪機兵隊の戦闘機が飛んでいる。
                      ローゴ 「何者だ?侵入者は始末する掟だ」
                       昴 「待ってくれ。何でも聞くから」
 ○戻って同・バエライ星
                      九 「貴様、命と引き換えに、その身を
                                 授けたのか!」
                       昴 「仕方無えだろうが! 見たんだよ!
                                 不思議な光景をよ!」
                       九 「光景? 真逆・・・」
                       昴 「ああ。大々的に報道されてたんだ
                                  死んだってな」
                       九 「違う、私と」
                       昴 「あっ? 違うって?」
                      ギョットビ 「そんな事より、ここに居るものは
                                  如何した?」
                       オーサ 「火・・・」
                        昴 「蝿見たいな奴か? 食っちまった。
                                 空にいるハエトリケラトプスも」
                         九M 「恐竜? いやカエル・・・火竜
                                  通じているか・・・」
 空から怪鳥が飛んで来る。腹が膨らむ。
                      ハエトリケラトプス 「ケロォーー」
 ○ハエトリケラトプス(プテラノドンとトリケラトプスの融合。カエルの様な目玉、青と白の身体)

                         九 「ここの星のものをーー」
                       オーサ 「ダメだ! 無防備に!!」
 長い舌で巻き付かれる九。飲み込まれる。  
                         昴   「馬鹿か?食っちまったってのに」
                        ギョットビ 「そうか! オーサ頼んだぞ」
 自ら食われるギョットビ。
 ○怪鳥・胃の中(胃液の氷柱、滴る、オレンジの洞窟の様)
 バエライ隊 (網状の眼・縄状の胴体・網状の羽根・節足・胴体は茶、他黒色)
バエライ国王(縄を縛った三本の顎髭、茶色)
                        バエライ隊 「国王、俺達このまま・・・」
                        バエライ 国王 「大丈夫だ。きっと来る」
                        バエライ隊 「いやだぁ、このままうん・・・」
                        バエライ国王 「それ以上言うなぁ!ならねえよ」
 食道を滑って来る。
                           九 「助けに来た。龍闘士、九だ」
                        バエライ国王 「なんと!」
                        バエライ隊 「やったあ」
                          火竜 「九、読みが深いぞ」
                           九 「昴と怪鳥は、この者達を
食っちまったと。つまり
                                    肉食。それにこの腹は、
                                    膨らんで、消化はまだと」
                         ギョットビ 「出ましょう僕の力で」
                         バエライ国王 「まだだ。居るんだよ胃の主が」
 跳ねる音が聞こえ振り返る。
 ○ショウカエル(雨蛙位の大きさ。背中に土を積んでいる。吸盤の足)
                         ショウカエル 「増えたケロ。ショウカショウカ」
                 九、ギョットビ、火竜 「何処だ?」
                          ショウカエル 「ウッ! 見下げてごらん」
                九、ギョットビ、火竜、国王、バエライ隊 「ワア!!」
                         ショウカエル 「やらすな!てか国王と兵隊
                                     共はわかってるだろうが」
                   九、ギョットビ、火竜 「あーはっはっはっ!ひー
                                     ショウカエルって、消化
                                     じゃ無くて、小さいかよ」
                     国王、バエライ隊 「あっダメ(じゃ)ですって」
                         ショウカエル 「笑っているのも今の内、
                                      俺は残り物を食べて
                                     デカくなる。そして、
                     お前達を消し去るんだ」
 そっと近付く九スコップを持っている。
                         ショウカエル 「やっぱりカエルは蝿好き
どれにしようかなぁ」
                         バエライ隊 「俺達を食え! 国王、胃液
                          で登って下さい!食道を」
 口を開け舌を伸ばそうとするショウカエル。 ショウカエル 「美味でショウカ? あーん」
                         バエライ国王 「何をする気だ? 龍闘士」
ショウカエル 「何だ人間! 邪魔・・・」
                          火竜 「そこ掘れきゅうきゅう!」
                         ショウカエル   「ああ」
 煙が上がる。
                          バエライ隊 「ああ、あっさりと」
                          バエライ国王 「なんと!」
 拍手をするギョットビ。
                           ギョットビ 「流石人間様。頭が明晰」
 吸盤だけ残るショウカエル。
                            九 「奴は、土を背負っていた。
                                    身体は砂で出来ていたのだ」
                          バエライ国王 「思いつかなかった」
オーサ 「出ましょう此処から」
                             九 「火竜、一角火電波だ」
                            火竜 「駄目だ。怪鳥が、感電
                                      すれば、出れなくなる。
                                      髭で切れば、血の海に
                                      溺れ死ぬぞ!!」
                            オーサ 「胃液使って登るしか」
                             九 「又、飲み込まれたら?」
                            ギョットビ 「任せて下さい。皆さん」
 ○戻ってバエライ星(朝)

 ハエトリケラトプスが飛び回り羽からの超音波光線に悪戦苦闘するオーサ達のロボット。
                             オーサ 「くそっ、チョコマカと」
                             機兵隊員 「やばいです! バッテリーが」
 モニターに『DANGER』と出る。
                              オーサ 「このままだと皆んな諸共
ショートしてしまう。
                                      てか何で嵐に・・・」
機兵隊員 「人間だからでしょう」
  昴 「何時まで戯れてやがる
出力を上げろ」
                           ハエトリケラトプス 「ケローーン」
機兵隊員 「ヤバイですよ!羽が
                                       光を吸い込んでます」
                               オーサ 「くそっ! 終わりか?」
 羽の内側に輪が出来る。歯を食い縛り目を瞑るオーサ達。
                              ギョットビ 「魚旋風飛弾!!」
 風で爆発し粉々になるハエトリケラトプス。
                               昴 「なんだとこいつら生きて」
                  ×××
 ○怪鳥・胃の中
                                 九 「ぎょ、魚旋風飛弾?」
ギョットビ 「はい。僕、飛べるんです。
                                     この空気溜りを利用して、
                                     渦を巻き起こし・・・」
                              バエライ隊 「やったーー。ゲップや
                                      屁に成らなくて済むぞ」
                              バエライ国王 「お前ら、はしたない!」
 ギョットビが、体を反り返し丸まって飛ぶ。
                   ×××
 ○戻ってバエライ星(朝)
 逆光。空高く飛ぶギョットビの影が映る。
                               オーサ 「良かった。九さん死んで
なかったんですね」
                                九 「ああ。ロボットのまま、
                                       両手掴んで燥ぐなよ。
                                       痛いからよ」
                               機兵隊員 「あれ? 此奴消えねえぞ」
 歯を鳴らし震えている昴。
                                火竜 「人間、それにさっきから」
                               火竜、九 「臭っているからだ」
                             オーサ、機兵隊員 「えっ? におう?」
                                火竜 「九、お前・・・」
                                 昴 「嫌だ、嫌だ、嫌だあーー」
 白い羽根が降り注ぎ眩しくなる太陽。下を向く
 オーサや機兵隊、バエライ星人。九は目を細める。
 地上へ降りてくるギョットビ。照り返しがなくなる。
                               オーサ 「何があったんだいまの?」
                                九M 「またな。昴。そう、必ずだ」
バエライ国王 「ありがとう。これでまた
                                    王国再開です。あ、あの」
                                 九 「・・・」
 水を飲むギョットビ。
                             ギョットビM 「九は気付いている。もう、
                                    自分が存在していない事を。
                                    だが、気付いていない事も
ある。利用されてる事をな」
 (5の巻、第1章完)

 6の巻 (第2章開始)「ライコと裏切り」
 【登場人物】
 ライタ サバン星人
  ラキ ライタの妻でありライコの母親
 ライコ ライタとラキの子。
エレファントム ゾンビ、幻
  ナース 人物Aの正体。
 ○都内某所(朝)
 リポーター「こちら中継です。ご覧の通り、東京は壊滅状態。突如空から」
  目撃者 「俺、見たんすよ。なんか空からありゃ絶対UFOだ。宇宙人じゃねえかって」
リポーター「尚、目撃者数名による情報では腹に傷があったと言う事です。以上現場から」
 ○広大な宇宙空間(輝く恒星)
   九N 「私達は18個の星々と住む者を救っていた。礼を言われ握力どころか」
オーサ機兵隊「あー疲れた。飲まず食わずで体力消費」
 ギョットビ 「皆さんファイティンですよ」
オーサ機兵隊 「くれろその水俺達にもくれよーーなっ」
 ギョットビ 「駄目ですよ。僕これがなきゃ生きていけないんです魚だから」
オーサ機兵隊 「管から出てるじゃねえか」
 ○サバン星(朝)
 T『サバン星』
 ラキ 「うう、あなた」
ライタ 「俺の事はいいから、ライコを」
 ラキ 「あたしでは到底敵わない」
  九 「お前ら、もう喧嘩するなよ」
 オーサ 「面目無い」
 たんこぶだらけの顔と頭。
ギョットビ 「ああ痛い」
  ラキ 「えっ、いやっ、誰貴方達」
  九 「龍闘士だ。驚かせてすまん」
 ライタ 「助けてくれ。さらわれた子を。ゲホゲホゲホ」
 オーサ 「老化・・・悪機兵隊と何がさらったんですか」
  ラキ 「巨大な。あたし達、百獣のサバン星人では最強ではなかった」
 ○ライタ(上が退化した縦髪。皺のある顔。傷だらけの白い身体、太い三又、原始人のような服)
 ○ラキ (丸い耳顔、メイク顔、白い身体、一つの細い尾、原始人のような服)
   九 「わかった必ず助ける。その前に」
 腹が鳴る者達。火が燻るなか食事を終える。
 ○サバン星(夕)
  オーサ 「あーうまかった」
   九 「槌の子肉、日本じゃなかった」
   ラキ 「可愛い息子さん。幾つ?」
 写真を見ている。
   九 「5歳だ」
   ラキ 「ライコと一緒ね・・・」
九 「絶対助けるってお前ら」
   ラキ 「あんた! 呪いにかかって、何酔ってんのよ」
  ライタ 「ああ急に具合が」
  機兵隊 「草原酒うめーよな」
 T『翌朝』
   九 「飛ばせ火竜」
  機兵隊員 「待って九さん、オーサさんとギョうえ飲み過ぎた」
 火竜に乗り、後を追う。
  エレファントム 「時間切れだ。お前を辺境サーカス団に売ってやる」
ライコ 「来るよ必ず来るもんガブゥ」
  エレファントム 「痛いなチビ!」
 足で踏み付けようとする。
     九 「大丈夫か」
    ライコ 「うん。おじさん誰?」
 火竜に乗るギョットビ、九の間にライコ。
   エレファントム 「龍闘士だな」
 戦闘機がロボットに変わる。
     九 「象か子供を売る奴は許さん」
 ○ライコ(子供。少ない縦髪。白い身体首輪原始人のような服)
 ○エレファントム(巨大。目が飛び出てる。牙、口が開いているゾンビ)
     九 「ここにいてな」
  岩に乗るライコ。降りる九、ギョットビ。
      九 「一角火電波と二刀竜斬りだ 」
   エレファントム 「うっくそっくそーーって?」
     オーサ 「甦ったこいつ」
    悪機兵隊員 「エレファントムはゾンビだ。隙あり」
     オーサ 「あっ、よくも殴りやがったな」
 火花散るロボット。
      九 「チッ! どうする火竜?」
  空に幾つもの沼。見え隠れする足。
     九、火竜 「ぐあっあああーー」
 上から何度も踏まれる二人。血を吐く。
       九 「頭が潰れそうだ」
 九の脳内ビジョン。
        九 「また、この映像か。何があったんだ。陸、空美、東京が」
 けたたましく鳴るサイレン。燃え盛る町。病院の中。
       都民 「きゃーー助けて」「死にたくない」「熱い痛い」
        陸 「ねえママなんでパパが僕らをやっつけるの」
       ナース 「唖々須野さん聞こえますか、先生意識がありません」
        九 「何だと? 俺が、俺はここにいるんだ。し、違う違う。戦争か? 誰だ誰だ」
 上空に浮かぶものが。映像了。
        九 「何だと? ギョ」
ギョットビ 「・・・・」
       ライコ 「おじさん、竜さん大丈夫」
        九 「きっ」
       ライコ 「ファントム僕と同じだったのに」
        火竜 「そうか。九、指示を出せ」
         九 「話は後だ。火竜、鱗千枚飲ませろ」
 T『鱗千枚』
 火竜の鱗千枚を飲ますことにより
 嘘を暴く。針のように硬い。
 尚鱗自体は億万と在る。
      エレファントム 「んん〜」

 小像になる。
        ライコ 「ねっ僕と一緒だよ」
         九 「ファントム、幻」
     エレファントム 「御免なさい。ライコと喧嘩して仕返しに」
         九 「ローゴに寝返えりライコの父を。全く、めっ!」
火竜 「もうよそう。怯えてるでは」
         九 「まだだ火竜! 飲ませろギョットビに」
        オーサ 「えっ」
   ギョットビとローゴ 「飲まなくても言う。そう、俺がやったのだ地球を」
 声が重なる。
        オーサ 「変わった! ローゴだ」
         九 「貴様よくも人々、陸・空美を」
     ギョットビとローゴ「お前の家族は真っ先に襲ってやったぜ」
          九 「このやろーー」
     ギョットビとローゴ 「魚旋風飛弾」
         火竜 「大丈夫か九!」
      ギョットビ 「九さん、僕」
      悪機兵隊 「行くぞ! 魚」
 戦闘機に同乗し過ぎ去る。
        オーサ 「あ、くそ。でも今」
 (6の巻完)

 7の巻「ニガテ」
【登場人物】
クトイ頭領 暑さが苦手
クトイ星人1 人との会話が苦手
クトイ星人2 運転が苦手
クトイ星人3 女性。薄毛の男性が苦手
 ○ローゴ星・城(朝)
 城中。
         ローゴ    「ご苦労だったなギョットビ。安心しろ約束は守ってやる」
         ギョットビ 「・・・」
          ローゴ 「そう、悲しそうにするな。何も悪くない。てめえはなあ」
 ○広大な宇宙空間(輝く恒星)
 母船の床を叩きつける。
          九 「くそ! くそ! くそーー」
         オーサ 「落ち着いて九さん」
          九 「落ち着いてられるかーーよ、よくも空美と陸を。うう」
 涙が頬を伝う。
         オーサ 「でも、本当にギョットビさんが? 何か」
           九 「あっ? 何が言いたい? 家族がやられたんだぞ! わからんのか」
         オーサ 「す、すいません」
          火竜 「いい加減にしろ! 九。身体に戻れやせんわ」
         機兵隊員1 「高かったんですよその床」
 ○クトイ星(朝)
 ブラックホールから出て着陸。
         機兵隊員1 「九さんしっかり」
           九 「立ち眩みが・・・」
 よろけながら降りて来る九。
 T『クトイ星』
 高床式の鎌倉型の家がある。
          オーサ 「(ドアを叩き)すいませんどなたか」
        クトイ星人1 「(ドアを開け)誰だ?」
          オーサ 「龍闘士、九さんときへい・・・」
        クトイ星人1 「帰れ。俺は人と会話するのが苦手だ」
 ドアを閉める。
 籠を引きずり帰ってくる。槌の子肉が入っている。
        クトイ星人2      「ああしんど」
          火竜 「だったら、ノラマシーンをつか」
        クトイ星人2 「運転苦手なんだよ」
 クトイ星人の女が歩いて来る。
           九 「お嬢さん。ここの代表者はどこ」
        クトイ星人3 「ギャーー禿げーー禿げは苦手なのよ」
           九 「はっ、あ、あの坊主です」
          火竜 「ひーひっひっひ! わ、悪かった。スコップを取りに戻ろうとするな」
         機兵隊員 1 「一体何故? ここの星の人ポジティブで明るい筈なのに」
         クトイ頭領 「決まってる。ローゴの仕業だ龍闘士」
 ○クトイ星人(白くダルマのような体。兎の耳顔鼻口手足尻尾。1は黒い口髭。2は、太っちょ
       手拭いから耳が出る。3は、メイク顔耳が片方折れる)
 ○クトイ頭領(垂れ耳。年老いている。丸い鼻眼鏡。赤い杖、バケツのような麦藁帽子)
            九 「ここの代表か」
          クトイ頭領 「(汗を拭い)頭領のクトイです」
           オーサ 「汗? そんなに暑いかここ」
           機兵隊員1 「いえ。それほどまでは」
            九 「トシオイノノロイ・・・か」
          クトイ頭領   「年は元々取っていて、ここは数万年前迄、常冬だったのですが」
九 「火竜下がっておけ」
オーサ 「兎か犬かわかりませんね丸くて」
             火竜 「・・・黙っておけ。ヒヒッ」
            九 「悪いな暑くて」
           クトイ頭領 「いえ。ここには居るんですよ。呪いにかけなくても生気を吸う
悪星人の虫が!」
 背後に忍び寄る影。
              九 「虫だと真逆バエライ星人か」
            火竜・オーサ 「コラコラ」
            ニガテカミムシ 「俺だよ」
               九 「てくち・・・」
             クトイ頭領 「ハァハァ暑い。もうダメだ」
 倒れ込むクトイ頭領。
(7の巻完)

 8の巻「ニガテカミムシ」
 【登場人物】
 ニガテカミムシ 口から金粉を吐く
  機兵隊員1 オーサが苦手
 機兵隊員2・3・4 策略を練り九達を助ける
 ○クトイ星(朝)
                九 「しっかりしろ。頭領、熱中症か」
              クトイ頭領 「とろけそうだ」
                火竜 「私の所為では無い」
                九 「わかってる。貴様何者だ。得体の知れん奴め」
 ○ニガテカミムシ(ドス黒い左手に口と歯)
               機兵隊員1 「目と足が無い。オエッ」
クトイ頭領 「気を付けろ・・・ニガテカミムシの吐く粉に」
                九 「こな?」
 嵐になる。
              ニガテカミムシ「おい、そこのお前! ニガテ噛みつぶせ」
 口を丸く金粉を吐く。
機兵隊員1 「うわっ、口に。にがっ、なんだこれ。ゲホッ、ゴホッ」
                オーサ 「(背中を叩き)飲み込むな。出せ、出せ!」
 手を払いのける機兵隊員。
               機兵隊員1 「僕は、オーサさんが苦手だ」
                オーサ 「なっ、なにを」
               機兵隊員1 「ろくに帰化させる事も出来ないのに、偉そうに隊長気取る。
                      そんなオーサさんがニガテだ」
 胸倉を掴む。
                  九 「やめろオーサ」
 ニガテカミムシ手の甲を上に五本指で向かって来る。
                 火竜 「来るぞ!」
 動きを交わす。
                 オーサー 「とりあえず、母船に。あとはよろ」
 指が伸び捕まるオーサを上空に投げ戦闘機が来る
                   九 「なっ? やめろニガテカミムシ」
                ニガテカミムシ 「お前が何故ミサイルを撃たないか」
 手の甲に羽が生え飛ぶ。
                ニガテカミムシ 「それは、巻き込まれたく無いからだ」
 金粉が口に入る。
                 オーサ 「にがっあああ」
ロックオンする悪機兵隊。
                  九 「やめろーー」
 爆発が起きる。
                 機兵隊員2・3・4「俺達がいる事を忘れるな」
 ミサイルで防衛。爆発したのは悪機兵隊の戦闘機。
 オーサが落下背に乗せる火竜。
                 ニガテカミムシ 「チッ! 端役が。ふっ(金粉を吐く)」
                    九 「(オーサを下ろし)オーサ確り」
                  オーサ 「怖いミサイルひいやあああ」
 雨嵐が降る。
                   九 「あめ・・・火竜!」
                   火竜 「(金粉を飲み)にあがっおおお」
                  ニガテカミムシ 「そう、水がニガテだよな」
 羽をばたつかせ前へ行く。
                    九 「うっ、くそっ」
                 ニガテカミムシ 「何もできねえよなふんっ」
 拳になり腹を殴る。
                    九 「ぐはっ、腹がああああ痛いーー」
                 ニガテカミムシ 「そうか! 痛いのがニガテか」
                 機兵隊員3・4 「一体どうしたら」
                  機兵隊員2 「あれは・・・お前ら援護しろ」
 もがく、オーサ・火竜・九
                  機兵隊員3・4 「お手さんこちらてるまえほうえ」
 ロボットに変わる。
                 ニガテカミムシ 「遊んでる暇は」
                  機兵隊員3   「俺達がこえーのか? 手弱ーー」
                 ニガテカミムシ 「なんだとムカ手くなーー」
                  機兵隊員4 「(ロボで)お尻ペーンペン!」
 雲を突き抜け、逃げる機兵隊員を追い掛けるニガテカミムシ。
                  ニガテカミムシ 「くっ、雷だっつーのにあぶねえよ」
 晴れている雲の上。
                  機兵隊員4 「オラオラ如何した? ノロマな手」
 Uターンする。地上が見える。
                 ニガテカミムシ 「待て! よし捕まえ・・・」
 機兵隊員2・3が避ける。
                  機兵隊員2 「(ロボを操縦し)くらえ」
ニガテカミムシ 「それは悪機兵隊の翼・・・」
爆発後の戦闘機の左翼を持ち上げる。
                  機兵隊員2 「お前とは手切りだ」
                 ニガテカミムシ 「馬鹿め。俺を真っ二つにしようなんぞ」
 先端を上に空が光る。
                  機兵隊員2 「ビリビリ攻撃だ。くらえ」
 左翼を平行にし稲妻が放出。
                 ニガテカミムシ 「おお俺、痺れう〜」
 ガラスが割れるように消える。
 晴れるクトイ星。
                 クトイ星人1・2 「救ってくれて有難うございます」
                   オーサ 「礼を言うなら此奴等に」
                 機兵隊員2・3・4「へへっ」
                   火竜 「如何した?」
                    九 「まだ苦手のようだ」
                 クトイ星人3 「ゲーハーいやーーん」 
 母船が飛び立つ。
                   火竜 「そう落ち込むな九。ヒヒッ」
 九の身体に戻る。
                   オーサ 「やっぱり変だ」
                   九 「何がだ?」
                  オーサ 「その、元常冬だったんだったら、頭領だけじゃなく
                  皆、暑さが苦手だった筈と」
 窓越しから見る。
              クトイ頭領とローゴ 「(指を折り)あと、3つ。あと3つで
                          私に会えるぞ。龍闘士よ」
                     九 「ローゴ、貴様だったのかーー」
 クトイ頭領の身体から闇が抜け消えていく。

 9の巻「敵か味方か」
 【登場人物】
 ドンブラ ピチ星のお婆さん
 リュウカリ 拐われたお爺さん
オニガワラクダ 伝説の駱駝
○広大な宇宙空間(輝く恒星)
 母船の中。腹を摩る九。
  九 「闇が出ていた。やはりギョットビは?」
                     オーサ 「ね、だから言ったんですよ何か事情があるって」
                    九 「理由・・・何だ?」
                     オーサ 「それはわかりませんけど・・・」
                      九 「えっ?」
                     オーサ 「いやっ、まだ痛むんですか腹?」
                       九 「いやっ、その、群雄割拠だな」
                     オーサ 「ぐんゆうかっぎょ?」
 機兵隊員がモニターを操作する。
 ○ローゴ星(朝)
  城中。転がる悪機兵隊               
                     ローゴ 「全くギョットビよ。仲間をやる事ないだろう?」
                    ギョットビ 「・・・な、仲間ではない」
                     ローゴ 「信用できぬか? 師であるギョギョの伝えを。
                          ブラックホールなんだよ」
        ギョットビ 「そんな事は聞いてない。ただ、お前は・・・」
               xxx
  ○ギョギョ星(朝)
  滝が流れる。河川敷に居る。
                    ギョギョ 「いいか。もうすぐ龍闘士達が来る。
                           何もわかっていない。確認後
                           ローゴに使えるのだ」
                    ギョットビ 「はい。確認します。奴の証の向こう側で」
                xxx
 ○ピチ星(朝)
 ブラックホールから出て島があり二角の屋根の城がある。
 T『ピチ星』
                       九 「(母船から降り)海岸沿いは村か」
                      オーサ 「あんな城あったけな?」
  巨大な桃が飛んで来る。
                    九・オーサ ・機兵隊 「オワッ」
  山肌に爆発する桃。
                      オーサ 「砂が降って、目が」
                      ドンブラ 「チッ! やり損ねたね」
オーサ 「婆さん、何すんだ」
                      ドンブラ 「返せ! 爺さんを」
                        九 「じいさん?」
 ○ドンブラ家・和室
 座布団に正座している。
                      ドンブラ 「面目ねぇ。お茶でもお飲み」
                        九 「ピンク色、甘っ」
                      ドンブラ 「てっきり、ブラックホールから来たから」
                       オーサ 「悪星人、何が? 島の城と関係が?」
                      ドンブラ 「出るんだ。伝説の筈のオニガワラクダが」
                        九 「つまりは、それを利用して?」
                      ドンブラ 「ああ。本当になっちまって。お陰で近所は
                            家が潰れちまったよ」
 ○ピチ星・外(朝)
 桃の骨組だけの家。
                      機兵隊員N 「それは婆さんが打つからでしょうがーー!」
               ドンブラN 「あははそうだねーー」
 ○ドンブラ家・玄関外(朝)
                       ドンブラ 「じゃ頼んだよ。あんた達、爺さんを助けて
                              おくれよ」
                       オーサ 「婆さん任せとけって」
 親指を立てるオーサ、機兵隊
                        九 「出でよ! 火竜。話は・・・」
                        火竜 「わかっている。乗れ」
 九は火竜に。オーサ・機兵隊達はロボで向かう。
 笑みを浮かべ手を振るドンブラ。
                        ドンブラ 「・・・・(ニヤッと笑う)」
                     ドンブラとローゴ 「また会おう龍闘士!」
 闇が抜ける。
                      ドンブラ 「正に群雄割拠だね。何も知らないんだ」
 ○ピチ星・島(朝)
 降り立つ九達。
                           九 「出て来い! オニガワラクダ!!」
                         オーサ 「まんまと来るやつなんて居てませんよ」
                          火竜 「真っ黒で恰も悪の城って感じだ」
 城の扉が開く。
                          九 「・・・・」
                         オーサ 「行きましょう」
                          火竜 「誘き寄せ。面白い」
 ○オニガワラクダ城中
 悪機兵隊達が待ち構えている。
                        悪機兵隊員 「オニガワラクダ様はこの上だ」
 階段が見える。
                          オーサ 「此処は僕達に任せて」
                           九 「ああ。ん?」
                         悪機兵隊員1 「エキスエキス」
 襲い掛かる悪機兵隊員。飛び蹴りを構すオーサ。
                          オーサ 「学習しろよ。さっ早く」
九 「礼を言う。火竜行くぞ」
                         悪機兵隊員2 「待て! ぐはっ」
 機兵隊員が殴る。喧嘩が起きる。
 階段を上り詰めた九。
                          火竜 「大丈夫か?」
                           九  「千段、ダッシュは、キツイな」
 目の前に居るのは爺さん。
 喧嘩を続けるオーサ達。
                          オーサ 「なんだコラッ」
                         悪機兵隊員3  「ああん?」
                          機兵隊員1  「上等だ」
                         悪機兵隊員4 「やってみろよ」
                          ドンブラ   「あんた達。城の外は、戦闘機、
                                 ロボットでも駐停車禁止だよ」
                          オーサ 「えっ? 婆さん何故ここに」
 手に小さな桃の癇癪玉を持っている。
                            九 「てっぺんにラクダは居ないのか」
                           火竜 「お出掛けかな」
                            九 「だとしたら好都合だ。早く
                                  行きましょうお爺さん」
                       リュウカリ 「わしゃリュウカリ。
                                   何処にも行かんよ」
 階段の下で爆発が起きる。オーサがジャンプしてくる。
                             九 「なんだ? 皆大丈夫か」
                            オーサ 「(振り返り)はい九さん、婆さんが」
 下で噎せる皆の者、闇が横切る。

                            ドンブラ 「爺さんや。やろうかい」
                             九 ・火竜 「なんだと? 真逆」
                             オーサ 「その真逆ですよ!」
 リュウカリからも闇が出る。

                            リュウカリ 「婆さんや。変身じゃ」
 向かい合い両手を繋ぐ。闇が渦を巻く。
 姿が見えなくて合体。瘤が二つ見える。
                              九   「これが伝説の」
                              火竜  「ラクダ。二人が一匹に」
 ○オニガワラクダ(全身瓦、鬼の顔と角、二つの瘤)
 噎せて腰を落すオーサ
                               九 「(背中を摩り)オーサ大丈夫か」
                             オーサ 「煙を吸って。すいません」
                               九 「いや。火竜、一角火電波だ」
 技を放つ。
                               九 「なっ、なんだと」
                              オーサ 「馬鹿な! 効いていない」
 笑みを浮かべるオニガワラクダ。
                          オニガワラクダ 「この角二本は、避雷針の様な
                                    もの。更にこの体は火除瓦
                                    であるぞ」
 舌打ちをする九。
                               九 「くっ、ひ、火竜、二刀竜斬り」
                               火竜 「・・・ああ」
                       オーサ 「そんな・・・」
                           オニガワラクダ 「ふふ、はーはっはっは
                        効かないな。ちょっと傷が
                                    入っただけだよ龍闘士」
 焦る九。汗を掻く。
                               九M 「どうするんだ!どうする?」
                               火竜 「くらえ鱗千枚」
                               九 「やめろ火竜ーー無茶だーー」
 横向きになるオニガワラクダ。
 鱗千枚が、床に刺さる。腹部から血が滴り落ちる。
 振り返るオーサ。目を大きくし、口を開けている。
                               九 「オワッ」
                               火竜 「ぐっ、うう」
                               九 「火竜、大丈夫か」
                           オニガワラクダ 「どうだ? 己の技は痛いか」
                              オーサ 「(小声で)やめろ・・・」
                        オニガワラクダ 「(前を向き)ほらっ、来いよ」
 抵抗しない九と火竜。
                           オニガワラクダ 「打つ手なしか。だったら」

 口を開く。桃が見え葉が着火する。
                                九 「くっ、ここで尽きるのか」
                               オーサ 「(小声で)やめろ」
                               火竜 「すまぬ」
                            オニガワラクダ 「くらえ桃の葉・・・」
                               オーサ 「(大声)やめろーー糞駱駝」
 目を見るオニガワラクダ。視線から威圧を感じる。
                             オニガワラクダ 「えっ、いやっ、やばっ」
                             オニガワラクダM 「今の、こいつ・・・」
オニガワラクダ「私、消えさせて貰います」
 自らガラスが割れる様に消滅するオニガワラクダ。
                                 九 「なんと!」
                                 火竜 「た、助かったでわないか」
                                 九 「おお!」
 ○サバン星(朝)
                              ライタ 「九が危ない。
                                頼むぞ二人共」
                              エレファントム 「わかりました」
                                 ラキ 「いいライコ、その
首輪を使うのよ」
                                ライコ 「う、うん。ねえ本当?
                                       あの人悪い人なの」
                                ライタ 「ああそうさ。さっ早く」
 ブラックホールが現る。
                          ライコ ・エレファントム 「行ってきまーす」
 ブラックホールが消える。
                                 ラキ 「おやつ代・・・」
                                 ライタ 「要らないね。二人共、
                          大いに役立つだろう」
(9の巻完)

 10の巻「地球」
 ○広大な宇宙空間(輝く恒星)
 母船の中で、椅子に足を組んで座るオーサ。
 扇子を仰ぐ。
                                オーサ 「苦しゅうない面をおあげ」
機兵隊員1 「ハッハーってやるか!」
                                 機兵隊員2 「調子こいてる」
                                オーサ 「あっ?何よ。俺は強いぜ
                                      この口でイチコロよ」
 人差し指で口を示す。
機兵隊員1・2「ムカつくわー。ね、
                                      九さん」
                                  九 「(苦笑し)そうだな」
                              機兵隊員3 「皆さんブラックホールです」
                                 オーサ 「おい、人間よ。喉が
                                       渇いたな〜」
怒る機兵隊の面々。                             「なっ、隊長なにを」
                                   九 「まぁいいじゃないか」
                                  九M 「付き合ってやるか」
                                   九 「ハイハイ。今すぐ、
                                       グレイ茶入れますね」
 立ち上がり、船内を歩く九。
                                   九 「あっ、てっ!」
 床に穴が開いてたとこで蹴躓く。頭をぶつける。
                                  機兵隊員「九さん!しっかり」
 扇子を落とすオーサ。顔面蒼白。
 意識を失っている九。
                                 オーサ 「(頭を抱え)しまった〜
                                      どうすればいいんだー」
 九が座っていた所にスコップがある。
 スコップの中に居る火竜。
 ○唖々須野家・和室(夜)
                                  空美 「あなた、あなた」
 体を揺さぶる妻。
                                   陸 「パパ、一緒に入ろう」
飛び起きる九。
                                   九 「オーサ、火竜! 痛っ」
 頭を押さえる。
                                  空美 「はっ? 何寝ボケてんの
                                       ささっと入ってよ」
 ○同・浴室
                                   陸 「いーち、にーい、さーん」
                                   九M「俺は、いつ帰って来た?
                                     オーサや火竜、ローゴは」
 じっと顔を見る陸。
                                   九 「なあ陸、お父さんはいつ
                                      宇宙から帰って来たか、
                                      わかるか?」
陸 「えっ? パパ、行くの?
                                     ウルトラマンに会えるね」
                                   九 「えっ?今日はいつだ」
                                   陸 「えっ?」
                                   九 「何月何日だ?」
                                陸 「8月24日だ、よ?」
九M 「うそ、だろ・・・」
                                    陸 「パパさっきから、お顔
                  に畳の形がついてるね」
 ○路上(朝)
 毎年恒例タレントのマラソンを見に来ている。
                                   空美 「あなた、撮ってよね」
                         九 「ああ」
                                    九M 「おかしい。私が、宇宙
                             に行く1ヶ月前、この
                                       光景は・・・」
 ランナーが向かって来る。
                                    空美 「ちゃんと撮ってよね」
                                    九 「ここで転けるぞ」
                                    空美 「はっ?」
 立ち止まって疲れを見せるランナー。
                                    陸 「こけないよ」
                                    空美 「あなた、何よもう」
                                    九M 「違う、転ける筈だ
                                        私たちの前で」
 握手をして来る。耳元で囁く。
                                   タレント 「お前は思い違いを
                                         している。違う、
                                         あれとあれがな」
                                    陸 「パパ、あれ何?
                                         おそらが」
 ブラックホールが出現。

 ○火星
 T『9月23日・14時00分』
                         種子島宇宙センター男性職員 「応答しろ。唖々須野
                                        聴こえてるか」
                                    九   「えっ、ここは」
                         種子島宇宙センター男性職員 「こちら種子島宇宙」
                                    九 「あ、や、こちら
                                        唖々須野。直ちに
                                        実行する」
 地表を歩きクレーターを掘り始める九。
                                    九 「タレントの言ってた
                                    事は何だ?そして、
                                         この光景も」
 スコップが岩盤に当たる。気泡が入り出て来るマグマが噴き出す。
              種子島宇宙センター男性職員 「どうした?応答せよ
                                       唖々須野、唖々須野」

 マグマに包まれ破片が腹部に突き刺さる。
                                    九 「そう、ここで私は命を
                                       落とし・・・」
 噴き出したマグマが竜へと変化する。
 ○都内某所(朝)
                                    九 「ここは、とうきょう
                                       ブラックホールか」
 東京タワー、都庁、スカイツリーが焼け爛れる。
 T『東京・墨田区』
                                 自衛隊「いたぞ! おい、唖々須野
                                     そこ動くなよ。撃つぞ」
                                   九 「ま、待て! 私が何を」
                                 自衛隊 「ふざけるな。貴様が、
                                      街と人々を、貴様の
                                      妻と子もな!!」
                                 九 「違う! 私ではない」
自衛隊 「だったら何か? 偽者の
                                      お前がいるってのか」
                        九 「くっ・・・」
 銃が顔すれすれに近づく。払い除ける。転がる。
                                  自衛隊 「あっ待て、くそっ」
                          九 「ハァハァ、私ではない
                                      あいつだ。私に化けて
                                      いるんだ」
 影が見える。左を向く九。
                                   九 「ギョットビ!」
                                ギョットビ 「九さん」
                          九 「(首を押さえつけ)貴様、
                                       東京と私の家族をー。
                                      それに、厄介な技を
                                       使いやがって化け魚」
                                ギョットビ 「そんな技なんて無いし
                                       九さんがいる世界は
                                       九さんの世界であって
                                       九さんの世界ではない
                                       のです。そして」
                                    九 「えっ? ギョットビ、
                                      声が普通。ギョットビ」
 ギョットビが渦を巻き消え失せる。空から声が聞こえる。
                                ギョットビ 「戻って来て、九さん
                                       真意があるのです」
                                     九 「どう意味だ?
                                       ギョットビーー!!」
 ○ローゴ星(朝)
 城中。
                                機兵隊員「九さん、起きて九さん」
                                   九    「ハッここは」
                                 機兵隊員 「よかった」
 舌打ちをする者がいる。
                                ローゴ 「ようこそ我が星、皇帝へ」
                               ギョットビ 「・・・」
                               悪機兵隊員 「グッモーニーン」
                                  九 「ギョットビ、教えろ」
 頭を起こし立ち上がる。
                         ローゴ 「そう慌てるな。教えてや
                                     る。最終決戦だ」
 (10の巻完)

 11の巻「最終決戦」
 ○ローゴ星・城中
                               機兵隊員 「教えろって?」
                                 九 「私は今会っていたのだ」
                               機兵隊員 「へっ? ねえオーサさん」
                                オーサ 「おお。何言ってんですか?
                                     転んで倒れたんっすよ」
                                 九 「嘘をつくなオーサ。怪しい
                                     な。私は今地球に帰ってい
                                     たのだ」
                                 オーサ 「はっ? 本当に何言ってん
                                     ですか? 額から血出して
                                     意識飛んでたんっす。僕の
                                     所為ですけど」
 鼻筋に伝ってくる。
                                  九 「(手で拭い)なっ?」
                                 ローゴ「龍闘士、お前は意識だけが
                                     向かっていたのだよ」
                                  九 「いっ、意識だと?」
                                ギョットビ 「時系列に説明します」
                                  オーサ 「ええーー」
                                 機兵隊員 「まだ何も言ってません」
                                 ローゴ 「龍闘士、お前はもう生命
                                      を宿していない、だろ」
                                 オーサ 「えっ? そんなわけない
                                      だろうがローゴ!!」
機兵隊員 「そうっすよ! 手と足が
                                       あるんだ!!」
                                ギョットビ 「九さん・・・」
 宇宙服を脱ぐ。ツナギ姿になる。
                                 オーサ 「その傷は・・・」
                                 機兵隊員 「腹押さえてたのって」
                                 悪機兵隊 「マジかよ・・・」
                                   九 「ああ。火星でな。火竜
                                      と一体化で身体は再生
                                      出来たが傷は何故だか」
                                  ローゴ 「それは、お前の意識に
                                       存在する記憶だよ」
                                   九 「しん・・・貴様、向かっ
                                      てた意識とはなんだ」
                                ギョットビ「皆さんが来た通りです」
                                 機兵隊員 「きたとおり?」
                                 オーサ 「思考停止!!」
                                  ローゴ 「ブラックホール、だよ」
                                 オーサ 「くろ、けつ?」
                                 機兵隊員 「オーサさん黙って!」
                                   九 「それと何が関係するんだ」
                                  ローゴ 「異次元だよ!!」
            悪機兵隊員 1「聞いたことあるぞ」
                                 悪機兵隊員2「ああ」
オーサ 「俺なんか前からしっ」
                                  機兵隊員 「今、あんた驚いてた
                                        じゃないですか」
                                   ローゴ 「見たんだろ? 不思議
                                        な光景を」
                                    九 「ギョットビが地球を
支配してた、そして
                                       私が気絶してた時、私
                                       が、恰も、戦犯を犯し
                                       た?それがか」
                                ギョットビ 「パラレルワールド、
                                      並行世界。つまり、九
                                      さんの世界から分岐した
                                      別世界があるのです」
                                  九 「ギョットビ、それで、
                                      私の世界であって、私の
                                      世界ではないと・・・」
                                 ローゴ 「言ってみろ。何か言いた
                                      そうだな」
                                   九 「差金は、全て貴様だろう
                                      ギョットビ、疑ってわる
                                       かった」
                                ギョットビ 「ち、違うんです」
 舌打ちが聞こえる。
                                 機兵隊員 「オーサさん、今」
                                 オーサ 「えっ? お前達じゃ
                                       ないのかチッて」
                                 ローゴ 「まだ、話はあるのだ 」
                                ギョットビ「並行宇宙もありまして」
 カタカタと音がする。
                                   九 「えっ」
                         オーサ・機兵隊・悪機兵隊 「はっ? それってなに」
                 xxx
                                タレント 「お前は、思い違いを
                                       している。違う
                                       あれとあれがな」
                 xxx
                                 九 「あ、ああ。そんな、
                                      うそ、だろう」
                                ギョットビ 「・・・・」
                                 オーサ 「九さん?」
                                機兵隊員 「どうかしたんですか
                                       それにさっきから、
                                       この音なに」
                                 ローゴ 「本当だ。異次元だ」
                                悪機兵隊 「おい、あれ」
 九の後ろでスコップが振動している。
                            スコップの中の火竜 「ローゴ貴様よくも」
                                 ローゴ 「違うんだよ! 俺と
                                      火竜が地位がな」
                         オーサ・機兵隊・悪機兵隊 「えっ、ええええーー」
 振り返る、九、オーサ、機兵隊員達。
 スコップから現る火竜。
                                  九 「火竜ーー」
(11の巻完)

 12の巻「最終決戦2」
 ○ローゴ星・城中
                                  火竜 「ローゴ貴様よくも。
                                       お喋りな奴め」
                                  オーサ 「さっぱりわからない。
                                       どこから見ても、火竜
                                       さんに、ローゴ」
                                 機兵隊員 「仰るとおりです」
                                 悪機兵隊員 「ああ」
                                    九 「ひ、火竜・・・」
                               ギョットビ 「見たんですよ。あの時」
                   xxx
 ○母船の中
 喧嘩が始まる。
                              オーサ・機兵隊 「くれろその水俺達にも
                                       くれよーーなっ」
                                ギョットビ 「だめです」
                             オーサ・機兵隊 「管から出てるじゃねえか」
                               オーサ 「よし!いくぞう」
 強行突破で水を盗もうとするが弾き飛ばされる。
                                オーサ 「ぶったね。ジツヤン王に
                                      もぶたれた事ないのに」
 やり返すオーサ。
                               ギョットビ 「何すんじゃい」
                      オーサ 「ああん! ケチな
                                       お前が悪いんだろう」
 掴みあう二人。オーサの背後に火竜がいる。
                               ギョットビN 「あの時、見たんです。
                                       オーサさんの向こうに
                                       居た、火竜さんの目の
                                       奥を。それは、闇が
                                       燃え滾る様に出て」
 目を大きく開けている火竜。
                    xxx

 ○戻ってローゴ星・城中
                                 火竜 「やはり見抜いていたか。
                                      フフ、素晴らしいなその
                                      魚眼は」
                                  九 「火竜、嘘だよな・・・
                                      笑えよ火竜」
                                  火竜 「目くらまし、この眼はな
                                      義映眼と言って、映る物
                                      全てを偽りと化すのだ。
                                      でももう、必要ない」
 T『義映眼』
  ぎえいがん。偽の姿を見せる。

 火竜の姿が蜷局を巻き発光する。
 ローゴから闇が放出する。
                                  オーサ 「ああ、ああ」
                                 悪機兵隊員 「ローゴ様ーー」
                                   九 「火竜・・・」
                                   火竜 「これが、本当の姿だよ」
 闇に覆われた黒竜になる。
                                  オーサ 「そ、そんな」
                                   黒竜 「あーはっはっは。何だ
                                      ローゴ無様な格好だな」
 倒れているローゴ両足のみ微かな火。
                                  九 「ローゴが火竜だったのか」
                                 黒竜「正確に言うと宇宙人の姿。
                                    九よ、お前も同罪。火星を
                                    掘り起こし、その炎で、太陽
                                    熱が上昇、爆発。元々は、
                                    ローゴが開けた、ブラック
                                    ホールが再度開き、時空に
                                    歪みが出来たのだ」
                                 ローゴ「すまん、過去の悔いは、
                                     正義で返そうと・・・」
                                  九 「俺を利用したのか」
                                 黒竜 「ああ。人間は静電気を
                                     持っている。磁気を
                                     狂わせるには、死んだ、
                                     お前と一体化することが
                                     必要だったんだ。もう、
                                     正義には飽きた」
                                 九 「身勝手な。くそっ、くそっ」
                                オーサ 「くそーー」
                 黒竜 「二刀竜斬り」
                                機兵隊 「ううっオーサさん」
                               ギョットビ 「大丈夫かオーサ!!」
 血と涙を流すオーサ
                                 オーサ 「きっとよジツヤン王は、
                                      パラレルワールドの事
                                      なんてよ、知らなかった
                                      と思うぜ」
 機兵隊達も泣き噦る。
                                   九 「うおおおおーー火竜」
                                   黒竜 「黒竜だ」
                                    九 「よくも、よくもーー」
飛びながら、九の拳を交わす。(羽根は無い)
黒竜が九を掴み取る。
                                  黒竜「如何したお前ら、早く
                                     吸え。こいつのエキスを」
 躊躇っている。
                               悪機兵隊員1 「俺達の皇帝と言えば、
                                      ローゴ様、だよな」
                               悪機兵隊員2 「ああ・・・」
                                 黒竜 「やれ!!」
 睨まれ恐怖を感じる悪機兵隊。
                                 九   「た、頼む、たす、
                                      ぎぃやあああ」
  九を握り潰そうとする黒竜。
                              悪機兵隊達 「くそーーエキスエキス」
                                 黒竜 「何してんだてめえら」
 黒竜の体に口針を刺す悪機兵達。
                              ギョットビ 「でかしたぞ!魚旋風飛弾」
 黒竜の右腕が切り裂かれて落ちる。
                                 九 「(床に落ち)ぐはっ」
                                黒竜 「ふんっ。隙があるのはお前だ」
 回転するギョットビを尾で叩く。
                              ギョットビ 「ぐはっ」
 壁に叩きつけられ床に伏せるギョットビ。
                                 九 「ギョットビ大丈夫か」
                               悪機兵隊達 「うわっわわわーー」
                                 黒竜 「竜は天に昇るのだ」

 巨大化していく。悪機兵隊達が、滑り落ちる。
                                 九 「なんだと」
                               機兵隊員 「うわっ」
 屋根を突き破る黒竜。天井が落下。
○ローゴ星・外(嵐)
黒雲より高くなる。雷鳴が響く。
                                黒竜「ガ、オオオオオーー」
                                 九 「くっ、私はもう命なんぞ惜しく
行くぞ皆の者。何としても
                                   終わらせよう。戦宙時代を」
                              機兵隊達 「はいっ」
   ギョットビ 「いつまで滑ったままだ!
                                    行くぞ、悪機兵共」
                              ローゴ 「待て、ギョットビこれを」
 ポケットから吹き具を出す。
                             ギョットビ 「これって」
                              ローゴ 「悪機兵達にエキスを吸わせて
                                    作った。直に助けが来る。
                                    お前も援護せよ」
                              オーサ 「守るぞ。俺も」
                             ギョットビ 「わかりました。行くぞ」
                             悪機兵隊員 「よっこいしょ」
 ○とある星
                           エレファントム 「すいません。間違えました」
                             ライコ 「お互い鼻が効かないもので」
 ブラックホールに入っていく。
                           エレファントム 「沢山兄弟がいたね」
                             ライコ 「うん。角が生えたお父さんが
                                   光があるって」
 ブラックホールが閉じる。
 ○ローゴ星・外(嵐)
 機兵隊、悪機兵がロボで応戦。
                               オーサ 「ぐぐぐ」
黒竜 「オラ、どうした」
 手を絡み合い押し合う。コックピット越しに黒竜の顔が間近にある。
                              オーサ 「ち、力が凄まじい、それに血で
                                  目が」
                       黒竜 「おらよ!」
 背負い投げをする黒竜。
                                 九 「オーサ大丈夫か」
 ギョットビに乗る九。スコップを持ち空中戦。
                                黒竜 「ふふ」
                                 九 「せい!」
                                黒竜 「おっと!」
                                 九 「てい!」
                                黒竜 「どうした、どうした。振りか
ざすだけか」
九 「くっ、ニョロニョロと」
 黒竜が、スコップを指二本で挟み止める。
                                 黒竜 「お前はもう、生命の無い
                                     ただの人間・・・」
 スコップを奪う黒竜。
                               ギョットビ 「伏せて!九さん」
                                 黒竜 「振りかぶって、打った」
                                 九 「ぐおっ」
                                ギョットビ 「ハッ」
 落下する、九とギョットビとスコップ。
                               機兵隊員 「九さん、ギョットビさん」
                             悪機兵隊員 「くそっ、一発で仕留めて」
                               機兵隊員 「バカ! やめろ」
 悪機兵隊員がミサイルの発射スイッチを押す。
 ローゴ星に閃光が走り宇宙空間まで達する。
機兵隊員 「ゲホゲホ」
                                オーサ 「カッーーペッ、ロボが」
 壊れるロボット。
                                 九 「みんな無事だな」
城も完全に崩れる。キノコ雲が消えていく。
                              悪機兵隊員 「やったか?」
見える身体。驚く面々。
                                黒竜 「今のはヤバかったな」
                          悪機兵隊員 「ああそんな・・・」
                                黒竜「こっちが一発で仕留めてやる」
 闇が一角へと向かって行く。一角に電流が発生する。
                                黒竜 「喰らえ。一角闇電波」
 稲妻が落ち威力を増す。 
                                 九 「終わった・・・」
                                黒竜 「なにっ」
 ブラックホールが現る。
                                ライコ 「助けに来たよ。みんな」
 空に沼が現る。
 (12の巻完)

 13の巻「決着1」
 ○ローゴ星(嵐)
 沼から幾つも足が出て踏み付ける。
                            エレファントム 「エイ! エイ! エエイ!」
                                黒竜 「ぐあっ、がはっ」
 睨み合う二人。
                                 九 「お、お前らどうして」
                               ライコ 「おじさん、これ着けて」
 自身の首輪を咥えて渡そうとする。
                              ギョットビ 「あ、あれは」

 崩れたローゴの城を振り返る。
                                 九「それはキミの大事な物だろう」
                              ギョットビ 「九さん!!」
                             エレファントム 「うう、ライコ、おじさん
                                     はやくぅ〜、チカラが」
                                 黒竜 「所詮、ゾンビでも子供の
                                     力は通用せん」
 頭を徐々に上げる黒竜。
                                 九「ええ? ちょっと待ってくれ」
                               オーサ 「何やってんすか」
                                 九 「いやっ、雨と老眼でなかなか
                                    バックルから外せない」
                          機兵隊・悪機兵隊 「ああもう、ジジイはもう」
 黒竜が頭を上げる。
                     エレファントム 「うわっ」
 空中でひっくり返る。
                                黒竜 「子象、貴様は九を倒さな
                                    かったな。嘘をつく。お仕置
                                    だ。鱗千枚・・・」
                                 九 「よし! 嵌めたぞ。何が?」
 九の両目が赤く燃える。瓦礫が弾く。
                                黒竜 「あれは? させるか!」
                       オーサ・機兵隊・悪機兵隊 「なっ、九さん」
                                ライコ 「僕の首輪は、マヂカラの輪
                                     真の力を発揮するんだよ」
                               ギョットビ「宇宙の何処かに有ると云わ
                                     れた伝説のリング」
 瓦礫から火を覆ったローゴが出て竜となる。
                             エレファントム「(落ちてきて)あてっ!」
                                 黒竜 「チッ、させるかよ」
 九達の元へ向かって来る。
                              ギョットビ 「マヂカラの輪を手に入れた
                                     者は、最高の地位を手に
                                     入れ、最強へとなる」
                                 九 「うおおおおーーチカラが」

                                 黒竜 「待ちやがれ、テメエ等っ」
 火竜(ローゴ)が九の身体に消える。
 ビッグバンが起き黒竜を跳ね除ける。
                       オーサ・機兵隊・悪機兵隊 「眩しい、や・・・」
                             ギョットビ 「大丈夫です!」
 炎は身体に巻きつき巨大化する九に変化がある。
                              ライコ 「凄い、カッコいいねー」
                            エレファントム 「(起き上がり)ねー」

                               火龍 「ガ、オオオオーー」
 ○火龍姿
 (真化体、ティラノサウルスの様。一角、口に牙、鱗有り、背びれ、手足に長い爪、真っ赤に染まる発光体)

 T『火龍』
 マヂカラの輪により、火竜(ローゴ)から
 火龍となる。真の姿。龍闘士と融合。
                               オーサ 「九さん、どこですか九さん」
                                九 「ここだ、が、ここはどこだ」
                                火龍 「私の意識の中だ。やるぞ九」
                                黒竜 「図に乗るな。ただの憑依だ」
 一角火電波と闇電波がぶつかり合う。放たれる。

                              エレファントム   「沼バリア」
 一同は助かるが、ジタバタする者が一人いる。
                                 オーサ 「たふけて」
 地面に突き刺さる。犬神家の様。
                                  九 「ぐああああ、腹が」
 火龍の腹を掴む黒竜。
                                  火龍 「汚いぞ黒竜」
                                  黒竜 「関係あるか。私は既に
                                       闇なのだ」
                                 オーサ 「ギョットビ」
                               ギョットビ 「様子を見ましょう」
                                  火龍 「九、あきらめるな、九」
                                   九 「そうだな。よし行くぞ」
 手を広げる火龍。
                                  黒竜 「ぐああああ、貴様ら〜」
 髭が無くなる。
                                機兵隊員 「やった。右腕に髭、黒竜
の勝ち目は無くなった」
                          黒竜 「鱗千枚」
                                  火龍 「あがっ、おごっ、あがっ」
 口から飛ばす火龍。
                                  黒竜 「ぐあっ、ハァハァハァ」
 滴り落ちる全身の血。
                                  黒竜「ふふっ、あーはっはっは」
                                 オーサ 「何笑ってんだあいつ」
                                   黒竜 「元々はお前が悪だったの
                                      だ。鞘に納めてやる」
                                   九 「どう言う意味だ」
                                   火龍 「ま、まさか」
                                  機兵隊員 「(指を指し)おい、あれ」
                                    九 「あれは銀河・・・」
                                    黒竜 「そう、宙にあるのは
                                       お前が封印されていた
                                       銀河だよ」
                                   火龍「・・・鍵なんぞあるか」
                                 悪機兵隊 「おい、あれ」
                                    九 「火龍こいつまさか!」
                                   黒竜 「がはぁ」
  岩の鍵を吐く。
                            エレファントム・ライコ 「させないよ」
  落ちた右手が動く。殴られる。             エレファントム・ライコ 「ぐはっ」
                             オーサ 「大丈夫か」
                              悪機兵隊員 「おい!」
九・火龍 「しまったぁーー」
  手首を後ろへ捻り宙へと掴んだ岩鍵が飛ぶ。
  大気圏を超え、銀河に挿さり、鍵穴の形になり開く。
  同時に太陽が爆発。
                                魔鴉・数百匹 「カアカア」
                                 九・火龍 「うわわわわーー」
                                  黒竜 「この鴉共に囲まれては、
                                      逃れられんぞ」
                                 オーサ 「このやろー」
                                ギョットビ 「オーサ!」

                  オーサ 「あて。 何足つかむん」
                                ギョットビ 「目を瞑れ、伏せろ」
羽をばたつかせ、襲ってくる魔鴉。
                                 黒竜 「こいつら魔鴉は目が
                                        退化してるーー」
                                 悪機兵隊員 「ひひいぎゃあーー」
 一匹に目を食われる。
                                  九・火龍 「くそ前が見えん払って
                                       も襲いかかってくる。
                                       体が・・・」
                                 魔鴉・数百匹「カアカアカア」
                                 オーサ 「ちくしょう、
                                        ちくしょう」
 足で掴まれ、ブラックホールの中へと引きずり込まれる。
 閉じる。
                                   オーサ 「ギョットビ、それ」
 手に吹き具を持っている。

 (13の巻完)

 14の巻「決着2」
 ○銀河・ブラックホールの中
                                   魔鴉 「かあかあかあ」
                                  九・火龍 「ぐあっ、ぐふっ、
                                        やや、やめろ」
 魔鴉が体を突く。
                                   火龍 「九、顔を上げるので
                                        はないぞ。丸まって
                                        おけ」
                                    九 「わかっている。でも」
 ○ローゴ星(嵐)
 雷鳴と雨が降りしきる。
                                  機兵隊員「そんな、九さん、火龍
                                       さん。うう」
                                 悪機兵隊員 「勝機はなくなった、
                                       俺達を好きにしろ」
                              エレファントム「虐めてごめんねライコ」
                                 ライコ 「いいよ。ずっと僕達は
                                     永遠に友達、パパ、ママ」
                                黒竜 「悲しいか、哀れだなー
                                      ハッハッハ」
 キリッと見つめるギョットビ。
                                  黒竜 「なんだ魚、ふん、勝機
                                      も、涙も枯れたってか」
 手に掴んだ吹き具を見せる。
                                オーサ 「察しがついた、やれーー」
                                  黒竜 「貴様、なにをーー」
 ストローを捨て吹き具を咥える。
 吹き具の横に管を繋げる。
                                オーサ「飲むな。口に溜めて一気に」
 口を膨らますギョットビ。
                                 黒竜 「させるか。ぐおっ」
 吹いた水圧でひっくり返る。黒雲を突き抜け宇宙空間へ到達する。
 ブラックホールを破壊。ローゴ星に帰還する。                    
                                 九・火龍「(出て来て)有難う
                                       ギョットビ」
                                     ライコ    「見てあれ」
                                 エレファントム  「皺々だよ」
                                    機兵隊員 「そうか」
                                  悪機兵隊員 「ブラックホールを
                                        破壊された事により
                                         闇の組織細胞も壊
                                    れて、トシオイノ
                                        ノロイになった」
                                      黒竜 「くっ、行け魔鴉」
  黒雲の隙間から日が差す。
                                   魔鴉・数匹「カアカア・・・」
                                     黒竜 「なっ、なんだと」
  消滅する魔鴉。
                                   九・火龍 「闇の弱点は光だ」
                                     黒竜 「こうなったら、
                                        こうなったらーー」
                                   悪機兵隊員 「やばい」
                                    機兵隊員 「何だよ」
 黒雲を吸収する黒竜。甲高い笑い声がする。
                                     火龍 「チッ、元は」
                                      九 「どうした?」
 空一面に、黒竜の体が大きく伸び蝙蝠の様になり浮かぶ。
                                     黒竜 「そうだ、お前の
                                          神の力だ」
                                    ギョットビ 「宙魔神・・・」
                                     オーサ 「地震だ」
 地割れが起きマグマが出る。
                                  エレファントム 「沼バリア」
                                     ライコ 「見てあれ」
 恒星が次々と消滅している。
                                     黒竜 「終わらせる、
                                          宇宙事なぁ」
                                    オーサ 「このままだと、
                                          太陽も火星も」
 消えかける太陽と火星、火龍の火。
                                     火龍 「ガ、オオオオー」
                                      黒竜 「火を失う龍何ぞに
                                         勝ち目はない」
                                      九 「火龍、落ち着け」
                                     火龍「すまぬ、最早ここ」
                                エレファントム「バリアが限界に
                                        なってきた」
                                    ライコ「光があるって言って
                                     たのに嘘なのかな」
                                    オーサ 「ひかり?」
                                   ギョットビ 「そうか。九さん
                                          念じて下さい、
                  貴方の思いを」
                                      九 「思い? 会いたい
                                         家族に」
 九が幽体離脱する。宇宙空間を光速移動する。
                                      九 「空美、陸!!」
 ○東京都・墨田区(朝)
 葬儀が行われている。参列者の前に空美と陸。
 九の遺影、棺は空の状態。幽霊の九が現れる。
                                    空美「(手を合わせ)陸、パパ
                                       にお別れしなさい」
                                     陸 「バイバイ、パパ。元気
                                       でね」
 九の姿は見えていない二人。
                                     九 「(涙を流し)空美、陸
                                        愛してるぞ」
 抱きつく九の体が光り、消えて行き、再び光速移動する。

 ○ローゴ星
                                    黒竜 「何?時空を超えた
                                        何故だ」
                                    火龍 「ガ、オオオオー」
 火龍の体が発光する。一面眩しくなる。
 (14の巻完)

 15の巻「決着3 別れの時」
 ○ローゴ星
                                   機兵隊員 「ま、眩しい」
                                  悪機兵隊員 「何が起きたんだ」
                                   オーサ 「お前ら我慢しろ。
                                        神のご加護だ」
                              ライコ 「マヂカラの輪のお陰
                                        もあるよ」
                               エレファントム「マヂカラのマヂカラ
                                        だもんね」
                                 ギョットビ 「いや、真化、
                                        レベルアップだ」
                                    九 「愛の光、そして
                                        諦めない心・・・」
                         九・火龍・ギョットビ・オーサ 「希望の光だ」
  発光が終わる。
                                    ライコ 「カッコいい」
                                エレファントム 「お顔が増えたね」
                                機兵隊・悪機兵隊 「これが」
                                   オーサ 「宙始神様だ」
 ○宙始神・火龍(ティラノの様な三つ首。中央が九で炎、右が空美、左が陸を表し光で覆われている)
                                   黒竜 「貴様、時も戻したな」

 太陽と火星が元に戻る。
                                   火龍 「ああ、その通りだ」
 後ろに輪後光が現れる。
                                    九 「勝つぞ、火龍」
                                    火龍 「ああ」
                                  九・火龍「一騎打ちだ! 来い」
                                    黒竜 「望むところだ」
 輪後光に光と炎が灯る。
                                    オーサ 「あのやろう」
 消滅した恒星の星屑が降り注ぎ黒くなる。

                                  機兵隊員「やべえぞ飛ばされる」
 星屑吸い込む黒竜。
                                 悪機兵隊員「(手を掴み)大丈夫か」
                                  機兵隊員 「お前、いい奴だった
                                       んだな」
                                  ライコ 「友情だね、手貸して」
                               エレファントム「喧嘩するほど仲が良い
                                       もんね。手、掴んで」
                               ギョットビ 「来るぞ」

 両者口を開く。
                                   火龍 「喰らえ、光炎放射」
                                   黒竜 「漆黒の星放射」
 光と炎が交わり渦を巻く、闇渦巻く星の弾丸を放ち打つかる。
 T『光炎放射』
  神の技。トルネード放射。
 T 『漆黒の星放射』
   神の技。弾丸放射。
                                  九・火龍 「ぐっ、押しが強い」
                                    黒竜 「ーーーーーー!!」
                                   オーサ 「弾丸このやろう」
 白けた目で見る、機兵隊・悪機兵隊・ギョットビ

                                   ライコ 「なにそれ」
                                エレファントム 「やばい、このまま
                                       押されたら負けだよ」
                                ギョットビ 「フラッシュバックか」
 火龍の意識の中で冷汗を掻く九。
                                   火龍 「おい、九、おい、九」
 記憶が光速移動する。
                   xxx

 ○火星(過去)
 スコップで温泉を掘る九。マグマが吹き出し、岩片が腹に刺さる。
                                   九 「うっわわわわーー」
 焼けていく様の九。
                   xxx
 ○戻ってローゴ星
 火龍の意識の中の九。歯を鳴らし震える。
                                    九 「死んだ、俺は、しし、
                                      死んだ、あああああ」
                                   火龍 「落ち着け、おい」
 パニックと化す宙始神。体を揺らしている。
 触れる光炎放射。持ち堪えてはいるが、
 漆黒の星放射に押されていく。幅が狭まる。
                                   黒竜 「ふふ、そうか、今頃
                                      脳裏に焼き付いていた
                                      恐怖な記憶が蘇ったか」
                                悪機兵隊員 「まずい、このままだと
                                       完全に俺等負けるぞ」
                                機兵隊員 「九さん、九さーーん」
                                  オーサ 「おい!!」
 ギョットビに視線を向けるオーサ。
 ○東京・墨田区(昼)
 火葬場。扉が閉じ遺体無き棺が荼毘に付す。
                                  空美 「(合掌し)貴方愛してるわ」
                                   陸 「パパ・・・ママぁ〜」
 空美にしがみ付く。二人の涙が落ちて滴が跳ねる。
 ○ローゴ星
                                  火龍 「パニクるな。落ち着け、
                                      我等は最強だ。九!!」

 三つ首、真ん中が暴れる。
                                   九 「ひ、火、熱い、熱い
                                     ひ、ひいぎゃああああ」
 水飛沫がはじく。
                                 九・火龍 「つつ、冷たぁ」

 背中にギョットビが吹いた水が掛かっている。

                                 ギョットビ「目を覚まして九さん」
                                  オーサ 「お前さぁ、その水って
                                      完全綺麗ではないよね」
                                 機兵隊員 「・・・(咳払いし)
                                        良い所ですから、
                                        黙りましょう」
                                   九 「ガハッ。凄まじい
                                       勢いだな」
                                   火龍 「九・・・」
                                   九 「もう大丈夫だ。すまん
                                       いくぞ火龍」
                                   火龍 「おう!!」
                                   黒竜 「何をさっきから、
                                       ごたごたと。おわっ」
 再び輪後光に光と炎が灯る。
 眩しさを感じる黒竜。
                                   火龍 「ガ、オオオオー」
       オーサ・ギョットビ・機兵隊・悪機兵隊・ライコ・エレファントム 「い、行けーー」
 一度吸い込み勢いを付け光炎放射を吐く。
                                   黒竜 「ウガッオオオオー」
 身体の彼方此方が擦れていく様に欠けていく。
                                   黒竜M 「そんな、馬鹿な。この
                                     私が、次元が違うとは
                                       言え、やられるなんて
                                       フフ、これで終わると
                                        思うなよ。私を継ぐ
                                        者は現れる。そう、
                                        必ずな」
 体にひびが入りガラスの様に割れ消滅する。

                                    九    「火龍」
                                    火龍 「ああ終戦と勝利だ」
 分裂する。二人は普通の状態に。火龍は火竜へと戻る。
 闇が晴れる。煌々と照り出す太陽。陽射しが差し込む。
                                    九 「(着地して)ふぅ・・・」
           オーサ・ギョットビ・機兵隊・悪機兵隊 ・火龍 「やったあ万歳」
                                   九 「おお、抱きつくなよ
                                        おオーサ」
                                  ライコ 「イッエーイ」
                                エレファントム 「イエーイ」
 足と鼻でハイタッチをする。
                                    ライコ 「僕達のお陰でも
                                         あるね」
                                 エレファントム 「ねー」
                                     九 「(頭を撫で)ありがとう
                                        二人共」
                                悪機兵隊員 「(太陽を指差し)あれ」
 扉が開く。影になって見える。
                                    九M 「そう、来たのである
                                        別れというものが」
                               オーサ 「ぐおおお、ぐおおお」
                                   ライコ 「哀しいね」

                                 エレファントム「折角、お友達に
                                         なったのにね」
                                    機兵隊員 「オーサさん、
                                          大丈夫ですか」
                                   オーサ 「馬鹿野郎これがよ、
                                       泣かずにいられるか」
                                   機兵隊員 「あんたずっと
                                         血だらけだし涙が
                                         赤いよ」
                                  ギョットビ 「忘れてた」
                                      火竜 「九・・・」
                                      九 「火竜・・・」
                                    九・火竜 「ありがとう」
 握手を交わす。
                                 エレファントム 「あったよ」
                                   悪機兵隊員 「ありました」
                                    ライコ 「(玉乗りして)
                                           よいしょ、
                                           よいしょ」
 瓦礫からスコップと宇宙服、母船からヘルメットを取ってくる。
 服を着る九。地面にスコップを差し持ち手にヘルメットを掛ける。
                                      九 「これから、如何
                                          するんだ」
                                    オーサ 「ここに住んで、
                                          城を再建して
                                          宙始神様と生活
                                   します」
                                     火竜 「火竜でよい」
                               機兵隊・悪機兵隊 「(肩を組み)俺達も
                                         もう仲間だし」
                             ライコ・エレファントム 「僕達は、念じて
                                          帰る。光で」
                                  ギョットビ 「僕も光速移動で
                                         帰り・・・」
 震える九。
                                     九 「お前達元気でな」
 涙を流す一同。
                                   オーサ 「ぐおおおーー」
                                   機兵隊員「もう、血が、血飛沫
                                        を飛ばさないで」
                                   ライコ 「血がついた」
                                エレファントム 「これで帰ったら
                                         驚かれるよ」
                                     九 「あーハッハッハ」
                                   オーサ 「ぐおお、ハハ」
           ギョットビ・機兵隊・悪機兵隊・ライコ・エレファントム 「あーハッハッハ」
                                    火竜 「ひーひっひっひ」
 太陽の扉の中に羽衣を纏う影がある。
                                  天女 「こっちへ来るが良い」
                                   九 「あ、あれは(笑みを浮かべ)
                                      そろそろ行くか」
 マスクを被りスコップを持つ。
                                   九「火竜悪いけど、乗せてくれ
                                     る・・・」
                                 オーサ 「皆んなやるぞーー火竜
                                      さんも」
                                   九 「おお、なんだなんだ」
 体を持ち上げられる。胴上げで見送る。
                                  オーサ 「勝利を祝してせいの」
    オーサ・機兵隊・悪機兵隊・ギョットビ・ライコ・エレファントム・火竜 「ワッショイ、
                                         ワッショイ」
                                    九 「うう、お前達、また
                                       泣かせやがって」
    オーサ・機兵隊・悪機兵隊・ギョットビ・ライコ・エレファントム・火竜 「ワッショイ!!」
 空高く飛び出す九。
                                   オーサ 「全員、龍闘士九様に
                                        敬礼」
 涙を流しながら敬礼する。
                                   ライコ 「おじさん、持って行                                         った首輪」
                               エレファントム 「あきらめよ」
 ○広大な宇宙空間(輝く恒星)

 仰向けに浮遊している。右手にスコップを持っている。

九「私は、死を遂げ、時空を超え彷徨っていたのであった。一匹の竜と出会い、龍闘士になり、
   仲間と出会い、星々の敵と戦い、裏切りもあったが、最強となり、長い戦争を終わらせた
   形になったのである」
   「私は、ヒーローになったかもしれない・・・」

 仰向けから一回転、二回転、再び仰向け、頭の後ろを太陽が照らす。

 九「完全に迎えが来た様だ。そうそう、言い忘れていた事がある。
   唖々須野九・・・享年65歳」
 
 照らす光り。吸い込まれ扉に入って行く九。閉まる扉。
 宇宙空間に白い羽が舞う。

 ○東京・墨田区(朝)
 霊園。墓参りに来ている空美と陸
 唖々須野家の墓。合掌する空美。
 
 空美 「ほら、陸も」
 陸 「(合掌して)パパ」

他の墓参者「おい、なんだあれは」

 空を見上げて叫ぶ。
 ブラックホールがあり開く。

 長い頭。薄らとした毛、白い仙人の様な杖

 「じきにわかる・・・」

 T『BLACK HOLE 〜彷徨う私〜 完』



 
 

 
             
                                     

                                  
 
                                        

                                         
                            
                          
                                 
                 
            
                          
 
                                       





                                    
             
                                  

 




 





                            
                                 


                               
                                   



 
 

                             

                                          
  


                                    
                      
                                  
                                 

           
                                         
                                        
                      
                                     
                                     
                                      


                                   
                                   
                                
                    
                                                 
               
 
                                  
                               




      



                                   

                                 

                                  
                                       



 
                                

                              



  
  


                        
                                          
                                 
                            
 

                                  




 

                               
                              




                             
                                
                                     

                                     

 



            


               
                                
             


                                



         
                               




                             


 
                                
                               
                                                  
                                 

                       
                                 
   
                                     

 
 



 


                    



                                      

                                       
                                       


                                 
                         
                                     





                             
 

  


                                    
                                       
         
                                        
           

                                  



                                  



               
                               
       
  






                             
                         


                           


  

                         
                          
          
 

                        
                       

                  
      
                       
  
  
 
                    
                          
                

                 
                

                  


                   
                 

                    
                       
        
 
 



                 


              


              


              



          



         




       







 






 




     


     
 

 

      



   

   
   

   










 


                                
                               

 

                             

                                

 


 




                          


                  
                                     

                            
                          
                           


                        
                        

                    
                      


                                 
                                 


                                  

      

                      
                         
                                 
                                     
                     



                                     


                      
                                               

  
                  
                  


                                                                                
                    




 

                                       




 

      

                      

         
                                   
                                

                           
     


      





 






  
 


                 


   
 





 

 

 
  







           





 

 

 


 
 




 



        

  
 











 
 

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