夜、アメリカ・テキサス州ダラスにて。
ダラス駅の近く、豪華な白い建築物に銀の星の小さな看板の真ん中には「マホーン」と書かれている。ここは講演会場だ。中では有名人や作家さんが講演している。おでこに怪我をつけた男の講演がおわり、続いて違う男性が案内される。
案内するのはこの会場を仕切っているドイツ系の男性マホーン・マウラー。
早速マホーンはつぎの講演をする人を呼んだ。
それでは続きまして、あの短編映画「adios.」で主人公の友、ジャン役を務めた俳優のクレソン・ラトナーです。俳優なのにお笑い芸人のような人で情熱的なのに冷静な男です。ではどうぞ!
と、そこに舞台裏からクレソンが小走りで出てくる。
は〜い! 皆さんどうも! クレソン・ラトナーです。初めての人は初めまして、知ってる人はどうも!
1つ言わせて貰うと、僕の講演は一味違います。笑いと僕の身に起きた事を話します。今日は新顔が多いので1つクスッと笑える話を話しをして終わりましょう。
すると、クレソンはマイクを近づけ昨日起きた出来事を話した。
クレソンに暗めのライトがあたり、お客さんはクレソンに注目する。お客さんは椅子に座って話を聴く。ここの規模だと110人収容可能。クレソンの講演は55人はいる。この会場は少し小さめの講演会場だ。
クレソンといえば、身長はアメリカでは少し低めでスマートな体型に「グリム」のモンローのようなパーマ、髪型をしている。少し違うのはブラウンが入っているところ。短編映画「adidas.」で脚本を書き、重要な俳優としても活躍した。講演家でもある。
昨日、友人と動物の話をしました。というよりかは友人が突然突拍子のない話をして来ました。動物を飼うならなにがいい? て。僕は答えました、うさぎ、猫、犬、フェレット、カワウソ、それから亀がいいと。
すると、友人はこう言いました。それはダメだと。どれか1つだけ、複数はキリがないと。なので僕はでは女性と答えました。そう、もし一緒にいたい動物と聞かれたら、女性と答えます。なぜ? だって一緒にいたら安心するし、可愛い、遊べるし夜の営みもできる。僕たちは動物なんだから。そうでしょう?
するとお客さんは笑っていた。
うん。だから女性がいい。友人はそのまま話せなくなりました。びっくりと正論すぎて。その時の友人の顔はけっさくでした。困ったパンダみたいだった。
ハハハハ!
クレソンも笑う。そこで照明は暗くなり、クレソンは舞台を降りた。今日の講演は終わり。
この講演会場には地下にBARがある。
そこにクレソンがやってくる。BARの店主にお酒の注文をする。
バーテン、サイドカーくれ。
わかった。
注文を終えると、そこにマホーンがやってくる。
やあ、ラトナー! 今日も笑いがポンポンポンポン
ポンって飛んでたな! やるな!
おお、マホーンかありがとう。
また頼むよ! 今日はこれからどうするんだ?
サイドカー1杯呑んでから帰るよ。
そうか、次も面白くしてくれよ!
ああ、わかった。
じゃあな!
と、マホーンは帰っていく。
するとどうぞとバーテンダーがサイドカーを作ってクレソンに渡す。
ありがとう。
クレソンはそんなに時間は掛からなかった。10分ぐらいでサイドカーを飲みほし、チップを置き、会計してBARを出た。今は12月で寒い時期だ。ダークブラウンのコートに黒と赤の線の模様が入ったマフラーをして、外にでた。凄く寒い。感覚はマイナス10度ぐらいの気分だ。すぐそこにタクシーがいたので、クレソンはその黄色いタクシーに乗る。
どちらまで?
3117 Lemmon Ave 75204のマイオB棟まで。
了解です。
タクシーは住所を聞くと、ドアを閉めさっそく出発した。マホーンの講演会場から家までは車で10分~15分だ。
疲れてタクシーで寝落ちしそうになるクレソン。そこにタクシー運転手の声を掛けられる。
お客さん! お客さん! 起きてください!
んあぁ!? なに?
起きましたか? 着きましたよ、寝てましたよね?
いいや、寝てない。まあウトウトはしてたかな。
タクシーはもう家の前に着いていた。クレソンの住む家はアパートだ。レンガ造りでレトロなデザインの造りをしている。A棟~D棟まであり、それぞれ7階建てのアパートだ。中に入るには鍵がいる。嬉しいことにエレベーター付きだ。
お客さん、もしかしてあの俳優のクレソン・ラトナーですか?
ええ、そうです。
映画見ましたよ! サインくれないか? えーと、この財布に。
いいですよ。
クレソンはタクシー運転手の白い長財布にサインをした。
こんな感じでいいですか?
はい! ありがとうございます!
君は白がすきなのか?
白い蛇柄がすきです。
え!? 蛇? なんてものを触らせるんだ! 蛇は苦手だ。
え? そうなんですか? もういいです。さっさと降りてください! ほら、はやく!
わかったよ! !
と、お金を運転手に渡し、クレソンはタクシーから降りた。
タクシーは去っていく。
まったく、なんてやつだ、くそ。
クレソンはそういうと、アパートに入った。クレソンの部屋は4階右奥407号室だ。クレソンはエレベーターから降りると、部屋の鍵を開け中に入った。
すると、そこに男がやってくる。
やあ! クレソン!
ん? ああ、ルーベン。
となりの406号室の長身の男だ。コミンスキー・メソッドのマイケル・ダグラスをもう少し、筋肉質にさせて、髪を伸ばしたダグラスのような男だ。黒髪だ。ひょうきん者で、いつも馬鹿なことをする。よく、クレソンの部屋に入り浸っている。
ルーベン、聞いてくれよさっきな、タクシーで帰ってきたんだけど。
と、マフラーやコートを脱ぎながらルーベンに話す。
どうした? なにかあったのか?
ルーベンはクレソンの冷蔵庫からジンジャーエールを取り出し、缶の蓋を開けて飲んだ。
ああ、さっきそのタクシー運転手からサインを頼まれたんだ、財布にって言われて。
それで?
その財布がな、白い蛇柄なんだ! 触っちゃったよ! 蛇嫌いなのに!
うわ、蛇か。でも死んでるし、財布だろ? 大丈夫だって。
だけど、キモイじゃないか。
まあ考えすぎだって。ほらこのジンジャーエール飲めよ。
このジンジャーエールは僕のだ、しかも飲みかけじゃないか。
あ、おっと。新しいのにするよ。
もういい。
そうだ、クレソン。明日用事あるか?
いやないけど?
じゃあ映画みるか? トッドとグレタも来る。
そうか、なにを観るんだ?
タクシーのひと時。
は?
あ、えーと、タクシーのひと時だ。
なんだそれ? 嫌がらせか? おい。
いやそういうつもりじゃ…… 。
じゃあなんだ?
たまたまだよ。
あっそ、わかった。その映画以外ならみてやる。おい、もう帰れ、俺はもうシャワー浴びてねるよ。
ああわかった。
ルーベンは自分の部屋へと帰って行った。
まったく。あいつは。
すると、なぜかルーベンが戻ってきた。
ジンジャーエール忘れてた。
と、キッチンに置いてあるジンジャーエールを取りそしてまた自分の部屋に帰った。
なんなんだ? あいつは。
クレソンはシャワーを浴びて、体を拭き、歯磨きしてベッドに横たわる。
クレソンの頭の中はこうだ。
「これこそベッドのひと時だ、本物のひと時だ」
すぐにスヤスヤとクレソンは寝てしまった。
次の朝に身の毛立つ事があることも知らず、気持ち良さそうに寝ていた。
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