学園

かつて「頭」の座を争った長瀬豪毅(14)と薩川悦郎(14)。二人は卒業を前に、タイマンで決着をつける事になる。
マヤマ 山本 21 0 0 11/16
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第一稿

<登場人物>
長瀬 豪毅(14)
薩川 悦郎(14)

高木 理央(12)
石田 輝久(12)
熊野 武(12)
安田 健司(12)
木下 菜々(12)

佐野 ...続きを読む
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<登場人物>
長瀬 豪毅(14)
薩川 悦郎(14)

高木 理央(12)
石田 輝久(12)
熊野 武(12)
安田 健司(12)
木下 菜々(12)

佐野(13)
塩屋(13)
長瀬 竜二(12)



<本編>
○メインタイトル『頂』

○中学校・外観(夕)

○同・体育館・裏(夕)
   対峙する長瀬豪毅(14)と薩川悦郎(14)。
薩川の声「豪毅。まさかお前が、西高に受かるとはのう」

○(回想)同・屋上
   並んで座る長瀬と薩川。
薩川「どうやってカンニングしたんじゃ?」
長瀬「企業秘密だよ」
薩川「はっ」
長瀬「そういう悦郎は、今度は北海道だって?」
薩川「耳が早いのう」
長瀬「俺を誰だと思ってんだ?」
薩川「『頭』……いや、元『頭』じゃな」
長瀬「けっ」
薩川「……で、今日は何の用じゃ?」
長瀬「決着つけようぜ」

○同・体育館・裏(夕)
   対峙する長瀬と薩川。
長瀬の声「一年越しに、な」
薩川「あの時は豪毅、お前に『頭』の肩書は譲って……」
長瀬「その代わり、悦郎に屋上の鍵、屋上という根城を譲った」
   内ポケットから鍵を取り出す薩川。
薩川「文字通り、痛み分けじゃったな」
長瀬「まぁ、俺の肩書は一年坊主に取られちまったけどな。だからせめて、この学年の『頭』の座だけは譲れねぇ」
薩川「それは、わしも譲れんのう」
長瀬「じゃあ、やろうか。邪魔者なしで」
   しばしの静寂。
   やがて駆け出す両者。

○(回想)同・廊下
   佐野(13)、塩屋(13)、長瀬竜二(12)らの前に立つ長瀬。
長瀬「……という訳だ」
佐野「何か、凄ぇ事になってるっスね」
塩屋「じゃあ、俺らも人かき集めて援軍に……」
長瀬「いらねぇよ」
竜二「兄貴?」
長瀬「あくまで、悦郎とはタイマンで決着をつけてぇんだ。だから『邪魔すんなよ』って言いに来ただけだ」
塩屋「タイマン……」
   長瀬に見えないように塩屋を小突く佐野。
塩屋「?」
   塩屋に目で合図する佐野。
塩屋「(察して)……わかりました。健闘を祈ってます」
長瀬「……おう」

○(回想)同・校門
   やってくる高木理央(12)、石田輝久(12)、熊野武(12)、安田健司(12)の前に立ちふさがる薩川。
薩川「よう、一年坊主」
高木「? つーか、誰?」
石田「知らねぇし」
安田「俺っちも」
薩川「確かに、厳密には初対面じゃったな。(熊野を見て)そこのデカブツ以外は」
熊野「(安田を指し)コイツも居たがな」
安田「え、俺っちも?」
薩川「お前らに頼みがあるんじゃ」
高木「嫌だよ、面倒くせぇ」
   再び歩き出す高木、石田、安田。薩川の前で立ち止まる熊野。
石田「? クマ?」
熊野「聞くだけ聞こう」
薩川「さすが、一度やり合ったヤツは頼りになるのう」
安田「おい、クマ。俺っちを差し置いて勝手な真似を……」
熊野「(安田を制して)わざわざ俺達に頼むくらいだ、よほどの事なんだろう?」
薩川「話が早いのう。もちろん(にやりと笑って)タダでとは言わん」

○同・体育館・裏(夕)
   殴り合う長瀬と薩川。互いにボロボロで疲労困憊。
薩川「おら! これでどうじゃ!」
長瀬「はっ、まだまだ!」

○同・同・前(夕)
   佐野、塩屋、竜二ら長瀬派だけでなく薩川派の不良達もいる大集団がやってくる。
竜二「あの、本当にやるんスか?」
佐野「ビビってんのか? あ?」
塩屋「タイマンでやり合ってボロボロの所にかちこめば、俺らでも余裕で勝てるだろ」
佐野「デカい顔されたまま卒業されてたまるかってんだ。これからは俺達新三年生の時代だって事を教えてやろうぜ!」
一同「おう!」
塩屋「(前方に何かを見つけ)……ん?」
   待ち構えるように立つ石田、熊野、安田。その後ろに座り込む高木。
石田「うわ~、本当に来たし」
安田「クマ、頼んだぞ」
佐野「お前ら、何のつもりだ? あ?」
熊野「悪いが『邪魔されないように見張ってろ』と頼まれたんでな」
竜二「な……お見通しって事?」
塩屋「くそ……今更引き返せるか! まずはお前らからだ!」
   駆け出す佐野、塩屋、竜二らを迎え撃つ熊野。高木に駆け寄る石田。
石田「おい、理央。出番だし」
高木「つーか、本当にやんの?」
石田「今更何言ってんだし」
高木「だって、別に俺が売られてる喧嘩でもねぇだろ? またナナあたりにうるさく言われそうっつーか」
石田「そうか? むしろ逆だし」
高木「逆?」
石田「理央は力を持ってる。その力を『自分のため』でも『自分より強ぇヤツのため』でもなく、『自分より弱ぇヤツのため』に使ってんだ。文句言われる筋合いねぇし」
高木「そういうもんか?」
石田「さぁ、さっさと終わらせて、さっさと帰るし」
高木「……だな」
   ゆっくり立ち上がり、歩き出す高木。その姿だけで場の空気が変わる。

○同・同・裏(夕)
   倒れている薩川。目を覚ます。
薩川「ん……」
   薩川を覗き込むように見る熊野と安田。
安田「あ、起きた」
薩川「何じゃ、お前ら。何でここに?」
熊野「全然戻ってこないから、見に来ただけだ」
薩川「(周囲を見回し)長瀬は……? わしは負けたんか?」
安田「さぁ? 俺っち達が来た時には、二人とも倒れてたぜ?」
熊野「それとも『先に目を覚ました方が勝ち』というルールだったか?」
薩川「」

○同・同・前(夕)
   倒れている佐野、塩屋、竜二ら不良達の姿を見ている長瀬、高木、石田。長瀬だけはボロボロ。
長瀬「はっ、こんなに来てたのか」
石田「結構大変だったし。な?」
高木「そうか?」
長瀬「おかげでスッキリしたよ。ありがとな」
高木「!?」
長瀬「? 何だ」
高木「別に。喧嘩して礼を言われるっつーのが初めてなだけだ」
石田「おっ。理央、照れてるし」
高木「照れてねぇよ」
   二人の様子を見てため息をつく長瀬。
長瀬「……せめて人望くらいは、お前に勝ちたかったけどな」
高木「? 何か言ったか?」
長瀬「いいや」
薩川の声「お前なら、高木に勝てるじゃろ」

○同・同・裏(夕)
   薩川に肩を貸して歩く熊野。
薩川「のう、デカブツ」
熊野「熊野だ」
薩川「早い所、決着つけたらどうじゃ?」
熊野「そうだな。考えておこう」
薩川「……けっ、まぁええわ。(内ポケットに手を入れ)約束のもんじゃ」

○同・外観

○同・屋上
   鍵の開く音。扉が開き、やってくる高木、石田、熊野、安田、木下菜々(12)。
安田「おぉ、いい景色~」
石田「結構広ぇし」
高木「風、モロだな。鏡ねぇか?」
   思い思いに散っていく高木、石田、安田。取り残される熊野と菜々。
菜々「いいね、屋上。まだちょっと寒いけど」
熊野「だな」
菜々「でも、何でクマが鍵持ってるの?」
熊野「大した話じゃ無い」
   熊野の手に屋上の鍵。
熊野「ただの、頂き物だ」
                  (完)

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