大人は平気で嘘をつく。 ドラマ

高校生の橘明瑠は当の昔に、サンタクロースを信じるのをやめている。一方、弟の明斗は、12歳なのにサンタクロースを信じていた。「サンタクロースはいる」という嘘は、ただ子どもたちを傷つけるだけだった。
津田めぐみ 109 0 0 02/04
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第一稿

  人 物
 橘明瑠(18)高校生
 橘明斗(12)小学生
 星野柚夕(18)高校生
 下山瀧也(25)会社員
 橘明宏(46)明瑠の父親
 橘明美(46)明瑠の母親
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  人 物
 橘明瑠(18)高校生
 橘明斗(12)小学生
 星野柚夕(18)高校生
 下山瀧也(25)会社員
 橘明宏(46)明瑠の父親
 橘明美(46)明瑠の母親
 教師



〇高校・教室(朝)
   教室のあちこちで生徒が数人ずつ集まり、楽しそうに会話をしていて、騒がしい。橘明瑠
   (18)が星野柚夕(18)と教室の窓際前の方で向き合って話をしている。柚夕が席に
   座っていて、明瑠が立っている。
柚夕「私、サンタさんにブランドのバック頼
 むんだ」
明瑠「あんた、毎年何か頼んでも目当てのも
 のもらえたことないじゃない」
柚夕「そうなんだけど。今年のサンタさんは
 ちょっと違うのだ」
明瑠「ああ。がんばれ柚夕の新しい彼氏」
柚夕「それ言っちゃダメでしょー。私の夢が
 壊れるじゃん」
明瑠「いい年こいて何言ってんの」
柚夕「明瑠はいいよね。今年も金がある彼氏
 にプレゼントもらえるんだから」
明瑠「いや、あいつダサいから今年もろくな
 もんくれっこないよ」
柚夕「あー、去年確か…」
明瑠「趣味悪いキャラクターものの無駄に高
 い腕時計」
   笑い合う明瑠と柚夕。ガラリと教室のドアが開き、教師が入ってくる。
教師「はいはい席つけー」
   ガタガタと自分の席に戻る生徒たち。明瑠も席に戻り、窓を見る。雪が降っている。明瑠
   は机の上で手をこする。

〇丸の内(夜)
   明瑠が立って、手をこすっている。手の上に雪が落ちる。両手を口に近づけ、はーっと息
   を吹きかける。明瑠は周りを見渡す。キラキラとイルミネーションが光っている。カップ
   ルと家族連れで賑わっている。明瑠はキャラクターものの腕時計を見る。腕時計が20時
   48分を指している。明瑠は舌打ちをし、スマホを取り出し、操作をした後、右耳にスマ
   ホをあてる。
明瑠「あ、もしもし?今どこ?」

〇下山の部屋(夜)
   下山瀧也(25)がソファーに座りながら、スマホを耳に当てている。テーブルには缶ビ
   ール2つと食べかけのケーキがのったお皿が2枚置いてある。
下山「あっさん、ごめん。仕事が長引い
 ちゃって行けそうにないわ。ほんとごめん。
 明日は必ず行くから」
   風呂場のシャワーの音。

〇丸の内(夜)
   明瑠はスマホを耳にあてて立っている。
明瑠「はあ?早く言えし」
   明瑠は駅に向かって歩き出す。
明瑠「今度ドタキャンしたら、焼き肉おごり
 な。じゃ」
   明瑠はスマホを切る。立ち止まり、空を見上げながら、舌打ちをする。
明瑠「ホワイトクリスマスなのに…」
   明瑠は駅に向かって再び歩きだす。

〇橘家・明斗の部屋(朝)
   おもちゃがたくさん置いてあるカラフルな部屋。橘明斗(12)がベットで寝ている。明
   斗がパチリと目を開ける。寝たまま枕元をさぐる。カラフルな包装紙で巻かれた箱が枕元
   に置いてあり、明斗の手がそれにあたる。明斗がニヤリと笑い、飛び起きる。

〇橘家・リビング(朝)
   橘明宏(46)がソファーに座り、新聞を読みながら、コーヒーを飲んでいる。橘明美
   (46)が水道でお皿を洗っている。ドタドタと明斗が入ってくる。
明斗「お父さんの嘘つき!」
   明宏と明美がビックリして明斗を見る。
明美「どうしたの」
明斗「サンタさんにゲームソフト頼んでくれ
 るって言ったじゃん!」
   明宏と明美は顔を合わせる。
明弘「ごめんよ、明斗が欲しかったソフト、
 人気すぎて、サンタさん、手に入れられな
 かったんだよ」
明斗「サンタさんなのに?」
明宏「サンタさんでもできないことはあるん
 だよ。サンタさんがゲーム作ってるわけ
 じゃないんだから」
明斗「それもそうか…」
   明斗はトボトボと去って行く。明美が明宏に近づく。
明美「(小声で)だから予約しておけばよ
 かったのよ」
明宏「悪かったよ」
   明宏は新聞で顔を隠す。
明美「もう」
   明美は水道に戻る。

〇橘家・明瑠の部屋(朝)
   グレーと青で統一されたシンプルな部屋。明瑠は昨日の服のままベットで寝ている。腕時
   計が床に落ちている。部屋の扉を叩く音。
明斗の声「おねえちゃん」
明瑠「(目を閉じたまま)なあに」
明斗の声「開けていい」
明瑠「うーん」
   ドアが開き、明斗が入ってくる。明瑠はベットで寝たままである。明斗は床に座り、クッ
   ションを抱える。
明斗「おねえちゃん聞いて」
明瑠「うん」
明斗「サンタさんがね」
明瑠「うん」
明斗「お願いしたプレゼントをくれなかった
 んだけど、お父さんは、サンタさんはゲー
 ムつくる人じゃないから、人気のものは手
 に入れられなかったんだっていうんだ」
明瑠「うん」
明斗「ほんとだと思う?」
   明瑠はベットから起き上がる。
明瑠「んー、そうなんじゃない。てか、あん
 た、ほんとうにサンタ信じてるの?」
明斗「信じてるけど」
明瑠「友達に何か言われないの」
明斗「ケンタがさ、サンタなんていないって
 言うんだ。そんなのおとぎ話だって。サン
 タは父さんなんだって。サンタ信じるなん
 て乳臭いって」
明瑠「乳臭?よくそんな言葉知ってるね」
明斗「だからね。去年仕掛けたんだ」
   明斗の目が輝く。
明斗「ボクの部屋の扉に棒を置いて、扉を開
 けたら倒れるようにしたんだ。窓から出ら
 れたら困るから、ちゃんと窓にも棒置いた
 よ。そしたらね、どこの棒も倒れてないの
 に、僕のベットにプレゼントが置いてあっ
 たんだ。完全密室でしょ?なのにプレゼン
 トがあるってことは、僕の部屋に透明人間
 か幽霊かサンタクロースが来て、置いて
 いったんだよ。すごい発見でしょ」
   明斗は鼻息を荒くする。
明瑠「あーあーそうだね。すごいね。あんた
 は研究者にでもなるといいよ。向いてるよ、
 多分きっと」
   明瑠のスマホが鳴る。「仕事入った…今日もいけなくなった。すまん」とメールがくる。
   明瑠は舌打ちをする。
明瑠「明斗、だまされちゃダメだ」
明斗「え」
明瑠「大人は嘘つきだ」
明斗「え」
明瑠「いいか。サンタクロースはいない」
   瞬きをする明斗。
明瑠「棒ごときじゃ密室とは言わないよ。
 もっとやりこまなきゃ。うちの細身の父親
 はかわせないよ。つまり、作戦は失敗だ」
明斗「そんな…」
明瑠「サンタは父親だ。ケンタ君は正しい」
明斗「でもお父さんとお母さんはサンタはい
 るって」
明瑠「大人は平気で嘘をつくんだよ」
明斗「え…なんのために?」
明瑠「なんのため?」
明斗「うん。なんのために、サンタさんはい
 るって嘘つくの?」
明瑠「あー、それは親のエゴだ。うちの子供
 は純粋で無垢で夢だってちゃんと見られ
 るって確認したいんだ」
   明斗は瞬きをする。
明瑠「エゴの意味はググっとけ。いいか。子
 どもを自分の思い通りにしたいために、大
 人は平気で嘘をつくんだ。だからサンタと 
 いう架空の人物を作り上げ、言うこと聞か
 ないとサンタさんこないよなんて言うんだ。
 大人のいうことなんて嘘ばっかだ。努力は
 必ず報われないし、普通はの普通に当ては
 まる人間なんて2、3人しかいないし、こ
 の世は全然平等じゃないし、イケメンと美
 人は問答無用でモテるし、いい子をちゃん
 とやってる人は、それはそれは立派な社畜 
 になるだけなんだ」
明斗「お姉ちゃん、なにかあったの」
   明瑠のスマホが鳴る。画面を見て明瑠は笑顔になる。スマホを耳にあてる。

〇下山の部屋(朝)
   下山がソファーに座ってスマホを耳にあてている。
下山「ごめん、仕事大丈夫そうだから、今日
 行けるわ」
明瑠の声「…サンタさん、焼き肉食べたい」
下山「わかったよ。12時に銀座な」
   下山は電話を切る。柚夕がバスタオルを巻いてお風呂から出てくる。


終わり

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