新聞屋 ドラマ

殺し屋(40)は新聞屋(40)に対して「仕事」を行った。そのキッカケは、弁当屋(30)と過ごしたあの四八時間の中にあった。
マヤマ 山本 30 0 0 10/19
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第一稿

<登場人物>
殺し屋(40)
弁当屋(30)
新聞屋(40)
情報屋(30)
居酒屋(50)
気分屋(60)



<本編>
○雑居ビル・外観

○同・気 ...続きを読む
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<登場人物>
殺し屋(40)
弁当屋(30)
新聞屋(40)
情報屋(30)
居酒屋(50)
気分屋(60)



<本編>
○雑居ビル・外観

○同・気分屋の事務所
   中央でパターゴルフをしている男、気分屋(60)。その傍らに立つ白服の男。
   カップから外れるボール。
気分屋「ふん」
   新しいボールをセットする白服の男。
   部屋の隅のソファーに座る殺し屋(40)。その手には小切手。
殺し屋「確かに」
気分屋「それにしても、馬鹿な新聞屋だったな。よりによって、タクヤの事を探ろうとするなんて」
殺し屋「まぁ、運が悪かったと言うべきか、相手が悪かったと言うべきか」
気分屋「一体どこから嗅ぎつけたのやら……殺し屋、何か聞いたか?」
殺し屋「そうだな……」

○(回想)図書館・外観

○(回想)同・中
   席に座り、何部も積まれた新聞を片っ端から調べる弁当屋(30)。それを傍らで見ている殺し屋。
弁当屋「どこにも載ってない……」
   読んでいた新聞を脇に積み、新たな新聞を手に取る弁当屋。
   弁当屋が積んだ新聞を手に取る殺し屋。日付は全て二〇〇六年五月五日。
殺し屋「一体、何の記事を探しているんだ? 弁当屋」
弁当屋「それは……」
殺し屋「言えません、か」
弁当屋「はい。……すみません」
殺し屋「まぁいい」
   その場を立ち去る殺し屋。新聞の束を持って戻ってくる。
弁当屋「? 何を?」
殺し屋「せっかくだ。俺も昔の新聞に目を通そうと思ってな」
   新聞を調べる弁当屋と殺し屋。
殺し屋「(新聞を見ながら)二〇〇六年五月一二日、全日新聞長野版」
弁当屋「え?」
殺し屋「今月四日未明、市内の土屋産婦人科病院で、生後一週間の新生児を残したまま母親が行方不明になる事件が発生した」
弁当屋「……」
殺し屋「お前が探していた記事は、これではないのか? 弁当屋」
弁当屋「どうして……?」
殺し屋「どうやら弁当屋は翌日の記事ばかりを探していたようだが、警察は事件性を疑って公表を遅らせていたようだな」
弁当屋「そうじゃなくて、どうして、探している記事の内容がわかったんですか?」
殺し屋「別に。ただ、あの病院に関する記事を探していたら見つけただけだ」
弁当屋「そうですか……」

○(回想)全日新聞長野支社・外観

○(回想)同・待合室
   並んで座る殺し屋と弁当屋。二人の向かい側に座る男、新聞屋(40)。
   新聞屋の前には新聞記事のコピーが置いてある。
新聞屋「確かに、この記事を書いたのは私ですね。それが、何か?」
弁当屋「この時捨てられた子供の、その後の行方ってわかりますか?」
新聞屋「確か、あの後は乳児院に送られて……。あぁ、どこかの夫婦に引き取られた、って話は聞いた気がします。当時の取材資料を見ればもっと詳しい事がわかると思いますが……」
弁当屋「是非、お願いします」
新聞屋「わかりました。では(スケジュール帳を開いて)来週の火曜日、午後一三時でいかがでしょう?」
弁当屋「来週って……。あの、明日までっていうのは難しいんでしょうか?」
新聞屋「うちも慈善事業じゃないんでねぇ。当時の資料を探すのにも時間はかかりますし。それに今、小学生を狙った連続通り魔事件があるじゃないですか。これからその取材もありまして」
弁当屋「そうですか……」
殺し屋「無理も無い。行くぞ。(新聞屋に)邪魔したな、新聞屋」
新聞屋「(殺し屋に)ところで、貴方」
殺し屋「俺か?」
新聞屋「以前、どこかでお会いしたような気がするんですが……長野に来たのは?」
殺し屋「初めてだ」
新聞屋「なら、埼玉は? 私、長野の前は埼玉支社にいまして」
殺し屋「さあな」
新聞屋「……そうですか」
   部屋を出る殺し屋と弁当屋。殺し屋を訝しげに見送る新聞屋。

○雑居ビル・気分屋の事務所
   中央でパターゴルフをする気分屋とその傍らに立つ白服の男。その様子をソファーに座って見ている殺し屋。
殺し屋「例の通り魔事件を追っていた、と言っていたから、その流れだろう」
気分屋「なるほど、合点がいった」
   カップから外れるボール。
気分屋「ふん」
   新しいボールをセットする白服の男。
   立ち上がる殺し屋。
殺し屋「それじゃ、俺は帰らせてもらう」
気分屋「おう。次の仕事が決まったら、また頼むぞ」
   カップから外れるボール。
気分屋「ふん」
   新しいボールをセットする白服の男。
殺し屋「一つ、聞きたい事がある」
気分屋「何だ?」
殺し屋「そんなに入らないものか? パターゴルフというものは」
気分屋「……お前に殺意を抱いた場合はどうしたらいい?」
殺し屋「悪いが、その時は俺以外の人間に依頼してくれ」
   部屋を出て行く殺し屋。
気分屋「ふん」

○バー・外観(夜)

○同・中(夜)
   カウンター内に立つバーテンダー服の男、居酒屋(50)。客はタブレット端末を操作する男、情報屋(30)のみ。情報屋の前に置かれた水の入ったグラスと多数の空のグラス。
   ドアが開き、殺し屋が入ってくる。
居酒屋「いらっしゃいませ。(殺し屋に気付いて)何だ、お前か」
殺し屋「悪かったな、俺で。今日も邪魔するぞ、居酒屋」
居酒屋「だから、何度も言わせるな。ここは居酒屋じゃなくて、バーだ。俺の事はマスターと呼べ」
殺し屋「わかったわかった。一枚くれ」
居酒屋「ほらよ」
   殺し屋に折り紙を一枚渡す居酒屋。
情報屋「よう、来たな、殺し屋の旦那」
殺し屋「世話になるぞ、情報屋」
   情報屋の隣の席に座る殺し屋。折り紙で鶴を折り始める殺し屋。
情報屋「たまには亀とか折んねぇのかよ」
殺し屋「鶴でなければ、意味が無い」
情報屋「殺し屋の旦那も、意外とそういう事気にすんだねぇ」
殺し屋「そもそも、俺は知らんぞ?」
情報屋「何を?」
殺し屋「亀の折り方だ」
情報屋「俺が教えてやってもいいぜ?」
殺し屋「情報料は?」
情報屋「五でどうだ?」
殺し屋「なら、遠慮しておこう」
情報屋「あ、そうそう。例の新聞屋だが……旦那の想像通りだったぜ」
   タブレット端末の画面を殺し屋に見せる情報屋。古い新聞記事が映っており「安楽死を請け負う大学病院の闇」という見出し。
情報屋「埼玉支社に居た頃、この記事を書いてたぜ」
殺し屋「やはり、そうか」

○(回想)大学病院・外
   入口に集まる報道陣。その中にいる新聞屋(30)。
   出てくる医師姿の殺し屋(30)。報道陣に囲まれる。
新聞屋「何か一言」
   報道陣を無視し、歩いて行く殺し屋。

○バー・中(夜)
   カウンター席に並んで座る殺し屋と情報屋。
情報屋「で、本題だ。新聞屋の最期の言葉、何だった?」
殺し屋「あぁ。そうだったな」

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