センニュウ アクション

 桐野ひかり(27)は暴露系動画配信者の事務所に所属している。事務所は動画のネタを集めるために専属の潜入記者を雇っており、現在のひかりの仕事は潜入記者のサポート係である。  今回の潜入取材は、ある生命保険会社と新興宗教団体のつながりについて。  明幸保険会社の外交員、鎌田信子(40)が契約顧客の情報を清覚会に売買。清覚会は購入した情報を入信者の獲得に活用しているというものである。  ひかりは白石大黒(32)と共に現場を押さえようとする。
きし 65 0 0 10/07
本棚のご利用には ログイン が必要です。

第一稿

 人 物
 
 桐野ひかり(27)  個人事務所の見習い記者
 白石大黒(32) 個人事務所の記者
 鎌田信子(40) 明幸(めいこう)保険会社の外交員
 英多恵( ...続きを読む
この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
 

 人 物
 
 桐野ひかり(27)  個人事務所の見習い記者
 白石大黒(32) 個人事務所の記者
 鎌田信子(40) 明幸(めいこう)保険会社の外交員
 英多恵(50) 清覚会(きよざめかい)の教徒
 八代大(30) メカニック。声のみ
 フロントマン



○プリンスホテル・宴会場
   壇上と壁面には教団マークが入った垂
   れ幕。
   清覚会の教徒たちが談笑している。
   教徒、円卓上の大皿から取り分けた料
   理に黄緑の粉をかけている。
   桐野ひかり(27)、教徒たちの手元をじ
   っと見てしまう。
   ひかりの隣、英多恵(50)が声をかける。
多恵「まあ、ひかりさん。お忘れ?」
   多恵、ポーチから教団マークが入った
   調味料ボトルを取り出し、料理に振り
   かける。
   ひかり、多恵の仕草を見ながら、
ひかり「あー、あの」
   ひかり、遠い目の後眉間に皺を寄せる。
   ひかり、背筋を正して多恵に向き直り、
ひかり「忘れてしまって」
多恵「まあ、でしたらどうぞ。私の――」
ひかり「あっいや! もしかしたら」
   ひかり、慌てて鞄を探って、
ひかり「あっ、ありましたー」
多恵「あらひかりさんったら、実はうっかり
 さんなのねー」
ひかり「はい。嫌になります」
   ひかり、かばんから拳を出して素早く
   もう片方の手で隠し、拳のまま調味料
   を振りかけるジェスチャーをする。隠
   した手はそのまま、乱暴に拳をカバン
   に突っ込んだ後、箸を持って一気に料
   理をかきこむ。咽るひかり。
多恵「まあ、せっかちさん」
   多恵、ひかりに微笑んでから上品に料
   理を食べ始める。
   ひかり、一気に水を飲んで溜息の後、
   鞄からラムネを一粒取り出して噛む。
   イヤリング型の骨伝導式イヤホンから
   白石大黒(32)の声。
白石の声「おい。そっち。ちゃんと見てるか?」
   ひかり、スマホを取り出す。

○路上・車中
   運転中の白石、信号待ちをしている。
   スマホの音に反応する白石。
   バックミラー下にあるスマホの画面に
   は、宴会場の様子が流れている。画面
   下に新規メッセージ。
   【異常ありません】
   白石、舌打ちして、
白石「ったく」
   白石の前方には【明幸保険】とある車。

○プリンスホテル・宴会場
   お腹擦りながら何となく周囲を見てい
   るひかり。
白石の声「ホントか? 鎌田信子が動いてる。
 プリンスホテルの方向だ」
   ひかり、動作を止め、上体を前のめり
   によく周囲を確認する。異常はない。

○路上・車中
   運転中の白石。
   地下駐車場へ入っていく信子の車。
   前方を見つめる白石。

○プリンスホテル・宴会場
   ひかり、教徒たちの様子を窺っている。
白石の声「駐車場だ。……降りたぞ」
   ひかり、幹部席に目を向ける。
   幹部たちが教祖を囲んでコース料理を
   楽しんでいる。幹部の一人が、教祖に
   声をかけ席を立つ。
   目を細めるひかり。

○同・地下駐車場・車内
   フロントガラスの向こう、鎌田信子
   (40)がホテルへと歩いていくのを確
   認する白石。
白石「そっち。どうなってる?」
   スマホにメッセージ。
   【幹部の一人が離席】
   【追います】

○同・待合
   ひかり、歩きスマホで幹部を追う。
   ひかりの気づく表情。
   幹部、歩みを止めて振り返る。
   後ろには、談笑する人々。ひかりの姿
   はない。
   ひかり、幹部の死角にある絵画を多恵
   と見ている。
ひかり「素敵です」
多恵「ええ。ねえ。本当に」
   再び歩き出す幹部。
   ひかり、角を曲がる幹部が視界に入り、
ひかり「あの私、お手洗いで。失礼します」
多恵「まあ、呼び止めてごめんなさいね。行
 ってらっしゃーい」
   多恵、去っていくひかりに微笑んで小
   さく手を振る。

○同・フロント
   幹部、客室へ向かっていく。
   立ち止まるひかり。

○同・地下駐車場・車内
   白石、ハンドルを抱え込んだ姿勢でス
   マホを見ている。
   スマホのライブ動画。フロントが映っ
   ている。
ひかりの声「白石さん、宿泊予約ってしてま
 す?」
   白石、天を仰ぎ、
白石「あー、してねえわー」
ひかりの声「じゃあ――」
信子の声「ひかりさん?」
   白石、目を見開いてスマホを凝視する。
   画面には信子の姿。
ひかりの声「あっ」
   息を吐いて目を閉じる白石。

○同・フロント
   ひかりのブローチ、小さな音でジーっ
   と機械音が鳴っている。
   ひかり、ぎこちない笑顔で、
ひかり「鎌田さん」
信子「お久しぶりです。お元気でしたか?」
   信子、笑顔だが探るような目で、
信子「ご宿泊、です? 確か、ご自宅近くで
 すよね?」
   ひかり、僅かに唇を引き締めてから笑
   顔で、
ひかり「いえ、私は宿泊してなくて。実は私、
 下の宴会に参加してるんですが、そうした
 ら友人が丁度泊ってるとなりまして。だか
 らちょっと話そうと。待ってるんです」
信子「あー、そうですか」
ひかり「鎌田さんは、ここでお仕事ですか?」
信子「はい。いろんなお客様がいらっしゃい
 ますから」
   信子、腕時計を確認して、
信子「では。失礼します」
ひかり「お疲れ様です」
   信子、ひかりへ頭を下げて客室の方へ
   歩いていく。
   見送るひかり。
ひかり「すみません」
   ひかり、フロントマンを呼び止める。

○同・廊下
   客室へ歩いていく信子。
   フロントマン、信子を呼び止める。
フロントマン「お客様」
   振り返る信子。
フロントマン「先程お話しされていた方から
 です。以前お返しするのを忘れていたとの
 ことで」
   フロントマンの手元には明幸保険のボ
   ールペン。
   信子、ボールペンを手に取り何度か芯
   を出し入れしてから、
信子「そうですか。ありがとうございます」
   去っていく信子。

○同・地下駐車場・車内
   運転席には白石。
ひかりの声「ボールペン渡してます」
白石「了解」
   運転席の白石、スマホを手に取って電
   話をかける。八代大(30)の声。
八代の声「はいはい?」
白石「例の発信機。位置、特定してくれ」
八代の声「はいはーい」

○同・待合
   ひかり、目を閉じてお腹を擦る。
   鞄の中のラムネが入ったジップロック
   を掴むが、手を放して胃薬の瓶を掴む。
   胃薬を服用するひかり。
   ひかり、一息吐いてから再び歩き出す
   が、すぐ立ち止まる。
   ひかりの前方に多恵がいる。
多恵「まあ、ひかりさん。随分長いお手洗い
 でしたね」
   多恵の後ろには険しい顔の教徒たち。
   表情が引き攣るひかり。
多恵「私、ひかりさんとはお話ししたいこと
 がまだたくさんあるなって。ご一緒いただ
 けます?」
ひかり「すみません。今日はもう時間が」
多恵「まあ、残念」
   多恵、小さく手を挙げる。後ろに控え
   た教徒たちがひかりに向かってくる。
   ひかり、咄嗟に少林寺憲法の構えをと
   る。
   掴みかかってくる教徒たちをいなして
   いくひかり。怯む教徒たち。攻撃に出
   たひかりを前に後退っていく。しかし、
   ひかりの攻撃は全て勢いだけの寸止め。
   ひかり、多恵へ寸止めの正拳衝き。
   多恵、不動で微笑んでいる。
   ひかり、しまったといった表情で、
ひかり「あっ」 
多恵「えい」
   多恵、ひかりにスタンガンを使用する。
   倒れるひかり。

この脚本を購入・交渉したいなら
buyするには会員登録・ログインが必要です。
※ ライターにメールを送ります。
※ buyしても購入確定ではありません。
本棚のご利用には ログイン が必要です。

コメント

  • まだコメントが投稿されていません。
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。