サプライズは突然に コメディ

彼女の誕生日にサプライズを仕掛けようとした樹だったが、そこには…
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第一稿


【登場人物表】
高杉樹(21) 大学生
飯嶋花音(21)彼女
間島真(21) 友人
男(35)   
店員A・B


○花屋・中(夕)
  レジで一輪の ...続きを読む
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【登場人物表】
高杉樹(21) 大学生
飯嶋花音(21)彼女
間島真(21) 友人
男(35)   
店員A・B


○花屋・中(夕)
  レジで一輪の赤いバラを買っている高杉
  樹(21)。
  店員Aが微笑ましそうにバラをラッピン
  グしている。
店員A「もしかしてプレゼントですか?」
樹「(照れ笑いして)はい。今日、彼女の誕
 生日で、サプライズしようと思って」
  恥ずかしそうに襟足を掻く。

○道(夕)
  樹、原付バイクに乗って走る。
  背中のリュックに一輪のバラを差して。

○マンション・部屋の前(夕)
  ドアが開くと、飯嶋花音(21)がそ
  ろりと顔を覗かせる。
  樹、笑顔で。
樹「よっ」
花音「……え、樹? 今日バイトあるって」
樹「うん。案外早く終わってさ、やっぱり明
 日じゃなくて今日会いたいなと思って」
花音「そうなんだ……」
  と、少し部屋の中を気にする。
樹「何かまずかった?」
花音「いや……。あ、入るよね?」
樹「うん。何か今日、特に寒いわー」
  と、手を摩りながら中へ入る樹。
花音「(横目でじろりと見る)……」

○同・中(夕)
  ワンルーム。二人で鍋を食べている。
  樹、食べながらテレビ台に飾られている
  花瓶に目が行く。色とりどりの豪華な花
  束が生けてある。
樹「……あれ、誰から?」
花音「ああ、あれね。実家から送られて来た」
樹「山梨からわざわざ?」
花音「そうそう。こういう事するの、うちの
 親好きでさ。二十歳過ぎてもくれるんだよ
 ね」
樹「じゃあ、俺のはいらないか」
花音「え? 何か買って来てくれたの?」
樹「一応ね。しょぼいけど」
  樹、リュックから一輪のバラを取り出し
  て、花音に渡す。
花音「うわ、綺麗。ありがと」
樹「けどあんな豪華なのと比べものにならな
 いでしょ」
花音「いいのいいの、こういうのは気持ちが
 大事だから」
樹「そお?」
花音「後で飾るね」
  と、バラをテーブルにポイと雑に置く。
樹「……」
花音「(食べて)鍋、おいしいね」
樹「え」
花音「おいしくない?」
樹「いや、おいしいよ。特に出汁が」
花音「あご出汁なんだ。樹好きでしょ?」
樹「俺、あご出汁好きだっけ?」
花音「好きじゃなかった?」
樹「初めて聞いたんだけど。あご出汁っても
 のがこの世にあるって」
花音「そうだっけ? 一緒に鍋食べたと思っ
 てたけど、勘違いかな」
樹「(じろり)誰と?」
花音「誰でもないよ。ただの勘違いってよく
 あるでしょ?」
樹「あるかな……。そんなの」
花音「(焦って)もう何でもいいじゃん。それ
 より鍋食べよ? ほら、樹の好きなちくわ
 ぶあるよ」
  花音、樹の皿にちくわぶを入れてやる。
  樹、不思議そうにちくわぶを持ち上げる。
花音「どうしたの?」
樹「俺、別にちくわぶ好きじゃないんだけど」
花音「え」
樹「さっきから誰と勘違いしてんの?」
花音「誰とって……」
  その時、ハクション! と男の野太いく
  しゃみの声が聞こえる。
樹「……今の、何?」
花音「お隣さんじゃない?」
樹「隣? もっと近かったよ」
花音「うち壁薄いからさあ。安いからしょう
 がないけど……」
樹「だからってこんな鮮明に聞こえるわけな
 いじゃん」
花音「そうかな……?」
  ハクション、ハクション! くしゃみの 
  声がする。
花音「(まずい……)」
樹「分かった。風呂場か!」
  と、樹が立ち上がると、花音も透かさず
  立ち上がって、行く手を塞ぐ。
花音「……」
樹「やっぱいるんだな。俺以外に男が!」
花音「いないよ……。いるわけないじゃん」
  と、視線を逸らす。
樹「じゃあなんなんだよ。あのくしゃみは」
花音「だからそれはつまり……(詰まる)」
樹「そういう事なんだな?」
花音「そうじゃないけど……」
樹「そうなんだろ?」
花音「そうじゃないよ」
樹「そうなんだって!」
花音「そうだよ! 何? 悪い?」
樹「はあ!? 今度は開き直りかよ!?」
花音「いいでしょ別に」
樹「何がいいんだよ。よくねーよ!  つか、
 何で? 俺、何かした?」
花音「別に。ただあの人は怒らないし、お金
 持ってるし、好きなもの何でも買ってくれ
 るってだけ」
樹「俺だって買ってやってるじゃん!」
花音「(フン)誕生日にバラ一本って」
樹「うわ、そーゆー事言うんだ。気持ちじゃ
 ないんだ?」
花音「気持ちとお金はセットでしょ?」
樹「セットじゃねーよ。マックみたいに何で
 もセットにすんな!」
花音「普通はね、気持ちがあればお金もかけ
 るの。クリスマスに千円のネックレスは選
 ばない」
樹「千円じゃねーよ、二千円だよ!」
花音「一緒だよ」
樹「千円も違うじゃんかよ!」
花音「そういうところがケチだって言ってん
 の! 分かんない?」
樹「分かんねーよ!」
  と、喧嘩していると男(35)が申し訳
  なさそうに現れて、
男「あの、すみません」
樹「あ? うるせーな。つか、お前誰だよ!?」
男「す、すいません……! 全部、僕のせい
 です! 申し訳ありません!」
  必死に土下座する男。
樹「……」

○居酒屋(夜)
  樹と間島真(21)がビールを飲んでい  
  る。テーブルの上には空いたビールジョ  
  ッキがいくつかある。
間島「で、殺した? 包丁でぶすっと」
樹「半殺し程度にね」
間島「マジ?」
樹「嘘、結局何も言えなかった……」
間島「分かるわ。大人の土下座は卑怯だよな。
 哀れすぎて何も言えなくなるし」
樹「そうなんだよ……。でもまあ、別に俺も
 本気じゃなかったし、これを機にあの女と
 はきっぱり別れてすっきりしたよ」
間島「そっかー、じゃあ良かったじゃん。樹
 なら次は絶対、良い子と出会えると思うし
 さ!」
樹「だよな。そうだ間島、女友達紹介してよ。
 もっと可愛くて清楚な子!」
間島「ああ、そういや、丁度別れたばっかり
 って言ってた子いるわ。(とスマホを見せて)
 この子、どうよ?」
樹「(見て)うわ、すげータイプかも」
間島「しかも性格もいい子だよ、この子」
樹「是非、紹介して。今すぐにでも!」
  前のめりになる樹。
間島「(笑い)分かった分かった。切り替えは
 えーな」
樹「当たり前でしょ。次だよ次」
間島「さすがだな。俺なら一年は引きずっち
 ゃうかも」
樹「繊細だよなあ、間島は~~!」
  大声で笑う樹。

○同・表(夜)
樹「そんじゃ日曜日楽しみにしてる!」
間島「おう、期待しとけよ」
樹「するする。真っ赤な蝶ネクタイしてく!」
間島「(笑い)またな」
樹「またー」
  元気に手を振って、間島を見送る樹。
○CDショップ・表(夜)
  樹、ふらりと歩いて来て足を止める。
  『傷付いたあなたの心に響く曲あります』
  の張り紙。

○同・中(夜)
  ヘッドフォンで音楽を視聴している樹。
  小刻みに肩を震わせ、洟を啜っている。
  見かねた店員が近づいて来て、
店員B「……お客さん? 大丈夫ですか?」
樹「別に……。へーきです。これ、汗ですか
 ら……。何か、きょう、特に暑いっすね…
 …」
  と、袖で目をゴシゴシ擦る樹。 
  店員B、樹の背中を優しく撫でてやる。
  窓の外は雪が降っている。
                 (了)  

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