<登場人物>
霜田 翔平(17)怪人部
相楽 茉沙美(17)霜田の同級生
東條(17)ヒーロー部
三神(17)同
沢登(16)同
結愛(17)野次馬
莉緒(17)同
加藤(17)怪人部
本山 先生(25)怪人部顧問
フージ 着ぐるみ怪人
<本編>
○風雲児学園高校・外観
生徒達の悲鳴。
霜田N「ここは風雲児学園高校」
○同・廊下
怪人フージの前に立ちふさがる東條(17)、三神(17)、沢登(16)。それぞれ学ランの下に色違いのパーカーを着用。
霜田N「そして彼らは、学園の平和を守るために戦う、学園ヒーロー部」
東條「怪人め、これでもくらえ! とう!」
三神「たぁ!」
沢登「やぁ!」
東條らの攻撃を受け、倒れるフージ。
フージ「うわ~、やられた~」
フージを無理やり抱き起す東條。
東條「(小声で)待てよ。早すぎるだろ」
フージ「……え?」
東條「(小声で)いいから、もうちょいやられとけ」
フージ「あ……はい……」
東條「これでもくらえ!」
フージを思い切り蹴り飛ばす東條。
フージ「!?」
霜田N「そして僕は、そのヒーロー部のためにボコボコにされるだけの……」
○メインタイトル『学園怪人部』
○(回想)風雲児学園・外観
T「4月」
東條の声「はい、みんな注目~」
○(回想)同・教室・中
教壇の前、東條と三神に挟まれて立つ霜田翔平(17)。
東條「今日から霜田が怪人部に入りま~す」
生徒達から拍手と嘲笑。その中、一人渋い表情の相楽茉沙美(17)
霜田M「あ~あ、何で僕が……」
三神「おい、霜田。意気込みくらい言えよ」
霜田「いや、僕は別に入りたい訳じゃ……」
東條「だったら、多数決だ。霜田の怪人部入部に賛成の人~」
茉沙美以外の全員が手を上げる、
東條「はい、正・義♪」
霜田「……」
東條「じゃあ、今日の昼休み、俺達ヒーロー部が怪人をボッコボコにしてやっから。見に来てくれよな!」
○同・廊下
東條、三神、沢登に一方的にボコボコにされるフージ。周囲には結愛(17)、莉緒(17)ら野次馬の生徒も多数。
東條「おら、おら、おら!」
フージ「う……」
結愛「おいおい、怪人。弱すぎんだろ~」
莉緒「東條~、もう決めちゃってよ」
東條「任せとけ。行くぞ、必殺……」
茉沙美の声「もう止めなさいよ!」
フージを庇うように立つ茉沙美。
茉沙美「こんなのイジメ……ううん、ただの暴力でしょ?」
東條「はぁ? 俺達は学園の平和を脅かす悪の怪人と戦ってるだけだっつーの。なぁ?」
三神「そうそう、その通り」
沢登「俺達は正義の味方っスから」
東條「わかったら、そこどきな。これから、俺の必殺技が……」
チャイムが鳴る。
フージ「あ……時間だ……」
沢登「ちぇっ、いい所だったんスけどね」
三神「まぁ、楽しみは後に取っておこうぜ。加藤みたいに壊れてもつまんねぇし」
東條「……ふん」
帰っていく東條らや野次馬の生徒達。その際、茉沙美を一瞥する結愛、莉緒。
結愛「いい子ちゃんぶっちゃって」
莉緒「冷める事すんじゃねーよ」
茉沙美「……。(フージに)霜田君、大丈夫?」
フージの着ぐるみを脱ぐ霜田。
霜田「ごめん、ありがとう」
○同・怪人部部室・前
「怪人部」と書かれた表札。
霜田の声「痛っ……」
○同・同・中
フージの着ぐるみが置いてある。
霜田の手当てをする加藤(17)。奥には本山先生(25)もいる。
加藤「大丈夫?」
霜田「いや……この着ぐるみ、見た目の割に防御力低くて」
加藤「だね。でも前は本当に着の身着のままだったから、大分マシになったんだよ」
霜田「アレで……? それがコレからも続くなんて……本山先生、顧問なら何とかしてくださいよ」
本山「僕が? いや、無理無理。顧問なんて形だけだし」
笑う本山を見て、ため息をつく霜田と加藤。
○同・外観
T「翌日」
○同・廊下
歩いてくる霜田。
霜田「あ~あ、やっぱ帰ろうかな……」
そこにやってくる東條と三神。
霜田「!?」
三神「安心しな。今日の相手はお前じゃねぇよ」
霜田「え?」
東條「あの女に感謝するんだな」
そのまま立ち去る東條と三神。
霜田「……まさか」
○同・廊下
結愛と莉緒に一方的にボコボコにされる茉沙美。
結愛「おら、おら、おら!」
莉緒「前から、アンタの事は気に入らなかったんだよ!」
茉沙美「止めて……」
その周囲に立つ霜田、東條、三神ら野次馬の生徒達。そこにやってくる沢登。
沢登「これ、何スか?」
三神「新しく出来たヒロイン部と女怪人部のお披露目会、かな?」
沢登「面白そうっスね。いいぞ、やれやれ~!」
霜田「……」
結愛「どうする? 謝るなら、許してやってもいいけど?」
茉沙美「(キッと睨み)誰が」
莉緒「……この野郎」
さらに攻勢を増す結愛と莉緒。
その様子を見て、拳を握り締める霜田。
霜田M「何やってんだよ、僕……。僕のせいで相楽さんがこんな目に遭ってるのに」
結愛「あーあ、疲れた。ねぇ、東條。ちょっと手伝ってよ」
東條「は? 俺が? さすがのヒーロー部でも、生身の女子を殴るのは……」
結愛「ヒーローショーじゃねぇよ。ストリップショー」
茉沙美「!?」
莉緒「いいね、面白そう」
東條「まぁ、そういう事なら」
盛り上がる野次馬の生徒達。
霜田「……ダメだ」
茉沙美を囲む東條、三神、沢登。
霜田「……絶対、ダメだ」
茉沙美「お願い、止めて……」
東條「じゃあ、早速……ん?」
後ろから東條の服を掴む霜田。
霜田「こんなの、絶対おかしい!」
茉沙美「霜田君……」
三神「おいおい、今日はお前じゃないんだよ」
沢登「そうっスよ。空気読まなきゃ」
霜田「でも……」
東條「だったら、多数決だ。相楽のストリップショーに賛成の人~」
全員挙手する野次馬。
東條「はい、正・義♪」
霜田「いいや、こんなのは正義じゃない。ただの多数派だ」
東條「は?」
霜田「正義っていうのはもっと、耳が痛くて、都合が悪いものだ!」
東條「……俺に説教とは、いい度胸だな。決めた。お前を先にボコボコにしてやる」
霜田に向け拳を振りかざす。反射的に目を閉じる霜田。その時、何者かが東條を殴り飛ばす。
東條「がっ!?」
霜田「え!?」
目を開ける霜田。霜田と東條の間に割って入るように立つフージ。
霜田「え……加藤君?」
沢登「おい、怪人部。東條さんに何すんだ!」
殴りかかる沢登を返り討ちにするフージ。
沢登「ぐはっ!?」
三神に歩み寄るフージ。
三神「……今日はこの辺にしといてやるよ。覚えてとけよ、怪人部」
東條と沢登を連れ、逃げる三神。
霜田「はぁ……助かった……」
茉沙美「霜田君、ありがとう」
霜田「いや、お礼なら加藤君に……」
加藤の声「霜田君」
霜田らに駆け寄る加藤。
加藤「大丈夫だった?」
霜田「え、加藤君? じゃあ……」
その場を立ち去るフージ。
霜田「君は、一体……?」
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