ドラマ

「不変」の元になった話。 救いはありません。
たかなか あいみ 7 0 0 07/25
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第一稿



大助  トレープレフを演じる予定 
ミズキ ニーナを演じる予定
演出家 ケイコの旦那
ケイコ アルカージナを演じる予定

※一部、稽古内容としてプラトーノフのか ...続きを読む
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大助  トレープレフを演じる予定 
ミズキ ニーナを演じる予定
演出家 ケイコの旦那
ケイコ アルカージナを演じる予定

※一部、稽古内容としてプラトーノフのかもめを使用しています。


小さな箱の様な空間。
扉が2つあり、1つは外に。もう1つは楽屋に繋がっている。

ネズミの走る音、上の階から水を流すトイレの音が聞こえる。

舞台上には段ボールがあり、側面に穴が空いて中のお菓子が食い散らかされている。


小さな木箱(ベニヤで作った即席のもの)を持って男が出てくる

大助   あんなに可愛かったのに。この人殺し。手をついて謝れ。
ミズキ  …。
大助   謝れよ、なんだよ。なんでこんな惨いことしたんだよ。
ミズキ  ちょ、ちょっと。近づけないで。
大助   なんでだよ!仲間だろ?
ミズキ  …何言ってるの?
大助   俺たちの仲間じゃないか。一緒に飯食って、寝て、誰よりもあいつは此処が好きだった。帰ろうとすると隠れちゃって皆で探しただろ?
ミズキ  探してたのは間違いないけど、仲間じゃない。
大助   なに?
ミズキ  近づけないで!!!
大助   なんで…そんなに毛嫌いするなよ。
ミズキ  (距離を取って)残念ね。本当に残念。…埋めてあげたら?
大助   まだ一緒にいたい…。
ミズキ  じゃあ帰ったら?皆には伝えておく。最後の時間を楽しんで。
大助   楽しめるわけないだろ。
ミズキ  ごめん。

大助、動かない。

ミズキ、そわそわと誰か来ないか扉をみている。

ミズキ  …で?どうするの?
大助   …。
ミズキ  もしもし?
大助   …。
ミズキ  もしもーし!
大助   …。
ミズキ  (大助に近づき)どうするの?
大助   …皆にも会わせてやらないと。(箱に)最後の挨拶、お前もしたいだろ?
ミズキ  (驚愕して声にならない)
大助   皆が集まる日で良かったよ。
ミズキ  私、コンビニ行ってくる。
大助   じゃあ、コーラ買ってきて。
ミズキ  (無言で出て行こうとする)
大助   コーラ!
ミズキ  ウン。

ミズキ、出て行く。

大助、箱を大事そうに抱え見つめている。

大助   誰がこんな惨いことを…。

暗転

ミズキ、椅子に座り正面を向いている。

ミズキ  どうしよう。気持ち悪い。こんなことって。想像もしていなかった。(一呼吸置いて)聞いて下さい。私知らなかったんです。あの人があんなにも気持ち悪いなんて。あんな箱に入れて、大切に抱えているなんてどうかしてる!声を荒げてすみません。でも私ゴキブリより何より嫌いで…。思い出すだけでもおぞましい。あいつが此処に住み着いてるのは分かってたんです。でも中々捕まらなくて…。やっと捕まったと思ったらコレ!平和になると思ってたのに。こんなことって…。でも、私が捕まえた訳じゃないんです。たぶん…。皆でやったから。大助も賛成してると思ってたのに。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。

丸テーブルと椅子 In

丸テーブルはミズキの前に置かれ、椅子は演出家が座っている。

大助も入ってくる。

大助   「君の歩いた大地に口づけしながら、どこを見ても浮かぶのは、君の顔、やさしい微笑み、ああ、僕の人生の最高の瞬間…。」
ミズキ  「なんでそんなこと言うの!なんで!」
大助   「淋しいんだ。誰も僕を温めてくれない、誰も。…(嗚咽混じりに)」

大助、台詞が涙混じりになっていく。

ミズキ、演出家に目配せしてしまう。

演出家 休憩にしよう。

ミズキ、泣いている大助に声を掛けられず見ている。

大助   優しい人だ。きっと俺が次の台詞が言えないのを分かってくれたんだよ…。
ミズキ  そうね。
大助   あいつの為にも頑張らないと…。
ミズキ  うん…ねえ、本当に帰ったら?
大助   ダメだよ。まだ皆来てないし。埋葬は俺の家の近くにするから。
ミズキ  電車に乗せるの!?
大助   あいつにとっては初の電車だ。きっと喜ぶな。
ミズキ  こっちで埋めれば?ほら、ちょっと行ったところに駐車場があったじゃない。あの脇の辺りとか。
大助   あいついつも恥ずかしがってどっか行っちゃったから、こんなに一緒にいられることは初めてなんだ。最後ぐらい抱きしめて眠りたい。
ミズキ  …そう。

演出家 (奥から)ミズキ!ちょっと!

ミズキ  はい!

大助、箱を取り出し中を眺めている。

ケイコ、楽屋側の扉から入ってくる。

ケイコ  おはよう。なに、それ?
大助   ケイコさんに最後のご挨拶をしような。
ケイコ  (のぞき込み)ちょっと!なんでそんなの持ってるの!?
大助   …ケイコさんだと思ってましたよ。こんな残酷なことできるの、ケイコさん意外いないって!
ケイコ  怖いから!ちょっと、ソレどっか置いて。
大助   皆は悲しんでくれたのに…。あんたに心は無いのか!?

大きな声に反応し、奥から演出家とミズキが出てくる。

ミズキ  どうしたんですか?
ケイコ  何あれ!?
ミズキ  あー…。
ケイコ  なに!?
演出家  やめろよ。
ケイコ  気持ち悪いじゃない!
皆    …。
ケイコ  なんで誰も言わないの。私がおかしいの?
演出家  いや…。
ケイコ  外に捨ててきなさい。
ミズキ  外はまずいんじゃないですか?ベニヤに入れちゃってるから家のだって分かりますよ。
ケイコ  じゃあ出してゴミ袋にでも入れればいいじゃない。
ミズキ  私触れないです。
ケイコ  私だって嫌よ!でも誰かがやらないと仕様が無いでしょ。
演出家  お前、それはいくら何でも可哀想だろ。
ケイコ  あなたはすぐ可哀想って言うんだから。じゃああなたがやって下さいよ。
演出家  俺は…。
ケイコ  ほら。顔の付いたお菓子すら食べられない人が触れるわけ無いもの。
演出家  お前、そういう言い方ないだろ!
ケイコ  すぐ声荒げて!
演出家  お前の方が大きな声出してるだろ。
ミズキ  ちょっと、やめてください。
ケイコ  あんたはあの人の肩持つの!?配役決めてるのは私よ。
演出家  何言ってんだお前。そんなことで配役が決まるわけないだろ。
ミズキ  あの…やめてください。
演出家  そうだ、言ってやれ。
大助   煩い!煩い黙れ!

皆、聞かずに言い合っている。

大助   (皆の中に突っ込んでいき)こんな日にやめろよ!やめてくれよ!
ケイコ  (箱の中身がみえ、大助から距離を取る)ひっ!
演出家  落ち着け。
大助   落ち着いてるよ!
演出家  落ち着いてないだろ。
大助   うるせ-!どいつもこいつも好きなこと言いやがって!あと誰だよ来てないの!
ケイコ  え?
大助   帰りたい。
ケイコ  帰りなさいよ。いいわよ。(演出家に)ね?
演出家  帰れ。早く。
大助   でもみんな来てないし。
ミズキ  帰った方がにいい。絶対に。稽古にもならないし、入りが遅い人もいるし。ね?
大助   そうかな。
ケイコ  そうよ!待たせちゃ可哀想でしょ。
大助   そうですね。
演出家  お前、それどうやって持って帰るの?
ミズキ  あー。
ケイコ  (小声で)ちょっと!
演出家  気になるだろ。
大助   抱えていきます。見てください。意外と穏やかな顔してるんですよ。
演出家  (見ずに)うん、うんうん。そっか。分かった、本当だ。
大助   ミズキにもお別れを。
ミズキ  さっきしたから大丈夫。
大助   でも最後なんだぞ。
ミズキ  うん。分かってるけど、大丈夫。あんまり見てると悲しくなる気がするから。
大助   そうだな。
ケイコ  さあ、帰ろう!
大助   鞄とってきます。

大助、楽屋に行く

ケイコ  なんでコレが仲間なの?
ミズキ  さあ…?
演出家  あいつ頭おかしくなっちゃったのか?
ケイコ  元からでしょ。
ミズキ  ケイコさん!
演出家  でも、コレだぞ?
ミズキ  まあ…。

大助、入ってくる

大助   すみません。お先に失礼します。
ケイコ  気にしないで。ゆっくり休んで。ねえ?
演出家  何だったら明日も休んでいいから。しっかり休め。
ケイコ  しっかり休んで。
大助   …失礼します。

大助、外に繋がる扉から出て行く

ミズキ  どうします?
ケイコ  うん。
演出家  …終わろう。今日は無理だろ。
ケイコ  そうね。皆に連絡する。
演出家  飲み行くか?
ミズキ  食欲なくて。
演出家  だな。
ミズキ  どうしちゃったんでしょう?芝居できますかね。
演出家  やるしかないだろ。
ミズキ  まあ、そうですね。
演出家  帰るわ。あとよろしく。
ミズキ  はい。

演出家  (奥に)帰るぞ。おーい!

ケイコ、扉や壁にぶつかりながらでてくる。

演出家  どうしたんだ!?

ケイコ、フガフガ言っている

演出家  救急車!
ミズキ  どうしたんですか!?

ミズキ、出て行く

ミズキ  (奥で)え!?なんで?

ケイコ、悲鳴にならない悲鳴をあげる

ミズキ  痛いですか?
演出家  無理にはがず奴があるか!
ミズキ  でも、剥がさないと…。
演出家  いいから救急車!
ミズキ  はい!

ケイコ、フガフガと叫び首を振っている。

ミズキ  どうします?
演出家  何でだよ!?いいから呼んで!

ケイコ、また叫び首を振っている。

演出家  どうしろって言うんだよ!お前睫毛まで持って行かれるぞ!?
ミズキ  え。ケイコさん、救急車呼びましょ?

ケイコ、首を振る。

ミズキ  でも、顔は女優の命らしいですよ?

ケイコ、首を縦に振り掛けるが横に振る。

ミズキ  どっち?

ケイコ、横に振る。

ミズキ  どうしましょう?あれ?(演出家がいない)

外で演出家の声「やっぱりお前か!なんでこんなこと!(悲鳴)」

ミズキ  え!?

ケイコも声の方に振り向く。

ミズキ  見てきます!

ケイコ立ち上がるが

ミズキ  歩かないで!危ないです。

ケイコ、座るがまた立ち上がる。

ミズキ  ダメです。此処にいてください。

ケイコ、首を振りフガフガ言う。

ミズキ  でも…。いいから、ここに居てください!

ミズキ、ケイコを椅子に座らせる。
立ち上がるケイコ。
ミズキ、座らせ縄でケイコを縛ってしまう。

ケイコ悲鳴を上げる。

ミズキ  すぐ!すぐに戻ります!!

ミズキ Out

ケイコ、縄を取ろうと体を捩るが解けない。

救急車の音が近づいてくるが通り過ぎてしまう。

大助、入ってくる

大助   すみません。カッとなっただけなんです。

大助、ケイコの頬に口づけをする。

ケイコ、暴れる。

大助   こんなシーンありましたよね?

大助、ケイコの顔のネズミ捕りを剥がそうとするがケイコの悲鳴でやめる。

大助   こんなにくっついちゃうんだ。ごめんなさい。本当にすみません。

またケイコに口づけをするが、ケイコは暴れまくる。

大助   ははは。なんで縛られてるんですか?変なの。口効けないと思うけど、謝って下さい。態度で示してくれればいいですよ。

ケイコ、暴れる。

大助   俺は謝ったのに。じゃあいいです。さようなら。

大助、出て行く

パチパチと火の音が近づいてくる。

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