eveとevenとevent 学園

今日はクリスマスイブ。熊野武(13)は例年通り、安田健司(13)の家に招かれるが、今年は他にも仲間がいる。
マヤマ 山本 26 0 0 07/12
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第一稿

<登場人物>
熊野 武(12)
木下 菜々(12)
安田 健司(12)
高木 理央(12)

安田の母
安田の弟A~C
安田の妹A~C
大学生の男A、B


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<登場人物>
熊野 武(12)
木下 菜々(12)
安田 健司(12)
高木 理央(12)

安田の母
安田の弟A~C
安田の妹A~C
大学生の男A、B



<本編>
○メインタイトル『eveとevenとevent』

○商店街
   大きなクリスマスツリーなど、クリスマスムード一色。
安田の声「今日は俺っち主催のクリスマスパーティーへようこそ」

○安田の家・外観
   平屋の一軒家。
安田の声「みんな、大いに楽しんでくれ」

○同・居間
   クリスマスツリー等、手作り感のある飾り付けがされた室内。
   唐揚げ等多数の料理が並ぶテーブル。それを囲む熊野武(12)、木下菜々(12)、高木理央(12)、安田健司(12)、安田の弟妹達。
安田「という訳で、みんな……」
菜々「いただきます」
一同「いただきます」
   一斉に食べ始める一同。
安田「っていうか、何でナナちゃんが俺っちの家に!?」
熊野「テルの代打だ」
安田「テル? (周囲を見回し)いない、どこ行った!?」
菜々「そりゃ、クリスマスイブだもん。デートだよ、デート」
安田「で、ででで、デート!? 俺っちを差し置いて!? 誰と!?」
菜々「市川さん。ほら、髪茶色い子」
安田「いつの間に……おい、お前ら。それでいいのか!」
熊野「別に、普通だろ」
高木「つーか、中坊のデートなんて、ままごとみてぇなもんだろ」
妹B「じゃあ、私はクマちゃんとデートする」
妹C「私の肩車が先~」
弟C「俺のサッカーが先だろ!」
熊野「わかったわかった。順番な」
菜々「懐かれてるね~」
熊野「まぁ、いつもの事だ」
   高木を見つめる弟A、B。
高木「(視線に気づき、睨むように)あ?」
   怯える弟A、B。
菜々「ちょっと、理央。アンタ何しに来たと思ってるの?」
高木「は? ただ飯食うためだろ?」
   そこに追加の唐揚げを運んでくる安田の母。
母「はい、まだまだあるから、いっぱい食べてね」
菜々「ありがとうございます」
母「どう? 美味しいかい?」
高木「普通」
菜々「コラ。(安田の母に)すみません」
母「いいんだよ。お口に合ってはいるみたいだから」
   キッチンに戻っていく安田の母。
菜々「理央。もっと言い方あるでしょ?」
高木「つーか、唐揚げなんてこんなもんだろ」
菜々「(ため息をつき)もう、バッカじゃないの?」
高木「誰が『馬鹿』だって?」
菜々「通知表で1と2しか無かったくせに」
安田「え、あ、おい……」
高木「ナナとかクマが良すぎるだけだろ」
熊野「俺は平均だ」
菜々「私も中の上くらいだし」
高木「だとして、俺もヤスよりは上だ」
安田「わーわーわー」
弟A「あれ、健兄ぃ。『中学校は通知表無い』って言ってなかった?」
菜々「え?」
安田「いや、だから、それは……」
安田の母「健司……」
   恐る恐る振り返る安田。いつの間にか安田の背後に立つ安田の母。
安田の母「詳しく聞かせてもらおうか?」
安田「ひぃぃぃぃ!」
   熊野の後ろに隠れる安田。それを見て笑う一同。
    ×     ×     ×
   テーブルの上に並ぶ空の皿。
   安田の弟妹達と触れ合う熊野と菜々。そこにやってくる安田。
安田「よし、みんな。いよいよプレゼント交換だぜ!」
   盛り上がる弟妹達。
安田「じゃあ、まずは各自持ってきたプレゼントを……」
菜々「あ、ちょっと待って。理央がいない」
安田「え?」
   周囲を見回す菜々と安田。高木の姿が見えない。
熊野「理央なら、さっき帰ったぞ」
菜々&安田「え!?」
熊野「そうか。気付いてなかったか」
安田「何で!?」
熊野「食べ終わったからだろ」
菜々「(呆れて)アイツ……本当にただ飯食べに来ただけだったか」
安田「理央の奴~。今度会ったら、俺っちがボッコボコにしてやるからな!」
熊野&菜々「止めとけ」
安田「何だよ、二人して~!」
   笑う弟妹達。

○安田家・外観(夜)
菜々の声「お邪魔しました~」

○商店街(夜)
   並んで歩く熊野と菜々。菜々の手には鈴付きのキーホルダー。
菜々「いや~、楽しかったな~。ね、クマ?」
熊野「まぁ、毎年の事だ」
菜々「(分かれ道に来て)あ、じゃあ私コッチだから」
熊野「送っていかなくて大丈夫か?」
菜々「大丈夫、大丈夫。じゃあね」
   菜々の後ろ姿を見送り、歩き出す熊野。しばらくすると、鈴が地面に落ちる音。
熊野「……」
   踵を返し、菜々の行った方角へ向かう熊野。

○裏通り(夜)
   大学生の男二人に囲まれ、腕を掴まれている菜々。
男A「せっかくのイブなんだし、俺らと楽しもうよ」
菜々「嫌だ、放して……」
男A「いいじゃん、ちょっとくらい。一瞬。本当一瞬だから」
菜々「大きい声出しますよ?」
男B「だったら、まず声出せないようにしてやろうか?」
菜々「!?」
   菜々の口を塞ごうと手を伸ばす男B。その手を掴む熊野。
男B「あ?」
菜々「クマ!」
熊野「止めとけ」
男A「何だこのガキ。調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
   熊野を殴る男A。殴られても微動だにしない熊野と、逆に拳を押さえて転げまわる男A。
男A「痛って~! 何すんだこの……」
熊野「(男Aを睨み)何もしてないが?」
男A「(怯んで)」
男B「おい、行くぞ」
   逃げていく男達。
菜々「クマ、(熊野の頬を指し)大丈夫?」
熊野「平気だ」
   と言って、キーホルダーを菜々に渡す熊野。
菜々「あ……ありがとう」
熊野「一応、もう一度聞く。送っていかなくて大丈夫か?」
菜々「……もしここで私が『ううん、大丈夫』って答えたら、どうする?」
熊野「送っていく」
菜々「(笑って)じゃあ、お願いする」
   歩き出す熊野と菜々。

○マンション・前(夜)
   入口前に立つ熊野と菜々。
菜々「ウチ、ココだから」
熊野「(マンションを見上げ)そうか」
菜々「これで、いつでも送ってもらえるね」
熊野「……だな」
   しばしの沈黙。
熊野「じゃあ、俺は帰る」
   歩き出す熊野。
菜々「あ、ちょっと待って」
   熊野に駆け寄る菜々。鞄から包装されたペンを取り出し、熊野に渡す。
菜々「コレ、あげる」
熊野「何だ、コレ?」
菜々「いや、どうせ理央が手ぶらで来ると思ったから、理央の分のプレゼントも持ってきてやったんだけど、結局使わずじまいだったからさ」
熊野「随分と準備がいいんだな」
菜々「だから、クマにあげる。お礼兼クリスマスプレゼント」
熊野「……いいのか?」
菜々「もちろん。じゃあ、良いクリスマスを」
   手を振り、中に入っていく菜々。
   貰ったペンを見つめる熊野。やがて、大事そうに上着の内ポケットに入れ、歩き出す。
                   (完)

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