Gファイター アクション

人間大に進化したゴキブリから、世界の覇権を取り戻すべく戦うレジスタンスの一員・ヤマト(20)。ある戦場で、ゴキブリ軍の戦士・和門/Gファイター(20)ともつれ、ともに階段から転落し……。
マヤマ 山本 7 0 0 07/05
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第一稿

<登場人物>
和門/Gファイター(20)ゴキブリの戦士
ヤマト(20)人類のレジスタンス

ヒメ(18)ヤマトの仲間
モリ(22)同
黒大将(30)和門の上司
喪倉( ...続きを読む
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<登場人物>
和門/Gファイター(20)ゴキブリの戦士
ヤマト(20)人類のレジスタンス

ヒメ(18)ヤマトの仲間
モリ(22)同
黒大将(30)和門の上司
喪倉(22)和門の仲間



<本編> 
○大都市
   逃げ惑う人々。
N「二〇XX年」
   人間と同等の大きさで二足歩行をするゴキブリ達が、人間を襲っている。
N「突如、巨大に進化したゴキブリ達によって」
   一部の人間は丸めた新聞紙などで応戦するも、歯が立たない様子。
N「人間達は、世界の覇権を奪われてしまった」

○神社・外観
   山の上、長い階段の先にある神社。
N「しかし、一部の人間はレジスタンスとなり」

○同・境内
   ゴキブリ達と戦うヤマト(20)、ヒメ(18)、モリ(22)ら武装した人間達。その手には重火器類。
N「覇権を取り戻すために、今日も戦っていた」
ヒメ「おらおら、消えろ! くたばれ!」
   数体のゴキブリを倒していくヒメ。その背後に迫る別のゴキブリ。
モリ「ヒメ、後ろ!」
ヒメ「え?」
   ヒメを庇うように現れ、ゴキブリ達を倒していくヤマト。その間、モリら他の人間達も、ゴキブリ達の先発隊を全滅させる。尚、その後方には黒大将(30)率いるゴキブリの大群がまだまだいる。
ヤマト「危ないぜ、お嬢」
ヒメ「全っ然危なくないし。平気。余裕」
ヤマト「はいはい」
ヒメ「っていうか『お嬢』じゃなくて『ヒメ』と呼べ。敬え。崇めろ」
ヤマト「はいはい」
黒「やるな、人間ども」
ヒメ「さぁ、どうする? 逃げる? 謝る?」
黒「いや、秘密兵器を使わせてもらう」
モリ「何?」
黒「来い、和門」
和門の声「ほい、来た」
   ゴキブリ達の後方から最前線にやってくるゴキブリ・和門(20)。
和門「やぁ、人間達。君達のおかげで、今日また一つ記念日が出来たよ」
ヤマト「記念日? 何の?」
和門「『秘密兵器』だった僕が、ただの『兵器』になった日、かな?」
   と言いながら、掌サイズの押しボタン型変身アイテムを取り出す和門。
和門「コンバット!」
   ボタンを押す和門。すると煙が噴き出し、和門の体を包んでいく。煙が晴れると、人間のようなシルエットをしたゴキブリ型ヒーロー・Gファイターの姿となる和門。
ヤマト「変身した……?」
ファイター「僕の名はGファイター。ヒーローと呼ぶか悪魔と呼ぶか、それは君次第だ」
ヒメ「怯むな。怖気づくな。かかれ~!」
   ぶつかり合うヤマト、ヒメ、モリら人間達とゴキブリ軍の第二陣。数人がかりの攻撃をものともしないファイター。
ファイター「君達の武器じゃ、僕には傷一つつけられないよ?」
   人間達を次々と殴り倒していくファイター。そこに立ちふさがるヤマト。
ヤマト「だったら、俺が相手してやるぜ」
ファイター「なるほど。受けて立とう」
   ファイターの体に拳や蹴りを打ち込むヤマト。しかし、やはりファイターはものともしない。
ファイター「へぇ、やるね。でも……」
   ヤマトの拳を受け止めるファイター。
ファイター「ほい」
ヤマト「何!?」
ファイター「君も、今日を記念日にするといい」
   ヤマトの腹に拳を打ち込むファイター。
ヤマト「ぐはっ」
ファイター「スーパーヒーロー・Gファイターに最初に負けた日、ってね」
   そのまま、ヤマトを片手で投げ飛ばすファイター。木に打ち付けられ、倒れるヤマト。
ファイター「さて、と……」
   他のゴキブリ達と戦うヒメの元に歩み寄るファイター。
ファイター「ほい、見つけた」
ヒメ「!? 貴様……」
ファイター「この手のグループを壊滅させるには、頭を潰すのが一番手っ取り早い。つまり、君だね」
ヒメ「くっ……」
モリ「ヒメ、逃げて!」
   逃げ出そうとするヒメ。その足元に粘着剤を吹き出すファイター。
ファイター「ほい、っと」
   粘着剤の影響で、動きを封じられるヒメ。
ヒメ「しまった」
ファイター「さぁ、終わりだ。あぁ、安心して。君の最後の記念日は、僕が語り継ぐから」
ヒメ「や、止め……」
   ヒメに向け拳を振り上げるファイター。
ヤマトの声「お嬢~!」
ファイター「!?」
   ファイターに飛び掛かるヤマト。その勢いのまま、階段を転げ落ちる両者。
ファイター&ヤマト「うああああ!?」
ヒメ「ヤマト!」
黒大将「和門!」

○同・前
   階段の下まで転げ落ちるヤマトと和門。尚、この時点で二人の心と体が入れ替わっている状態。
ヤマト「ん……」
   うっすらと目を開けるヤマト。視線の先、変身アイテムが落ちている。手を伸ばし、変身アイテムを手にした所で力尽きるヤマト。
   そこにやってくる黒大将とゴキブリ達。
黒「……この状態では仕方あるまい。命拾いしたな、人間ども」
   和門を連れ、飛び去っていく黒大将とゴキブリ達。そこにやってくるモリら。
モリ「ヤマト。しっかりしろ、ヤマト!」

○レジスタンス基地・外観
   洞窟。
   入口前に見張りが立っている。

○同・中
   床に敷かれた新聞紙の上に横になるヤマト。目を覚ます。傍らにはヒメもいる。
ヤマト「ん……ここは……?」
ヒメ「ヤマト!」
ヤマト「(飛び退き)!?」
ヒメ「そんな逃げるかね? 失礼。無礼。(席を立ち)みんな、ヤマト起きたよ」
ヤマト「くそっ、一体何が……? 僕は、人間達に捕まってしまったのか……?」
   自分の手や体を見るヤマト。
ヤマト「!? 何だこれは!?」
   立ち上がるヤマト。鏡に映る自身の姿を見る。
ヤマト「ま、まさか……」

○ゴキブリ軍本部・外観
   城のような建物。

○同・牢屋
   檻の中、鑑の前に立つ和門。
和門「俺とあのゴキブリ……入れ替わったっていうのか?」
   ベッドに腰を下ろす和門。
和門「しかし、ここが敵の総本山だとすれば、むしろ内部に潜入できたのはチャンスかも……」
喪倉の声「よぉ、お目覚めか和門」
   立ち上がる和門。檻の前にやってくるゴキブリ、喪倉(22)。
喪倉「スーパーヒーローも形無しだな」
和門「なぁ、一つ教えてくれ。ここは、どこだ?」
喪倉「見ての通り、牢屋だ。命より大事な変身アイテムを失くしやがって。無罪放免で済むと思うなよ?」
和門「変身アイテム……? あぁ、アレか」
喪倉「? おい、お前ふざけてんのか?」
和門「いや、その……何と言うか……」
ヒメの声「記憶喪失?」

○レジスタンス基地・中(夜)
   ヤマトを囲むヒメ、モリら人間達。
ヒメ「マジ? ガチ?」
ヤマト「……あぁ。何も、思い出せなくて」
ヒメ「まさか、この私の事も?」
ヤマト「いや、君の事は覚えてる」
ヒメ「なら、私は誰だ? 何者だ?」
ヤマト「確か……そう、ヒメ。ヒメだ」
   ざわつくモリら。落胆するヒメ。
ヤマト「? 間違いだったか?」
ヒメ「いや、合ってるけど……」
モリ「まぁ、いずれ記憶も戻るでしょう。まずはヤマトの無事と敵軍の撃退を祝って、今晩はご馳走にでもしませんか?」
ヒメ「……そうだな。今日は飲むぞ、食うぞ」
   盛り上がる一同。
    ×     ×     ×
   食事をするヤマト、ヒメ、モリら人間達。食卓に並ぶのはおかゆや魚の干物といった、あまり豪勢とはいえない食品。
ヤマト「これが、ご馳走……?」

○ゴキブリ軍本部・牢屋(夜)
   一汁三菜の並んだ食卓を目の当たりにする和門。
和門「これが、囚人飯……?」
   唾をのむ和門。食事をかき込む。

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