恋愛鑑賞 コメディ

天界では人間のカップルを映し出したドキュメンタリーDVDが流行していた。 天使の小川(50)はその恋愛模様に酔いしれ、一日中テレビの前に張り付いている。 そんな小川に嫌気が差した妻百合子(50)は一計を案じ…
市川家の乱 20 0 0 02/15
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第一稿

《登場人物》

井上冬馬(18) 大学生
林えりこ(20) 大学生

小川(50) 恋愛鑑賞マニア
百合子(50) 小川の妻
亮子    妻の友人
由香    妻の ...続きを読む
「恋愛鑑賞」(PDFファイル:769.43 KB)
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《登場人物》

井上冬馬(18) 大学生
林えりこ(20) 大学生

小川(50) 恋愛鑑賞マニア
百合子(50) 小川の妻
亮子    妻の友人
由香    妻の友人
家電量販店の店員

脚本

○カフェ・店内(天界)
  百合子(50)、亮子、由香の三人、話している。
  三人とも、天使の輪っかと翼がついている。
  百合子、コーヒーを飲む。
亮子「聞いて。最近さ、娘が恋愛鑑賞にハマっちゃって」
百合子「えーほんと? ウチもそうなの」
亮子「あら。息子さん?」
百合子「ううん。旦那」
亮子「え」
百合子「休みの日は一日中部屋に閉じこもってテレビにかじりついてる。今日だってきっと観てるわ」

○小川家・書斎(天界)
  室内の棚にずらりと並んだDVD。
  DVDの背表紙には「坂井結芽と富樫光輝」「田中アリスと山田竜之介」など男女の名前が書かれている。
  天使の輪っかと翼がついた小川(50)、テレビに釘付けになっている。
  テレビ画面には駅のホームに立つ二人の男女(幸四郎と華音)。
  
○駅のホーム
  幸四郎と華音、見つめ合う。
幸四郎「お互いのために別れよう」
華音「(寂しげに頷く)」

○小川家・書斎(天界)
  小川、むせび泣く。
  画面にエンドロールが流れる。
  小川、大きく息を吐く。
  小川、余韻に浸っている。

○カフェ・店内(天界)
亮子「でもさ、男の人が見ても楽しいのかな。人間の恋愛ドキュメンタリーなんて」
百合子「(ケーキを食べながら)ほんとよね。もうすっかりジャンキーで」

○小川家・書斎(天界)
  小川、スマホをいじっている。
  レビューサイトに以下の感想を書き込んでいる。
  「評価 ☆5」
  「将来のために別れを切り出した幸四郎の決断に男泣きした。華音もよく受け入れた。ビューティフルだ」

○カフェ・店内(天界)
  百合子、ケーキを食べ終わる。
百合子「(ため息)そのせいで家事もしなくなったし、何とかやめさせたい」
由香「(ぽつりと)…ねえ。私、いい方法知ってる」
百合子「…?」

○小川家・書斎(天界・数日後)
  小川、入ってくる。
  小川、DVDが並んだ棚の前に立つ。
  小川、そのうちの一本を手に取る。
小川「今日はこれにするか」
  パッケージには「井上冬馬と林えりこ」と書かれている。
小川「(あらすじを読む)ウブな青年の初恋は二歳年上のお転婆娘だった…か。うむ」
  小川、DVDをDVDレコーダーにセットする。
  小川、テレビの前に座る。
  テレビ画面に映像が映し出される。

○図書館・中
  以下、DVDの映像内下部にゲージバーのついた「♂」(雄)と「♀」(雌)のアイコンがテロップで表示され続ける。
  井上冬馬(18)、本を探している。
  すぐ近くで、林えりこ(20)、本を探している。

○小川家・書斎(天界)
小川「(ゲージを見て)…?」

○図書館・中
  冬馬、本棚から一冊の本を手に取る。
  えりこ、同じタイミングで同じ本を手に取る。
  お互いの手が触れる。
冬馬「あ…」
  冬馬、えりこを見る。
冬馬「すみません」
  冬馬、足早に去ろうとする。
えりこ「あ。待ってください」
  冬馬、足をとめる。
えりこ「どうぞお先に」
  えりこ、本を差し出す。
冬馬「え」
えりこ「他の本を探しますから」
  冬馬、無言で本を受け取る。
  えりこ、本棚を物色する。
  えりこ、しゃがみ込んで耳の髪をかきわける。
  冬馬、その姿に見とれる。
  ゼロだった♂ゲージが半分まで上昇する。
  画面、止まる。

○小川家・書斎(天界)
  小川、リモコンで映像を一時停止している。
小川「なんだ、このゲージは」
  百合子、ドアの隙間から室内をのぞき込んで小川の様子を伺っている。

○家電量販店・店内(天界・数日前)
  百合子、店内を見回している。
  百合子、「恋愛鑑賞バスター」を見つける。
百合子「由香さんがいってたの、これかしら」
  百合子、近くの店員に声をかける。
百合子「すみません。これ、どういう商品ですの?」
店員「恋愛鑑賞バスターですね。恋愛鑑賞がやめられずにお困りの方へ向けた商品です。DVD再生機の裏側に取り付けるだけなので、誰でも簡単にセッティングできます。これさえあれば一気にお悩み解決」
百合子「本当ですか?」
店員「(自信たっぷり)はい」

○小川家・書斎(天界)
  小川、首をかしげている。
  小川、再生ボタンを押す。

○図書館・中
  映像、動き出す。
  ♂ゲージが半分たまっている。
  冬馬、えりこに見とれている。

○冬馬の部屋(夕)
  ♂ゲージMAX近く。
  冬馬、寝転がって本を読んでいる。
  冬馬、集中できない。
  冬馬、立ち上がり、トイレに行く。
  床に置かれた本の表紙が夕日の光に照らされる。
  タイトルは「純愛物語」。
  と、♂ゲージ、一瞬MAXに振り切れ、萎むようにゼロになる。
  冬馬、トイレから出てくる。

○図書館・中(数日後)
  ♂と♀ゲージ、互いにゼロ。
  冬馬、本を返しにやってくる。
  冬馬、えりこと鉢合わせになる。
冬馬「あ」
えりこ「あ」
冬馬「(キョドって)こ、これ、読みました」
えりこ「(おかしそうに笑う)」
冬馬「(困って笑う)」

○デパート・店内(数日後)
  ♂と♀ゲージ、ゼロ。
  冬馬、えりこ、歩いている。
えりこ「ごめんね、買い物付き合わせて」
冬馬「自分も買いたいものあったから」
えりこ「にしても奇遇。うちら同じ大学だったんだ」
冬馬「うん」
  家電売り場でカップルが何かを見て笑っている。
えりこ「(カップルを見て)なんだろ?」
  冬馬とえりこ、カップルのほうへいく。
  AVによく出てくるマッサージ機が置いてあり、張り紙には「とても気持ちいいです」と意味深な宣伝文。
冬馬「…」
  二人、気まずい。
えりこ「これ、私も同じの持ってる」
冬馬「え?」
えりこ「肩が凝るから寝る前にマッサージしてる」
冬馬「あー」
えりこ「なんか変な想像した?(笑う)」
冬馬「(笑う)」

○冬馬の部屋(夜)
  ♂ゲージ、ゼロ。
  ♀ゲージ、MAXに振り切れた状態が続いている。 
  冬馬、読書している。
  冬馬、幸せそうに微笑む。

○冬馬の部屋のマンション・外観(翌朝)
  ♂ゲージ、MAX。
  ♀ゲージ、ゼロ。

○冬馬の部屋
  ♂ゲージ、徐々に萎んでゆく。
  ♀ゲージ、ゼロ。
  冬馬のスマホが鳴る。
  冬馬、スマホを見る。
  えりこから以下のLINE、
  「部屋、くる?」
  ♂ゲージ、MAX。

○電車内
  ♂ゲージ、MAX。
  冬馬、吊革につかまっている。

○駅の階段
  老人、重い荷物に苦戦している。
冬馬「手伝います」
  冬馬、荷物を持って階段をあがる。
  ♂ゲージ、MAX。

○小川家・書斎(天界)
小川「(苛立つ)一体なんなんだ!」

○えりこの部屋
  ♂ゲージ、MAX。
  ♀ゲージ、徐々に高ぶっている。
  冬馬とえりこ、見つめ合う。
  二人、キスする。
  二人、ベッドに倒れ込む。

○小川家・書斎
  小川、映像に見入っている。
  テロップで「♂ゲージ」が表示されている。
  小川の♂ゲージ、MAX。

○えりこの部屋
  冬馬とえりこ、ベッドの上で絡み合う。
えりこ「冬馬、一緒にいこ」
  ♀ゲージ、すでにMAXを越えている。
  ♂ゲージ、MAX寸前。
冬馬「あ、いきそう」
えりこ「いいよ、一緒にいこ!」
  ♀ゲージ、すでにMAXを越えている。
冬馬「(声が漏れる)」
  ♂ゲージ、一瞬MAXに振り切れ、ゆっくり萎んでく。

      ×    ×    ×
  
  冬馬とえりこ、寄り添っている。
  ♀ゲージ、波打っている。
  ♂ゲージ、ゲージ自体が消失している。
えりこ「一緒にいっちゃったね」
冬馬「うん」
  えりこ、冬馬に抱きつく。

○小川家・書斎
小川「(怒鳴る)一緒にいってないじゃないか!!」
  小川、リモコンを手にする。
  小川、早送りする。
  数倍速で、冬馬とえりこが遊園地デートを楽しんでいる。

○大学・食堂(数日後)
  ♂と♀ゲージ、ゼロ。
  数倍速で、えりこが男と話している。
  えりこ、男と別れる。
  通常再生になる。
  えりこ、冬馬のもとにくる。
冬馬「(むっと)今の誰?」
えりこ「サークルの先輩」
冬馬「…」
えりこ「(見て)もしかして私に焼いてる?」
冬馬「…」
えりこ「うちらって付き合ってたっけ?」
冬馬「(戸惑う)え、だって…」
えりこ「フツーにあるよ。それくらいのこと」
冬馬「…」

○冬馬の部屋(夕)
  ♂ゲージ、ゼロ。
  ♀ゲージ、MAX。
  冬馬、落ち込んでいる。

     ×    ×    ×

  ♂ゲージ、ゼロ。
  ♀ゲージ、MAX。
  冬馬、スマホを持ったまま深呼吸。
  冬馬、えりこに電話する。
冬馬「もしもし」
えりこ「冬馬?」
冬馬「今平気?」
えりこ「うん。就活の説明会が終わったとこ」
冬馬「今どこ?」
えりこ「先輩の家。一緒だったから」
冬馬「…あのさ、これから会えない?」
えりこ「これから?」
冬馬「えりこに伝えたいことがある」
えりこ「わかった」
  ♀ゲージ、萎まない。

○公園(夜)
  ♂ゲージ、ゼロ。
  ♀ゲージ、MAX。
  冬馬、緊張している。
  えりこ、やってくる。
  えりこ、リクルートスーツ姿。
  ♂ゲージ、高まる。
  ♀ゲージ、MAX。
えりこ「話って?」
冬馬「…今日さ、付き合ってるの? って話になったじゃん。だからそれをハッキリさせてくて…」
えりこ「うん」
  冬馬、えりこを見つめる。
  ♂ゲージ、MAXになる。
  二人、ゲージMAXで向き合う。
冬馬「えりこが好きだ。俺と付き…」
  画面、暗くなる。

○小川家・書斎(天界)
  テレビの電源、消えている。
  小川、リモコンをおく。
  小川、立ち上がる。
  小川、ゴミ袋を取り出す。
  小川、棚のDVDをゴミ袋に入れてゆく。
  百合子、ドアの隙間から様子を伺っている。
百合子「(にやり)」

○カフェ・店内(天界・一ヶ月後)
  百合子、亮子、由香の三人、話している。
百合子「(嘆く)夫が友情鑑賞にハマってる」

○小川家・書斎(天界)
  室内の棚にずらりと並んだDVD。
  DVDの背表紙に「富樫光輝と山田竜之介」「坂井結芽と田中アリス」などの名前が書かれている。
  テレビ画面に二人の男。
  男たち、ガッチリ握手を交わしている。
  小川、むせび泣いている。

○家電量販店・店内(天界)
  百合子、店内を見渡している。
  恋愛鑑賞バスターの辺りを見る。
  張り紙が出ている。
  張り紙に以下の文字。
  「友人鑑賞バスター 発売日未定」

(おわり)

「恋愛鑑賞」(PDFファイル:769.43 KB)
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