その日、ばーちゃんが突然BL漫画を買ってきた。 ドラマ

80になる祖母が突然BL漫画を買ってきたことにより、大慌てな家族を巻き込んだドタバタしてちょっぴり感動なハートフルな朗読劇です。
凛々サイ 3 0 0 11/27
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第一稿

演者

●♂️蓮(主人公)
●♀️母さん(主人公の母)
●♂️ナギト(主人公の幼馴染)
●♂️誠司(故人・主人公の祖父)
●♂️慎太郎(故人・祖父の元恋人)
●♀️佳 ...続きを読む
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演者

●♂️蓮(主人公)
●♀️母さん(主人公の母)
●♂️ナギト(主人公の幼馴染)
●♂️誠司(故人・主人公の祖父)
●♂️慎太郎(故人・祖父の元恋人)
●♀️佳代子(主人公の祖母)

※ちょっと焦っている様子の声
♂️慎太郎「おい、誠司。下界見てみろ。お前の嫁さん、なんだかやばいぞ?」

※呑気な感じの声
♂️誠司「何が?」
慎太郎「80にもなってBL漫画読んでるぞ?」

※とても驚いている様子の声
♂️誠司「ええ! 佳代子が!? 天国に来て色々下界の事を学んだが、BLってあれじゃろ? 男同士のラブロマンスじゃろ? わしが死んだあとに……まさかそんな気があったとは……」

※申し訳なさそうだけど、あっけらかんとした声
♂️慎太郎「それってわし達が原因じゃないか?」

※ちょっと思い詰めた声
♂️誠司「まさか……」
♂️慎太郎「お前の嫁さん、ずっと申し訳ないって思ってたんじゃろ? わし達のことを……」
♂️誠司「わしと慎太郎が昭和時代に結ばれず、お互いに無理やりお見合い結婚をさせられて嫁をめとったことをか……?」

※少し強い声
♂️慎太郎「そうじゃ、まさしく」

※まさか、というような疑いかかるような声
♂️誠司「いやいやいやいや、それはまー確かに事実じゃが、当時は確かに悲しかったけど、佳代子と結婚して幸せだったし、後悔なんてしてないぞ? それにこの天国でまたこうやってお前と仲良く一緒に過ごせておるしな……」

※肯定するような声
♂️慎太郎「まーそれもそうじゃな。わしだって最初はお前と別れる時は泣くほど悲しかったが、嫁をもらって子宝にも恵まれ孫にも恵まれそれなりにいい人生じゃった」
♂️誠司「な、そうじゃろ? お互いに良い人生を歩んだもんじゃ」

※少し不安そうな声
♂️慎太郎「しかし、お前の嫁さんちょっと気になるぞ……ほら下界見てみろ。一波乱起きそうじゃ……」



風を切るような音。



※めちゃくちゃ驚嘆している様子。
♀️母さん「わーーーーー!!! おばーちゃん!! 何これ!? 何読んでんの!? ちょっ、ちょっと!! ♂️蓮!! 蓮!! ちょっと来て!! おばーちゃんの部屋に来て!! はやく!!」

※面倒くさそうな様子。ゆったりとしている。
♂️蓮「母さんなんだよ~。どうしたんだ? そんな朝から騒いじゃってさ~」

※大慌てな様子
♀️母さん「おばーちゃんが! おばーちゃんが!! お、おおおおお男同士が、そ、そそそっその裸で…………あ、蓮見ちゃだめ!!」

※冷静な様子
♂️蓮「呼んでおいて見ちゃだめって、う……。結構濃厚シーンだな、こりゃ……」

※強く問い詰める様子
♀️母さん「おばーちゃん、これどうしたの!?」

※おっとりした様子
♀️佳代子「本屋さんで見かけてね~買ってきたのよ~。綺麗な絵画ですこと……」
♀️母さん「本屋で買って来た!? こ、ここここれをレジに持って行ったの!? この男同士の裸体祭りを……!!」

※大慌てな様子
♂️蓮「おい! 母さん! 倒れんなって!!」

※ちょっと早口
♀️母さん「だ、だだだだだってこんな男同士がキラキラしながら裸でくっついてる表紙の……信じらんない!! 理解不能だわ……!!」

※少し落ち着いて冷静になってゆっくりとした様子
♂️蓮「あのさ~これっていわゆるBL漫画だよね? 美形男子同士が愛し合うっていうやつだよね?」

※冷静ではない様子
♀️母さん「美形男子同士が……!? 裸で愛し合う……!? おばーちゃんがそのようなふしだらな物を……」

※落ち着いた様子
♂️蓮「いや、裸でってのは言ってないけど……。しかしよー♀️母さん、今は令和だぜ? 性別にこだわってちゃ時代に置いていかれるって」

※厳しく批判するような様子
♀️母さん「でもっ、でもっ、母さん男同士なんて全く理解出来ないわ!! それにおばーちゃんは昭和初期生まれよ!? おじーちゃんを亡くしてから痴呆の症状も出来てるし……まさかこの裸体男祭りもそのせい!? おばーちゃん、なぜこれを買ったの!?」

※ゆっくりと喋る様子
♀️佳代子「わたしね、昔を思い出したの……。これなら願いを叶えてくれそうだなと思って……」

※追い詰める様子
♀️母さん「何を叶えたいの?」

※貯めてゆっくりとした口調
♀️佳代子「殿方同士が……」

※少し早口な様子
♀️母さん「殿方同士が……? おばーちゃん? どうしたの? 固まってちゃわかんないって! おばーちゃん!?」

※驚いた様子
♂️蓮「え、ばーちゃん!? 失神してない!?」

※大慌て
♀️母さん「うそ! そんな!! 蓮、救急車読んでちょうだい!! 急いで!!」



救急車の音。



※少し焦っている様子
♂️慎太郎「おいおい、誠司、お前の嫁さんなんだかやばいぞ?」

※あっけらかんとした様子
♂️誠司「何が?」

※ひょうひょうとしている様子
♂️慎太郎「死にそうじゃ」

※少し驚くが嬉しそうな様子
♂️誠司「え、うっそ? 佳代子が!? ついに天国で再会か~」

♂️慎太郎「お前呑気じゃな。しかしなー、大問題が起きてるんじゃが。やっぱりわし達のせいっぽいぞ。嫁さんがBL漫画読んでるのも。ほらお前さんも下界を見てみろ」



医者の足音が遠のいていく音。



※驚きと悲しみの様子
♂️蓮「危篤なんて嘘だろ……!? どうしてこんなことに……!!」

※今にも泣きそうな声
♀️母さん「私があの裸体男コンビの漫画を問い詰めたからだわ……!!」

♂️蓮「母さんのせいじゃねえって! ばーちゃんはもう80だし、いつこんな風になっても……」

※声を荒げる
♀️母さん「蓮! 縁起でもないこと言わないで!」

※低いトーンな声で
♂️蓮「……なあ、母さん、おばーちゃんが最後に言いかけてたことってなんだろ……」

※少し落ち着いたゆっくりとした声で
♀️母さん「昔ね、あなたのお父さんが亡くなる前に聞いた事を思い出したの。ほら昔ってお見合い結婚が普通だったでしょ? それでね、蓮のおじーちゃんは相思相愛だった男性の恋人と別れておばーちゃんと結婚したんだって。もしかしたら、おばーちゃんそれをずっと引きずってて80にもなって裸体男コンビにその二人を重ねて見てるとか……」
♂️蓮「ということは、ばーちゃんの叶えたい願いって、後悔を無くすってことなのか?」
母さん「そうなのかもしれない……、あのキラキラ裸体男コンビで、後悔の念を消し去ろうとしているのかもしれないわ……」

※驚いてるがテンション低めな声で
♂️蓮「マジか……」

※少しテンション高めだけど、自分を攻めているような声で。
♀️母さん「ねぇ、蓮。もしこのままおばーちゃんが天国に行っちゃったらどうしよう……!! 母さん、あんな風に言っちゃって、おばーちゃんの気持ちなんて理解しようとしてなかったわ……! 男同士の愛なんだなんて到底理解出来ないけど、少しでも理解してあげればよかった……!」

※悲しそうな声
♂️蓮「母さん……」

※元気がいい声で
♂️ナギト「おい! 蓮!! お前のばーちゃん大丈夫か!? あ、蓮のおかーさん、こんちは!」

※憔悴したような声で
♀️母さん「あら、ナギトくん、こんにちは。来てくれたのね。おばーちゃんも喜ぶわ」

※元気がなさそうな声だけど、頑張って明るく振舞おうとしている声で。
♂️蓮「ナギト、わざわざ病院まで来てくれてありがとな」

※この空気を少しでも明るくしようと健気に頑張ってる明るい声で
♂️ナギト「あったりめーよ! 佳代子ばーちゃんには昔から世話になってるしな! お菓子とかいっぱいくれたしよ~、お小遣いもくれたし~。俺に蓮といつも仲良くしてくれてありがとねっていつも言ってくれてたしな!」

※悲しそうな声から、決心したように、段々と力強い声になる。
♂️蓮「ナギト、ばーちゃんさ、今夜が山場だって……。なあ、ナギト。幼馴染としてさ、お願いがあるんだ。ばーちゃんのために聞いてくれるか?」

※元気な声
♂️ナギト「おう、佳代子ばーちゃんの為に何か出来る事があるならどーんと言ってくれよ!」

※勇気を振り絞るような力強い声。
♂️蓮「……俺と結婚してくれないか?」

※かなり驚く
♂️ナギト「はああああ!?」

※大混乱な声
♀️母さん「蓮、何言ってんの!?」

※言ったはいいものの焦る本人。けれども力強い声。
♂️蓮「ふ、ふりだって!! さっき、母さんが言ってたろ!? 死んだじーちゃんが結ばれなかった男性の恋人がいたって。それでばーちゃんがBL漫画読むぐらいまで追い詰められてさ、自分のせいでってじーちゃんが死んだ後も引きずってんならさ、せめて、夢の中だけでも、意識がなくても、願いを叶えてやりてぇんだ……! 孫がさ、その願いを叶えてやるんだ……!」

※決心したような力強い声。
♂️ナギト「蓮……乗ったぜ!」

※驚きと嬉しさの声
♂️蓮「ナギトいいのか!?」

※明るく元気な声
♂️ナギト「ああ、要するにお前と恋人同士になって、結婚の報告でもすればいいんだろ? お前のばーちゃんのためだ!」

※ためらって、心配だけど、仕方ないと許す声。
♀️母さん「ふ、ふりなら……母さんも許すわ。あなたたちは昔からの幼馴染だしね。おばーちゃんの病室に行ってみましょ」

引き戸を開ける音。

※少し遠慮がちな声
♂️ナギト「佳代子ばーちゃん、眠ってるみたいだな……」

※不安そうな声
♂️蓮「このまま目を覚まさないとかないよな、ばーちゃん……」

※悲しく、申し訳なさそうな声
♀️母さん「意識はないみたいだけど、きっと耳は聞こえてるはずよ。おばあちゃん、キラキラ裸体男コンビを問い詰めてごめんね……」

※遠慮がちだけど力強い声
♂️蓮「ナギト、覚悟はいいか……?」

※力強い声
♂️ナギト「ああ」

※優しく訴えかけるような声から段々と力強くなる声。
♂️蓮「……ばーちゃん、俺は、俺は……子供の頃からずっとずっと好きだった人がいるんだ……それは、幼馴染のナギトだ。母さんから聞いたんだ。じーちゃんには昔、結ばれなかった男性の恋人がいたって。ばーちゃん、それをずっとひきずってきたんだろ? ばーちゃん優しかったしな、長い間自分を攻めてきたんだろ? じーちゃんの幸せを奪い取ったって。だからさ、本屋で裸の男同士が激しく愛しあっている表紙の漫画本を手に取ったんだろ? じーちゃんとその恋人をそのBL漫画に重ねて、少しでも相思相愛な裸の男同士を見つめてその痛んだ心を癒したかった、そうなんだろ……。でもそれはどうあがいたって2次元なんだ。この3次元の世界には降臨できない裸体男同士なんだ! でも俺は3次元だ!! この世界にナギトと相思相愛で降臨出来る!!」

※息子は一体何言ってんの?と不安と心配、不思議さを兼ねた声。
♀️母さん「蓮……?」
 
※力強い声から途中から段々と優しい声になる。
♂️蓮「それに今は昭和じゃない。令和時代だ。時代は変わったんだ。ばーちゃん。俺はばーちゃんに悔いのないような人生を全うしてほしいんだ。もし、もし、ばーちゃんが天国に行ってさ、じーちゃんと会った時にまたたくさん笑い合えるようにさ。ばーちゃん、俺はまだ高校生だけど、ナギトと深い愛を誓い合っている。将来は結婚したいと思っている。だからだからせめて、じーちゃんの代わりになるかはわかんねぇけど、安心してほしいんだ、最期ぐらいさ……」

※今にも消えそうな声
♀️佳代子「れ、れん……」

※ふいをつかれ驚く声
♂️蓮「ばーちゃん!?」

※弱々しい声
♀️佳代子「私は知ってたよ……蓮のことを……。想う殿方がいることもね……」

※大慌てな声
♀️母さん「ちょっ、どういうことなの!? これはフリでしょ!? 蓮? ナギト君!? おばーちゃん!?」

※段々と小さくなり消えていく声
♀️佳代子「昔から……二人を見てた、からね……。私の願いは……お前達……殿方同士の結びつき、さ……」

※3人とも大声で驚く声
♂️蓮「ばーちゃん!? ばーちゃん!?」
♀️母さん「おばーちゃん!?」
♂️ナギト「佳代子ばーちゃん!?」



風を切るような音。



※興味津々だけど、ちょっと不安そうな声
♂️慎太郎「おいおいおい、誠司、お前の嫁さんなんだかやばいぞ?」

※呑気な声
♂️誠司「何が?」
♂️慎太郎「ついにいっちまったぞ。もうすぐこっちに来そうじゃぞ?」

※嬉しそうな声
♂️誠司「おお、ついにか!」

※呆れてそうな声
♂️慎太郎「お前軽いな~。もっと悲しまないのか? いや、再会出来るな喜ぶべきか。あ、ほら、来たぞ」

※声を張り上げてとても嬉しそうな声
♂️誠司「おお! 佳代子、久しぶりじゃな!!」

※遠慮がちな優しい声
♀️佳代子「誠司さん……、それに慎太郎さんまで……」

※強い豪快な声
♂️誠司「佳代子がBL漫画読んでた理由、わしは気付いてたぞ。孫が気がかりじゃったんだろ? わし達の関係に優しく悲しんでくれたからこそのその鋭さ、やっぱりわしの佳代子はすごいわい!!」

※健気で優しい声
♀️佳代子「誠司さん……」

※大きく豪快な声
♂️誠司「わはははは! 孫にまでわし達の二の舞はごめんだってな!! 死すら孫の為に利用するとは、お前にはやっぱ敵わんわ! ほら、下界を見てみ。仲良く二人で手を繋いどる。幸せそうだ。あの堅物な娘も少しずつ理解してきておるみたいじゃ。お前の死のおかげでな!! わしらのこの苦い過去も役に立ったわい!! なぁ、佳代子、慎太郎!!」

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