≠Sherlock ドラマ

ミステリーっぽく
きし 16 0 0 11/11
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第一稿

人 物
 三島太一(30~18) 警察官
 夢川ふたば(30~18) 三島の同級生
 進藤絵恋(30~18)     三島の同級生
 穂高夏美(30) 三島の同級生 ...続きを読む
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人 物
 三島太一(30~18) 警察官
 夢川ふたば(30~18) 三島の同級生
 進藤絵恋(30~18)     三島の同級生
 穂高夏美(30) 三島の同級生
 井原剛一郎(30) 三島の同級生
 佐々木俊(27) クルーズ船の船員
 中尚子(25) クルーズ船の船員
 古谷仁(42) 探偵。声のみ


〇桜丘高等学校・教室・中
   テスト中の生徒たち。
   三島太一(18)、教師に小突かれて起き
   る。三島、ぼんやりと隣席を眺める。
   数学の問題用紙。余白に自作小説が書
   きこまれていく。答案用紙は白紙。
   三島、小説を目で追っていく。しばら
   くして、三島の目線先でペンが止まる。
   三島、夢川ふたば(18)と目が合う。
   気まずい三島とふたば。チャイムの音。

〇海上を走るクルーズ船
   
〇クルーズ船・会場・中
   卓上には【桜丘高等学校三十路会】の
   パンフレット。
   三島太一(30)、夢川ふたば(30)を観察す
   る。ふたば、ぼんやり会場を見ている。
   進藤絵恋(30)が三島に歩み寄る。
絵恋「意外に律儀? だよね」
三島「え?」
絵恋「夢川さん。高校卒業したら、一生会え
 ないタイプって思ってた」
三島「ああ、そうね」
絵恋「今日、また貰えたりして」
   三島、絵恋に怪訝な表情を向ける。
絵恋「こーんな分厚い、ラブレター?」
   三島、眉が僅かに跳ね上がる。
   ×  ×  ×
   (フラッシュ)
   三島太一(18)、夢川ふたば(18)から紙の
   束を受け取る。自作小説である。
   ×  ×  ×
   三島、鼻で笑って、
三島「まさか」
絵恋「『わざわざ付き合ってやってんだよ!』
 ……いやー、思い返しても酷い!」
三島「……誰が言わしたと思ってる?」
絵恋「私? 違う、違う! あれは、応援」
三島「どうだか」
絵恋「声かければいいのに」
三島「いや」
   三島、上着の内ポケットに手を当てる。
三島「悪い」
絵恋「あらあら。忙しいねえ。警察官僚様」
   三島、デッキの方へ向かう。
   三島の背中をぼんやり眺めるふたば。

〇同・デッキ
   三島、海を眺めながら電話している。
三島「その話は、まだ……ええ。考え中です」
   受話器から古谷仁(42)の声。
古谷の声「警察なんて組織社会、休職長引く
 とやりづらいよ? 挫折に厳しい連中さ。
 キャリアであろうとね」
三島「古谷さんの事務所。やることは基本、 
 不倫調査ですよね?」
古谷の声「何か嫌?」
三島「痴情のもつれに、コソコソ首突っ込む
 ってのは、どうも……」
古谷の声「どうせ突っ込むなら、傷ついてた
 り、殺されてたりの方が、やりがいある?」
三島「そういう訳じゃ……。俺ら警察と、探
 偵の仕事が違うってことは――」
ふたば「警察? 探偵?」
   三島、振り返る。ふたばが立っている。
ふたば「魅力的なワードだ」
三島「……すみません。また掛けます」
   三島、電話を切り、ふたばに向き直る。
ふたば「三島君は、警察官なんですか?」
三島「え?」
ふたば「俺らって」
三島「ああ。そう、ね」
ふたば「担当は。何課ですか? 階級は――」
三島「待て。それを知ってどうする?」
ふたば「あっそうですよね。すみません」
三島「……小説、まだ書いてるとか?」
ふたば「いいえ! 全然。全然です。……あ
 の頃は、すみませんでした。意味不明でつ
 まらないものばかり」
   三島、ふたばから目を逸らす。

〇三島の回想・桜谷高等学校・教室・中(夕)
   机の上には小説の原稿。【? わからな
   い。証明は常に美しくあるべき】と記
   入されている。
   三島(18)の周りを絵恋(18)と他にも数人
   の生徒が囲んでいる。
三島「夢川みたいなタイプ、空想の中にしか
 居場所なさそうだろ。付き合ってやってん
 だよ」
   教室に入室するふたば(18)。固まる三
   島。ふたば、そそくさと席から荷物を
   取り出し、カバンに詰めて退出する。

〇元のクルーズ船・デッキ
   デッキに佇む三島とふたば。
ふたば「私の青春の棘です」
三島「棘? 面白いもの書いてたよ、たぶん」
ふたば「やめてください。自意識過剰と承認
 欲求のモンスターでした。お恥ずかしい」
三島「……じゃあ、今はどうしてる?」
ふたば「今は、いろいろ」
三島「いろいろ?」
ふたば「コンビニ、介護、事務――」
三島「夢川、今フリーター?」
ふたば「はい。……あ、そうですよね。三十
 にもなって、恥ずべきことですよね。すみ
 ません」
三島「謝られても。……いいんじゃない? 人
 生、いろいろだろ?」
   俯くふたば。余裕そうに笑う三島。
   船内から中尚子( )の悲鳴。
尚子「キャー‼ だ、誰か! 誰か‼」
   反射的に駆けだす三島。

〇同・女子トイレ・中
   尚子が洗面台でへたり込んでいる。
   三島とふたば、入室する。
三島「どうした⁉」
尚子「中、中で……人、血が……」
   三島、尚子の指さす方向に目を向ける。
   絵恋、入口に背を向けて、倒れている。
   床には血。絵恋の側にスマートフォン。
   三島、動揺から深呼吸。慣れた手つき
   で脈を確かめる三島。
三島「今すぐ、船を引き返してください。陸
 まで何分かかりますか?」
尚子「あ……あと、1時間は……」
三島「ではそれまで、ここは立ち入り禁止で
 す。乗船者は一か所に集めてください」
ふたば「三島君! 進藤さんは……」
三島「……ああ。死んでる」
   息を呑むふたば。険しい表情の三島。
   海面の波に太陽光が反射している。

〇同・会場・中
   尚子、ふたば、穂高夏美(30) 、井原剛
   一郎(30)、佐々木俊(27)、他男女数人が
   集められている。
井原「なんだ? 今からプロの取り調べか?」
三島「二度手間はしない。お互い帰れば、嫌
 という程味わうさ」
夏美「じゃあ、何で集められたの⁉」
三島「一人でいるのは危険だと判断した」
佐々木「僕たちの中に、殺人犯がいるってこ
 とですか?」
三島「それはまだ何とも。誰かが潜んでいる
 のか、または平然とこの場にいるのか。ど
 ちらにせよ、犯人捜しは陸にいる刑事たち
 の仕事です」
   三島、会場を見渡し、目を細めて、
三島「夢川は?」
井原「あっ、何かトイレ行ってくるって」
   三島、大きく舌打ちする。

〇同・女子トイレ・外
   中から物音。眉を跳ね上げる三島。
   三島、眉間の皺を深くしトイレを覗く。
   ふたば、トイレ内で一人忙しなく動き、
ふたば「覚悟。ぐさー……殺してしまった。
 やばい、凶器どうしよう。ははは。何を狼
 狽えることがある。なんてたってここは海。
 凶器なんて――」
   三島、入り口を振り返るふたばと目が
   合う。気まずい三島とふたば。
三島「……お前は一体何なんだ」
   波の音が聞こえる。

〇同・同・中  
   あからさまに溜息を吐く三島。ふたば
   の肩が大きく跳ねる。
三島「本当に便所じゃないなら帰れ、会場に」
ふたば「はい……あの、これから推理ショー
 ですか?」
三島「何?」
ふたば「だって進藤さん殺した人、あの人で
 すよね? 背の高い眼鏡の男性スタッフ」
三島「は? どこにそんな根拠が?」
ふたば「え、だって……あれ? 何でそう思
 ったんだっけ? ……でも、ノリに乗れた
 っていうか、没頭できて……」
三島「進藤と佐々木は、動機が発生するよう
 な関係性にあるのか。ないなら不十分だ」
ふたば「動機……そうだ。僕には動機が――」
三島「待て待て待て。入っていくな」
ふたば「うーん。殺意って、うっかり軽はず
 みに湧いちゃいません? 人間だもの」
三島「……えー」
   三島、急に歩き出すふたばを捕まえて、
三島「おい、どこへ行く」
ふたば「もちろん会場へ。こうなっては、推
 理ショーなるもの経験し、炙り出さねば」
三島「そんな、がさつな説明でか? 何もな
 かったらどうする?」
ふたば「でも、言葉を吐いてたら降ってきま
 す。証拠も動機も」
三島「そんなバカな」
   げんなりとした表情の三島。

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