者乃亜和麗(もののあわれ) コメディ

スケバン3人組は対立する他校のスケバンとタイマンすることを決意し、果たし状を書こうとするが・・・。
松上全也 12 0 0 11/07
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第一稿

登場人物
岸本(17)……スケバン、グループのリーダー
秋山(17)……スケバン
新沼(17)……スケバン
山岸(17)……男子学生
小野田(17)……他校のスケバン
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登場人物
岸本(17)……スケバン、グループのリーダー
秋山(17)……スケバン
新沼(17)……スケバン
山岸(17)……男子学生
小野田(17)……他校のスケバン


○暴走族や若者の喧嘩の資料映像
N「80年代、バブル経済の好況の只中にあって人々は豊かさを享受していたが、繁栄の一方で少年少女の非行や校内暴力などが社会問題になっていった」

○高校・校舎裏・昼
   三人の長いスカートを履いたスケバンがしゃがみこんでいる。
N「そしてここにもエネルギーを持て余した若者たちがいた」
   岸本、秋山、新沼が渋い顔をしながら見つめあっている。
秋山「岸本さ、知ってる? カメリア女子のこと」
岸本「あんだよ?」
秋山「最近あたし達のシマ荒らしてるって」
岸本「はぁ、嘘だろ? あんな学校の奴らが」
新沼「本当だって、この間もルージュでお茶飲んで騒いでたって」
岸本「あの店は、あたしらの行きつけだろ?」
秋山「他にも好き勝手やってるらしいよ。最近、頭が変わってさ」
新沼「小野田って奴なんだけど」
岸本「小野田……ああ、見たことあるよ」
秋山「このままじゃやべえよ。あいつら、あたし達のことシメるっていってんだって」
新沼「後輩たちにも示しがつかないしさ」
   岸本、立ち上がり
岸本「わかった、やってやるよ。タイマン張ってやる」
秋山「マジかよ」
新沼「さすが!」
岸本「当たり前だろ。あんな奴らに舐められてたまるかよ」
新沼「どうやって呼び出す?」
岸本「決まってんだろ。果たし状を書くんだよ」
秋山「果たし状って書いたことないけど」
新沼「どう書くの?」
岸本「えっ?」
新沼「先生に聞く?」
岸本「バカ! 今更、先公なんかに聞けっかよ! あいつらが何してくれるっつうんだよ」
   新沼、唇を尖らせて
新沼「ごめん」
岸本「行くぞ」
秋山「どこ行くんだよ」
新沼「待ってよ」
   岸本、歩き出し、二人もついていく。

○同・図書室
   岸本が果たし状を書いている。
   秋山が覗きこんでいる。
   新沼は本棚を見ている。
岸本「出来たぞ」
   岸本、手紙を読み始める。
岸本「『小野田に告ぐ! 最近カメリア女子が調子に乗って、ウチらのシマ荒らしているらしいな。特に小野田、お前のスカしたツラ思い出すとむかつくんだよ。ぶっ潰してやるからタイマン張れよ。今週の金曜。午後五時に場所は鶴川橋の下で待つ! 逃げんじゃねえぞ」……どうだよ?」
秋山「おー、いいんじゃね(新沼に)なぁ」
   新沼、渋い顔をしている。
新沼「う~ん」
岸本「何だよ?」
新沼「何ていうか」
秋山「はっきり言えよ」
新沼「読んでくれるかなぁ思って」
秋山「どうして?」
新沼「カメリア女子の子ってクールっていうかさめてんじゃん。だから、この内容で馬鹿にされないかなって」
岸本「うっ」
秋山「確かに」
岸本「じゃあ、どうすんだよ?」
新沼「ちょっと待って」
新沼、本棚から『手紙の書き方』という本を出し、ページを捲り
新沼「季節のあいさつから始めた方がいいらしいよ」
岸本「そんなまどろっこしいこと」
秋山「でも基本らしいし」
新沼「うちのママ……お袋もそういうの大事って言ってたよ」
岸本「わかったよ。で何て書きゃいいんだ?」
   新沼、ページを見せる。
新沼「今の季節だったらこれかな?」
   岸本、書きながら
岸本「『青葉も紅く染まり、秋の気配が深まってまいりました』」
   秋山、本を見ながら
秋山「あと、相手の体調にも気を使った方がいいって」
岸本「何でそんなことしなきゃいけねんだよ」
秋山「馬鹿にされたくないだろ」
新沼「そうだよ」
岸本「『体調などお変わりないでしょうか?』これでいいかよ?」
新沼「そうそう」
秋山「あとさ、私思うんだけど。何か今の感じだと必死な感じが出過ぎじゃない?」
岸本「そうなのか?」
新沼「確かに、もっと余裕見せた方がいいかも」
岸本「余裕?」
   新沼、ページを捲り
新沼「これなんかいいんじゃない?」
   岸本、書きながら
岸本「『さて、最近の田中様』」
新沼「名前変えなきゃ」
岸本「そうか。『カメリア女子のご活躍を聞くに及び嬉しい限りです』……なぁ、本当にこんなこと」
秋山「余裕だよ、余裕」
新沼「次の小野田の顔ってとこもさ。もっと丁寧な感じにした方がいいんじゃない?」
秋山「そうだな」
岸本「丁寧にって言われてもよ」
新沼「うーん、むかつくって感情がこみ上げてくるってことじゃん。それを素直に書けばいいんじゃん」
岸本「『特に小野田』……『特に小野田様のお顔を思い出すと、感情がこみ上げてきます』」
秋山「いいじゃん。慣れてきたじゃん」
岸本「(満更でもなく)だろ」
新沼「っていうことは……『タイマン』って決着をつけたいってことでしょ」
岸本「当たり前だろ」
新沼「岸本が決着をつけたいのってその込み上げてくる感情とってことでしょ」
岸本「そうなるな」
新沼「じゃあ、そっちの方がいいかも」
岸本「『この気持ちに決着を着けたいのです』」
秋山&新沼「おー」
岸本「『今週の金曜日、午後五時に鶴川橋の下で待っています』」
新沼「そうそう」
岸本「『来ていただけると嬉しいです』……出来た、よし、頭から読むぞ 『小野田に告ぐ』」
   岸本、書き直し
岸本「『小野田様へ、青葉も紅く染まり、秋の気配が深まってきました』……」
秋山「どうした?」
岸本「なぁ、寂しいってどう言えばいいんだ?」
秋山&新沼「え?」
岸本「秋になると寂しくなってくるだろ」
秋山「あー」
新沼「待ってて」
   新沼、本棚から『古語辞典』を出し、読みながら
新沼「『もののあわれ』ってあるよ」
   岸本、書き直し
岸本「『小野田様へ、青葉も紅く染まり、いつの間にかもののあわれを感じる季節となりました。
   秋山と新沼が驚き、大きく目を開き見つめあう。
岸本「『体調などお変わりないでしょうか? さて、最近のカメリア女子のご活躍を聞くに及び嬉しい限りです。特に小野田様のお顔を思い出すと、感情が胸にこみ上げてきます。この気持ちに決着を着けたいのです。今週の金曜日、午後五時に鶴川橋の下で待っています。来てくれると嬉しいです』」
秋山「おー、すげえ」
新沼「私、ちょっと感動しちゃった」
   岸本、感慨深げに
岸本「うん」
秋山「こんなの貰ったら小野田も」
新沼「待って!」
岸本「何だよ」
新沼「思い出した……」
秋山「どうしたんだよ。何かあんのか」
新沼「小野田って……帰国子女だったんだ」
秋山「はぁ、何だよ、それ」
新沼「どうする? こんな手紙渡されても読めないかも」
岸本「決まってんだろ! ……英語の辞書持ってこい!」
    × × ×
   三人で辞書を引きながら手紙を書いている。
   秋山「Dearはカタカナで書いちゃダメだって」
    × × ×
   秋山と新沼が山岸(17)を連れてくる。
新沼「ほら、早く入ってよ」
山岸「僕、お金無いよ」
秋山「それはまた今度な」
   岸本が近づいて来る。
岸本「山岸、お前、英語得意だったよな」
山岸「えっ、あ、うん」
   手紙を渡し
岸本「読め」
岸本「僕に?」
新沼「違うよ」
秋山「どこか間違っている所がないか見ろっつうんだよ」
   山岸、手紙を読み始める。
   三人が真剣な顔をしながら山岸を見ている。
山岸「心のこもったいい手紙だと思うよ」
   三人、ガッツポーズをする。
岸本「おかしなところは無いな」
山岸「うん、特には」
岸本「よし、じゃあ、これをカメリア女子の小野田に渡してこい」
山岸「僕が行くの?!」
秋山「当たり前だろ。アタシらが行ったら血を見ることになんだろ!」
新沼「男でしょ。行ってきてよ!」
岸本「ちゃんと渡せよ」
   三人、出て行く。
   山岸、困惑し立ち尽くしている。

○鶴川橋
   下の河原で三人が仁王立ちで立っている。
   五時のチャイムが鳴る。
   三人以外誰もいない。
   岸本、二人に目配せするが、二人とも困惑し首を振る。
   橋の上で山岸と小野田が楽しそうに手を繋いで歩いている。

○高校・図書室・昼
   図書室で山岸を囲んでいる三人。
岸本「お前、ちゃんと渡したのかよ?」
山岸「渡したよ」
秋山「じゃあ、何で小野田は来なかったんだよ?」
新沼「その時間にあんたと小野田が歩いているの見たって子がいるよ」
山岸「いや、実は」
岸本「何だよ?」
   山岸、ニヤつきながら
山岸「僕、小野田さんと付き合うことになったんだ」
三人「はぁ?」
山岸「私のことそんな風に見てくれてたんだって」
岸本「果たし状見てそんなことになるわけないだろ!」
山岸「あれ果たし状だったの?」
秋山「そうだよ」
山岸「だって、手紙読んで泣き出しちゃって……声掛けようとしたら、抱きつかれてちゃって……彼女寂しかったみたいなんだよね」
秋山「そんなこと聞いてねーよ」
岸本「大体、私らの名前書いて……あっ」
新沼「書いてない」
山岸、ニヤケ笑いが止まらない。
岸本「ふざけんな!」
岸本、図書室を出て行く。
   二人も後に続く。
秋山「ニヤケてんじゃねえよ!」
新沼「シャバ憎が!」
   一人取り残された山岸。
   ニヤケ笑いが止まらない。

○同・廊下
   三人がイラついた様子で歩いている。
   廊下で生徒たちが壁を見て騒いでいる。
新沼「何だろ?」
秋山「ほっとけよ」
   騒ぎを無視して通り過ぎる。
   壁には英語のテストの順位が張り出されている。
   1位に岸本、2位に新沼、3位に秋山の名前が書かれている。
   4位には山岸。
   イラついて三人が歩いている。
N「この後、秋山は国際通訳に、新沼はグローバル企業に就職し、岸本は国連大使として活躍することになる」

(完)

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