考えすぎ 恋愛

これから同棲生活を始める宮下美優(25)と上川孝明(26)。 しかし、新居へ向かう途中で喧嘩をしてしまう。 美優は喧嘩していくにつれ、上川なりの優しさに気づかされるが――
luke 9 0 0 10/28
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第一稿

人 物
宮下美優(25)会社員
上川孝明(26)美優の彼氏

○路線バス・車内(夕)
   宮下美優(25)と上川孝明(26)は大きく膨らんだ買い物袋を持っている。
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人 物
宮下美優(25)会社員
上川孝明(26)美優の彼氏

○路線バス・車内(夕)
   宮下美優(25)と上川孝明(26)は大きく膨らんだ買い物袋を持っている。
   美優が先に空いてる席に座り、上川がその隣に座ろうとするが、美優は隣の席に
   持っている荷物を置く。
   上川は美優の後ろの席に座る。
   車窓を眺める美優。
   美優を後ろから見つめる上川。
上川「まだ……怒ってる?」
美優「まだ怒ってるよ」
   美優は前の席に座っている男女のカップルを見る。
上川「悪かったって…」
美優「そもそもわかってる?」
上川「え?」
美優「私が怒ってる理由」
上川「…もちろん」
   上川は美優を見て、
上川「…ちゃんとサイズ測ってこなかったこと?」
美優「違う」
   バスがバス停に止まる。
   美優は荷物を持って席を立ち、
美優「もう降りる」
   上川、慌てて、
上川「もう一個先だよ」
美優「知ってる!」
   美優はドアまで歩く。
   上川は急いで降りようとするが、大きな荷物が席に引っかかって手間取る。
   バスを降りる美優。

○道(夕)
   美優は大きな荷物を持ちながら、歩いている。
   通り過ぎるバス。

○路線バス・車内(夕)
   車窓に張り付いて、外を歩いている美優を見る上川。

○道(夕)
   美優は歩いている。
   前から犬を連れた通行人が来る。
   犬が美優を見る。
   美優、にらみ返す。
   美優から逃げるように離れる犬。
   美優、立ち止まって、髪を掻く。
美優「あーイライラする!」
   美優は持っている荷物に向けて殴る。
美優「だいたい私が怒ってる理由だってわかってないじゃん!」
   美優はもう一回殴ろうとして、荷物の中を見る。
   中には蒲団と「新生活応援フェア」と書かれたチラシが入っている。
美優「これから新しい生活が始まるのに…」
   美優は溜息を吐く。
上川「美優」
   美優は前を見る。
   少し先で上川は美優に手を振っている。
美優「なんだあいつ」
   美優、歩き出す。
   美優に向けて、より激しく手を振る上川。
上川「おーい」
   美優は小声で、
美優「見えてるよ」
   美優は上川の所まで歩き、そして素通りしようとする。
上川「ちょっとちょっと」
   美優の腕を掴む、上川。
   上川を睨む美優。
   上川は美優の持っている荷物を見る。
   上川は美優の荷物を持ってあげる。
   上川を見る美優。
美優「二つも重いでしょ」
   上川は微笑んで、
上川「うん。でも大丈夫」
   歩き始める上川。
   上川の後ろ姿を見る美優。
   美優は上川の後を追って歩き出す。
   上川は振り返り、美優を見て、
上川「僕が何も意見を言わなかったからでしょ。怒ってる理由って」
美優「え」
   上川を見る美優。
   上川は笑って、
上川「やっとわかったよ」
   下をうつむく美優。
美優「う、うん」
   上川は前を向く。
   美優は上川の後ろ姿を見て、
美優「じゃあ、どうして?」
   上川は笑って、
上川「美優が楽しみにしてるの知ってたから。家具選び。ずっと前から雑誌見てたし。そもそも  
 物件探しだって美優が全部決めてくれたし」
   美優は上川を見て、
美優「…だから?」
   上川は振り返って、
上川「だから。あんまり意見言わない方がいいのかなって」
   うつむく美優。
上川「でも、違ったみたいだね」
美優「ごめん」
   美優は上川を見る。
   驚いて美優を見る上川。
上川「どうして美優が?」
美優「だって」
   下を見る美優。
美優「私のこと考えすぎた結果だって知ったから」
   上川、笑って、
上川「考えすぎたって。それは余計だよ」
   上川、美優を見て、
上川「でも、もう謝らなくていいから」
   美優はうつむいたまま、
美優「……うん」
   美優は上川が持っている二つの荷物を見て、
美優「やっぱり一個持つよ」
上川「いいよ。運ぶだけだから」
美優「いや、でも…」
   美優、立ち止まる。
   振り返り、それを見る上川。
上川「どうかした?」
美優「…運ぶだけって?」
   上川を見る美優。
美優「どういう意味?」
   上川は美優を見て、
上川「もう別れよう」
美優「え?」
上川「部屋にはもちろん荷物を運んでいくよ。でももう、それで終わりにしよう」
美優「え。どうして」
   美優、苦笑し、
美優「いやだって、なんで。急に」
上川「急なことじゃないよ。ずっと考えてたよ」
   上川、下を見る。
上川「でも美優のこと好きだから。今日まで美優のこと理解したいなって思ってきたよ。でもも 
 う、無理だと思う」
   黙って、上川のことを見つめる美優。
上川「僕は美優のこと好きだよ。でも美優は僕といると不幸になるよ」
美優「…そんなことない。そんなことない!」
   上川、大きな声で、
上川「いつも怒ってばっかじゃん!」
   上川を見る美優。
上川「今日だって。ずっと怒ってた。もちろん美優からすれば僕が悪いのかもしれない。でも、
 僕はただ美優と一緒に買い物してたいんだよ!」
   下を見る上川。
上川「ただ笑って。普通に」
美優「…私だって」
   上川を見る美優。
美優「私だって!孝明と」
上川「孝明って言ってくれた?」
美優「…え?」
上川「今日。一回も孝明って言ってくれなかった」
   美優は黙って、上川を見る。
美優「…それは、ごめん」
上川「もう無理だよ」
   上川は美優を見て、微笑む。
上川「好きだったよ」
   歩き始める上川。
   美優は上川の後ろ姿に向かって、
美優「なんで相談してくれなかったの?」
   上川、立ち止まって、振り返り、
上川「え?」
美優「言えばいいじゃん!今日だって、言えばよかったじゃん…」
   黙って美優を見つめる上川。
   美優、笑って、
美優「言ってくれないとわかんないの!私は。言ってくれないと悪い方向に、悪い方向にって考
 えちゃうから。…怒っちゃうの。孝明だって知ってるでしょ」
   上川、美優を見つめ、
上川「…いつまで続くの?」
美優「え?」
上川「これからずっと、思ってること全部、言わないといけないの?」
美優「どういう意味?」
   黙る上川。
美優「ほら、言ってくれないじゃん」
   美優は上川が持っている荷物を奪って、
美優「もういい!」
   一人で歩き始める美優。

(了)

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