ブッ傾き企業、立て直します! ドラマ

結婚間近で男に「1年だけ」逃げられた千尋。さらには勤務先が廃業の危機に!千尋は自身が社長となって、会社を立て直そうとするが……。
tide 10 0 0 10/13
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第一稿

人物
福山千尋(25) 会社員
北十二夫(51) 千尋の勤める会社の社長
香山里紗(23) 千尋の後輩
三船健太(28) 千尋の同僚であり恋人
正代槙生(62) 小説家
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人物
福山千尋(25) 会社員
北十二夫(51) 千尋の勤める会社の社長
香山里紗(23) 千尋の後輩
三船健太(28) 千尋の同僚であり恋人
正代槙生(62) 小説家


本文
〇千尋の自室・リビング・内(朝)
   福山千尋(25)がばたばたと身支度をしている。
   三船健太(28)がテーブルで朝食を摂っている。
千尋「先出るからね!」
   と出ていく。
   三船、テーブルに置かれた結婚式場のパンフレットを手に取る。
三船「ほんとに仕事が好きだな」
   とパンフレットを放り投げる。

〇喫茶店・内
   千尋と正代槙生(62)が打ち合わせをしている。
   窓の外には満開の桜。

〇道
   満開の桜。
   その下を千尋が足早に歩いている。

〇××会社・オフィス・内
   千尋が入って来る。
千尋「戻りました」
   北十二夫(51)の怒鳴り声。
   立ち止まる千尋。
   北が三船に詰め寄っている。
北「とにかくさっさと領収書の処理して!全部!今すぐ!」
   と社長室に向かう。
   千尋が健太に近づく前に香山里紗(23)が健太に駆け寄る。
里紗「ひっどい!あんな言い方!三船さんに面倒ごと全部押し付けた社長の責任じゃないです
 か!」
   千尋は健太に近寄れない。

〇同・社長室・内
   北がPCで原稿を執筆しているが、突然全て消してしまう。
   頭を抱えて微動だにしない北。

〇同・前(夜)
   千尋がオフィスから出てきて歩き去る。
   社長室には明かりが点いている。

〇千尋の自室・リビング・外(夜)
   リビングには明かりがついている。
   窓越しに、千尋がリビングで紙切れを見つめているのが見える。

〇同・内(夜)
   千尋が紙切れを凝視している。
   紙には「一年だけ逃げます」とある。
千尋「はあ!?」
   とスマホを取り出し、電話をかける。

〇砂浜(夜)
   座ってスマホを耳にあてている三船。
   渚に打ち寄せる波音。

〇××会社・会議室・内
   テーブルを囲んでいる北、千尋、里紗。
   北はさめざめと泣いている。
北「これまで散々この会社に尽くしてきてさ、挙句の果てが領収書の後始末だよ。俺社長だよ?
 もうやだよ。もういい。もう潰そう、この会社。出てって」
   里紗、困惑しつつも出ていく。
北「ごめん、千尋ちゃん」
   千尋が涙をこぼし始める。
千尋「悪いと思うなら社長やらせてください
北「何言ってんの」
千尋「どうせ潰すんでしょ」
北「無理だって」
   涙を流す千尋の眼が据わっている。
北「人のこと言えないけどさ、千尋ちゃん相当バカだよね」
千尋「いいんですね」
北「いいよもうなんでも」
千尋「じゃあ社長命令です……とっとと出ていけ!」
   肩を震わせて泣いている。

〇千尋の自室・リビング(夜)
   机に領収書の山。
   千尋が領収書の内容を次々とエクセルに打ち込んでいく。
   ため息をついて立ち上がり、窓を開けると雨音。

〇××会社・物置・内
   セミの声。
   千尋が汗だくになって荷物の整理をしていると、里紗が来て手伝い始める。
千尋「何してんの!休みでしょ」
里紗「福山さんは」
千尋「私はいいの」
里紗「そうやって仕事ばっかりしてるから、三船さん逃げちゃうんじゃないですか」
   と涙目で千尋を睨む。
千尋「わざわざケンカしに来たわけ」
里紗「そうじゃないけど……福山さんが頑張ってるの分かってるけど……」
   黙々と片付ける二人。

〇道(朝)
   色づいている街路樹。
   電話しながら里紗が走っている。

〇同・オフィス・内
   本の表紙のデザイン原稿を前に言い争っている千尋と里紗。

〇喫茶店・内
   千尋と里紗がケーキを食べながら言い争っている。
   机には赤入れ原稿が置かれている。

〇××会社・オフィス・内
   机に置かれた本の表紙案をのぞき込んでいる千尋と里紗。
里紗「これ!あたしの案!良くないですか」
千尋「そうね。でもこっちの色使いも良くない?私の案だけど」
里紗「それならこっちも……」
千尋「いやいやこれも……」
   次第に笑い出す二人。

〇同・会議室・内
   千尋、里紗が槙生に向き合って座っている。三人とも冬の装い。
   机には一冊の本。
槙生「雰囲気よくなったわよね、ここ」
千尋「え?」
槙生「北さんの悪口言うんじゃないけどね。でも前よりずっと良い」
千尋「……ほんとに?」
里紗「うーん……。まあ、前より仕事楽しいかもですね」
千尋「だって、私たち、よくもめてるし」
槙生「福山さんがちゃんと香山さんとお話ししてる証拠ですよ」
   千尋が里紗をちらりと見る。
   里紗は照れたように笑って軽く頷く。
   千尋がしゃくりあげ、鼻をすすり出す。
里紗「ちょっとぉ」
   と千尋の背中をなでる。
   槙生はくすくす笑っている。

〇道
   桜のつぼみ。
   遠ざかる北の背中。

〇××会社・オフィス・内
   千尋と里紗が打ち合わせしている。
   ドアが開く音。
   二人がドアの方に眼をやると北が立っている。
千尋「社長!……あ」

〇同・会議室・内
   千尋、里紗、北が珈琲を飲んでいる。
   千尋がスマホを机に置く。
北「正代さんに会ってさ。すげーいい感じだから顔出して来いってうるさくて。確かに、心なし
 か部屋ん中さっぱり気がするね」
里紗「心なし!何言ってんですか!滅茶苦茶片付けましたからね!」
   驚いた様子の北。
   「しまった」という表情の里紗。
里紗「……すいません」
北「いやいいいい。香山さんってそんな感じだったのね。…‥俺何にも知らなかった」
千尋「それで?」
北「……怒らないでほしいんだけど、この会社はやっぱ俺の会社なわけよ。千尋ちゃんの方がう
 まくやれるとしてもね。というわけで……申し訳ございませんでした。諸々謝罪します。そし
 て、僕にここで働くチャンスを頂けませんか」
   黙って北を見つめる千尋。
   千尋の表情をうかがう里紗。
千尋「私の部下ですからね」
   と手を差し伸べる。
   北は安堵して千尋の手を握ろうとする。
   千尋のスマホから通知音。
   千尋がスマホの画面を見る。
千尋「あっ!」
   北と握手する寸前で慌てて出ていく。
北「ダメなの!?」
   と千尋の背中に声をかける。

〇同・オフィス・内
   千尋が外に出ようとしてドアを開ける。
   外には驚いた様子の三船。
   手には春の花束。
三船「あ……ただ――」
千尋「おかえり!」
   と微笑む。
三船「ただいま」
   千尋に花束を差し出す。

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