ないものねだり 恋愛

30枚シナリオ/普通の女は体が欲しいか。強面の女は休みが欲しい。
ホシタマキ 136 0 0 10/02
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第一稿

〇梅田駅(昼)

   タクシーが1台、道に停まっている。



〇タクシー車内(昼)

   運転席に大森美玲(35)。後部座席に外人客が座っている。

美玲 ...続きを読む
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〇梅田駅(昼)

   タクシーが1台、道に停まっている。



〇タクシー車内(昼)

   運転席に大森美玲(35)。後部座席に外人客が座っている。

美玲「おんなあじ、ほぼちかーい! 梅田駅と大阪駅! ドゥーユーアンダスターン!」

客「OH! OH! OK!」

美玲「OK! やないねん」

客「(下車)」

美玲「あー、ねむたい……」



〇曽根崎・お好み焼き屋「むらさき」・店内(昼)

   こじんまりとした店内。

   楠木蘭(27)、足田正樹(25)、美玲が、鉄板のついたテーブルを囲んで座っている。

   店内には「婚約おめでとう」の垂れ幕。

蘭「おめでとー!」

   蘭がクラッカーを鳴らす。

足田「あ、ありがとう」

美玲「正樹くん、こっち見てや。婚約相手はうちやろ」

蘭「はいはい焼きもち焼かなーい。誰のために貸し切ったの」

   鉄板の上には特大のお好み焼き。その他、酒やつまみなど。

足田「はよ食べましょ」

美玲「なんでこんな店でお祝いなん? うち、もっとロマンチックにしたかったんやけど」

足田「だって、美玲さんと俺でいたら目立っちゃいますよ」

美玲「悪い意味で?」

蘭「でも2人の婚約で組が丸く収まるならええやん! 喧嘩何回したの?」

美玲「2回」

足田「随分省略しますね」

美玲「いや、元々は入江が悪いんやろ! 我らが大森組は、おとなしーく活動してるだけや。お陰で過疎化の波に揉まれ……。正樹くん、入江の組長なんやから、ちゃんと指揮取ってな」

足田「分かっとります。俺も痛い目見てますから……(腕を上げ下げする)」

蘭「いただきまーす」

美玲「あ、お酒いれへん。車戻さなくちゃ。眠たいわー」

蘭「帰ったら2人で仲良く寝ような、お姉ちゃん」

足田「俺とやなくて?」

蘭「ちゃうわ!」

美玲「正樹くんのどあほ! 冗談でもそんなん言わんで」

   船橋烈(23)が、店の裏から入って来る。カウンターから顔を出す。

蘭「あれ、烈くん、今日貸し切り言うたやろ」

烈「すんまへん……(手招き)」

美玲「なんや? いつの間に彼氏こさえたん」

蘭「そんなんとちゃう! 何?(烈の元へ行く)」

   烈、手に持った紙を示して

烈「ここ、知ってます?」

蘭「……」

   美玲、蘭と烈に近づいて

美玲「何? あー新入りかあ……。部屋住み? ボウズ? 車返すついでに、連れてったるわ」

烈「ほんまですか? おおきに」

美玲「うち、一応大森組長の娘や。覚えとき(行く)」

   烈、足田の顔を見る。

   蘭、美玲の腕を掴み

蘭「ちょっと!」

美玲「なんや~仕事終わりにこんな婚約パーティーとかこさえたの、誰?」

蘭「あたし……」

美玲「案内したら、そのままいぬ。正樹くん、堪忍な」

足田「……」

美玲「じゃ」

   美玲と烈、出て行く。

蘭「何も食べてないやん……」

   足田、懐から指輪ケースを取り出す。蘭、それを見て

蘭「あー! もう! お姉ちゃんも足田さんもあほや! 一番大事なのを!」

足田「まぁまぁ……。しゃーない。二人で食べよか」

蘭「……」



〇タクシー車内(昼)

   運転席の美玲、大あくび。助手席に烈。

烈「大丈夫ですか」

美玲「運転変わって欲しいわ。……うそうそ! 部屋住み希望に運転なんかさせへんわ」

烈「ちょっとお聞きしますが」

美玲「何ぃ?」

烈「あの男とはどういうご関係で?」

美玲「うちの未来の旦那さん。もうすぐ結婚するの」

烈「……」

美玲「入江組と大森組の未来のためや。知らんのん? 私らの代で、喧嘩はもう終わり。時代も時代、生き残りたいやろ?」

烈「一度、再起不能になったのでしょ?彼」

美玲「細かいとこ詳しいな。荒戸会の衆にいわされて、入院やったもん。入江もさすがに反省したやろ」

烈「してへんな」

美玲「入院中に結婚しよ、言われたの。プロポーズ! え、なんか言うた?」



〇入江組事務所前(昼)

   入口の看板に「荒戸会入江組」と書かれたビル。

   美玲のタクシーが、その前に停まる。

美玲「はい。到着~」

烈「ちゃいますよ」

美玲「……え? あれ? ちょっと紙、さっきの見せて」

烈「……」

美玲「住所間違うてるやん!」

烈「いや……。姐さんやろ、脳みそ起きてます?」

美玲「うちは眠たいの! 行先ぐらい正確に書き!」

烈「親父さんに言うてください。俺は大森組に応援に来たんですから」

美玲「え……。部屋住みちゃうん?」

   入江組の組員A、事務所から出て来る。美玲のタクシーを見ている。

美玲「ちょっと……。自分どこん人」

烈「荒戸会の組長やっとります」

美玲「は?」

   組員A、物々しい表情で

組員A「船橋烈ー!」

烈「反省してへん、やっぱり」



〇むらさき・店内(昼)

   蘭と足田、二人でテーブルを囲んでいる。蘭、酒の入ったグラスを持ち

蘭「改めて、足田さんとお姉ちゃんにカンパーイ!」

   足田とグラスを合わせる。

   テーブルにはあけた皿もあれば、残った料理もある。

蘭「結局余ったなぁ……。足田さん、持っていねます?」

足田「お開きにするん?」

蘭「肝心の主役がおらへんじゃ意味ないやん!」

足田「俺は?」

蘭「タッパー貸しますよって! 後でお姉ちゃんと一緒に食べてください!」

   足田、ポケットから着信音。

   足田、取り出し、スマホを耳に当てる。

   蘭、食器を片付けながら、足田を見る。

   足田、スマホをしまい、テーブルを片付ける。

蘭「あ、すんまへん忙しいのに。あたし全部なおしときますから」

   カウンターに向かう蘭。

   足田、蘭に近づく。

蘭「……」

   足田、蘭にキスする。

蘭「!」



〇入江組事務所前(昼)

   美玲と烈、縄で縛られて座っている。

美玲「ちょー! 全然指揮取れてないやん正樹くんー!」

組員A「黙れ車屋大森!」

烈「仲良くしよか、なんて、ありえへんよ。足田には」

美玲「ドアホ……」

烈「ドアホなのは姐さんです。足田のこと、せっかく再起不能にしたのに……」

美玲「自分だったん。じゃあここで縛られる必要ないやろ」

烈「分かったからええやないですか。入江は反省してへん」

美玲「……」

烈「入江はミナミじゃ満足出来ひん。大森が邪魔なんですわ」

   組員Aや入江組の組員たちが、美玲のタクシーを漁っている。

   タクシーからは偽造プレートが次々出て来る。

   バラバラと地面に落ちるのを見て烈、絶句。

美玲「本業や」

烈「眠気は飛びましたか?」

美玲「うん」

烈「じゃ、僕の代わりに大森へ行ってください」

美玲「!」

   美玲の縄が解ける。

烈「ほらそこに丁度ええ車が!」

   縛られながら、美玲を押す烈。

美玲「痛い! 押すな! 自分が来い!」

   美玲、烈を引っ張りながら白い車を盗む。

   難なく乗って、行く。

   入江組の組員、後を追う。



〇むらさき・店内(昼)

   足田、蘭を押し倒す。

蘭「何してんか、分かっとるん?」

足田「分かっとるよ。俺は入江を大きくするためのお飾り。あとは、暇なんです」

蘭「暇って!? お姉ちゃんはどうなるん!?」

足田「誰があんな年増と! 彼女だって本気やあれへん。親父とか姐さんは遊んでなんぼ。でも蘭さんは、これは遊びやない」

蘭「……っ」

足田「ここじゃ嫌やね。狭いし」

足田、蘭の腕を掴み、店の外へ。



〇むらさき前(昼)

   入江組の組員B、美玲のタクシーに乗ってやって来る。

   足田、タクシーを見て笑う。

蘭「お姉ちゃんは!?」

足田「乗るんやったら、教えたる」

   足田、指輪ケースを地面へ落とし、踏みつける。



〇道(昼)

   美玲、入江組の追手を撒き、白い車で単独走行。



〇車内(昼)

美玲「……」

烈「……」

美玲「仮にも荒戸会の枝同士やで? 大森は割と任侠やねんけどなぁ」

烈「入江とドンパチしとる時点で、任侠ちゃう思いますけど」

美玲「大森は大人しいの! いきってるんはいっつも入江や! 自分、いつ組長になったん?」

烈「1週間前に」

美玲「出来立てホヤホヤ!」

烈「粉モンちゃいます」

美玲「先輩から言うとくで。正樹くんみたいな親父にはなるな」

烈「……」

美玲「はい、今度こそ間違いなく大森組前!」

烈「おおきに」

美玲「お父ちゃんを頼むで」

烈「……(降りる)」



〇美玲と蘭の住むマンション・1007号室・蘭の寝室(午後)

   ベッドの上に、足田と蘭。

   足田が蘭の上に被さっている。

   部屋が暗い。ほぼ何も見えない。

蘭「……!」

足田「俺は蘭さんと結婚します。入江のために尽くしてほしい。あかんかな」

蘭「……」



〇むらさき前(午後)

   車を停める美玲。

   降りて、地面に転がった指輪ケースを拾う。

   指輪ケースは汚れている。



〇道
   足田、美玲と蘭のマンションの方を振り返る。



〇美玲と蘭の住むマンション・1007号室・蘭の寝室(午後)

   ベッドに一人、横たわっている蘭。

   美玲、入って来て

美玲「ただいま」

蘭「!」

   美玲。

蘭「お姉ちゃん……」

美玲「なんや、足田の若親父は、指揮取る気すらなかったっつーことやな……」

蘭「(ベッドを降りる)」

美玲「ええよええよ! 婚約は、なーんも意味なかったんや。結婚してたら、こういうのはあかんけど……」

蘭「あたし、足田さんのこと好きやない」

美玲「なら余計気の毒やったな。お姉ちゃんのせいや」

蘭「……」

美玲「でも、良かったのやろ?体は正直やで」

蘭「(枕を投げる)」

美玲「あんたが怒ってどーするん」

蘭「アホ……。お姉ちゃんのアホ……」

美玲「なんや……。泣かへんでよ」

   美玲、蘭を抱く。

   蘭、泣く。



〇大森組事務所前(午後)

   看板に、「荒戸会大森組」の文字。

   入江組vs荒戸会と大森組。



〇同・事務所内(午後)

   組員が入り乱れて戦っている。

   部屋の片隅で電話している大森要(55)。傍らに烈。

要「ハイ、ハイ、すんまへん、必ず返しときますから。言うときますから」

烈「……」

電話を切る要。

要「美玲は無事か」

烈「ええ」

要「(電話を示し)車のことな。戻ってないんやろ。あの子も、そろそろ」

   父、手で首を切る仕草。

烈「……」

要「とろいねん! いろんな意味で。到着も何もかも、荒戸も大したことないなぁ」

烈「面目ないです」

要「入江は信用ならん言うてはるのに、ちぃとも聞かへんわ」

烈「……」

   足田、来て

足田「応援を頼んだのは賢明でしたね。さすが親父さん」

烈「!」

足田「荒戸は、大森を贔屓にするしか能がなくなったっつーことや」

烈「……」

足田「おまけに人選も悪い」

烈「大森のシマは渡さん。ブツと欲望だけのバカ組にはな」

足田「姐さんはお人好しやから、すぐに渡してくれますよ。素直に間違うてくれたやろ? 行先。あれは、親父さんのせいやない」

烈「おもんないで、ワレ」

足田「僕のせい。あ、今回も素手? 自分」



〇白い車・車内(夕)

   美玲、泣く。

美玲「ほんま、ほんまバカやなぁ……」

   ふと、発信機を見る。

   美玲、車を出す。



〇曽根崎神社前(夕)

   美玲のタクシーが停車している。

   白い車、近づく。

入江組の組員A、B「!」

   美玲、白い車から降り

美玲「それ、返しぃ(メンチ切る)」

組員A、B「……」

   美玲、タクシーに乗り込む。

   異変に気付いて、また降りる。

   トランクを開ける。

   トランク内に、烈が縄で縛られ横たわっている。

美玲「(烈を見、敵を見)たいがいにせえよ!」

   烈、目で訴える。

   美玲、組員AとBに殴りかかろうとするが、烈が激しく暴れるのでやめる。

美玲「……元気そうやな」

   美玲、烈の口に巻かれたタオルを取ってやる。


烈「救急車とかポリとかいらんです。かまへん」

美玲「で、そのままいぬんやろ」

烈「?」

美玲「帰さへんから! (組員A、Bに)自分らも来い。縄解いてあげて」



〇同・境内(夕)

美玲「自分、お菊さんに頭下げなさい」

   烈と組員AとB、お菊さんの像に頭を下げる。

   美玲はその間、お参りをする。

   手を合わせた後、烈の元へ。

   烈に指輪ケースを渡す。

   婚約指輪が入っている。

烈「!」

美玲「足田正樹組長との婚約は破棄します。(組員A、Bに)大森組は入江組の挑戦を、丁重にお受けいたします」

   組員A・B、美玲に頭を下げ、行く。

美玲「荒戸の若ーい親父がわざわざ、枝の大森にこんなんまでしてくるっつーことは。こういうことかと思たんやけど」

烈「……」

美玲「勘違いやった?」

烈「指輪、合いますかね、俺……」

美玲「……」

烈「車、返さへんのですか」

美玲「なんやもー! 気ぃ抜けるわ! とりあえず、うち寝てへんから! 寝に行くわ。一緒に来るん? 知らんけど」

   烈。



〇美玲と蘭のマンション・1007号室・美玲の寝室(夜)

   ベッドの上に、美玲と烈。

   美玲は寝ているが、目から雫。

   烈、美玲の頭を撫でる。

   ベッドから少し離れたテーブルには置手紙。

   置手紙には1行だけ。

   「ごめんね」と書かれている。

   美玲のスマホが鳴る。



〇むらさき・裏口(翌日・朝)

蘭「お世話になりましてん」

   スーツケースを持った蘭、行く。



〇むらさき前(朝)

   足田がいる。

足田「蘭さん」

蘭「(無視する)」

足田「これからどないするん」

   足田、蘭の腕を掴む。

   蘭、振りほどいて行く。

足田「行くとこないでしょ。俺は蘭さんと結婚する言うたよ」

蘭「あんたなんか、すぐ負けるわ」

足田「船橋烈の方がええ?」

蘭「そういうことやない!」

足田「浮気してもええよ。(蘭に近づいて)でも、これは受け取って」

   足田は指輪ケースを取り出す。

   中にはマリッジリング。



〇美玲と蘭のマンション・1007号室・寝室(午後)

   美玲、ベッドの上。起きる。

美玲「あれ……」



〇同・居間(午後)

   テーブルの上に、置手紙。

置手紙の文言「副業に行ってきます。むらさきです。ご飯作りました。冷蔵庫に入ってます。16時に、中之島バラ園で」

   時計は16時を指している。

美玲「どないしよ」



〇道(夕)

   美玲のタクシーが停まっている。



〇中之島バラ園(夕)

   園内には、美玲と烈の2人だけ。

烈「……」

美玲「おおきに、よーさんしてくれて」

烈「結局、返してへんのですか。車」

美玲「もっと、怒ってあげたら良かったんかなぁ。蘭のこと」

烈「……」

美玲「責める気になれへんの。うちは姐さんやけど、あの子はただの従妹やし」

烈「楠木さん、わりかし絡んできましたよ。“ただの”やないですよ」

美玲「あの子、顔広いねん。知らんけど」

烈「……」

美玲「うちな、恋愛のことになると、怒られへんの。ま、男なんてそんなもんやなーって」

烈「蘭さんは、足田の所へ行きますよ。姐さんがしっかりせぇへんと」

美玲「なぁ、足田の話はやめてぇな! あんたに指輪渡したやろ」

烈「俺でいいんですか」

美玲「こんな年増、嫌かもしれへんけど」

烈「俺は、姐さんといると楽しいんで、ええですよ」

美玲「ええですよ、って……」

   烈、美玲を抱く。

美玲「……」

烈「今度は、遅刻せんといてな」

美玲「うん」



〇入江組事務所(日替わり・昼)

   入江組の組員大勢、大森組に縛られている。

   要も縛られているが、烈に助け出される。

   美玲と足田、対峙。

   足田は縛られている。

   美玲、足田を2発ビンタ。

足田「……」

美玲「蘭の分と、うちの分や。足もいわす思たけど、もうええわ。これ返す」

   美玲、足田が踏んだ指輪ケースを、足田の傍へ落とす。

美玲「蘭を口説きたいんやろ。なら、もうちょっとエエの買うたれ」

足田「……」

美玲「(大森組の組員に)車返してくるから、後は頼んだ~」



〇入江組事務所前(昼)

   美玲のタクシーが停まっている。

   後部座席に要。



〇車内

   美玲、運転席へ。

要「ようやっと、返すんか。どんくさいなーホンマ」

美玲「ええんの。とろいのが肝心! 今度は間違えへんかったやろ、1回で!」

   烈、助手席に乗って来る。

   美玲と烈、キス。

   要、顔を覆う。

   美玲、車を出す。



× × ×



〇道(昼)

   蘭、走っている。

   左手の薬指に、指輪が光っている。

烈の声「何やってんすか」



〇美玲のマンション・1007号室・美玲の寝室(夕)

   ベッドの上に、美玲と烈。

烈「返さへんかった?」

美玲「うん。いや、会社はもう行かへんけどな」

烈「これやろ」

   烈、手で首を切る仕草。

美玲「……」

烈「個人タクシーでもやるつもりでっか」

美玲「蘭に会うた」

烈「!」

美玲「あの子……」



〇回想・道(昼)

   蘭、走っている。



〇美玲のマンション・1007号室・美玲の寝室(夕)

美玲「見てたらなんか、車返す気失せた」

烈「アホですね」

美玲「……」

烈「時々、足田が羨ましくなります」

美玲「うちは、蘭が羨ましい」

烈「今度は、大森から喧嘩に行ったらええんとちゃいます」

美玲「……」

   美玲と烈、抱き合う。



〇回想・むらさき前(朝)

蘭「あんたは甘い」

足田「素直やねん、僕は」

蘭「あたしはお姉ちゃん側や!」

足田「大森が苦手やのに?」

蘭「……」



〇回想・回想・とあるキャバクラ(夜)

   大森組がキャバクラを占拠し、来ていた入江組の組員と戦っている。

   隅で怯えている蘭(22)と、蘭を庇っている足田(20)。

   震える蘭、足田にすがりつく。



〇回想・むらさき前(朝)

足田「僕が今、組長やっとるんは蘭さんがいるから。大阪に来たばかりで、大森に襲われた。でも、2人とも無事やったでしょ」

蘭「あたし、どっちの味方もしとーないねん。お姉ちゃんの味方も、足田さんの味方も」

足田「……」

蘭「足田さんはお姉ちゃんと一緒になれば良かったんや。それを、嘘ついて、こんな……」

   足田、蘭を抱き寄せる。

蘭「でも、お姉ちゃんが羨ましくて……」



〇回想・入江組事務所前(昼)

   蘭。

   左の薬指にはめた指輪に、右手で触れる。



〇美玲のマンション・1007号室・美玲の寝室(夕)

   烈と美玲、ベッドの上。

   烈は寝ている。

   美玲、自分の左手の指輪を見つめる。



(了)

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