おふとん物語 コメディ

春、夏、秋、冬の、弘樹とおふとんと妖精たちの話。 ※15分〜20分くらいになると思います。 ※妖精たちの名前は劇中出てきません。年齢指定も特にありません。
barayama 90 2 0 08/04
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第一稿

登場人物
・弘樹(16)   男子高校生
・おかん(45)  弘樹の母親
・小春(?)    春の妖精。女性
・ホットサマー☆GENKI(?)  夏の妖精。男性
・秋夜( ...続きを読む
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登場人物
・弘樹(16)   男子高校生
・おかん(45)  弘樹の母親
・小春(?)    春の妖精。女性
・ホットサマー☆GENKI(?)  夏の妖精。男性
・秋夜(?)    秋の妖精。男性
・真冬(?)    冬の妖精。女性



○外(春)
 さくらが咲いている。


○弘樹の部屋
 布団に包まって寝ている弘樹(16)。
 おかん(45)が部屋に入ってくる。

おかん「弘樹! あんた、今何時だと思ってんの」
弘樹「ん〜……7時半」
おかん「あと10分で出ないと、新学期早々遅刻するよ!」
弘樹「春眠暁を覚えずって言うだろ〜……。こんな気持ちいいのに、起きられないよ」


○同(春の妖精の夢)
 弘樹のふとんから小春が顔を出す。
 眠そうな小春。

小春「弘樹ぃ……もう起きちゃうの? おふとんはあったかいよ……気持ちいいよ。いっしょに気持ちよくなろう……」

 小春は弘樹の首に腕を絡める。

弘樹「ああ……幸せ……気持ちいい……眠い……。こんなの、起きられないよ……」
小春「起きなくていいんだよう……」
弘樹「ああ……あったかい……」


○同(現実)
 おかんが弘樹を呆れて見下ろしている。
 弘樹のふとんの中には小春はいない。
 弘樹は幸せそうに布団を抱きしめている。

おかん「はあ……先生に叱られても知らないよ!」


○外(夏)
 セミの声が聞こえる、暑そうな屋外。


○弘樹の部屋
 弘樹が寝ている。おかんがやってくる。

おかん「弘樹!いつまで寝てんの!」
弘樹「夏休みなんだから、いつまで寝ててもいいだろ〜……」
おかん「いいわけないだろ、いつまでもいつまでもダラッダラ、ダラッダラして!いい加減起きろ!」
弘樹「こんな暑苦しいのに、体動かせるわけねえじゃん……」


○同(夏の妖精の夢)
 弘樹の部屋でホットサマー☆GENKIがギターをかき鳴らし、飛び回っている。

GENKI「盛り上がってるかあ! 夏! いいねいいね、セミも盛り上がってんね! もっと湿気あげてこー! 汗は青春の涙! あせもは青春の勲章! 熱中症は青春の初恋だ!」
弘樹「意味わからん」
GENKI「意味わかんなくて結構! 意味のわからん湿気と気温! それが日本の夏だ! もっと盛り上がってこーぜ! イエェェス!」


○同(現実)
 だらしなく寝ている弘樹と、それを見下ろすおかん。

弘樹「暑っくるしい……起きられねえ……」
おかん「この、怠け者!」


○外(秋)
 赤や黄色に色づいた葉。晴天。


○弘樹の部屋
 朝ごはんの入った器を持ち、うんざりした顔でおかんが弘樹の顔を覗き込んでいる。
 弘樹はふとんに包まっている。

おかん「あんたねえ……何時だと思ってんの」
弘樹「7時半」
おかん「いい加減にしなさいよ、昨日の夜もあんなに夜ふかしして」
弘樹「秋の夜長に、読書して何が悪いんだよ」


○弘樹の部屋(秋の妖精の夢)
 秋夜が優しく弘樹を団扇で仰いでいる。

秋夜「どうだい?気持ちいいかい、弘樹」
弘樹「ふう、気持ちいい風……」
秋夜「秋風ほど気持ちの良い風はないからね。一枚の 紅葉かつ散る 静かさよ」
弘樹「ううん、文学の風……」
秋夜「空気も澄んでいて気持ちがいいね。秋の空 露をためたる 青さかな」
弘樹「う〜ん、いいね……」
秋夜「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺……」
弘樹「ぐう」


○同(現実)
 眠っている弘樹。おかんは器を見る。中には柿。


○外(冬)
 雪が積もっている。


○弘樹の部屋
 厚めのふとんにすっぽりと包まる弘樹。
 おかんがやってきて、ふとんを引っ剥がす。

弘樹「ぎゃあ!」
おかん「ぎゃあじゃないよ!今日こそ起きてもらうからね!」
弘樹「無理だよ!さみいよ!布団返せよ!」

 弘樹はおかんから布団を奪い取り、また包まる。

弘樹「ああ、あったけえ」


○弘樹の部屋(冬の妖精の夢)
 弘樹の入った布団のとなりで、真冬がガチガチと歯を鳴らして凍えている。

真冬「ひ……弘樹……入れて……死ぬ……」

 弘樹は答えない。

真冬「入れてよう!」

 真冬は布団を引っ張るが、弘樹の防御は固く、布団が奪えない。
 真冬は諦め、また凍えて縮こまる。

真冬「(空を見上げ)……あ……去年死んだおばあちゃん……」

 真冬は気絶する。


○弘樹の部屋(現実)
 おかんは途方に暮れて弘樹を見下ろしている。

おかん「この一年、まともに起きた日がないじゃない……」


○外(春)


○弘樹の部屋
 おかんが弘樹を起こしに来る。

おかん「弘樹〜、なおこちゃん! なおこちゃん来てる……よ……」

 弘樹はすでに制服を着、かばんを手にしている。
 驚くおかん。

弘樹「おはよ。朝ごはんパンでしょ。歩きながら食べるわ」
おかん「あ、ああ、うん……」
弘樹「行ってきます」

 弘樹は部屋を出ていく。呆然と見送るおかん。


○弘樹の部屋(夢)
 ふとんのそばで、小春、GENKI、秋夜、真冬が並んで体育座りしている。
 真冬はなぜか凍えている。

小春「何あれぇ。小春があんなに誘ったのに、起きちゃったぁ」
秋夜「君ゆけり 遠き一つの 訃に似たり」
小春「何それ」
GENKI「初恋! 初カノ! 初デート! はっつこーい、のこった!」
真冬「寒い……」

 真冬は気絶する。

GENKI「あああ! どうした! 雪山の遭難か! そうなんか?」
小春「うるせえな」
秋夜「しかし、寂しいですね。長年弘樹の恋人だった、おふとんがないがしろにされるのは」
小春「そのうち弘樹も戻ってくるでしょ」
秋夜「どうだろうか」
小春「大丈夫。おふとんの魅力には、誰も逆らえないんだから。見て」

 小春は立ち上がる。

おかん「……これからも早く起きてくれれば、わたしの仕事も一つ減るんだけどねえ。いつまで持つことやら」

 小春はおかんの背中にしなだれかかる。
 小春があくびをすると、おかんもあくびをする。

おかん「さてと……みんないなくなったことだし……」
小春「時間もたっぷりあるし……」
おかん「今日はあったかいし……」
小春「春眠暁を覚えず」
おかん「……ちょっとだけ、一眠り」

 おかんは小春を背中にしょったまま、弘樹の部屋を出ていく。
 小春は妖精たちを振り返り、親指を立てる。
 妖精たちは同じポーズを返す。

秋夜「おふとんの魔力に逆らえる人なんて、いないんだなあ」

 GENKIと真冬は頷く。
 了。

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