シナリオセンター基礎科第9回課題 中年疲れ休暇 ドラマ

中年オヤジの金田は、部下が自身の悪口を言っているのを耳にする。オヤジになら何を言ってもいいのか?
tide 9 0 0 07/31
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第一稿

○会社・経理部・内(朝)
金田鉄雄(46)がいらいらと歩き回っている。高級そうな背広には、腹の肉に引っ張られてシワが寄っている。
金田が下品な高級腕時計を見ると九時五分を指して ...続きを読む
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○会社・経理部・内(朝)
金田鉄雄(46)がいらいらと歩き回っている。高級そうな背広には、腹の肉に引っ張られてシワが寄っている。
金田が下品な高級腕時計を見ると九時五分を指している。
と、皐月文(24)がゆっくりと入って来る。
金田「皐月!ちょっと来い!」

〇同・会議室・内(朝)
金田の前に皐月が俯いて立っている。
金田「お前何回言ったらわかんだよ!遅刻しないのがそんなに難しいか!俺の言ってることがそんなにおかしいか!あ!?」
皐月は黙って俯いている。
金田が舌打ちして立ち上がり、ドアへと向かう。
金田「無断で遅刻するのはやめろ。……なんかあったら言ってこい。俺で良ければ相談にのってやるから」
金田が部屋を後にする。
俯いて肩を震わせている皐月。

〇同・経理部・内(朝)
デスクに座っている金田の元に皐月が足早に近づいてくる。
皐月「失恋休暇を申請します」
とさっさと去る。
狼狽える金田。ざわめく社員たち。数名の女子社員が金田を睨みつけている。

〇居酒屋・内(夜)
皐月、多賀一樹(28)、女部下、男部下が飲んでいる。
皐月は暗い顔をしている。
女部下「金田、ほんと最悪」
男部下「まじ有り得んよなあのデブ」
多賀「女の子の気持ちぜんっぜん分かってねえの。な、皐月ちゃん、元気だしなって。もっといい男がいくらでもいるって」
皐月「知ってる」
多賀「あ……そうだよね。じゃあ、ほら、新しい恋に向かって」
皐月「失恋はどうでもいいの」
多賀「ん~。なるほど?」
皐月「金田に慰められたのが、なんか嫌で」
と泣き伏す。
男部下「しゃーない。オヤジは何やってもキモイから」
女部下が皐月を連れて席を立つ。
男部下も後を追う。
多賀「……まあ、そうだな」
背後のテーブルからコップが落ち、割れる音。
多賀が振り返ると仕切り。
店員が近づいてくる。
金田の声「すいません!落としてしまって」
息をのむ多賀。

〇同・外(夜)
皐月が男の車に乗り込んで去る。
男部下「もう次の男いんの」
女部下「切り替え速いよね……ってちょっと
多賀、歩き去りながら手を上げて挨拶する。

〇バー・内(夜)
金田がカウンターで飲んでいる。
ドアの開く音がして振り返ると、多賀が立っている。
多賀、金田に気付いて踵を返す。
金田「おい」
と手招きする。
多賀、ちょっと躊躇ってから金田の隣に座る。
金田「ここ、俺がお前に教えたんだろうが。覚えてないのか」
多賀「はい……」
金田「さっきの居酒屋もな。……お前らはさ、親父には何言ってもいいって思ってるのかも知れないけどな、親父だってなあ……」
と金田が涙を流し始める。
多賀「……すみません」
金田「失恋休暇があってなんで中年疲れ休暇がねえんだよ……」
多賀「……休んでください」
と金田の背中をさする。

〇会社・経理部・内(朝)
時計は九時五分を指している。
と、金田が慌てて入って来て、多賀に近づく。
多賀「……おはようございます」
金田「おう。(小声で)昨日はありがとな」
と照れたように笑う。
多賀「いえ……今日も頑張りましょう」
と微笑む。

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