アスタ・マニャーナ SF

アラフォーの派遣OL孝恵が泊まった謎のホテル、一夜明けてみたら、その朝は"昨日"だった...
別句通 3 0 2 03/20
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第一稿

人物
・加藤孝恵(36) 派遣OL
・高月信吾(45) 中央都市ホテルの支配人
・加藤冴子(33)  孝恵の弟の妻
・加藤翔太(8)  冴子の息子
・男A、B いずれも ...続きを読む
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人物
・加藤孝恵(36) 派遣OL
・高月信吾(45) 中央都市ホテルの支配人
・加藤冴子(33)  孝恵の弟の妻
・加藤翔太(8)  冴子の息子
・男A、B いずれも30代
・よっちゃん(男) 20代
 ほか

一.○一軒家の住宅の玄関先・午後
 1 加藤孝恵(36)、加藤翔太(8)と遊んでいる。
2 孝恵「翔ちゃん、またピューロランド行こうね」
3 翔太「うん……」うつむく翔太。
4 孝恵「あれ?行きたくないの」
 5 玄関ドアが開いて中から加藤冴子(33)が出てくる。
6 冴子「お姉さん。すいません」
7 孝恵「冴子さん。ほら、翔ちゃんお母さんにプーロランド行こうって―」
8 冴子「お義姉さん、すいません。実は私、二人目ができちゃったみたいで」
9 孝恵「え?そうなの。……おめでとう。よかったわね」かしこまる孝恵。
 10 冴子は翔太の肩に手を回し、翔太と目を合わせる。孝恵は目をそらす。
11 孝恵「ごめんなさい。そういえば約束があった。私帰ります」
12 冴子「あら、なんのお構いもしませんで」声のトーンがあがり気味。

二.○住宅街の路上
 1 スマホの画面に目を泳がせて孝恵が歩いている。
2 孝恵「あ、しまった。忘れもの!」踵を返す。

三.○加藤家の手前
 1 孝恵が近づいていき、立ち止まる。
2 冴子の声「翔ちゃん、これで孝恵おばちゃんしばらく来られないでしょ。ごめんね。お母さん二人いたみたいだったでしょ」
3 翔太の声「いいよ。別に」
 4 孝恵は泣きそうな顔になり、道を引き返す。 
 5 スマホに着信音。孝恵は耳に近づけ通話。
6 孝恵「え?来週からの派遣はキャンセルですか?」 
7 スマホの音声「加藤さんゴメン。急に先方から人手が間に合ったって連絡きちゃって」
8 孝恵「そんな……。3か月も待ったのに」
 9 スマホを切り、なだれ、ため息をつく孝恵。
 
四.○都会の繁華街・夕方
 サラリーマン、買い物帰りの家族、カップル等、多くの人。

五.○立ち飲み酒場
 1 空席もあるが多くの客でにぎわう。
 2 孝恵が一つテーブルの前に立ち、タバコを傾けレモンサワーのグラスに手を置く。
3 孝恵の独白『二人目か……私はぼっち』
 4 三十前半くらいの男二人連れの酔客が孝恵のテーブルに近づいてきた。
5 男A「お姉ちゃん、僕たちと一緒に飲もうよー」
6 男B「一人ぼっちでさみしそうにどうしたの」
 7 孝恵は二人をきっとにらみつける。
8 孝恵「うるさいわね。迷惑よ!」
9 男A「なんだよ。アラフォーだと思って声かけてやったのに。つれないねー」
 10 孝恵は二人の顔に手に持ったグラスのレモンサワーの残りをかける。
11 男A・B「ブェー」「ぐへっ」顔が濡れる。
 12 ほかの客がいっせいに振り向く。
13 孝恵「二人じゃなきゃ声もかけられないくせに大きい顔しないでよ!どうせ一人じゃ何もできないんでしょ!」

八.○深夜の駅プラットホーム・夜
 1 多くの帰りの客でいっぱい。
 2 孝恵は泥酔状態で少しふらついている。
3 駅のアナウンス「---------行最終電車が入ってまいります」
 5 止まった電車に乗り込む孝恵。

九.○電車内
 1 けだるいムードでほぼ満席に立ち客もいる。
 2 孝恵は座ってまどろんでいる。
3 孝恵の寝言「ちくしょう……なに?」

十.○閑散とした郊外の駅ホーム・夜
 1 停車する電車。
2 駅員の声「お客さん、終点なんですけど」

十一.○駅の全景・夜
1 孝恵の声「やっだー!寝過ごしちゃったじゃないー!」

十二.○駅のロータリー
 1 憔悴した顔でスマホの画面を見る孝恵。
 2 画面のマップ『中央都市ホテル』の表示。
3 孝恵「しょうがない。ここに泊まるか」

十三.○『中央都市ホテル』全景・夜
 1 鉄筋4階建てのかなり古い小さい建物。
 2 見上げる孝恵。
3 孝恵「名前負けしてるじゃん」苦笑。

十四.○ロビー
 1 おずおずと入館する孝恵。中を見渡す。
 2 すすけた内装。色あせた赤い埃っぽいじゅうたん。ぼろくて小さいソファ。
 3 カウンター内に高月信吾(45)がにこやかに立っている。
4 孝恵「あのーさっき携帯から予約した加藤と申しますけど」
5 高月「お待ちしておりました。こちらにサインをお願いします」
 6 孝恵が備え付けのボールペンを手に取る。
7 孝恵「えーっと、今日は……」
 8 高月が卓上カレンダーを手で示しながら、
9 高月「日付が変わりまして、4日の日曜日でございます」
 10 孝恵が宿泊カードの日付欄に『…/4』と書き込む。

十五.○客室内・夜・点灯
 11 ベッドに倒れこむ孝恵。着替えもせずに仰向けになり、額に手をやる。
12 孝恵「あー、しんど。こりゃ明日は二日酔いきついぞ。は~」

十六.○ホテル全景・夜
孝恵の声「あ~、もうお酒やめる!!」

十七.○ホテル全景・朝

十八.○ホテル室内・朝
 1 着のみ着ままでベッドに横たわる孝恵。
2 孝恵「うーん」目を少し開け突然半身を起こす。
3 孝恵「やばっ」上着の匂いをくんくん嗅ぐ。カーテンから朝日が差し込む。薄暗い客室。
 10 窓のほうに目をやり、起き上がり、窓の外を見る。道路は部活を急ぐ中学生の集団。
11 孝恵「あーあ、日曜だってのに大変ね」
 12 ベッドの上に腰掛け、両手を大きく伸びをする。
13 孝恵「よっく寝たなー」調度の時計を見ると9時を過ぎていた。
14 孝恵「あ。二日酔い全然ない。ラッキー」

十九.○ロビー・朝
 1 荷物を手に降りてくる孝恵。カウンター内ににこやかに立つ高月。
2 孝恵「チェックアウトお願いします」
3 高月「ありがとうございました」
 4 孝恵がカウンターに目をやると卓上カレンダーは『3日』を示している。
5 孝恵「あのー、日付け…」
 6 高月はちょうど奥に入ったところ。
 7 孝恵が屋外に出る。

二十.○駅前通り
 8 孝恵が歩いている。スーツを着たサラリーマンもちらほら駅に向かっている。
 9 孝恵はファーストフード店に近づいた。
10 孝恵「お腹すいたな。今日からのクーポン券があったっけ」

二一.○店内
1 店員「いらっしゃいませ。ようこそ」
2 孝恵「これひとつ。店内で」クーポンを差し出す。店員が手に取って見つめる。
3 店員「お客様、すいません、これは明日からなんですけど」
4 孝恵「何言ってるの。よく見てよ。ちゃんと本日4日からになっているでしょ!」
5 店員「あのー。すいません。今日はまだ3日の土曜日なんですけど……」
6 孝恵「なんですって?」後ろの列にいた女子高生二人組はくすくす笑っている。別の男の客はいらだたしそうな顔をしている。
 7 孝恵は大慌てでスマホを取り出し画面を見る。表示の日付は『3日-土曜日』となっている。
8 フラッシュバックで『3日』と表示されていた先ほどのホテルの卓上カレンダー
9 孝恵「そんな」孝恵は店を出る。

二二.○駅前通り・朝
 1 スマホで通話している孝恵。
2 孝恵「あのーさっきチェックアウトした加藤と申します。つかぬことを伺いますが……」
3 高月の声「チェックインされたのはたしかにゆうべ日付が変わってから3日でしたよ」
 4 走り出す孝恵。

二三○駅・朝
 1 呆然とする孝恵。3日土曜運行の臨時列車を示す行先案内板。定期券売り場の日付表示も『3日』。駅構内のテレビ番組も土曜午前中のバラエティ番組を放送。
2 孝恵「昨日に……戻っちゃったの?…う、ウッソー!」

二四.○一軒家の住宅・午後
 1 門扉の前に立つ孝恵。庭で花に水をやる冴子。傍らに翔太。孝恵に気づく冴子。
2 冴子「あら、お義姉さん、いらっしゃい」ややぎごちない。
3 孝恵「冴子さん、もしかして二人目妊娠した?」
4 冴子「え、えっ?どうしてご存じなの?」目を丸くする。
5 孝恵「女の勘よ。最近、あなた様子変わってたもんね」淡々と話す。
6 孝恵「翔ちゃんバイバイ~」翔太の頭をなでて加藤家を後にする孝恵。

二五.○住宅街の路上
 1 スマホで電話をかける孝恵。
2 孝恵「加藤です。すいません。来週からの仕事はキャンセルいたしますので」
3 スマホの音声「え?あ、あー。ちょうど良かっ…」
4 孝恵は急いでスマホを切った。

二六.○繁華街・夕方

二七.○立ち飲み酒場の前
 男A・Bが二人で酒を飲んでいる。孝恵と男Aの目線が合った。孝恵はほくそ笑んで立ち去った。

二八.○中央都市ホテル全景・夜
 孝恵は3日付の夕刊紙をかかえてホテルを見上げている。
 
二九.○ロビー・夜
 1 高月がにこやかにカウンター内に立っている。孝恵は近寄る。
2 孝恵「さっき予約した加藤ですけど」卓上カレンダーは『3日』の表示。
3 高月「お待ちしてました。昨夜に引き続きのご利用ありがとうございます」
4 孝恵「あのー、カウンターの写真撮らせていただいていいですか」
5 高月「え?どうぞ」
 6 シャッターの音。『3日』表示のカレンダーが移ったフレーム画像。

三十.○客室・朝
 1 孝恵が目を覚まし、ベッドから身をおこす。
2 ゆうべ買った夕刊紙の日付を確認する。『3日』のまま。ゆうべとった写真の卓上カレンダーも『3日』。スマホの日付は『4日』。テレビをつける。日曜午前中にやる番組を放送。
3 孝恵「ちゃんと日が変わってる…」

三一.○ロビー・朝
 1 卓上カレンダーの日付は『4日』。
 2 高月は穏やかな表情で立っている。
3 高月「ご出発でしょうか?」
4 孝恵「あ、はい」ややどぎまぎしている。
5 孝恵「あ、あのー」
6 高月「なんでございましょう」にこやかに。
7 孝恵「いえ。なんでもないです」

三二.○路上
孝恵の(歩きながら独白)「ルールがあるんだ、きっと……」

三三.○早回しの画像
1 夜中の電車に乗っている孝恵。中央都市ホテルの全景、夜と朝。ホテルのチェックインとアウト。カウンターの卓上カレンダーを見てくやしがる孝恵。

三四.○中央都市ホテルの客室・朝
1 ベッドの上でTVのリモコンを手にし、TV画像を見る孝恵。
2 孝恵「戻れた!や、やったー。“ルール発見”!昨日に戻れた!」

三五.○賃貸アパート全景・昼
 1 黙々とネットをする孝恵。傍らにメモ。
 2 画面は“スクラくじ大当たりの出やすい店情報”

三六.○繁華街・昼
 大勢の行きかう人々。メモを片手に周りをきょろきょろする孝恵。目線の先にスクラくじ売り場。

三七.○別の繁華街・夕方
 1 目を見開き立ちすくむ孝恵。
 2 スクラくじ売り場。店先に『午前中に一等出ました。当選番号…』の張り紙。
3 孝恵の(独白)「これだ!」

三八.○中央都市ホテル客室・夜
1 ベッドに横たわる孝恵。
2 孝恵「明日目覚めれば、今日になっているはず!」

三九.○繁華街・朝
雑踏を小走りする孝恵。

四十.○スクラくじ売り場
1 金を握りしめ、窓口に詰め寄る孝恵。
2 孝恵「ください!」

四一.○賃貸アパート

四二. ○室内
1 札を部屋中にばらまいて万歳立ちする孝恵。
2 孝恵「一等賞、金持ちだー!」

四三.○街角
季節が移り変わる

四四.○高級マンション
1 室内。若い男と同じベッドに横たわる髪型の変わった孝恵。スマホの着信音。男はベッドから起き上がり寝室を出ていく。
2 孝恵「はい。あたし。…え?だからちがうっていったでしょ。あそこはドルじゃないと決済しないんだから!よろしくね!」
3 ぶっきらぼうにスマホを切る孝恵。ベッドから起き上がり腰かける。
4 孝恵「あ、よっちゃん、ジュース頂戴~」奥から男の返事。
5 男がジュースの入ったコップを二つ持ってくる。孝恵がスマホを操作する。
6 男は孝恵のそばに座り太ももに手を置く。孝恵はスマホの画面を見て驚く表情。
7 スマホの画面『諸般の事情により、来月いっぱいで閉館させていただきます。長らくのご利用感謝いたします。中央都市ホテル』スマホを切る孝恵。
8 男「どうしたの?」
9 孝恵「う、ううん。なんでもない」ベッドから立ち上がり窓に近寄る孝恵。窓外は10 昼下がりの都心。青ざめた表情の孝恵。
11 孝恵「中央都市ホテルが廃業する……」

四五.○首都高速・夕方
12 ベンツを運転する孝恵。車内は孝恵一人。
13 孝恵「川田さん。さっき言った額大至急用意して。今のウチならそれくらいわけないでしょ」
14 ハンズフリーフォンの川田(男)の声「まあ、そうですけど社長。でもつぶれる郊外のビジネスホテルなんか買収してどうするんですか」
孝恵「そこが無くなったらあんたも首なの」
川田(男)の声「え?」

四六.○中央都市ホテル全景・夕方
15 ロビー。カウンターに立つやや老けた高月。入館する孝恵。
16 高月「いらっしゃいませ加藤様」にこりと微笑む。
17孝恵はトランクをカウンターに無造作に置く。
18 孝恵「このホテル私が買う。相場も調べたの。不服なら言い値でもいいから。オーナーに連絡してくれない?」
19 高月「おや、ここが売られるため閉じるのをご存知でしたか。配信メールをお読みになったんですね。でもすみません。もう契約はすんだようです」
20 孝恵「あら、そう。いくらで売ったのかしら。私、その額に上乗せして買い戻すわ。」
21 高月「そこまでこのホテルを気に入っていただけるとは支配人冥利につきるというものですね。」
22 孝恵の心の声「別に好き好んで泊まり続けたわけじゃないんだけどね」
23 高月「でもおあいにくさまですが、いくら積まれてもくつがえせないと思いますよ」
24 孝恵はきっとにらみつける。微笑む高月。
25 孝恵「あなたにどうしてそういえるの?とにかく買主さんの居所わかるなら教えてください!」
26 高月「しかたありませんね。買主さまはこのホテルの裏にお住まいです」
27 孝恵「なら話が早いわ。今いらっしゃるのかしら」
28 高月「裏の持田さまという方は先々代、この土地を売られ、ここにホテルが建ってしまい日当たりの邪魔になってしまったとのことです。なので、やっと日当たりを取り戻せてご先祖様にいい顔ができるとおっしゃってましたから」
29 孝恵はしばらく考えこむ。
30 孝恵「……そう。ならしかたないわね」高月がにっこりうなずく。
31 孝恵はホテルを出る。

四七.○道路
1 ベンツの車内。
2 孝恵「社長。ちょっとお願いしたいことがあるの。」
3 ハンズフリーフォンのどすの利いた男の声「めずらしいじゃないですか。あなたからお誘いなんて」
4 孝恵「どうしてもほしい不動産があるの。ちょっと骨折ってほしいんだけど」
5 男の声「ははは。ウチに頼む意味ってのは、わかってますよね。」
6 孝恵「もちろん。今回だけはいくらでもお礼するわ」
7 急加速して黄色信号の交差点を抜けるベンツ。
8 ダンプカーが急に右折してくる。孝恵のおぞましい形相。
9 孝恵「な、なんでなのよー!!」激しい衝突音。
10 前方が大破し停車する孝恵。エアバッグにもたれかかり頭から血を流す孝恵。
孝恵「う…うー…」うつろな目つき。救急車のサイレンの音。
ハンズフリーフォンの男の声「加藤さん、どうした!?、加藤さ...(切れる)」

四八.○救急車内
1 救命措置を受ける孝恵
2 救命士A「内臓破裂か……だいぶやられてるな。心拍がかなり弱い」
3 救命士B「ちょっと危ないかもしれませんね」
4 もうろうとする孝恵の意識の声「…ホテルに連れてって…明日になれば今朝に戻れるから…元気な今朝の私に戻れるから…」

四九.○闇

五十.○中央都市ホテル全景・朝
1 室内。スーツ姿の孝恵がベッドに横たわっている。「う、う~ん…」目を覚ます孝恵。
2 孝恵「痛た…は~、いったーい」頭をかかえて天井に目をやる。
3 孝恵「ここは…」首を少し上げ部屋を見渡す孝恵。昨日の事故を思い出す。
4 孝恵「はっ。ここはホテルだ。やった…戻れた。」起き上がり窓のカーテンを開ける。
5 窓外は部活に向かう中学生。
6 孝恵「…うー。頭がズキズキする。」
7 調度の時計を見ると9時を過ぎていた。孝恵が自分の服装に目をやる。
8 孝恵「え?こ、この服って…」あわててクローゼットのドアを開けて扉内側の鏡を見る。鏡には初めてホテルに泊まった時の自分の姿。
9 孝恵「そ、そんな…」部屋の床に目をやると、あの時持っていた安物のバッグ。中を開いてなかみのものを引っ掻き回す。
10孝恵「マンションのカギは?ベンツのキーはどこ?オフィスのカードキーはどこなの?」
11 バッグをさかさにして床に中のものをぶちまける。携帯も一番はじめにホテルに泊まった当時のものだ。いそいで手に取って電話帳を検索する。リストには兄夫婦の番号や、派遣会社の番号などしかない。
12 携帯の日付は3日・土曜を指している
13 孝恵は頭をかかえてへたりこんだ。
14 孝恵「夢だったんだ…ね」
15 おもむろにベッドわきデスク上の鏡を見る。
16 孝恵の額に傷跡がある。青ざめた形相で髪をかき分け額全体を鏡に映す。額に斜めに走る傷跡。

五一.○交通事故で額から血を流す孝恵(フラッシュバック)

五二.○ホテルの部屋
1 孝恵「こ、これは、あのときの怪我のあと……なの?」
2 スマホの着信音。画面は加藤(弟)の表示。スマホに出る。
3 孝恵「はい、もしもし。」
4 孝之(孝恵の弟)の声「あ、姉さん、こんどうちのお得意先の社員と会ってみない?姉さんより年下なんだけどさ。ねえ聴いてる?」
5 孝恵「聴いてるよ…」
6 孝恵は額の怪我後に手を当て慄然としたまま聞いている。

五三.○同ホテルロビー
1 高月が古びたパソコンのキーをたたいている。
2 受付のカウンター。卓上カレンダーは『4日』を示している。
3 パソコンの画面は『またのお越しをお待ちしております』のテロップが流れている。了

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コメント

  • 日常が舞台のタイムパラドックスものです。矛盾点あったらご指摘いただけるとありがたいです。 
    別句通 03/20
  • 小説版をカクヨムで公開しております。(べっく名義)

    https://kakuyomu.jp/works/16816452219052349768
    別句通 03/20
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