未来の君に告ぐ 恋愛

8年前に恋路ヶ浜に埋めたタイムカプセルを掘り起こそうと、高校三年生になった坂野李璃、奥田優、今井美佳、田辺翼、須藤佳純、橋本和也の6人は久々の再会を果たす。李璃はずっと優に想いを寄せていたが、久々に会った優は別人になっていた。李璃の恋を応援している美佳。以前付き合っていた優とやり直したい佳純。今でも李璃のことが好きな和也。それにすら気が付いていない翼。それぞれの思いが交錯する、恋路ヶ浜の2泊3日……
佐藤そら 9 3 0 03/01
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第一稿

登場人物
・坂野李璃(18)(10)…仙台に住む高校三年生
・奥田優(18)(10)…李璃の小学校の友達
・今井美佳(18)(10)…李璃の小学校の友達
・田辺翼(18)( ...続きを読む
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登場人物
・坂野李璃(18)(10)…仙台に住む高校三年生
・奥田優(18)(10)…李璃の小学校の友達
・今井美佳(18)(10)…李璃の小学校の友達
・田辺翼(18)(10)…李璃の小学校の友達
・須藤佳純(18)(10)…李璃の小学校の友達
・橋本和也(18)(10)…李璃の小学校の友達


○タイトル
   恋路ヶ浜。波が浜辺に押し寄せている。
   砂地に『未来の君に告ぐ』の文字。
   波で消えていく。

○李璃の家 マンション(夕方)
   2016年。五月、宮城県仙台市。
   高校の制服姿の坂野李璃(さかのりり)(18)がポストを開け、手紙を手に取る。
   『坂野李璃様』と書かれている。
   差出人に『田辺翼』とある。

○李璃の家 部屋(夕方)
   手紙を開く李璃。
翼の声「李璃へ 久し振り。覚えてる? 田辺翼です。今年の夏、伊良湖岬に遊びに来ない? 父の経営する貸別荘が新しくできるから、花火大会の日にでも。李璃とは随分会ってないけど、他のみんなとも高校に入ってバラバラになって、ずっと会ってないから、ここらで集まって、タイムカプセルでも掘り起こそうぜ!」
   部屋の棚の引き出しを開ける李璃。
   坂野李璃(10)、奥田優(ゆう)(10)、今井美佳(みか)(10)、田辺翼(10)、須藤佳純(かすみ)(10)、橋本和也(10)六人が科学館の前で撮った写真がある。
   引き出しを覗く。
   『李』という文字が書かれた、ちぎれた消しゴムがある。
   手に取ると微笑む李璃。

○李璃の家 ベランダ(夕方)
   夕日を見る李璃。
李璃「(歌)今わたしの願い事が叶うならば 翼がほしい この背中に鳥のように 白い翼つけて下さい……」

○海岸(夕方)
   五月、愛知県田原市。
   歩いている奥田優(18)を今井美佳(18)が後ろを追いかけながら、
美佳「ねぇ、翼から手紙来た?」
優「(冷めた様子で)ああ」
美佳「まったく、受験前の夏に何なのって話だよね。ただの現実逃避みたい」
優「……」
美佳「ねぇ、優は行く?」
優「別に、俺がいなくたって、なんも問題ないだろ?」
   立ち止まる美佳。
美佳「李璃……どうしとるかな」
   立ち止まる優。
優「さぁ。俺には関係ねぇーよ」
   寂しそうな顔の美佳。

○貸別荘(朝)
   八月、愛知県田原市。
   夏のギラギラした太陽。
   部屋の窓を開ける田辺翼(18)。

○電車内(朝)
   電車に乗っている李璃。
   ノートに絵を書いている。手をとめると青空を見る。

○貸別荘 ロビー
   ロビーにはピアノが一台置かれている。
佳純「こんにちはー」
   翼のもとに茶髪の須藤佳純(18)がやって来る。
翼「おお! 佳純」
佳純「(一人呟く)うわっ、広っ!」
翼「まあね」
佳純「(翼に向かって)あれ? まだみんな来とらんの?」
翼「あっ、うん」
佳純「そっか……。ねぇ、優って来る?」
翼「え? あぁ、あいつには強制参加って書いといたから」
佳純「そっか」
美佳「お邪魔しまーす」
   美佳が入って来る。
翼「おお! 美佳久し振り!」
美佳「久し振り。(佳純に向かって)、あれ、茶に染めたの?」
佳純「あぁ、高校入ってからはね」
美佳「そうだったんだ」
   ピアノを見る美佳。
美佳「ピアノあるんだね」
翼「あぁ、それ? お父さんの趣味だよ。ここに置きたかったんだって」
美佳「へー。相変わらず翼んとこはお金持ちだね」
   佳純が窓から外を見ている。
佳純「すごーい! ここから海見えるんだね」
翼「そう! 花火もここから見れるよ」
佳純「そうなんだ!」
   外から自転車のブレーキ音が聞こえる。
佳純「(窓から外を見ながら)あっ、あれ和也じゃない?」
   窓の外には自転車に乗り、辺りをきょろきょろ見ている橋本和也(18)がいる。
翼・美佳「ホントだ!」

○貸別荘前
   翼が出てくる。
翼「よっ! 和也!」
和也「あっ、翼!」
   中から美佳と佳純が出てくる。
和也「もう来とったんだ! ここなんだね。立派過ぎて来るとこ間違えたかと思った」
佳純「こっから花火も見れるんだって」
和也「へーそうなんだ!」
翼「すごいだらー」
和也「李璃は?」
美佳「まだだよ」
和也「そっか……」

○バス停
   バスが止まる。李璃が降りる。
   再びバスが出発する。
   深呼吸をする李璃。笑顔になる。

○海岸
   李璃が海を眺めている。
   大きく伸びをする。
李璃「(海に向かって)逢いたかったぁーー!」
   自転車に乗った優が通りかかり、李璃の後ろ姿を見つけ、驚き自転車をとめる。
李璃「(懐かしむように呟く)ただいま……」
   再び自転車のペダルに足をかけ、李璃の後ろを通り過ぎる優。

○貸別荘前
   盛り上がっている美佳、翼、佳純、和也。李璃が貸別荘に向かって歩いて来る。
美佳「あっ! あれ、もしかして李璃じゃない?」
佳純「あぁ、そうかも!」
和也「……」
翼「そうだっけ……あんなだっけ」
  ×  ×  ×
   美佳、翼、佳純、和也の前まで来る李璃。
   足をとめる。みんなを見つめ、驚いた様子の李璃。
美佳「李璃! 李璃だよね! 待っとったよー」
李璃「みんな……会えるの楽しみにしてた!」
   笑顔の李璃。
李璃「美佳、大人っぽくなったね」
美佳「そう?」
佳純「李璃こそ」
李璃「佳純だよね? 染めたんだ! 全然イメージと違った」
翼「俺はどうよ!」
李璃「うーん、雰囲気は変わんないかな? 手紙ありがとね」
和也「李璃……元気にしとった?」
李璃「うん。まぁ、元気だったよ」
   あたりを見まわす李璃。
佳純「優はまだだよ」
李璃「そう……」
   優が自転車に乗り、貸別荘に向かって来る。
翼「あれ? あれ優じゃね?」
   慌てて振り向く李璃。
   だんだん近づいてくる優。
李璃「優……」
   李璃を見て、微笑む美佳。
翼「やっと来たよ。おせーぞ!」
   五人の前で自転車をとめる優。
優「何? 翼が強制参加だって言うから来ただけだけど?」
   驚いた様子の李璃。
   チラッと李璃を見る優。
   李璃と目が合い、顔を背ける。
翼「よっしゃ! みんなで二泊三日盛り上がって行こうぜぇー!」

○貸別荘 ロビー
   中に入って来る六人。
美佳「一応わたし受験生なんですからね」
翼「俺もだよ!」
和也「みんなでしょ?」
佳純「わたしはもう受験とかいいかなー」
美佳「え、うっそ!」
   部屋に向かう翼、美佳、佳純、和也。
   ロビーのピアノに気がつき、足をとめる李璃。優に、
李璃「ねぇ、ピアノ弾いてよ」
優「え?」
李璃「昔みたいにさ」
優「俺はもう弾かないよ」
李璃「へ? 何で?」
優「俺はもう昔の俺じゃないから」
李璃「……」
   李璃を置いて部屋に向かう優。
   立ちすくむ李璃。

○貸別荘 女子部屋
   部屋にいる美佳、佳純。
   李璃が入って来る。
李璃「わたし……なんかまずいことしたかな……」
美佳「えっ? まずいこと?」
李璃「うん。さっき優にピアノ弾いてって言ったの」
佳純「あらら。それは地雷踏んじゃいましたなぁ」
李璃「えっ……」
佳純「優はもう弾かんと思うよ」
李璃「何かあったの?」
   ため息をつく佳純。
佳純「まぁ、無理もないよ。李璃は何も知らんのだで」
李璃「……」
美佳「(佳純に向かって)ちょっと!」
佳純「別にいいんじゃない? 知っとった方が」
美佳「……」
佳純「優の親、離婚したの。で、父親が買ってくれたピアノは置いて、母親と家を出て……。それからかな、優がピアノを弾かんくなったの」
李璃「そう……だったんだ」
美佳「別に李璃のせいじゃないし、気にしんくていいと思うよ」
李璃「うん……」
佳純「まっ、今時離婚なんてよくあることよ。優がわたしと同じ境遇になっただけって話ね」
李璃「……」
佳純「(美佳に向かって)久々に再会したけど、優前よりクールになっとったね。わたしと付き合ってた頃はもっと明るかったと思うけど?」
   驚く李璃。
美佳「それは……」
佳純「そうだ! ここのお風呂見てこよっ!」
   部屋を飛び出していく佳純。
   沈黙。
李璃「……わたしだけ、いろいろ知らないんだね」
美佳「李璃……」
李璃「なんか、馬鹿みたい。一人はしゃいでここ来ちゃったの。みんな変わっちゃった……」
美佳「そんなことないよ! ほら、翼なんて変わらず馬鹿丸出しじゃん?」
李璃「……」
美佳「優はさ、李璃が引っ越した後、いろいろあったんだよ。それは、わたし達にもどうにもできないっていうかさ……」
李璃「そう……」

○貸別荘 男子部屋
   部屋にいる優、翼、和也。
翼「え? じゃあ彼女おらんの?」
和也「いないよ!」
翼「おぉ、仲間じゃん。じゃあさ、そっちの学校誰か可愛い子おらん?」
和也「えー?」
翼「(優に向かって)お前は?」
優「えっ?」
翼「彼女だよ!」
優「別に。付き合っとるか分かんねぇー奴は何人かいるけど」
翼「え! 何それ! マジかよ、モテモテだなぁイケメン!」
和也「優は佳純とはどうなっとるの?」
優「佳純? あぁ、なんか高校入って自然消滅って感じ?」
和也「そうなんだ。……李璃とは?」
優「はっ? 何で? もともとなんもねーよ」

○貸別荘 ロビー
   ピアノを見つめている佳純。
   手には優とのツーショット写真。

○貸別荘 テラス(夕方)
   バーベキューの用意をする一同。
和也「飲み物ここで冷やしとくでね」
翼「はいよ」
佳純「うわ、このカボチャ固すぎ! 切れないし!」
美佳「もーわたしがやるよ」
   無言で野菜を切っている李璃。
   火おこしをする優と翼。
  ×  ×  ×
   バーベキューを楽しむ一同。
李璃「綺麗だね、夕日。夕日って毎日見ても飽きない。変わらず綺麗だなって思う」
   李璃をチラッと見る優。
佳純「懐かしい。こうやって六人で集まるの」
美佳「そうだね」
翼「俺らが仲良くなったの、社会見学の班だよな」
美佳「翼が迷子になった班ね」
翼「はっ? 迷子になったのは李璃だろ?」
李璃「(笑いながら)そうだったね」
和也「科学館で突然李璃がいなくなって。みんなで探して」
佳純「優が見つけたんだよ」
美佳「そしたら、いつの間にか翼がいなくなってて」
李璃「やっと翼と合流したら、泣いてたんだよね」
翼「はっ? 泣いてねぇし!」
   一人無言の優。
翼「でも、広い科学館で、優よく見つけたよな? どうして分かったの?」
優「へっ?」
翼「すぐ見つけたんだろ? 俺が迷子になってる間に。親友の俺を見つけるのには時間かかっとるくせに!」
優「あぁ。翼は、どうせ俺らが探してる間もちょろちょろ動いたろ? だから余計に見つけられなかったんじゃねーの?」
翼「……!」
   みんなの前から一人席を外す優。
李璃「そうだよね……」
美佳「ん?」
李璃「わたしは、迷子になったことにも気付かずにずっと同じとこに居た」
和也「あの天体のフロア?」
李璃「うん。『李璃はいつも空見てるから、きっとここにおると思った』って言ってた。『李璃は夢中になると周り見えなくなるもんね』って……」
美佳「へぇーあの優がそんなことを」
佳純「なんか焼いちゃう」
   頬を膨らます佳純。
翼「ん? 肉焼いちゃう?」
   唖然とする一同。

○海岸(夜)
   波が浜辺に押し寄せている。

○貸別荘 テラス(夜)
   バーベキューを終えている六人。
翼「なぁ、みんなは将来のこととか考えてるの?」
美佳「翼にしては珍しいこと聞くね」
翼「はっ?」
佳純「全然決まんなーい」
和也「俺は決まっとるよ」
翼「そうなの?」
和也「うん、一応ね」
佳純「なになに?」
和也「なれるか分かんないけどさ、レスキュー隊になりたいなって……」
   驚く一同。
李璃「すごいじゃん! 和也、運動神経いいし、なれそうだよ!」
   ドキッとした顔の和也。
和也「李璃に言われると……なれる気がする」
美佳「李璃は戻ってこないの?」
李璃「うーん、どうかな……。お父さんの転勤で仙台に行ったけど、本当は途中からでもみんなと同じ中学に行けたかもしれなかった」
美佳「えっ?」
李璃「震災があったじゃん? それで、お父さんの任期が伸びたっていうか……戻ることを選ばなかったの」
和也「そうだったんだ」
李璃「その日その時に、その場所に居た人にしか分からないものっていうの? この街を取り戻したいみたいな」
美佳「そっか……」
李璃「今日ここに来るのすごく楽しみだった。でも……久々に来たら……自分がちょっとこの街の人じゃない気がした。わたしの知らない場所な気がした……」
   僅かな沈黙。
   夜空に花火が上がる。
翼「始まった!」
佳純「わっ、綺麗!」
   花火を眺める六人。
  ×  ×  ×
   優の隣に行く佳純。優に、
佳純「ねぇ、覚えとる? 一緒に花火大会行ったの」
優「あぁ」
佳純「懐かしいね。迷子にならないように手……繋いでてくれたでしょ?」
優「……」
佳純「ねぇ、やり直さない……?」
優「……」
佳純「別に喧嘩別れしたわけじゃない。わたし達は……一緒でしょ? 同じ傷を抱えてる者同士」
優「それって、同情だろ?」
佳純「えっ……。でも、わたしは誰よりも優の気持ち分かっとるよ」
優「ただの傷のなめ合いじゃないか」
佳純「わたしは優の一番じゃなくてもいい……。優と居たい……」
   そっと優の手を握る佳純。
   優と佳純の背中を、物悲しく見つめる李璃。
翼「夏って感じだなぁ! おっしゃ、俺も頑張るぞぉ!」
美佳「(笑いながら)相変わらずなんだから」
和也「(李璃に向かって)どうした?」
李璃「えっ……?」
和也「ぼーっとしてたから」
李璃「あっ……そう? 花火久々に見たなって……」
和也「俺も、こうやって見たの、すごい久々な気がする」
李璃「そっか……」
和也「李璃、時が経てば変わるものもあるかもしれない。でも、ずっと変わらないものもある」
李璃「……」
和也「街が変わっても、人の気持ちが変わっても……俺の気持ちって変わらないんだ……」
   和也を見つめる李璃。
和也「優はもう、李璃の知ってる優じゃないかもしれない」
李璃「……」
和也「泣きたくなったらいつでも呼んでくれていいんだよ? 俺、レスキュー隊だから」
   少し微笑む李璃。

○恋路ヶ浜 願いのかなう鍵(朝)
   『願いのかなう鍵』が沢山かけられている。
   『誓いの鐘』の前で立っている佳純。
   手には『願いのかなう鍵』がある。海を見ている。

○海岸 秘密の場所
翼「一、二、三、四……」
   砂地で歩数を数える翼の足。
美佳「それ、意味ないんじゃないの?」
翼「えっ! でも、この大きな岩から確か十歩」
李璃「子供の足のサイズで、でしょ?」
翼「……」
佳純「四年生の時、足何センチ?」
翼「……」
和也「なんか、他に目印なかったっけ……?」
優「その大きな岩から翼の足で前に十歩。そこから右を見る。延長上に大きな松の木が見えるとこ」
翼「おぉ!」
和也「え、木なくない?」
優「切られたんだよ」
翼「え!」
優「今建物建っとるだろ? あそこの開発で切られたんだよ」
佳純「これじゃ、どこに埋めたか分かんないじゃん!」
美佳「とりあえず、予想で掘るしかないってことか……」
   沈黙。
   ショベルを手にする李璃。
   突然掘り始める。
美佳「李璃?」
   李璃、一人掘りながら、
李璃「もう、ひたすら掘るしかないでしょ?」
美佳「よし!」
   ショベルを持つ美佳。
   それにつられるようにショベルを持つ一同。
   砂を掘り始める。
  ×  ×  ×
   雲行きが怪しくなる。
佳純「待って、これ雨降ってこない?」
美佳「やばそうだね」
和也「全然出てこないんだけど!」
翼「ここであっとるのかなぁ?」
   無言で黙々と掘る李璃と優。
  ×  ×  ×
   突然大雨が降って来る。
翼「うわ! 降ってきた!」
和也「天気予報雨なんて言っとった?」
優「夕立だろ?」
佳純「もう、髪濡れる! はよ戻ろ」
美佳「雨強っ」
   貸別荘に戻ろうとする一同。
   掘ることをやめない李璃。
美佳「ちょっと、李璃! はよ戻ろ! 風邪ひいちゃう!」
李璃「……」
   優が立ち止まる。
優「(李璃に向かって)まだ、時間あるだろ? 一旦戻るぞ」
   無言でうなずく李璃。ショベルを置く。

○貸別荘 女子部屋(夕方)
佳純「雨最悪! わたし先お風呂入ってくるから!」
   部屋を出て行く佳純。
美佳「雨すごいね。これやむかなぁ」
   外を覗く美佳。
   ふと、佳純の荷物の中に『願いのかなう鍵』があることに気が付く李璃。
李璃「(呟く)転校しなかったらどうなってたんだろう……」
美佳「ん? どうした?」
李璃「へっ……いや、雨やまんね……」

○貸別荘 ロビー(夕方)
   ロビーにいる六人。外は雨。
翼「まいったなーやまない」
佳純「一日目から掘っとくべきだったんだよ」
和也「見当くらいは付けといたらよかったかもね」
翼「あーあ。何でわざわざ埋めたんだろ」
美佳「提案者がそれ言っちゃう?」
翼「いや、だって! もっと簡単に見つかると思っとったし」
李璃「……この街も変わったんだね」
翼「そうか?」
李璃「新しい建物が立って。この場所だってそうでしょ?」
翼「まぁ」
美佳「海も昔より、汚くなったかも」
和也「ところで、俺らって何埋めたっけ?」
佳純「手紙とか、写真とか?」
李璃「わたしは、当時みんなの絵描いてて、そのノート埋めた」
美佳「紙類ばっか。ちゃんと残っとるのかね?」
李璃「未来の自分に手紙書いたよね」
美佳「書いた、書いた!」
佳純「わたし何書いたっけな?」
李璃「わたしも何故か覚えてない。忘れないと思ったけど。あの頃のわたしは、今のわたしに何て言いたかったんだろ……」
和也「意外と覚えてないよな」
翼「あっ! 音楽会の楽譜埋めたよな!」
美佳「あー」
   チラッと優を見る李璃。
   みんなの会話に入らず、知らん顔の優。
翼「『翼をください』だろ? 翼だけに!」
   唖然とする一同。
佳純「何であの歌だったんだろ」
和也「合唱といえば、みたいな?」
翼「その時、優がピアノでさー!」
美佳「(小声で翼を睨み付けながら)ちょっと!」
   しまったという表情の翼。
李璃「音楽会が、わたしが最後に参加した学校行事だったな……」
佳純「そうだったっけ?」
和也「音楽会の翌日だろ? 引越したの」
佳純「そんなすぐだったっけ?」
李璃「うん、そうだよ」
美佳「せっかく仲良くなったのにって。だからまた会おうってみんなで埋めたんだよ」
翼「ちょっとさ、やっぱ、それ提案した俺素敵じゃない? 実際こうやって集まったんだし!」
美佳「はい、はい」
翼「何だよー。まぁーでもさ、こうやって集まれたんだし、最悪タイムカプセルが出てこなくてもいいんじゃない?」
佳純「まっ、苦労して見つからないとか、やってられないしね」
   少し悲しそうな表情の李璃。

○貸別荘 テラス(夜)
   雨が上がっている。
   テラスにいる李璃。美佳がやって来る。
美佳「どうした? 元気ない」
李璃「そっかな」
美佳「優とは話せた?」
李璃「どうかな……」
美佳「せっかく会えたんだから」
李璃「八年は、やっぱり大きかった。何話したらいいか分かんないんだよね」
美佳「人に気持ちを伝える方法は、言葉だけじゃないと思うよ」
李璃「え……?」
美佳「熱量って、言葉がなくても相手に伝わるもんだよ」
   沈黙。
李璃「でも……優と佳純にしか分からないものがあるんだよ」
美佳「そうかな? 優は本当はそこから抜け出したいんじゃないかな?」
李璃「えっ?」
美佳「優の心の中には、きっと今でも李璃がいると思うよ。わたしはそう思う」
   沈黙。
   大きくため息をつく李璃。
李璃「(涙を堪えながら)二度と会いたくなかった……」
   美佳は李璃を抱きしめる。
美佳「二度と会いたくなかったっていうのは、ずっと会いたかったってことだよ」
   李璃の目から涙がこぼれる。

○海岸(夜)
   海を見ている優。佳純が横にやって来る。
佳純「雨やんだね」
優「あぁ」
佳純「ねぇ、この浜の伝説知っとる?」
優「伝説?」
佳純「昔、高貴な身分の男女が許されない恋をした。そんな二人が都を追われて逃げてきた場所。それが恋路ヶ浜」
優「あぁ」
佳純「二人とも病になって、亡くなっちゃうの。悲しい恋の物語だよね。でも今は恋人の聖地になった」
優「(興味がなさそうに)へぇー……」
佳純「ねぇ、二人でかけに行かない? 『願いのかなう鍵』」
優「……」
   その場を立ち去ろうとする優。
   優の腕を掴む佳純。
佳純「優、わたし待っとるよ。ずっと今でも、優が好きだよ」
優「……」
佳純「わたしじゃダメなの?」
優「別にそういうことじゃ……」
佳純「……」
優「ごめん……」
   佳純の手を払う優。
佳純「やっぱり、李璃がいいの?」
優「……」
   無言で立ち去る。
   『願いのかなう鍵』を取り出す佳純。
   静かに泣く。

○貸別荘 男子部屋(夜)
   窓を開ける和也。
   雨粒が付いた蜘蛛の巣を見つける。
   部屋にいる翼に、
和也「蜘蛛の巣にかかった蝶がいる。蝶を助けようと思う?」
翼「(笑いながら)何だよそれ?」
和也「俺は昔、蝶がかわいそうだと思った」
翼「まぁ、捕まっちゃったら、しゃーないわな」
和也「でもそれは、ずっと巣で待ち続けてた蜘蛛にとっては生きていく為に必要なものなんだよな」
翼「あぁ」
和也「『蝶を助けたら蜘蛛がかわいそうだよ!』って、昔李璃が言ってた」
翼「え? 李璃が?」
和也「(懐かしそうに)うん。確かにそうだなって後から思った」
   蜘蛛の巣を見て微笑む和也。
   驚いた様子の翼。
和也「俺は今でも李璃の巣から抜け出せないでいるよ」
翼「えっ!?」
和也「まぁ、それで死んだとしても本望か」
翼「……!」
和也「レスキュー隊目指すとかさ、それも結局李璃に言われたからなんだよね」
翼「え……!」
和也「体育で走り高跳びやったことあったじゃん? 学年一番の記録でさ。『すごーい、レスキュー隊とかなれそう』って言われてさ」
翼「……」
和也「(笑いながら)何の根拠もないのに」
翼「えっ! お前李璃が好きなの!?」
和也「えっ? そっから?」
翼「マジかよ。じゃあ、みんなカップルだな!」
和也「え? カップル?」
翼「だって、もともと優と佳純だろ? で、和也と李璃。俺は美佳! ちょっとー何青春しちゃってるのぉー! さすが恋の伝説の地」
和也「……」
翼「よし、協力し合おうぜ! 優と佳純はまぁうまくいくだろうから、李璃と引き合わせてやるから、和也は美佳と俺をこうさぁ……」
和也「それは難しいと思うよ」
翼「えっ! 何で! やってみなきゃ分かんねぇだろ?」
和也「分かってないなぁ。李璃の心の中には俺はいないよ」
   苦笑いの和也。
翼「えっ?」

○貸別荘前(深夜)
   扉を開け外に出る李璃。
   波の音が聞こえる。
   足元に貝殻を見つけ手に取る。
李璃「わたしの心も貝になっちゃうのかな……」
   貝殻に話しかけるように、
李璃「あなたは何年この海を見てきたの? この海は変わった?」
   何も答えない貝殻。
李璃「変わらないものなんてないんだよね」
   ポケットから『李』という文字が書かれた、ちぎれた消しゴムを取り出す。
   寂しそうに見つめる。

○海岸 秘密の場所(早朝)
   一人ショベルを持ち、水分を含んだ砂を必死に掘る李璃。
   いろいろな場所を掘った跡がある。

○貸別荘 男子部屋(早朝)
   目を覚ます優。翼と和也は寝ている。
   そっと部屋を出る優。

○海岸 秘密の場所(早朝)
   優がやって来る。
   穴を掘る李璃を見つける。目が合う二人。
優「何やってんだよ」
李璃「見れば分かるでしょ」
優「みんな期待してないし、掘ったって出てこないかもしんねーぞ」
   砂を掘る手が止まる李璃。
李璃「そんなの……そんなの分かっとるし! みんなにとっては、昨日と変わらない場所かもしれない。でも、わたしにとっては……大切な場所なの! 優と一緒にいた大切な場所なの!」
   自分の言葉にハッとする李璃。
   顔の汗をぬぐう。
   湿った砂が李璃の顔に付く。
   再び掘り進める。
   優が李璃に近づき、ショベルを李璃から取り上げる。
優「こんな掘り方じゃ日が暮れちまうだろ」
李璃「……」
   優を見る李璃。
   手で李璃の顔に付いた砂を取る優。
   ドキッとする李璃。
   砂を掘り始める優。
優「何ポカンとしてんだよ! 李璃もやれ、二人でやった方が早いだろ!」
李璃「……」
優「はよ!」
   こくりと頷く李璃。
  ×  ×  ×
   美佳、翼、佳純、和也がやって来る。
   目で何かを測り、掘るポイントを出す優。
優「ここで合っとると思うんだよ」
李璃「(笑いながら)それさっきも聞いた」
優「うるせぇ、今度は合っとる!」
李璃「(笑いながら)うん」
   李璃と優の様子に驚く美佳、翼、佳純、和也。
翼「おい、何先に二人で始めとるんだよ! 俺も起こせよ!」
優「何でだよ。おせーんだよ」
美佳「さっ、ちゃっちゃと掘り起こしますか」
佳純「……」
和也「……」

○海岸
   波が浜辺に押し寄せている。

○海岸 秘密の場所
   無数に掘られた穴がある。
   優がショベルを差し込む。
   カチッっと音がする。
李璃・優「あっ!」
美佳「今音聞こえたよね?」
佳純「うん」
   砂を手でかき分ける李璃。
   八年前に埋めたタイムカプセルが出てくる。
一同「あった!」
   喜び合う一同。
   タイムカプセルを取り出す李璃。蓋を開ける。
   中身は包まれているが、中まで水が入ってきている。
佳純「なんか……溶けとる?」
   一つずつ中身を取り出す一同。
美佳「あーあ。手紙風化しとる」
佳純「水が入って来ちゃってるんだね。せっかくの手紙が……」
   ボロボロになった紙状のものを取り出す和也。
和也「これって、写真だよな?」
翼「たぶん……。いや、楽譜?」
   そっと、錆付いたお菓子の缶を取り出す優。
   ノートを取り出す李璃。中をめくる。
美佳「李璃のは無事?」
李璃「うーん。描いてた絵は分かんないかな」
翼「何だよーせっかく必死に掘ったのにぃー」
和也「まぁ、見つかったんだからよかったじゃん」
   李璃が一枚一枚ノートをめくると、間に手紙が挟まっている。
李璃「あっ……」
美佳「手紙? 残っとるの?」
佳純「えーいいなぁー」
   優がお菓子の缶を開ける。
   風化した手紙と、砂だらけになった塊が出てくる。
翼「優のは?」
   サッと砂だらけの塊をポケットに仕舞う。
優「ダメ。溶けとるわ」
翼「マジかぁー」
佳純「報われない努力」
翼「なぁ、みんなで小学校行かない?」
   驚く、李璃、優、美佳、佳純、和也。

○岬小学校 校庭(夕方)
翼・和也「わぁーー!」
   校庭を走る翼と和也。
美佳「(笑いながら)子供か」
佳純「変わんないね」

○岬小学校 クスノキ前(夕方)
   李璃が大きなクスノキの前に歩いてくる。
   クスノキに向かって、
李璃「久し振り。覚えてますか、わたしのこと」
   風が吹き、クスノキがザワザワ音を立てる。
李璃「あなたはここで、沢山の卒業生を見てきたんですね。わたしは……この学校の卒業生にはなれなかった」
   美佳がやって来る。
美佳「李璃? 何してるの? 教室行くよ!」
李璃「あっ、うん」
   クスノキを見つめた後、駆けて行く李璃。

○岬小学校 教室『4年2組』(夕方)
   教室にいる六人。
佳純「懐かしー」
翼「こんなに椅子って小さかったっけ?」
和也「こんな時代があったんだなぁ」
   李璃が昔座っていた座席に着く。
   列を挟んだ反対隣の席を見つめる。
美佳「ここが優の席かぁ」
   顔を見合わせる美佳と李璃。
   一人窓の外を見ている優。
   大きなクスノキが見える。
   そっと教室を出る優。

○岬小学校 音楽室(夕方)
   音楽室にいる優。
   ポケットから砂だらけの塊を取り出す。
   こすって砂を落とす。
   『璃』という文字が書かれた消しゴムが見えてくる。
   優の顔がほころぶ。
   音楽室の扉が開く。李璃が立っている。
李璃「優……!」
   消しゴムをポケットに戻す優。
李璃「ここに居たんだ」
優「……」
   窓を開ける李璃。古いツバメの巣がある。
李璃「まだあったんだ……」
優「いつの間にか、ツバメも戻ってこなくなった」
李璃「そうなんだ……。覚えてる? 優は巣から落ちたヒナを戻してあげたんだよね」
優「そうだっけ」
李璃「優は優しいから」
優「昔の話だろ」
李璃「優は今でも優しいよ」
優「……」
   沈黙。
優「俺の両親離婚してさ、それから母さん、とっかえひっかえ別の男連れてたこともあった。大人って勝手だなって思った」
李璃「……」
優「でも、それは俺を育てるためだったのかもしんない。最近はそう思う」
李璃「優の気持ち、わたしには分からないかもしれない……。うん。八年一度も会ってないわたしに、分かるわけないんだよ……」
優「惨めに感じるんだ。こうやって昔の自分を探してしまうと」
   沈黙。
李璃「(歌)今わたしの願い事が叶うならば 翼がほしい この背中に鳥のように 白い翼つけて下さい……」
   驚く優。
李璃「仙台行ってからずっと思ってた。翼があったら飛んで来れるのにって。十歳のわたしには遠かった。この距離が」
優「……」
李璃「わたし、優の弾くピアノ好きだった」
優「言ったろ、もう弾かないって」
李璃「うん、分かっとる。だから、最後に聞けて良かった。優のピアノであの日歌えてよかった」
優「もう、ピアノの話はやめろよ」
李璃「でも……じゃあどうして、優は今音楽室にいるの?」

○岬小学校 廊下(夕方)
翼「あいつらどこ行ったんだよ!」
美佳「翼が来ようって言ったんでしょ」
佳純「二人でおらんくなるとかありえないんだけど」
和也「あれ? 何か聞こえない?」
翼・美佳・佳純「えっ?」
   ピアノの音が聞こえる。
佳純「一階じゃない?」
   音の方へ走り出す一同。

○岬小学校 音楽室前(夕方)
   ピアノの音と李璃の歌声が聞こえる。
李璃の声「(歌)この大空に翼を広げ 飛んで行きたいよ 悲しみのない自由な空へ 翼はためかせ 行きたい……」
美佳「李璃……」
佳純「ピアノ……」

○岬小学校 音楽室(夕方)
   音楽室の扉が開く。
李璃「みんな……」
   我に返った様子の優。
翼「おいおい! 翼は俺だろ? 一人じゃ合唱じゃねーぞ! こういうのはみんなで……」
美佳「(被せて)さっ、そろそろ戻らない? 日が暮れちゃうよ」
李璃「ごめん。そうだね」

○岬小学校 教室『4年2組』(夕方)
   教室に戻る一同。
   翼が教室の隅にあったボールを手に取る。
   ロッカーを見て、
翼「なぁ、このロッカーにボールをシュートしてみようぜ。自分が昔使っていたロッカーにボールが入ったら、これから夢を叶えること!」
佳純「何それ、ルールむちゃくちゃ」
和也「いいじゃん! やろうよ!」
優「俺、帰るわ」
翼「えっ!」
優「タイムカプセルも見つかったし、もういいだろ?」
翼「いや、それは……」
優「じゃあ、またいつか」
美佳「ちょっと、優!」
   教室を一人出て行く優。
一同「……」
和也「よし、俺から投げる」
   翼からボールを取り上げ、ロッカーに投げる。
   ロッカーに入るが、力が強く跳ね返ってボールが外に出る。
和也「あーくっそ!」
佳純「じゃ、わたしも」
   和也からボールを受け取る佳純。
  ×  ×  ×
   一同がボールを投げている傍ら、ふと、優の昔の座席を見る李璃。
   机の上にちぎれた消しゴムが置かれている。
   手に取ってみると『璃』の文字。
李璃「わたしの……」
   動揺する李璃。
  ×  ×  ×
翼「うわ! これ、意外と難しいな!」
   李璃の前にボールを差し出す美佳。
美佳「はい、李璃の番だよ」
   ボールを受け取る李璃。
   タイムカプセルの中のノートに挟まっていた手紙を自分のロッカーに入れる。
   ロッカーに向かってボールを投げる。
   ボールは、ロッカーの中に入り、弾みながらロッカーの中で止まる。
一同「入った!」
   驚く李璃。
   ロッカーから手紙を取り出し、広げる。
   『自分にすなおに生きること わたしは優が好きです』の文字。
   後ろから覗き込んだ美佳が、
美佳「(李璃の肩に手を添えながら)夢、叶えないと」
   手紙と机に置かれた消しゴムを手に、走って教室を飛び出す李璃。

○道(夕方)
   走る李璃。

○海岸(夕方)
   歩いている優の後ろ姿を見つける李璃。
李璃「(息を切らしながら)待って! 待って優!」
   李璃の声に立ち止まる優。
   優に追いつき、息を切らしながら立ち止まる李璃。
李璃「これ……」
   『璃』と書かれた消しゴムを優に差し出す。
李璃「持ってたんだ」
優「……」
   『璃』と書かれた消しゴムを優の手に渡す。
   ポケットから『李』と書かれた消しゴムを取り出す李璃。
   驚く優。
李璃「過去は変えられないけど、未来は変えていけるよ」
優「……」
李璃「わたし、自分に素直に生きることにした。それが、昔のわたしが未来のわたしに望んでいたことだから」
   李璃を見つめる優。
李璃「わたしは優が好きです」
   李璃を抱きしめる優。
優「俺も……。俺もずっと昔から李璃が好き」
  ×  ×  ×
   少し遠くからその様子を見ている美佳、翼、佳純、和也。
佳純「悔しいけど、結局こうなるのね」
翼「えっ! 優って李璃が好きだったの!?」
美佳「え? そっから?」
和也「李璃が幸せならよかった。うん……」
  ×  ×  ×
   夕日を見つめる李璃と優。
優「今度は俺が仙台に会いに行くよ」
李璃「うん。待っとる……」

○恋路ヶ浜 願いのかなう鍵(夕方)
   少し錆びた鍵がある。札が風に揺れている。
   札には『いつかもう一度 李璃に会えますように 優』とある。
END

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