重い女 日常

可愛い女の子と付き合いました。 その日から体が重いです。でも軽くなりました。
M.K. 8 0 0 02/24
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第一稿

<登場人物>
・坂本 友樹(22) 大学生
・高橋 沙織(20) 坂本の彼女

・藤田 大介(22) 坂本の同級生
・佐藤 菜奈(21) 沙織の友人

<本編>
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<登場人物>
・坂本 友樹(22) 大学生
・高橋 沙織(20) 坂本の彼女

・藤田 大介(22) 坂本の同級生
・佐藤 菜奈(21) 沙織の友人

<本編>
○道路・歩道
  地面に這いつくばる坂本友樹(22)、髪や身なりが乱れている。
  通り過ぎる人が坂本を見る。
  坂本、必死に手を伸ばし、匍匐で進んで行く。
  坂本の頬から汗が流れる。
坂本ナ「立てないほど体が重い。それは彼女と付き合ってからだ」
  坂本の振り返る視線の先に、高橋沙織(20)が立っている。
  沙織の口角が不適に上がる。

○タイトル「重い女」

○坂本家・居間(夕)
  坂本、テレビを見て笑っている。
  テーブルのスマホに着信。
  坂本、テレビを見たままスマホを取る。
  スマホ画面、『藤田』からの着信。
  坂本、電話に出る。
坂本「もしもし」

○商店街・コンコース(夕)
  藤田大介(22)、電話しながら歩いている。
藤田「あ、もしもし。突然なんだけど、今暇してる?」
坂本「(電話)んまー、暇だけど」
  電話越しに坂本の笑い声が聞こえる。
藤田「暇そうだね。これから飲みなんだけど、人数足りなくなっちゃって来れ
 る?」
坂本「(電話)行くに決まってんだろ。そこから動くなよ!」
  と、電話が切れる。
藤田「話を最後まで聞けよ。場所伝えてないだろ」

○坂本家・居間(夕)
  坂本、服を脱ぎ捨てて風呂に向かう。

○居酒屋・前(夜)
  藤田の元に坂本が来る。
藤田「よく場所分かったな」
坂本「お前が飲みする時は、ここだからな。で、女の子はいい感じなの?」
藤田「相変わらずだな……」
  沙織と佐藤菜奈(21)が来る。
  菜奈の後ろに沙織が隠れるように立つ。
菜奈「あの……」
藤田「おお、久しぶり。元気してた?」
菜奈「はい」
藤田「こいつは坂本、高校の同級生。大学は違うから始めましてだよね」
坂本「(軽く頭を下げる)」
菜奈「はい」
藤田「後ろの子は?」
菜奈「友人の沙織です」
沙織「(一歩出て)高橋沙織です。よろしくお願いします。菜奈とは高校時代か
 らの友人で、色々とよく」
藤田「(微笑む)まあまあ。店に入ってから話そうよ」
沙織「(ハッと我に返る)ごめんなさい。つい」
  坂本、沙織を見つめる。

○同・中(夜)
  坂本と沙織が並んで座り、盛り上がっている。
坂本「バックから上がった俺がゴールを決めたんだけど、何故か大介のパスが評価されて全然目立てなかったんだよ」
沙織「(口を押さえて笑う)友樹さんって面白いですね」
坂本「そうかな?」
  と、ビールジョッキを一気飲みする。
沙織「私は家から全然出なかったな。運動できないし友達も少ないから、そんな経験ないな。唯一、菜奈ちゃんが仲良くしてくれる友達で……優しいし、可愛い
 し、完璧で憧れる」
坂本「いやいや。沙織ちゃんも可愛いよ」
沙織「自分なんて全然だよ。整形したいくらい」
坂本「整形なんて必要ない。沙織ちゃんは可愛い、俺が保証する」
  と、沙織の目を見つめる。
沙織「バカ。男なんて信じられない」
坂本「俺を信じて」

○坂本家・居間(朝)
  カーテンの隙間から朝日が差し込む。
  脱ぎ捨てられた男女の服。
  坂本と沙織、ベッドで寝ている。
坂本「(頭を押さえ)いってぇ。飲み過ぎた」
  と、横を見る。
  服を着てない沙織が寝ている。
坂本「まじか……」
  目を覚ます沙織、布団で肩を隠す。
坂本「あのさ」
  沙織、上目遣いで坂本を見る。

○住宅街・道(夜)
  坂本と藤田、並んで歩く。
藤田「上手く行ってるの?沙織ちゃんと」
坂本「順調順調。いつ連絡しても直ぐ返信くれるし、俺を大切に?一番に想って
 くれてる。良い子なんだ」
藤田「うわ。俺の紹介みたいなもんなのに、惚気んな」
坂本「いいだろ」

○坂本家・外観(夜)
  中層マンション。

○同・エントランス(夜)
  坂本、エレベーターから勢いよく出る。
  坂本の部屋の前に、キャリーバックを持った沙織が座っている。
  驚く坂本。
坂本「おー、びっくりした。どうしたの?」
沙織「(坂本に飛び付く)ごめん。急に寂しくなっちゃって」
  坂本、沙織の頭を撫でる。
  沙織、坂本の懐に顔を埋める。

○空(夜〜朝)
  晴れた空。

○坂本家・居間(朝)
  私服に着替える坂本。
  沙織、鏡を見て前髪をいじる。
坂本「今日の買い物は、どこ行くの?」
沙織「秘密だよ」
坂本「えー、教えてよー」
  坂本のスマホが鳴る。
  沙織、スマホを見る。
沙織「誰?」
坂本「(素っ気なく)バイトの後輩」
  沙織、スマホを取り上げて見る。
  スマホに『あみ』の文字。
沙織「(呟く)女の子」
  沙織、坂本に画面を見せる。
沙織「消して」
坂本「……」
沙織「(大声)消して!」
  と、膝を抱える。
  坂本、戸惑いながらスマホを見る。
坂本「バイトのシフトの事なんだけど」
  沙織、耳を塞ぐ。
沙織「(絶叫)あああああ!」
坂本、呆然と立ち尽くす。
沙織、ブツブツと早口で言葉を吐いている。
坂本「ごめん、ごめん」
  と、沙織を抱きしめる。
  ブツブツ言う沙織は治らない。
坂本「消すから。消すから落ち着いて。ね、ほら消したよ。消したから」
  沙織、スマホを見せる坂本からスマホを奪う。
坂本「消えてるでしょ」
沙織「(耳元で囁く)一人にしないで」

○道路・歩道
  首を回しながら歩く坂本、立ち止まって肩を回す。
坂本「いってぇ。疲れて……」
  ポケットのスマホが鳴る。
  坂本、スマホを見る。
  沙織からのメッセージ。
沙織メ「いつ帰って来るの?」
  坂本が返信してる途中に、
沙織メ「いつ帰って来るの?今どこ?」
沙織メ「ねぇ、無視しないで」
  と、立て続けにメッセージが届く。
坂本メ「すぐ帰るよ」
沙織メ「了解。寂しかった」

○空(夕)
  夕焼けの空。

○坂本家・居間(夕)
  坂本が帰宅すると、沙織が料理を作っている。
  沙織、坂本を見て、
沙織「おかえり。返信遅かったから、心配しちゃった」
  と、包丁を持って近づいて来る。
坂本「う、うん。ポケットからスマホ出すのに戸惑っちゃってさ」
沙織「(不敵な笑み)ならいいの。今日のご飯はね、肉じゃがなんだよ。友くんの為に作ったから、いっぱい食べてね」
坂本「そうなんだ。でも、まだお腹空いてないから」
沙織「(表情を変えずに)今日のご飯は、肉じゃがなんだよ。友くんの為に作っ
 たから、いっぱい食べてね」
坂本「……えっ」
沙織「私のご飯が食べれないの」
坂本「いや、まだお腹が……夕方だよ」
沙織「食べたくないの?」
  沙織の持っている包丁が光る。
坂本「食べるよ。食べるから」
  沙織、ニコッと笑い、キッチンに戻る。

○コンビニ・前(夜)
  坂本、勢いよく出て来る。

○道路・交差点(夜)
  点滅する青信号。
  走る坂本、スマホを見る。
  沙織から長文のメッセージが立て続けに送られて来る。
  坂本、立ち止まって返信する。
坂本メ「ごめん。バイト長引いて、今ダッシュで帰ってる」
沙織メ「連絡してよ」
  赤信号。
  信号待ちする坂本、衝撃で膝をつく。
坂本「痛い……なんか衝撃が」
沙織メ「早く帰ってきて」
  坂本、震えながら返信する。
坂本メ「走って帰るよ」
沙織メ「待ってるね」
  坂本、震えが止まり、立ち上がる。
  スマホが鳴る。
  驚く坂本、スマホを見る。
  スマホに『藤田』の文字。
  坂本、安堵して電話に出る。
坂本「もしもし?」
藤田「(電話)暇?これから飲もうぜ」
坂本「まぁ……暇だよ。暇、いつもの店?」
藤田「(電話)そう。待ってまーす」


○居酒屋・中(夜)
  藤田、笑いながら枝豆をつまむ。
  不貞腐れる坂本、ビールを飲む。
藤田「それでそれで?」
坂本「笑い事じゃないんだよ。こっちは死活問題」
藤田「人の不幸は蜜の味。酒の肴に持ってこいだろ」
坂本「お前、メンヘラの恐怖知らねえから言えるんだ」
藤田「適当に女の子を家に連れ込んだ罰だな」
坂本「酔って記憶にないんだってー」
  坂本のスマホにメッセージが引っ切り無しに届く。
坂本「ほらほらほらほら、来たよ」
  と、藤田にスマホを見せる。
藤田「怖」
  沙織から電話が掛かってくる。
藤田「出ろよ。電話だぞ」
坂本「いいよ、いいよ。今日くらい」
  と、電話を切る。
藤田「切っちゃった」
坂本「なんかさー最近、体重いんだよ」
藤田「そんなストレスなら別れたら?」
坂本「別れらんねぇんだよ……」

○坂本家・居間(夜)
  暗い部屋で沙織が錠剤の薬を大量に飲む。

○道路・歩道(夜〜朝)
  酔っ払って歩く坂本、電柱に寄りかかる。
  坂本、目を瞑って眠る。
  ×  × ×
  坂本、スズメの泣き声で目を覚ます。
  ポケットのスマホが鳴る。
  坂本、スマホを見る。
  スマホに大量のメッセージと着信。
  坂本、足に力が入らず、立ち上がれない。
  地面に這いつくばる坂本友樹、髪や身なりが乱れている。
  通り過ぎる人が坂本を見る。
  坂本、必死に手を伸ばし、匍匐で進んで行く。
  坂本の頬から汗が流れる。
坂本「(心の声)立てないほど体が重い。なんでこんなに重いんだ」
  坂本の振り返る視線の先に、沙織が立っている。
  沙織の口角が不適に上がる。
坂本「えっ!」
  と、目を擦る。
  沙織の姿は無い。

○坂本家・エントランス(朝)
  坂本、壁に手をつき、ヨタヨタと歩く。

○同・居間(朝)
  ヨタヨタと入って来る坂本、座っている沙織に気づく。
坂本「(恐る恐る)ただいま」
  沙織、首だけ坂本を見る。
  沙織の目に涙の跡がついている。
沙織「おかえり。遅かったね」
坂本「藤田と飲みに行ってて」
沙織「そうなんだ」
坂本「なんか……体重くて」
沙織「飲み過ぎたんじゃない?」
  と、コップに入った水を渡す。
  坂本、コップの水を飲む。
坂本「ありがと。ちょっと横になるね。眠くなってきたし」
  と、ベットに倒れ込む。
  机の下に置かれた睡眠薬。
  沙織、坂本をベッドに寝かせる。
  落ちた包丁。
  沙織、坂本の胸に顔を埋める。
沙織「もう、どこにも行かないでね」

○坂本の脳内イメージ
  アイスを食べる沙織。
  ご飯を作る沙織。
  服を選ぶ沙織。
  出会った居酒屋で話す沙織。
坂本ナ「こんな人じゃないと思ってたのにな」
  暗い部屋で微笑む沙織。
  包丁を向ける沙織。
  薬を大量に飲む沙織。
  坂本、沙織に包丁で刺され目を覚ます。

○坂本家。居間〜ベランダ
  坂本、飛び起きる。
  誰も居ない部屋。
  肩を回す坂本、立ち上がる。
坂本「楽になってる」
  と、カーテンを開け、伸びをしながらベランダに出る。
坂本「良い天気」
  坂本の足が浮く。
坂本「えっ」
  坂本の体が浮く。
坂本「なんで」
  坂本、ベランダの柵を掴もうとするが掴めない。
坂本「ちょ、なんで!」
  宙でもがく坂本、居間を見る。
  寝ている坂本の胸に顔を埋めている沙織。
  坂本の胸に包丁が刺さっている。
坂本「……嘘だろ」
  空高く上がって行く坂本。
  沙織、坂本の顔を触る。
沙織「友くんは私の物」

  終わり

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