ひとことだけ 日常

疲弊したサラリーマンの主人公は、ある『ひとこと』への蟠りを抱えていた。マンションでは、夫の帰りを待つ愛する妻がいる。だが、そんな妻を無視しなければならない理由がありました。
浅見貴弘 7 0 0 09/04
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第一稿

〇バス停(夜)
   バスが発車すると、その陰からスーツ
   姿の神野要一(30)が現れる。
   神野、虚ろな目でバスを見送っている。
   
〇帰り道(夜)
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〇バス停(夜)
   バスが発車すると、その陰からスーツ
   姿の神野要一(30)が現れる。
   神野、虚ろな目でバスを見送っている。
   
〇帰り道(夜)
   ヒグラシが鳴いている。
   神野、スマホを操作している。
   
〇スマホ画面
   受信メール画面一覧から『未希子』を
   選んでいる。スマホの時刻は『18:55』、
   『17/12/18』のメールを開こうとするが、
   やめる。

〇帰り道~マンション・外観(夜)
   神野、立ち止まり、マンションを見上げる。

〇マンション・エレベーター内(夜)
   神野、階数のディスプレイをぼんやりと
   眺めている。

〇同・玄関内(夜)
   清潔感にあふれた明るい玄関。
   神野、鍵を開けて入ってくる。

〇同・リビング(夜)
   神野、扉を開けて入ってくる。
   神野未希子(28)、台所で料理をしている。
未希子「おかえり~、遅かったね」
   神野、反応をせずダイニングテーブル
   の椅子に鞄を置く。
未希子「寒かったから、今日はシチューだよ」
   神野、反応せずネクタイを外し、上着
   をダイニングテーブルの椅子に掛ける。

〇同・台所(夜)
   神野、シンクの前に立ち、コップに水
   を注いでいる。
   神野に近づき、
未希子「今日、要ちゃんに冬物のニット買っ
 たんだよ。あとで見てね」
   と、笑っている未希子。
   神野、反応せず水を飲み干す。
   未希子の表情、次第に沈んでいく。
未希子「いつも、お疲れ様」
   神野、反応せずコップをシンクに置く。
  
〇ぐつぐつ煮立っている鍋
未希子の声「疲れているのに、話しかけてご
 めんね」
 
〇神野と未希子のツーショット写真
未希子の声「ごめんね……」

〇マンション・台所(夜)
   未希子、神野の背中に向かって、何か
   を言いかけた瞬間、突然部屋の灯り
   が落ち、部屋が暗闇に包まれる。
神野「未希子……」
   神野、肩を震わせ、すすり泣いている。
神野「未希子……」
   外で打ち上げ花火の音がしている。
   神野、窓を振り返るとわずかに開い
   たカーテンの隙間から、花火の灯りが
   漏れている。
   神野、ゆっくりとした足取りで、窓に
   近づく。

〇同・リビング(夜)
   部屋の中、散らかっている。
   神野、窓の前に立つと、ゆっくりとカ
   ーテンを開ける。
   その瞬間、大きな打ち上げ花火が夜空
   に広がる。
   神野、スマホを操作し始める。

〇スマホ画面
   神野、『17/12/18』のメールを開く。
   
〇マンション・リビング(夜)
   神野、スマホ画面の灯りで顔が照らせ
   れている。

〇スマホ画面
   『誕生日おめでとう、要ちゃん。一足
   先に三十路だね。来年は一緒に、花火
   見られるといいな』との文面。
   スマホ画面に涙が落ちる。

〇マンション・リビング(夜)
   神野、スマホから顔を上げて、窓の外
   を眺める。
神野「未希子、ありがとう……」
   神野、声を上げて泣き始める。
   打ち上げ花火が夜空に広がっている。

                 (了)

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