カーツ惑星調査団♯6『目覚めた男 in 惑星チョクガ(前編)』 SF

金銀宝石と交換でエネルギー補給が出来る惑星で、平和に過ごしていたカーツ惑星調査団の面々の前に、まるで怪獣のような身体能力を持った男が現れる。その男を見たラヤドケ・S・リオト(33)は何故か青ざめ、タノク・M・イリウス(20)に男の確保を命令する。
マヤマ 山本 60 0 0 08/15
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第一稿

<登場人物>
タノク・M・イリウス/影タノク(20)団員/影の巨人
ナサマチ・F・ダラ(17)同
テシ・Y・ケルナー(8)同
ナサマチ・F・ルギエバ(46)同団長、ダラの父 ...続きを読む
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<登場人物>
タノク・M・イリウス/影タノク(20)団員/影の巨人
ナサマチ・F・ダラ(17)同
テシ・Y・ケルナー(8)同
ナサマチ・F・ルギエバ(46)同団長、ダラの父
ラヤドケ・S・リオト(33)同副団長
 
矢浦/影矢浦(26)宇宙探偵/影の巨人
田尾(22)矢浦の世話係、女性型アンドロイド
クチヲ・X・ンタレス(29)
 
高跳獣・シャラ



<本編>
○惑星チョクガ・外観
   白色の惑星
   T「惑星チョクガ」

○同・エネルギースタンド
   大規模なガソリンスタンドのような建物。
   エネルギーの補給を行う多数の宇宙船、その中にツエーツ号。
ナサマチの声「惑星チョクガ、ええ星やな」

○同・レストラン
   窓の外から、エネルギースタンドの様子が見える店内。
   テーブルを囲み食事をするタノク・M・イリウス(20)、ナサマチ・F・ダラ(17)、テシ・Y・ケルナー(8)、ナサマチ・F・ルギエバ(46)、ラヤドケ・S・リオト(33)。タノクはいつもほど食が進んでいない。
ナサマチ「エネルギーの補給はシステム化されとるし、それも宝石なんかとの交換でええ。危険な事する必要あらへんし、どこの星もこないなったらええのにな」
ダラ「ほんまやな。エネルギーだけやのうて、他にも色々買い物できそうやし」
テシ「僕、新しいラジコン欲しい~」
ラヤドケ「テシさん。だからと言って、勝手に球体カメラをラジコン代わりにして遊んだりしていませんよね?」
テシ「え、してないよ?」
ダラ「リオトさん、何で急にそんな事言うん?」
ラヤドケ「いえ、球体カメラが一台足りないので、もしかしてと思っただけです」
ダラ「ソレは、あれちゃう? 惑星ソムンの遺跡の中に一台置いてったやないですか?」
ラヤドケ「もちろん、それは除いてあります」
ナサマチ「そら、気になりまんな」
テシ「イリウス君は、何か知らない?」
   タノクの食の進み具合に気付く一同。
ダラ「どうしたん、イリウス? 全然食べてへんやんけ」
タノク「え? あぁ……」
ラヤドケ「何か、体に異常でもあるんですか?」
タノク「そういう訳じゃ……」
ラヤドケ「タノクさんは、我が団の最重要任務を担う方です。どんな些細な事でも、情報は共有させてください」
ダラ「?」
ナサマチ「あ、あれやろ。恋の病やろ?」
テシ「どんな名医でも治せない、って奴?」
ダラ「どこで覚えてくんねん、そんな言葉」
タノク「そういうんじゃねぇけど……なぁ、一個聞いていいか?」
ナサマチ「何や?」
タノク「俺って、記憶失くす前からサーゼシステム使ってた?」
ラヤドケ「いいえ。使っていませんが……何故ですか?」
タノク「この間、ちょっと変な感覚があってさ」
ダラ「矢浦と戦った時か?」
タノク「あぁ。一瞬、妙な映像が頭よぎったんだよ」
ラヤドケ「説明していただけますか?」

○(フラッシュ)惑星ペユワー・広場
   体長五〇メートル程の高さからの視点。眼下にタノクらと同じ制服、装備をしたカーツ惑星調査団の面々が数十人いる。全員から銃口を向けられている。
タノクの声「俺は多分、五〇メートルくらいの高さから見下ろしてて、そこに居る俺らと同じ服装をした連中が、俺に銃を向けてて……」

○惑星チョクガ・レストラン
   テーブルを囲むタノク、ダラ、テシ、ナサマチ、ラヤドケ。
タノク「何か、今までにない感覚っていうか……もしかしたら、俺の記憶なんじゃねぇかな~って思ったんだけど」
ダラ「安心しぃ。イリウスはそんなデカないわ」
タノク「それくらいわかってっから。だから、サーゼかな~って思ったんだけど、違うみてぇだし」
   顔を見合わせるナサマチとラヤドケ。
   その様子を訝しげに見るダラ。
タノク「まぁ、いっか。とりあえず、今は食う」
   再び食事の手を動かすタノク。
   もの凄い轟音が響き渡る。
テシ「何? 怪獣さん?」
ラヤドケ「そこまで大きい音とは思えませんでしたが……近いですね」
ダラ「ちょっと見てくるわ。行くで、イリウス」
タノク「いや、俺まだ食事中」
ダラ「さっきまで食うてへんかったやないか。ほら、行くで」
タノク「んだよ、ちくしょう」
   立ち上がり、出て行くタノクとダラ。

○メインタイトル『カーツ惑星調査団』
   T「♯6 目覚めた男in惑星チョクガ(前編)」

○惑星チョクガ・エネルギースタンド
   ツエーツ号を含む数台の宇宙船から上がる煙。逃げ惑う職員や通行人達。
   そこにやってくるタノクとダラ。
タノク「あーあ、何かヒデェ有様だな」
ダラ「他人事ちゃうで。ツエーツ号も」
タノク「(ツエーツ号から上る煙に気付いて)あっ! おいおい、あの船の中にも結構食いもん残ってんだぞ」
ダラ「そればっかやな。にしても、一体誰が……?」
   周囲を見回すタノクとダラ。気配を感じ取り、空を見上げるタノク。
タノク「ダラ、上だ」
   人間業とは思えないジャンプ力で空高くから落下してくるクチヲ・X・ンタレス(29)。服装はカプセル内でのアンダースーツのまま。タノクとダラの目の前に停泊していた別の宇宙船に着地する。獣のような動き方。
ダラ「何や、アイツ」
タノク「人間か、人間じゃねぇのか、よくわかんねぇな」
ダラ「ん? あの服……」

○(フラッシュ)ツエーツ号・安置室・中
   カプセル内の死体、同じアンダースーツ。

○惑星チョクガ・エネルギースタンド
   クチヲと対峙するタノク、ダラ。
ダラ「まさか……?」
タノク「何? お前、ああいう服着てぇの?」
ダラ「ちゃうわ。(無線で)ダラから各位、ソッチの窓からコッチ見えとる?」

○同・レストラン
   窓から対峙するタノク、ダラとクチヲを見ているテシ、ナサマチ、ラヤドケ。
テシ「うん、見えるよ」
ナサマチ「(小声で)ラヤドケはん、アレ……」
   青い顔のラヤドケ。
ダラの声「何か心当たり、あります?」
ラヤドケ「……」

○同・エネルギースタンド
   クチヲと対峙するタノク、ダラ。
タノク「向こうも無ぇみてぇだな。(クチヲに)おい、テメェ」
ダラ「ちょ、イリウス」
タノク「人の飯邪魔した挙げ句、船にまで手ぇ出しやがって。何とか言いやがれ」
   うめき声を上げるクチヲ。
タノク「この星の言葉じゃねぇな。ダラ、訳せ」
ダラ「言葉ちゃう。多分、ただのうめき声や」
タノク「ったく。で、どうすんだ? とりあえず、奴がコッチに向かってきたら応戦、って事でOK?」
ダラ「せやな」
   予備動作を始めるクチヲ、身構えるタノクとダラ。
   逃げ出すクチヲ。
タノク「逃げたか。まぁ、後は俺らの仕事じゃねぇしな。戻っか」
ラヤドケの声「(無線で)追いかけて下さい」
タノク「え?」

○同・レストラン
   窓から見ているテシ、ナサマチ、ラヤドケ。
ラヤドケ「その男を、確保して下さい」
タノクの声「え、何で? 俺まだ飯の途中……」
ラヤドケ「いいから、早く!」
   ナサマチの服の袖を引っ張るテシ。
テシ「副団長、どうしたの?」
ナサマチ「安心しぃ」
ラヤドケ「ナサマチ団長。私達は一旦、船に戻りましょう」
ナサマチ「え? あぁ、了解や」
テシ「僕は?」
ラヤドケ「テシ君は、ここで待っていて下さい」
テシ「でも……」
ナサマチ「ほら、まだイリウスが飯の途中やから、誰か残っとらんと、片付けられてまうやろ?」
テシ「うん、わかった」
   テシの頭を撫で、ラヤドケと共に店を出て行くナサマチ。

○同・森
   周囲を見回すタノクとダラ。
ダラ「見失ってもうたみたいやな」
タノク「なぁ、もう帰ろうぜ。これ以上は無理だろ」
ダラ「リオトさんに確認してからやな」
   無線のスイッチを入れようとするダラ。
タノク「その副団長だけど、様子おかしくなかったか?」
ダラ「……まぁ、せやったな」
タノク「で、お前は何を知ってんだ?」
ダラ「(驚き)!? ……いや、何も」
タノク「嘘つけ」
ダラ「ほんまやて。(前方に何かを見つけ)せやけど……」
タノク「けど?」
ダラ「何か知っとるかもしれへん人が、そこに居るで」
   ダラの視線の先、矢浦(26)がいる。
矢浦「奇遇だね、カーツ惑星調査団の諸君」
ダラ「こないな所で、何してんねん」
矢浦「気にする事はない、ただの探し物」
ダラ「へぇ、何探してるんや? 手伝ったってもええで?」
タノク「は? そんな暇あったら飯を……」
   肘鉄をくらわせタノクを黙らせるダラ。
ダラ「で、何や?」
矢浦「おそらく一緒だ、其方達と。逃げ出したあの男だ、ツエーツ号から」
ダラ「……」
タノク「……は? 俺らの船から逃げ出した? テメェ、テキトーな事言ってんじゃねぇぞ?」
矢浦「ならば見せてもいいぞ、証拠を。……む?」
   物音がする。周囲を警戒する三人。そこに姿を見せるクチヲ。
タノク「見っけ。なぁ、おとなしく掴まってくんねぇか? じゃねぇと、飯にありつけなくてさ。俺、腹減って死にそうなんだわ」
   タノクに襲いかかるクチヲ。
タノク「くそっ、やっぱソッチか」
   応戦するタノク。押され気味。吹っ飛ばされるタノク。
タノク「やるな、この化けもんが」
   今度はダラと矢浦に襲いかかるクチヲ。応戦するも圧倒されるダラと、避けるだけの矢浦。
ダラ「アンタも少しは手ぇ出しぃや」
矢浦「不承知。其方達と違って戦う由縁はない、小生には」
ダラ「せやけど、このままやと最悪殺されんで」
矢浦「しかし人間業ではない、この動き。止められるか、生身の小生達で?」
タノク「だったら、生身じゃなきゃいい。おい、ダラ。サーゼだ」
矢浦「ほう……」
タノク「ダラの持ってる小せぇのでいい。俺の影を撃て」
ダラ「なるほどな。ほな」
   ミニサーゼを取り出し、レーザー銃に取り付け、タノクに光を当てるダラ。
ダラ「サイズ一・八。ミニサーゼ、起動」
   タノクが倒れ、タノクの身長とほぼ同サイズの影タノクが実体化する。
影タノク「しゃあ、行くぜ」
   クチヲに向かって行く影タノク。やや優勢に戦いを進める影タノク。
矢浦「いつもより動きがよく見えるが、気のせいか、小生の?」
ダラ「デカいとその分、強さも間延びするんやて。逆に小さければ強さは濃密。多分、このサイズのイリウスは一番強いで」
矢浦「なるほど、参考にさせてもらうよ、先輩の声」
   戦う影タノクとクチヲ。ものすごい跳躍力から落下する攻撃を繰り出すクチヲと、その力を利用しカウンター攻撃を繰り出す影タノク。倒れるクチヲ。再び立ち上がり、構えるクチヲ。
影タノク「さて、どうする?」
   逃げ出すクチヲ。
影タノク「え、おい。逃げんな、コラ」
   クチヲを追いかける影タノク。途中から体が前に進まなくなる。
影タノク「え、あれ?」
   振り返る影タノク。倒れているタノクの体からかなり離れている。
影タノク「くそっ、これ以上は離れらんねぇってか」
   姿が消えて行く影タノク。
矢浦「どういう事だ、今の現象?」
ダラ「影やからな。本体からあんまり離れて行動できへんねん」
矢浦「なるほど、これもまた参考にさせてもらうよ、先輩の声」
   目を覚ますタノク。
タノク「あ~、疲れた。で、アイツどうすんだ?」
ダラ「確保、いう命令やからな」
タノク「追いかけんの? 無理だろ」
矢浦「それなら任せて欲しい、小生に」
タノク「何?」
矢浦「其方達が戦っている間に付けておいた、マーカーを」
   タブレット端末を見せる矢浦。地図上に点滅する光
タノク「よっしゃ、さすが」
ダラ「ちょっと待ちぃ。条件は何や? 今回は先に言ってもらうで」
矢浦「さすがに通用しないようだな、同じ手は」
ダラ「で、何を企んどるん?」
矢浦「否、先に交換条件を言わなければならないのであれば決裂だな、交渉は。其方達は自力で追いかけるといい、奴を」
ダラ「うぅ……」
矢浦「どうする? 相当早いようだね、奴の動きは。猶予はないぞ、時間に」
ダラ「……わかった。案内せい」
矢浦「付いてくると良い、小生に」
   矢浦に続いて駆け出すタノク、ダラ。

○ツエーツ号・安置室・前
   破壊された扉。

○同・中
   破壊されたカプセルが一つ。その前に立つナサマチとラヤドケ。
ナサマチ「やっぱり、やな。まさか目覚めてまうやなんて……」
ラヤドケ「……」
ナサマチ「面倒な事になりそうやな」
ラヤドケ「……残念ですが、もっと面倒な事になっているようですね」
   床に落ちた、破壊された球体カメラの破片を杖で指すラヤドケ。
ナサマチ「コレは……!?」
ラヤドケ「どうやらこの部屋の様子を、何者かに盗撮されていた可能性がありますね」

○矢浦号・生活スペース
   カプセルから飛び出すクチヲの映像。巻き戻しと再生を繰り返す。
   その映像が流れるタブレット端末を見ている田尾。

○惑星チョクガ・崖
   森の切れ目、崖っぷちに立つクチヲ。そこにやってくるタノク、ダラ、矢浦。
ダラ「いた。居ったで、さっきの化けもんや」
タノク「マジか。そのマーカー、本物だったんだな」
矢浦「疑っていたのか、小生を?」
タノク「そりゃあな」
ダラ「さぁ、行くでタノク」
   ミニサーゼを構えるダラ。
タノク「え、また? 連戦はキツいんだけど」
ダラ「そう言うたかて」
タノク「おい、矢浦。代わってくれよ」
ダラ「そんなん、無理に決まって……」
矢浦「構わないぞ、小生なら」
タノク「え、マジで?」
矢浦「まだ疑っているのか、小生を?」
タノク「よし、頼んだ。やってやれ、ダラ」
ダラ「え、あ、あぁ……」
   矢浦にミニサーゼを当てるダラ。
ダラ「サイズ一・八。ミニサーゼ起動!」
   矢浦が倒れ、矢浦の身長とほぼ同サイズの影矢浦が実体化する。
影矢浦「なるほど、確かに動きやすいな、このサイズ」
   戦うクチヲと影矢浦。影矢浦が優勢。
タノク「いいぞ。それそれ」
   倒れている矢浦の体を見つめるダラ。
    ×     ×     ×
   影矢浦の攻撃でグロッキーなクチヲ。逃げようとするも影矢浦に先を越される。
影矢浦「そう簡単に逃がさないよ、小生は」
   逃げ場を失い影矢浦につかみかかるクチヲ。崖の端でバランスを崩す。
タノク「なっ」
ダラ「危ない!」
   駆け寄るタノクとダラ。転落する二人。
タノク&ダラ「矢浦!」
   崖から見下ろすタノクとダラ。崖の途中で止まっている(というより崖に立っているようにすら見える)影矢浦。
影矢浦「心配には及ばないよ、其方達」
タノク「え、何で……?」
   後ろを振り返るダラ。倒れている矢浦の体からかなり離れている。
ダラ「そうか、これ以上は体から離れられへん……」
影矢浦「早速、使わせてもらったよ、先輩の声」
タノク「じゃあ、あの化けもんは……?」
   さらに下を覗き込むタノクとダラ。崖の下に敷かれたマットとその上に落ちたクチヲ。その脇には矢浦号が停泊している。落下の衝撃で意識を失っているクチヲを船内に運ぶ田尾(22)。
ダラ「なっ、矢浦の船!?」
影矢浦「では戻らせてもらおう、小生の体に」
   崖を上ってくる影矢浦。ダラの持つミニサーゼのスイッチをオフにする。
ダラ「あっ」
   姿が消える影矢浦。振り返るタノクとダラ。意識を取り戻し、立ち上がる矢浦。
矢浦「では今こそ言おう、交換条件を。小生も欲しい、あの男の体を」
ダラ「最初からそういう作戦やったんやな」
矢浦「いかにも、ただ……」
   矢浦の両腕、後ろ手にはめられた手錠。
矢浦「予想外だった、この手は」
ダラ「アンタなら何かする思うてたわ」
矢浦「どうする気かな、小生を?」
ダラ「交換条件や。あの化けもん、返してもらうで」
タノク「そうそう。アイツ確保しないと、俺が飯にありつけねぇんだよ」
矢浦「では答えよう、拒否と」
   飛び去って行く矢浦号。
タノク「あ、ちょっと待て、コラ」
矢浦「さて、どうする? 小生は手に入れた、欲しい物を。其方達は手に入れてどうする、小生の身柄を」
ダラ「え?」
タノク「そりゃ……」
矢浦「殺すのかな、小生を? 殺せるのかな、其方達に?」
   矢浦に銃を向けるタノク。
タノク「出来っけど?」
矢浦「確かに、出来そうだな、其方なら」
ダラ「イリウス」
   銃を下げさせるダラ。
ダラ「……とりあえず、ウチらの船に来てもらうで」
矢浦「必要かな、招待状は?」
ダラ「今回は特別や」
   矢浦の腕を取り、連れていくダラ。

○同・エネルギースタンド
   停泊しているツエーツ号。

○ツエーツ号・共同スペース
   後ろ手に手錠をはめられたまま椅子に座る矢浦と対峙するナサマチ、ラヤドケ。矢浦を尋問している様子。
テシの声「何話してるんだろうね?」

○同・タノクの部屋・中
   レストランでの食べかけの料理を食べているタノク。それを見守るテシ。
テシ「僕らの事締め出して」
タノク「さぁな」
テシ「ダラちゃんもどっか行っちゃったし」
タノク「さぁな」
テシ「……美味しい?」
タノク「おう。……やらねぇぞ?」
テシ「僕は大丈夫。でも良かったね、テイクアウト出来て」
タノク「本当、マジ生き返ったわ~」
テシ「でも、僕ずっとレストランに居たからさ、何がどうなったのか、全然わかってないんだよね。ねぇ、教えてよ?」
タノク「そう言われても、俺も良くわかってねぇんだよな~」

○同・安置室・前
   扉の前に立つダラ。扉が新しくなっている。
ダラ「ドアが新しくなっとるな。やっぱり……」
   銃声が響く。
ダラ「何や!?」
   駆け出すダラ。

○同・タノクの部屋・中
   食事中のタノクと影に隠れるテシ。床に落ちた食べ物を慌てて拾うタノク。
タノク「一秒? 二秒? セーフ? セーフ?」
   と言いながら食べるタノク。
テシ「もう食べてるじゃん」
タノク「だってもったいねぇし。……にしても、人騒がせな音だな」
テシ「銃声だよね? 大丈夫なのかな?」
タノク「大丈夫だろ。何かあったら、内線が鳴んだろうし」
   と言って、スープを飲むタノク。
   地響きが起きる。
   スープがこぼれる。
タノク「うわっと、熱っ、って、あ~もったいねぇ!」
テシ「今度は何?」
タノク「知らねぇよ。あ~、スープが……」
   窓の外を見るテシ。遠くに体長五五メートル程の怪獣・シャラの姿。
テシ「イリウス君、怪獣さんだよ」
タノク「ふ~ん、やっぱこの星にも居るんだな」
テシ「僕達はどうすればいいのかな?」
タノク「何もしなくていいんじゃね? この星の連中が何とかすんだろ」
   ご飯をかき込むタノク。
   内線が鳴る。
   むせるタノク。
タノク「鼻に入った、鼻に……」
テシ「イリウス君、電話だよ?」
タノク「ちょ、テッシー、出て。鼻が……」
   電話に出るテシ。
テシ「はい、テシです。うん、居るよ。……は~い。(電話を切って)イリウス君、出動だって」
タノク「は?」

○惑星チョクガ・街
   暴れているシャラ。

○サーゼボックス・中
   中央に立つタノク。
タノク「ったく、何で俺が足止めしなきゃいけねぇんだよ」
テシの声「イリウス君、足止めだからね。怪獣さん、倒しちゃダメだからね」
タノク「わかってっから。リオトさんにも散々念押されたし。……っていうかさ」

○惑星チョクガ・街
   サーゼボックスの脇に立つテシ。
タノクの声「ダラはサボり?」
テシ「わかんないけど、僕もコレ、一回やってみたかったんだ」
タノクの声「あっそ、そりゃ良かったな」
テシ「うん。じゃあ、行くよ? サイズ五五、サーゼシステム起動!」
   スイッチを入れるテシ。
   出現する影タノク。
テシ「やった、出来た~!」
   対峙する影タノクとシャラ。
影タノク「(テシに)よくできました。(シャラに)さて、と。何して遊ぼうか」
   戦う影タノクとシャラ。互角。
影タノク「結構強ぇな、コイツ」
   テシを見下ろす影タノク。
影タノク「……今回は何も思い出せねぇ、か」
テシ「イリウス君、どうかした?」
影タノク「あ、いや。テッシー、寄越せ」
テシ「りょーかい。ミニサーゼ、起動」
   ミニサーゼを使い、黒い剣を出現させるテシ。
影タノク「いや、違う違う。テッシー、ココはハンマーくれ」
テシ「それなら、そう言ってよ」
影タノク「悪ぃ悪ぃ。(小声で)ダラは言わなくてもわかってくれんだけどな」
テシ「(フィルムを入れ替え)今度こそ、ミニサーゼ、起動」
   ミニサーゼを使い、黒いハンマーを出現させるテシ。
影タノク「よっしゃ、行くぜ」
   ハンマーを振り回す影タノク。シャラに全て避けられる。
影タノク「それなら、コレでどうだ」
   反対に持ち替え、影矢浦のような棒術で戦う影タノク。しかし、下手。
影タノク「やっぱダメか」
   再び持ち替え、肉弾戦に持ち込む影タノク。徐々に距離を詰める。
影タノク「今だ!」
   ハンマーを横から振り抜く影タノク。ジャンプしてそれを避けるシャラ。
影タノク「何!?」
   もの凄いジャンプ力で空高くから落下してくるシャラ。
影タノク「うお!?」
   間一髪で避ける影タノク。
影タノク「今の……」

○(フラッシュ)同・エネルギースタンド
   人間業とは思えないジャンプ力で空高くから落下してくるクチヲ。

○同・街
   対峙する影タノクとシャラ。
影タノク「あの化けもんと同じ……?」

○ツエーツ号・共同スペース
   後ろ手に手錠をはめられたまま椅子に座る矢浦と対峙するナサマチ、ラヤドケ。入口付近に立つダラ。

○惑星チョクガ・某所
   倒れているクチヲと、その脇に立つ田尾。

○同・街
   サーゼボックスの脇に立ち、心配そうに戦況を見つめるテシ
    ×     ×     ×
   対峙する影タノクとシャラ。
              (♯7へ続く)

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